『うちはマダラ・ラスボス化計画』   作:飴玉鉛

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本日二話目。



第11話

 

 

 

 

 

 風の国に潜入していた忍達が帰還した。

 

 潜入班を率いたのは猿飛サスケ。加わったメンバーは山中一族、うずまき一族、うちは一族、千手一族、日向一族から各々一名ずつ選抜した精鋭小隊だ。

 日向が白眼で索敵し、避けようのない者はうちはが写輪眼で幻術を掛け、直接戦闘が発生した場合に千手が備え、不測の事態に対応できるように封印術の使い手うずまきが控える。猿飛サスケは万能であり、索敵も幻術も戦闘も封印も熟せる。そうして国の中枢に潜入し、山中が心転身の術で情報を抜き取るのだ。潜入部隊としてこれ以上は望めない理想的な構成だった。

 

 果たして彼らの持ち帰った情報に、各々の一族は驚愕する。

 

 風の国の首都、その地下に一つの城ほどの大きな空洞があるというのだ。

 調べ上げた機密情報には、確かに九体の尾獣の実在が含まれ、白眼で視認した者の模写により姿形が報される。そのチャクラ量はまさに自然災害そのものであり、尾獣の強大さが警告された。

 ここで更に独自に動いていた扉間が情報を提供した。なんと扉間は単独で潜入しており、太刀風インドラの計画、その全容のほとんどを暴いてのけたというのだ。

 単独で潜入するなと言ったであろうが! 大声で叱責する柱間に対し、扉間は気にした素振りもなく肩を竦める。問題ない、と。こういう時のために術を開発しておいたのだ、と。

 

 開発していた忍術というのは、影分身の術と時空間忍術・飛雷神の術だ。その術の存在を扉間は口にはしなかったが、後で説明すると柱間にのみ告げる。――まあ、俺はどっちも印を見たけど。

 扉間なら絶対に単独で来ると踏んでいた。猿飛サスケの潜入班は囮だと確信し、扉間の知力と行動力を信頼していたのだ。故に俺は輪廻眼の開眼者のみが口寄せできる、十尾の抜け殻である外道魔像を敢えて扉間の目に晒し、計画の全容を掴ませてやったのだ。

 

 影分身はどうでもいいが、飛雷神の術にはそれだけの価値がある。俺は確実に、万華鏡写輪眼で飛雷神の術式と、術者である扉間のチャクラの動きを視認していた。さしもの扉間も外道魔像、六道仙人の伝説、尾獣の用途を知れば驚愕して多少は心的な隙を晒していた。

 地下に羽衣天女を配置していればそちらに注意が向き、迂闊には近寄らず一旦撤退するだろうと読んだ。そして天女に扉間の気配に気づく素振りをわざと見せ、死角に設置していた輪廻眼と写輪眼を仕込んでいた樹木の種子――人型に限らず変形できる木分身を利用し視認したのだ。そのチャクラは外道魔像の禍々しい圧力で覆い隠されているため、感知タイプの扉間も気づいていなかった。

 

 元々知っていた知識も合わさり、飛雷神の術は会得できそうである。

 

 原理としては口寄せの術の応用だ。難しいが――螺旋丸に水の性質変化を加え、更に自然エネルギーをミックスし仙法にして、更に日向から模倣した八卦掌・回天を合わせるよりは簡単だ。飛雷神が会得難易度Sランクなら、羽衣天女として見せた『水遁・超大玉螺旋回天』はSSランク、理論上なら仙術も混じっているので、六道の求道球でも防御不能な代物である。

 これは俺の切り札の一つだ。インドラとして使用したなら雷遁になる。そんな現実的に考えたら人間に扱えるわけがない術も、時間だけは腐るほどあった俺だから会得できた。そしてそんな超忍術を会得する過程で、精密なチャクラコントロール技術には自信をつけられた。飛雷神なら……たぶんナルト世代に入る頃には会得できているだろう。

 全ての木分身に修行させる暇はないけど(暇がないって素晴らしい!)、仮にそれをするなら習得に半年から1年ってところか。意味のない仮定だけど、もっと早くに自分で開発できてたら、黒幕気取りも捗っていただろうに。扉間の開発力の高さには脱帽する。

 

 過ぎた時を悔やむのは無駄だ、未来を見よう。

 

 影分身と飛雷神のコンボを活用した潜入で、扉間は月の眼計画を知った。ゴメンね黒ゼツ、君の計画は踏み台なんだ。皆に周知徹底しておくよ。皆に知られてないと思い込みながら頑張ってくれ。

 ……いやよくよく考えたら黒ゼツは要らないな。消すか? ……消そう。メインプランの方だと利用していたが、セカンドプランに移行した今だと邪魔にしかならないって今気づいた。

 

 ともあれ。扉間の口から風の国の大名、太刀風インドラの計画が語られる。此処には感知タイプとしても最高峰の扉間がいるため、黒ゼツも迂闊に近づいていないだろうから話は聞こえまい。

 まず太刀風の正体から。彼は実は遥か昔から生きている、あの六道伝説の六道仙人の息子、大筒木インドラなのだ。――深刻な風評被害にインドラさんは怒ってもいい。

 そして六道伝説が事実に基づいた話であり、月の眼計画とは元は一体の尾獣だった九体の尾獣を一つに纏め動力源にして、月に大筒木インドラの写輪眼を投影し、地上に住む全ての者に幻術を掛ける。そうして人類に幸せな夢を見せてやり世界平和を実現しようというもの。

 そのために大筒木インドラは、黒ゼツという個体を使役し、過去でも特に強力だったうちは一族と千手一族の先祖を対立するように策謀を練り、相争わせることでうちは一族に大量の写輪眼の開眼者を生み出させた。そして写輪眼の持ち主を倒せる忍、千手一族との戦いを通じて戦死したうちはの忍の死体から写輪眼を盗み、多くを備蓄。強力な瞳力を持つ写輪眼を選出し、尾獣に幻術を掛けて操ることに成功。今の時代にようやく計画は佳境に差し掛かったのだ。

 

 うーんこの。まるでどこかで見たような計画だぜ……。

 

 原作の月の眼計画。プラスして俺の捏造の話。マイナスしてインドラさんがうちは一族の先祖ご本人ですという点。その他も混ぜてインドラさんが凄い悪党になってるぜ。すまんな。

 ちなみにマダラに俺が伝えた月の眼計画も、概ね似たようなものだ。うちはの石碑は黒ゼツが改竄してあるが、その後に俺が改竄してあるので問題ない。マダラが扉間より知っている点は、月の眼計画には輪廻眼が必要で、その輪廻眼は写輪眼の行き着く先だというもの。

 マダラは扉間の調べ上げた情報に驚いているが、他人の口から改めて聞かされたことで複雑な心境になったらしい。一方の俺はほくほくだ。一見荒唐無稽だった大筒イブキからの話も、扉間という第三者を挟むことで説得力を出せたので満足である。

 

 が、他の面子はそうではない。

 

 六道伝説が事実? そんな馬鹿な、そんな阿呆な、そんな、そんな……と信じられない顔をしている。そりゃそうだろう。だがここで扉間は信じ難い行動に出た。

 なんと扉間は、風の国の兵士を二人、拉致って来ていたのだ。会議室にソイツを部下に持ってこさせて、大筒木インドラの秘術を盗んで来たと宣い、兵士を生贄に口寄せ・穢土転生の術をお披露目したのである。一度目は羽衣天女の肉片を使い、失敗してみせることで天女の生存を証明し、次いでこの場の誰もが知っているだろう大物、千手の先代当主を穢土転生した。

 まだ未完成の術らしく、穢土転生された千手一族の先代当主に自我はなく、力も殆どないが、実の父親すらエドテンする扉間に俺もドン引きである。こうして擬似的な死者蘇生の術を見せ、これが大筒木インドラが本物である証拠だと言いやがった。……なんて卑劣、自分で開発した術の悪名をインドラに擦りつけるなんて……! これが元祖卑影の力か、見習っていこう……!

 

 そうして扉間は言った。計画が荒唐無稽でも、それを実行に移し得るというだけで危険性は明らかである。速やかに太刀風――否、大筒木インドラを討つべしと唱えた。

 

 皆、歴戦の忍である。

 

 エドテンの危険性を悟って顔を引き攣らせ、大筒木インドラ討伐に合意したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――マダラ様。それからイズナさん。少しお時間をくださいませ」

 

 一度解散し、各々の拠点に戻って戦争へ備えていく中、ナルハタが険しい顔で夫を呼び止めた。

 うちは当主の証『うちは』と、愛用の大鎌の手入れをしていたマダラは、いつになく強張った妻の様子に怪訝な表情をしながら振り返る。彼の傍には、イズナもいた。うちはも総力を結集しなければならないと、目前に迫った大戦の気配に気を張っているのだ。

 しかしうちは兄弟はナルハタを邪険にしない。

 身内だからというのもあるが、一族全体はナルハタの知力が千手扉間に匹敵するとして恃みにしているのである。彼女の言葉を軽んじる者は、今のうちはには一人もいなかった。

 故に訝しげにしながらもイズナが応じる。

 

「どうかしたんですか、義姉さん」

「……イズナさんも、マダラ様から先程の会議の話は聞きましたか?」

「ああ……それなら聞いてますよ。ふざけた話ですが……作戦立案の段階ならともかく、実際に戦う段階になれば小難しい話なんて関係ありません。敵は殺す、それでオレも納得してますが……?」

「はい。そこはわたしも同意しますわ。ですが……マダラ様と同席していたわたしだからこそ、件の話に違和感を見つけられたのです」

「違和感だと……?」

 

 ナルハタの言に、マダラが反応する。彼のライバルの柱間は政治音痴だが、マダラは頭もキレるのだ。先見性では柱間の上をいく。そんな彼よりも、やはり扉間は何枚も上手だったのだろう。

 ナルハタはそんな夫を咎めない。普通なら騙されていて当然だからである。それだけあの会議での衝撃は大きく、そして強く、深かったのだ。ナルハタが普通ではないからこそ指摘できるのである。

 

「扉間が見せたあの穢土転生……明らかにおかしいでしょう。あの凶悪さと、インパクトの強さで目が曇っているのでしょうが、考えてもみてください。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「………」

「なぜ? なぜそんなものをあの方は持っていたんですの? 体を研究し羽衣一族の力を解明するため……そのためにはより強い羽衣一族の体が必要だった……そう言い訳することは出来ますわ。ですが()()()()()()()で所持しているのは不可解という他にない。少なくともわたしなら、天女ではなく別のモノを使いますわ。なのに敢えて扉間が天女の肉片を使った理由は? 答えは自明ですわ……ここまで言えばイズナさんもお分かりですわよね? 戦場で何度も扉間と剣を交えた、一流の忍である貴方なら」

「――まさか。義姉さんは、穢土転生は扉間が開発した術だと言うんですか? 自身が開発したとするには悪辣過ぎる術の汚名を、これ幸いと太刀風に擦りつける為に、わざと晒した……穢土転生の対象として最初に羽衣天女を選んだのは、天女の生死はともかく()()()()()()という工程を挟んで……更に自身の父親の不出来な人形ぶりを見せることで、扉間自身は穢土転生を上手く使えないと思い込ませようとした、と……?」

「何ッ!?」

 

 流石はイズナさん、とナルハタは頷く。そして驚くマダラとイズナを見て、彼女は断じた。

 

「――千手扉間は危険です。穢土転生の術は、確かに未完成なのでしょう。しかし今後完成しない保証はありませんわ。あの知恵の冴え、有効極まる悪辣な術の開発力、どちらも看過できません。捨て置けば後々、うちはにとっても脅威となるでしょう。よしんば扉間が用いずとも、術の情報が漏洩しない保証もありませんわ。お二人とも――此度の戦で扉間から目を離さないでください。そして隙あらば、どさくさに紛れて扉間を始末して欲しいのです。穢土転生が広まる前に」

 

 分かりました、とイズナは即答した。

 流石は千手を絶対に殺すという固い意思を持つ男、躊躇いが全くない。

 

 しかしマダラは柱間の顔を思い浮かべる。

 彼は自分と同じで弟を想う心が強い。共感できる故に扉間を殺す事を躊躇ってしまった。

 だが……危険なのは確かだ。

 普段は慎ましやかなナルハタの目に、()()()()()()()のを見て、マダラもまた意を決する。

 可能なら殺そう、と。

 

 そうして――翌日。火の国から極秘裏に、このうちはを含む忍同盟に通達があった。

 

 一ヶ月後、風の国に電撃作戦を仕掛ける。

 諸君らはそれに合わせ、大筒木インドラを討ち取れ、と。

 

 集った忍同盟の面々は戦意を固め、作戦を話し合った。

 イズナとマダラは扉間を探す。標的の位置を確認するために。

 しかし――インドラを討伐するための部隊に、()()()()()()()()

 まるでうちは側の思惑を読んでいたかの如く、うちは兄弟には感じられた。

 柱間から「扉間は別行動をするらしいぞ」と告げられたのだ。

 

 

 

 ――()()()()()()()の思惑通りだった。

 

 

 

 扉間はいない。千手一族にだけ秘密裏に召集を掛ければ、必ず扉間が来ると読み、まんまと扉間を別行動させたのは()()()()()()である。

 柱間とマダラ、そして他の精鋭がいれば問題ないと扉間は考えた。

 そんな彼に悪意の欠片もなく、淡々と現大名は扉間に告げたのである。

 

『太刀風インドラを奇襲できる、格好の好機を生み出せる秘策がある。その策が実用に能うか、其の方に判断してもらいたい』

 

 ――と。

 

 果たして。

 

 運命の時が、迫りきていた。

 

 

 

 

 

 

 




明日はお休みする可能性が七割。
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