は?
いや気がついていた。白衣マンが見知らぬ少女を連れてこの部屋の目の前を通ることはわかっていた。
だけどいったい誰がこの部屋に入ってくると思うので?
そして誰だ少女よ?もしかして俺を殺しに来たタイプですか?
「……鬼?」
そんな事を思っている間に目の前に現れた。白衣マン(一人、オレンジ髪)に少女。二つのケモミミ。毛が生えている。尖っているとは言い切れないが、丸っこくもないケモミミ。イタチではない…よな。ペッローも考えられる。アスラン?ループスは違う。レプロバ?わからないよ。俺にアークナイツケモミミ検定なんて持っていないよ……
赤みがかったオレンジ色の髪。透明感のある茶色い目。俺と同じ白衣を着て、長い尻尾をゆらゆらと………尻尾?この尻尾……間違い無い、犬のようなふわふわもふもふの尻尾では無い。ライオンのように尻尾の先端だけがふわふわもふもふの尻尾だ。なので間違いない。少女はアスランである。
「それじゃあ。また後で迎えに来るね。」
「わかったジャスミン。また。」
白衣マンは帰って行った。俺は寝転がったまま視線を少女に固定する。敵意は無い。殺意も無い。完成された暗殺者?でもそんな感じの会話じゃ無かったよな?もしかして作戦?
「……名前。名前は何?」
……シュヴェルは頭をフル回転させる。
この台詞の後に吐く言葉は二パターンある。一つ、人に名前を尋ねる前に自分の名前を言うべきでは?二つ、素直に言う。どっちだ?友人フラグなら前者。でも被験体という立場を完全に味わうなら後者。どうする?どうするシュヴェル?
「…もしかしてしゃべれないの?そうなら頷いて。」
ありがとう…名も知らぬ少女よ。この台詞の後に前者は違和感だからな。これで選択は決まった。いや待て俺はこの施設に入るどころかあの茸事件の時から一度もしゃべったことはない。つまり、無理設定が可能となる。考えましょう……壊れる施設。大きな敵に蹂躙される子供達。最後の最後で、いままで口を開かなかった少年が口を開く………考えただけで脳が…震える……
やめよう。
一瞬にして思考は変わった。シュヴェルは心からそう思った。いままで仏頂面だった少女が心配で仕方なそうな顔をしながら俺の顔を覗き込んでくるのだ。今さら頷けねえよ。
「シュヴェル。」
「…シュヴェル?」
「うん。シュヴェル。」
「私はジャーシンス。よろしく。」
ジャーシンスは握手を求めてくる。その顔はいつもの仏頂面に戻っていた。
それがデフォルトなのですか?ここは少しぐらい頬を赤らめても良かったのに……あくまで友人フラグですかそうですか。
「よろしく。ジャーシンス。」
俺は握手仕返す。
ならばせいぜい最後まで良い友人になってやろうじゃないか。
「シュヴェル。なんでずっと寝転がっているの?」
「そうしていたいからだよ。」
「……なんで?」
「…そういう者だと理解してくれ。」
「わからないけどわかった。」
少女にお腹が痛いからずっと寝転がっているっていえるか?ずっとお腹が痛いんだと言えるか?答えはNO。考えない方向でよろしくお願いしますねジャーシンス。
「いったい何をして遊ぶ?」
「遊ぶ?なぜ?」
「…?遊ばないの?暇だよ?」
遊ぶ?え、ずっと遊んでるの?子供ってわからない……俺ってもしかしておもちゃ?あのくそ脳筋オーガの仲間共。手に負えないと俺に投げ出したのか?あ?子供の欲望くらい満たしてやれよ。…なんで白衣着てるの?同じ被験体?え?わけがわからないよ。
考えるのはやめだ。秘技答えを言ってもらおう、を使おう。俺の会話テクニックで相手に何をしたいのかを吐かせる。相手は子供。勝ったな。
「いつもは何をして遊んでいるの?」
「いつもは走ってるよ。偶にボールを持ってきてくれるけど壁にひびが入るからあんまり持って来れないってジャスミンが言ってた。」
走る?ボール?運動限定?読書とかボードゲームとかないの?……まあいいよ。いつもなら何して良いかわからない所だが、残念ながら今の俺にはアーツがある。
立体アスレチック作りましょうや。
壁二面をボルダリング。残りのスペースはジャングルジムみたいに適当に壁でも生成して登れるような迷路にしましょうか。
想像は一瞬。すでに構図は思い浮かんだ。
「ジャーシンス。ちょっとこっち来て。」
「…どうしたの?」
「いいから早く。」
「うん。」
ジャーシンスはシュヴェルに近づき近くに腰を下ろす。そしてシュヴェルのお腹を枕にして顔を天井に向ける。
「どうしたの?」
ち、近い…なんとその仏頂面と正反対的なフレンドリー…子供はよくわからん。
「見てて、一瞬だから。」
シュヴェルは指を天井に向ける。
ジャーシンスがまばたきをして、目を開くと一面に黒い壁が出現した。
「……何これ?」
さすがにわからないよね。というこの世界には存在してないかも。
「アスレチック。どうかな?」
「あすれちっく?何それ?」
あすれっちく!?伝説の片言。やりました。これだけでこのライン生命に価値が生まれた。おめでとう。ライン生命。ありがとう。ジャーシンス……言いにくいよ。略したい。でも良い略称が見つからない……ゼッタイッミツケテヤル
「とりあえず天井に行ってみて。そして戻ってきてみて。」
「わかった。」
はっやっ
瞬きしたら背中しか見えない。さ、さすがアーツの力だぜ。
六秒?え?六秒で天井まで行ってきたぞジャーシンス。十一秒はかかると思ったのに……
「どうだった?」
「狭かった。」
貴女壁ジャンプ一族だったわ。マリ○ブラザ○ズみたいに壁を蹴って移動したたわ。当然の反応だよね。うんうん。
シュヴェルは壁をいくつか消して、壁の位置を調節した。
「これでどうだ?」
ジャーシンスは飛ぶ。跳ぶではなく、飛ぶだ。少なくとも俺にはそのように思えた。
三秒……だと?えぐ。半分ですよ?ちょっと調節しただけで時間が半分に短縮されたんだよ?化け物すぎぃ。
「ただいま。」
「お、お帰り…どうだった?」
「楽しかった。でも覚えた。他にないの?」
貪欲だねぇ。いいよ。そういうの好きだ。リアルタイムで動く迷路って奴をやってやるますよジャーシンス!
シュヴェルはボルダリングを消して壁を少しだけ増やし壁を動かし続ける。そして目の前に、シュヴェルとジャーシンスの目の前に黒い玉を生成した。
「これを捕まえてみろ。ただし握ったら何処かに消える。だけど何処かにある。それを探し出してみな。」
黒い玉はゆっくりと壁の先へと消えていく。
「……遅い。そんな物すぐ捕まえられる…無意味。」
「安心しろ。ジャーシンス専用の速度を出す。捕まえてみろ。」
「ふーーん。もう行っても良い?」
「いい……ぞまで言わせろよ……」
ジャーシンスは水のように消えていく。吸い込まれるようにスムーズに壁に消えていった。
壁の中ではそんな生やさしいものでは無かった。秒単位で競われる鬼ごっこ。壁は動き、行き止まりは通り道へと通り道は行き止まりとなる。壁は黒い玉の味方をして、ジャーシンスから黒い玉を逃がすように動かす。
まだ二十五秒間。だけど圧倒的有利な状況で二回も捕まった。ジャーシンスが速すぎるのが敗因だ。まだジャーシンスと同じ速度を出すと壁に激突する。
もし壁が動かなかったら、いったいこの二十五秒間で何回捕まったことか。ジャーシンスが黒い玉を捕まえようと動く壁を殴ったときはヒヤヒヤした。でも壁の固さを知ったようでその一度きりでもう殴りはしない。手は赤く腫れていないようで良かった。
それがきっかけで俺も壁の動きに注意するようになった。
俺はどんどんジャーシンスの速度と、壁の動かし方を理解をし始めた所だ。だがそれはジャーシンスも同じく、体の動きが身のこなしがぐんぐん良くなっている。
そして俺は感じた。これって負け確定イベントってやつですか?
・・・・・
……黒い石は壁となる。そして距離による制限は無かったか…」
「カメラで見えない。これは問題になるのでは?」
「通路は問題無い。必要な犠牲だろう。今は接触に成功したことを喜ぶできでは?」
「だが13号の蹴りに耐えきることのできる黒い石。危険では?」
「ならばどうする?殺すのか?被害も考えずにやるのか?」
「突如接触禁止になれば13号は不満を持つ。それは脱走につながる可能性が高い。」
「もう走り出してしまった。もう止まれない。いまは成功を祈ろうではないか。」
テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ
最近86-エイティシックス-のアニメを見ました。小説版が欲しくなりました。欲しい小説が無くなりそうにありません。
助けてください。
なんなら読む時間もありません。これもネット小説が無料で読めて沢山あるのが悪いのです。
助けてください。
追記
☆6が埋まりました!!
ぜひ!この勢いで☆3もお願いします!!
そして4,5,4と綺麗な山なりにするために☆10もください(強欲{甘やかしてはいけないタイプ})