好きには不祥がつきまとう   作:庭顔宅

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4/6 茸と魂と命の大戦争 α+主side

……なー」

 

あの日から変化はない。ずっと寝ている、いや死んでいるかもしれない47号。そう思うのもしょうが無いと思う。まったく動かないのだ。呼吸で胸が上下することもない。強い光を与えても目は動きもしない。重力に逆らう事も無い。だが血流だけは動いているらしい。この状態。本当に生きていると言えるのだか。

 

「なんだ?」

 

定期的に行われる採取の時間。だが何も成果はない。あの日以来採取などできてはいない。だから思った。

 

「もしかしてこの黒い石を採取出来るんじゃないか?」

 

「やめとけって。死ぬぞ?」

 

「でもさーーー出来そうじゃね?」

 

「だが…」

 

「……考えてみろよ。この黒い石を俺たちの部署で独占できたら。」

 

「でも……」

 

「よしわかった。俺はやる。嫌なら扉前にでも移動しとけ。」

 

「ぁあーーもう。知らない。やってみろよ。」

 

そう言って入口に移動する。

 

「臆病者め。よし……行くぞ。」

 

47号の硬さは知っている。だがこの黒い石までそうとは思わない。だが硬い可能性……ま、つまり考えるだけ無駄だって事だ。

 

俺に出来ることは全力でこの黒い石を突き刺して少しでも削る事。

 

「オリャッ!!!」

 

ガンッ

 

黒い石は呆気なく、貫かれた。綺麗な楕円にひびが入り、以前の美しさとはかけ離れた、まるでただの石ころのようになる。

 

「ッオォォォォ!!!すげーぞお前!これで黒い石は独占できるぞ!!」

 

扉の前にいたはずだったがいつの間にかすぐ側にいた。

 

「おう簡単だったぜ。さっ持って帰ろう。」

 

黒い石を取り出した。その石が入っていた場所は歪で気持ち悪い肉片だった。底は赤く、まるでそこからすぐそこに心臓があるように思えた。試しに突いてみた。硬かった。この硬さは他の部位と同じだった。

 

黒い石を取り出したすぐ後、二人が荷物をまとめている最中だった。

 

二人は吹き飛ばされ倒れると同時に痛みを感じた。二人の意識は目の前に自分の下半身が、防護服が紙切れのように切れてることを確認した所で消えていった。

 

・・・・

 

……?

 

夢を夢と認識するってこんな感じなのだろうか?実感が無い。これが現実だという認識が出来ない。そしてこれが夢だという認識が出来ない。

 

目の前が黒い。体が動かない。声が出ない。だが感じる。体のいたる所、頭と手、足以外からミミズ腫れのような傷から、痛みのようなものを感じた。

 

痛みとは違う。痒さとも違う。

 

まるでそこだけに水が流れているように違和感を感じる。

 

ッ?

 

初めて、それ以外の感覚を感じた。胸に衝撃が走る。そして空気がその衝撃の後を辿る。

 

ッ!

 

そこで理解した。これは現実だと。夢のように現実味はないけど、これは確かに現実だと。

 

胸に穴が出来た。それはしばらく前からあった物だが、それは黒曜石によって埋められているはずだった。だが消えた。黒曜石が一つ一つ欠片を抜き取られ消えていった。後には空気だけが底に貯まっていった。

 

俺は覚えている。その黒曜石は親愛的かつ友愛的かつ永久の愛を捧げる人達の一人から貰ったプレゼントだと。

 

自然と拳を握っていた。指が、腕が力むのを感じた。

 

 

目を開く。

 

 

目の前はいつもの風景だ。この一ヶ月間見続けた。アーツを拡散し、この部屋の状況を知る。

特に拘束されてもなく床に寝転がっていた。部屋全体から漂う僅かな鉄の匂い。だが関係ない。起き上がる。目標を視界に入れる。

 

目標は二人、片方は大切そうに、瓦礫のような黒い、黒い石を大切そうに抱えてた。

 

俺は状況を理解した。そしてキレた。

 

俺は腕を振るう。絶対に当たる訳がないほど距離は開いている。だが当たる。そう思い、考えた。

思考は実行へ。頭で考えている時には既に、生成されているのだ。

 

腕から生える。それは黒く、長い。それは二人をバターのように切り裂き、上半身と下半身に分別した。俺は二人を殺した。

 

振るった腕はそのままの勢いで進むそして腕から生やした物は俺の体に巻き付いた。まるで俺を守るように、まるで意思があるようだった。

 

俺はずいぶんとサイコパスかもしれない。人が死ぬことに何も感じない。そりゃ身近な人が死ねば思うことも多いが、そうでなければ思わない。俺が殺したというのに…それは実感が無いことも理由だったりしてね。

この手で肉を切り、生命活動が止まる瞬間を見れば、と思っていたけど。何も感じない。

 

まあこの世界は残酷だということで。

気にしすぎて心が壊れるくらいなら気にしなさすぎで自由に生きればいいさ。それにしても本当に現実的じゃないな。飛び散る血。四つの肉片。そしてこの腕から生える武器?そこまで考えなかったけど剣じゃなくて鞭を作るとは……いや見た目的にクインケか。黒一色だけど。思っている以上にしなやかで触手みたいだ。

 

……触手?え?生成!!オッペイパイ!」

 

反射的だった。いや本能的だ。俺は胸に究極の円周率を持つ大きなπを生成する。そして揉む。間違いない。これはオッペイπだ。この弾力、この張り。間違いない俺は究極の問題だった固体の液体化を成し遂げたのだ。

 

ゲッフッ!?

 

触手に叩かれた。もちろん俺に自傷癖はないし、操作を誤るなんてへまはしない。

改めて触手を少しだけ動かした。その触手は俺の想像通りに動く。だが操作をやめると、もう一度触手に叩かれた。

 

まっまさか!!??

 

俺はスライムを作る。オリジムシでは無く、y○giboを想像しながら、RPGの最初の、そして王道のスライムを作る。

 

するとスライムは独りでにぷるぷると動き出した。(ちょっと違う……それよりもはやく状況確認してご主人)

 

わかったよポン助。まずは状況確認だね。……いつの間にそんなに賢くなった?なぜポン助の言葉がわかる!?もしかして…お前ポン助では無いな?

 

スライムはさらにプルプルと震える。(ポンスケだよ!)

 

うな訳あるか?ポン助はいつも食う寝る休むの三連コンボ。少し見なくなっただけでほのぼの系から真面目系に変わるわけ無いだろうが本性見せろ。

 

スライムは跳ぶ。(…めんどくさい…)

 

シュヴェルの頭の上へ跳び着地する。そして全てを知った。

 

ァ~~~この柔らかさ~~枕もよし、抱き枕もよし、掛け布団も敷き布団もよし。たとえお前が誰であろうと俺の頭に乗ったら相棒だ。よろしく!ポン助……はやめておこう。ポン助二号、君に決めた。

 

ポン助がやれやれと薄く震える。そして豊満なスライムボディからピッと触手を突き出した。(今の状況わかってるの?はやく状況確認!!)

 

はいはい状況状況。俺はアーツを展開。もはや慈悲はない。扉をこじ開け施設の掌握を急ぐ。イメージとしてはヤスリで隙間を作る。これで室内の密封性はなくなったな。修理班乙です。笑ってあげます。

 

 

掌握している間に真面目なお話をしよう。

 

この俺のおふざけに対応するだけでこいつはポン助認定しても良いレベルだ。だけどそんな理由とは関係なしにポン助だと思った。

 

その豊満なスライムボディは関係ない。ただの源石だ。だけどその源石から俺に繋がっている線のようなものを感じる。内側からその線は出ている。そしてポン助の声はどこからか聞こえてくるのでは無く、内側から発生しいているように不思議に響かない中性ボイスだった。つまりただの勘ってことだ。

 

そしてポン助になぜ俺の胃の中に入ったんじゃ我ェ?ポン助の感覚が無くなったときまじで悲しかったんだぞ?死んだかと思ったんだぞ?とお説教かました。

 

そしたら、勘…?と答えた。ふざけるなよ?俺は説明するまで一生進まない雰囲気を見せつつ言及する。

 

ポン助いわく、今ならご主人と一緒になれる気がした。ご主人に吸収されることで永遠に一緒に過ごせると思った。不安だけど一緒になれるし、お話できるよになってうれしいよ!とメンヘラティックなことを言った。

 

以上。

 

これ以上何をいっても無駄だと中国三千年の歴史と前世の記憶が言ってた。

 

 

ポン助は~~このままで。スライムの豊満ボディがいい。オリジムシは硬い上に抱き枕にもできない欠陥があります。しかしスライムならば枕、抱き枕、敷き布団、掛け布団……なんでもござれ。よってこのまま変えない。ポン助の意思は関係(このスライム動きやすくていいよ!)満場一致でスライムボディです。喜ばしい。これで俺の昼寝が幸せ空間になる。

 

俺の外見は……角の制御ができない。消すことも角の長さや太さを変えることができない。本格的に鬼族になったわ。液体化できようになったのに!!これで毛並みから艶、もふもふまで完璧にできると思ったのに!!!!!!!ハッ!角+ケモミミ。ベストマッチッ。複数の種族の特徴を持つ無表情系……ゴクリッ良いネタやで!

角の根元は傷口のよう。いまだに治る気配がない。ま、時間が解決してくれるだろう。

 

そして体に文字が刻まれている。気持ち悪。消せない?は?これをこのままにしろと?……ライン生命…謎の文字……被検体番号?ライン生命印の謎の文字……ゴ、ゴクリッ…これは最高のネタになりそうだ!むしろこれで消えないことは+になりました。

 

…本当に消えないのか?

 

俺は慎重だからな。決して疑心暗鬼と言うなよ?

試しに腕にある文字を……二重線?一カ所だけ二重線がある。丁度良い。そこを源石でコーティングした爪で引き裂く。そして治す。治す……引き裂く。治す……無理だ。文字は消えないし、二重線は消えないし、傷も残せない。この二重線どうしても消したいんだけど?ここだけ中途半端に二重線されても困ります。ぁ~~困ります研究員さん。

 

 

さて、番組は変わりまして、ドキドキ☆ポン助君!のお時間です。

 

まずは能力の確認です。おそらく核、コアとなる部分は俺の中にあります。そしてポン助は目の前のスライムを自分の体のように動かしました。なので調べる必要があります。どれだけスライムや武器などを、ポン助一人で何処までできるのかを検証します。

ちなみにスライムを動かした理由はポン助いわく、(僕も動きたーい)だそうです……猫ですか?

これが噂の憑依というものでしょうか?

 

さて検証に戻ります。これは大切なことです。強さはしかり、ロマンを追い求めることができ、無限の兵力を得ることができます。なのでやる。さてポン助やってしまいなさいッ!…………検証結果。ポン助は源石を生成出来ない。以上閉廷平常乱心鼓動の音……さて気をとりなおして、俺は床を埋め尽くすスライムを作る。

 

ポン助操作してみて?

 

生成したスライムは動き出した。そして十六段ピラミッドを作った。

 

(どやーー)口に出すものではありませんッ(口じゃないと思うよ)喋るのではありませんッ(思っただけだもん)ポン助、体感どんな感じ?(変な感じ。でもちゃんと動かせるよ。もっともっと動かせるとおもうよ~)よしッ……よくやったポン助。

 

次はスライムを消して剣を20本想像する。

 

ポン助操作。

 

剣は宙に浮く。

 

よし、第一段階クリア。そして次の第二…はダメみたいですね……

 

ポン助は俺の考えていることを読み取り動く。俺の想像通り、剣は宙に浮いた。そして俺の周囲を舞う。ファンネルのように…はできなかった。剣は剣とぶつかり{なんなら俺にもぶつかった}綺麗に俺の周囲を舞うことは無かった。

 

(むぅーーーできるもん)そうだな。時間が無いから後で頑張ろうな(ぜったいできるんだからね!)

 

乞うご期待。以上ドキドキ…ポン助…でした………さてそろそろ掌握に本気を出しますか。

 

むーむーフギュッゥーーとポン助は頑張っていらっしゃいますが無視します。できれば遠くで練習してほしいです。さっきから剣が当たって痛いんだよポン助。(わかった)

 

物わかりがよろしい。最高だろ考えただけで意思疎通できるって。変わりに考えていることを全て知られるけどポン助なら問題無いね。これからよろしくなポッ……は?

 

施設のある一点に集中する。上から底まで全てを把握する。

 

間違いなかった。把握すれば把握するほどその人物の特徴がジャーシンスと一致する。少なくともこの施設にアスランの特徴を持つ人物はジャーシンス、ただ一人。

他の場所も把握する。だが何処にもジャーシンスはいなかった。それどころか被検体の人数が大幅に減っていた。

 

余計なことを考えるのはやめよう。

 

ジャーシンスは前世の言うところで、ゴミ処理場で寝転んでいた。上には多くの運搬パイプと開閉タイプの大きめの入口、下には焼却システム。開閉タイプの大きめの入口は部屋になっている。警備員とマニュアルが壁に記されていた。マニュアルによると週に一度、ゴミの処理が行われる。残念ながらゴミの処理まであと何日まであるかはわからない。

 

多くの袋がある。ジャーシンスの周囲には引きちぎられた袋がある。その中は味がない飯がある。栄養食品のような固形物にスープが混ざっている。わざわざかき混ぜたわけではないので固形物はしっとりホワイトチョコケーキのようだ。液体は下へ沈んで底で貯まっている。

 

ジャーシンスはうたた寝するように寝転がっている。胸を血に染め、口元から流れた血が固まっていた。息はある。だが生気がない。目もトロンとして今にも死そうだった。

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

バットエンドは許しません。ハッピーエンドを目指します(必ずとは言わない)



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