好きには不祥がつきまとう   作:庭顔宅

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6/1 進出のアドバンス

 

「……むむ、これは変だね。」

 

それは、なんて変哲も無い依頼の途中だった。普段から縁がある会社からの配達依頼。そこまで遠距離ではなく、1週間もかからない程度で終わる内容。見慣れてしまった道を、車で移動していた時だった。

 

それは視界に入ってきた。昼間だというのに、残っている複数の煙。その煙の発生点には中規模程度の野営地があった。車の通り道から見えるほど近場。自然と目線がそこにいき、その姿を見せる。

 

その野営地には人がいなかった。だが不自然なまでに静かだった。

 

彼女は車を止め少し考えた後、警戒心と少しの好奇心を持って車から降りて野営地を見ることにした。そして今現在に至る。

 

その野営地はおかしかった。

 

まず、人がいない。少なくとも見える範囲には、人の形をした何かはなかった。

 

4つほどたき火があるが、近くに鍋など料理をした形跡がない。そして火種は炭に埋もれながらもしっかりと残っていた。椅子として使われていただろう岩や木の近くには、木製のコップが倒れていたり、倒れてなかったり。その中身は酒で、アルコールの匂いがぷんぷんする。

 

野営設備はしっかりと残っており、コンテナには武器も食料も残っている。テントも綺麗で、荒らされていたり、引き裂かれていたり、血の痕は残されていなかった。

 

ここまで整った野営地でありながら、護衛の1人すら見えない所を見ると、これは囮で私は罠にかかった獲物か、全てを捨ててでもここを放棄しなければいけない理由が出来たかの二つだ。

 

だが略奪された様子はないし、残された物から焦りを感じられない。

 

彼女は野営地から意識を外し、周囲を見る。だが異変を感じれない。空気の動きどころか人の気配すら無い。そこで彼女は遮る木々もないのに、風の動きが無いことに疑問を抱いた。その空間は、アルコールの匂いが充満していた。

 

すぐさま、腰に装備している2本の杖をその手に持つ。そして目を細め腰を軽く落とされる。彼女の小さくて長く黒い尻尾が小さく揺れた。

 

だが動きがなかった。ここまで音沙汰がないと、警戒心が揺らいでくる。

 

結局彼女は、車に戻ることにした。襲われるとしたら、車に乗る瞬間か、車の通る道に地雷が仕掛けられているか、ただ単純に待ち伏せか、いずれにしても今わかることではなかった。

 

彼女は武器を手に持ったまま歩き出す。

 

あと数歩で車に着くというところで、大きな風が動いた。彼女の長く美しい金青色の髪と黒く、白寄りの灰色の毛皮が部分的に装飾されたフードが大きく動いた。

 

それと同時に、彼女の鼻に血の匂いを運んだ。

 

風はすぐに止んだ。彼女は風向を見る。少し遠くにだが、大きめの洞窟がそこにはあった。洞窟の中が黒く見えることからそれなりに深いのだろう。

 

彼女は考える。

 

このまま車に乗って配達に戻るか、洞窟を覗いてみるか。思考時間はそこまでかからず、答えはすぐに出て来た。

 

彼女は好奇心に負けた。配達の物はどうせ弁償ができる物だ。そんな物より、目の前の答えの方が気になってしまったのだ。

 

彼女は武器を持ったまま、ひっそりと歩き出す。目的の洞窟まではあっという間だった。

 

洞窟の外から中を覗くが、遠目から見た通り、暗く見えなかった。

洞窟の大きさは、縦は2mあるかどうか、横も2m程度。正方形の上半分が半円になったような穴だった。

 

洞窟の奥から血の匂いがした。

 

彼女は一瞬背後を横目で覗く。そこにはまだ無事である車がある。ここほど距離があるならもう手遅れだろうと、彼女は割り切って洞窟の中に進むことにした。

 

彼女は堂々と真ん中を通る。その影はなぜか地に4本の足を付けて進む、神々しくも厳密な竜のように見えた。

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

どとうの9割説明 

もしもこれで登場人物が誰なのかわかって貰えると嬉しいです。文章力上がったのかな?と喜びます。 

次回ちゃんと名前が出て来ます
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