チートじゃ済まない コラボ編   作:雨期

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今回はベヘモス様とのコラボになります。舞台は東方projectの幻想郷です。


コラボ第1話

 ここは忘れ去られしものの集まる世界、幻想郷。そこの妖怪神社とも名高い博麗神社の庭で一組の親子が剣術の稽古を行っている。

 

「踏み込みが甘いぞ。間合いを見誤るな」

 

「くっ!? まだまだ!」

 

 父、リュウが息子、零児の木刀を弾き飛ばす。すぐに零児は木刀を拾い直し、リュウへと挑むが、結果は変わらず。圧倒的な実力差の前に零児はなすすべもなかった。

 そんな時、賽銭箱のある拝殿の方から人の声が聞こえてきた。

 

「おーい、誰か居ないのかー?」

 

「参拝客かな? めずらしいね父さん。父さん?」

 

「ああ、そうだな」

 

 何とも言いがたい、少し困ったような表情をしたリュウを見て零児は首をかしげた。

 母屋からはドタドタと人が走る音が聞こえる。今は母、霊夢は人里まで出掛けているため、零児の双子の姉、竜華が参拝客を迎えにいっているのだろう。

 

「零児、鍛練は一度休みだ。少し用事が出来た」

 

「今の参拝客? でも姉ちゃんにまかせればいいんじゃない?」

 

「いや、恐らくあいつの目的は俺だからな」

 

 何の事か理解出来ていない零児を置いて、リュウは拝殿へと向かう。零児も特にやる事がないため、着いていく事にしたようだ。

 

「ようこそ博麗神社へ! すてきな賽銭箱はこちらですよ!」

 

「これは可愛らしい巫女ちゃんが出てきたもんだ。ほらミコト、お前もお参りしておきなさい」

 

「う、うん」

 

 拝殿では男と少年が参拝をしていた。一見仲の良い親子だが、まだ未熟な零児が見ても、男がとてつもない実力者である事は一瞬で分かるほどであった。しかしこれほどの実力者ならば幻想郷でも顔が知られているはずなのに、零児は全く見覚えがなかった。

 

「ただの参拝か、要」

 

「まさか。暇潰しだよ、リュウ」

 

「また戦うつもりか? 流石に面倒だから断るぞ」

 

「またって、おじさん、お父さんとなんども戦ったの?」

 

「そうだぞ巫女ちゃん。生憎と全敗だ、ハハハッ。それと今回は戦闘じゃなくて、この子を任せに来た」

 

「よ、よろしくおねがいします。一条ミコト、8さいです」

 

「わたしたちと同い年だね!」

 

 男、要に背中を押されて挨拶した少年を見て、要の子にしては随分と礼儀正しいと思うリュウだが、次の要の言葉に少し驚かされた。

 

「可愛いだろ、俺の孫」

 

「孫? そういえば時間の流れが違うんだったな。だがお前の変化のない見た目、不老不死になったか?」

 

「不死じゃねぇけどな。っと、そろそろ商談の時間だ。いいかミコト。このおじさんの言う事をちゃんと聞くんだぞ」

 

「うん」

 

 要は孫のミコトを残して幻想郷から出ていった。結界を素手で引き裂いて出ていったのは気にしてはいけない。裁縫で直したのも完全無視しなくてはならない。

 

「わたしは竜華だよ。よろしくね、みっちゃん」

 

「おれは零児」

 

「おじいちゃんがおじいちゃんなのに驚かないんだね」

 

「俺もかなりの歳だからな。聞いてるかもしれないが、俺はリュウ。こいつらの父親だ。あれが帰ってくるまではゆっくりしていけ」

 

「はい、よろしくおねがいします」

 

「本当に要の血を引いてるのか怪しいくらいに真面目だな。すずかちゃんの血が濃く表れたのか? ちなみに親は?」

 

「ユウトお父さんと叶お母さんです」

 

「あの叶ちゃんが親…………色々と心配だ」

 

「お父さん、みっちゃんと遊んできてもいい?」

 

「いいけど、あまり危ない事はするなよ」

 

「はーい。行こ、みっちゃん、零ちゃん」

 

「おれも!?」

 

 走っていく子供達を見送り、やる事もなくなったリュウは剣を磨こうかとしたが、賽銭箱の隣に置いてある袋に気がついた。中には魚の干物にスルメ、そして酒が入っていた。考えるまでもない。要の土産だ。

 

「晩酌は決まったな」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 神社から飛び出した3人の子供はゆったりと参道を歩いていた。自然の少ない都会で育ったミコト にとっては、ただの道でも新鮮な光景だ。

 

「みっちゃんって空とべる?」

 

「うん、とべるよ」

 

「ミコトって強いのか?」

 

「オレはあんまり…………でも家族は強いよ。特におじいちゃん」

 

「わたしたちのお父さんのほうが強いよ」

 

「おじいちゃんより強いとなると、そうかも」

 

 これまで最強と信じ続けてきた祖父が、自ら全敗と言ったのだ。要とリュウ、どちらが上なのかは言うまでもない。

 

「でもミコトも戦えるんだよな。妖怪が出てもなんとかなりそうだ」

 

「妖怪?」

 

「みっちゃん知らないの? まあ気にしなくていいよ。ここにある魔よけのお札があれば…………」

 

 ごそごそと袖の中を探る竜華の動きが停止し、今度は慌ただしく全身を探り始めた。その動きと反比例するように顔はどんどんと青ざめていく。ここまで分かりやすいのだ。何が起こったのかは誰でも察しがつく。

 

「姉ちゃん…………札、わすれた?」

 

「……………………てへっ」

 

「どうすんだよ! いつも持ってるように言われてるだろ!」

 

「いまからいそいで帰ろう!」

 

《騒々しいですね。とてもリュウ様のお子様とは思えません》

 

「「だれ!?」」

 

「アリストテレスさんだよ」

 

 ミコトは黒曜石のような玉の付いた腕輪を外して2人に見せた。するとそこから先程聞こえた男の声がしてきた。

 

《初めまして竜華様、零児様。私アリストテレスと申します。インテリジェントデバイス、そちらにも分かりやすいように言うとマジックアイテムですね》

 

「すごーい」

 

「魔理沙とかよろこびそうだ」

 

「おじいちゃんが何かあったときのために、って持たせてくれたんだ。アリストテレスさん、周りにあぶないものはない?」

《ご安心をお坊ちゃん。周囲に小動物は確認出来ますが、妖怪の反応はありません》

 

「そんなことがわかるのか?」

 

《科学と魔法の融合を舐めない方がいいですよ》

 

「でもおじいちゃんはいらないって言ってたよね」

 

《それは言わないで下さいお坊ちゃん。それと周囲には妖怪が居ませんが、こちらに急速に向かってくる妖怪は居ますよ。この距離でも感知されるとは、流石は博麗ですね》

 

「「「……………………え?」」」

 

 楽しげなアリストテレスの発言に、子供達がフリーズする。今このポンコツはなんと言った?

 

《残り500mを切りましたよ。皆様の足で逃げ切れますか?》

 

「アリストテレス、オレの能力忘れた? 2人とも、オレの手をにぎって」

 

「どうにかなるのか!?」

 

「どうにかなるよ。信じて。さあ、行くぞ。転移(テレポート)空想(イメージ)!!」

 

 それは一瞬の出来事であった。3人は木々生い茂る参道に居たはずだが、今は博麗神社の境内に居るのだ。

 

《お坊ちゃん、初めての複数人転移の成功、おめでとうございます》

 

「つ、つかれた…………」

 

「なに今の!? どうやったの!? スキマ!?」

 

「スキマじゃねぇだろ。でもすげぇな。どんな技だ?」

 

「おっ、随分と早い帰宅だな」

 

「お父さーん!! こわかったー!!」

 

 竜華に抱き付かれたリュウは不思議そうな顔をし、零児に何があったのか目で問いかけた。

 

「姉ちゃんが魔よけの札をわすれて、妖怪にねらわれた」

 

「しっかり持っておかないか。元々遊びを提案したのは竜華だろう」

 

「うぅ、ごめんなさい」

 

 叱られる竜華を余所に、零児は再び先程の現象についてミコトに問いかけた。ミコトは言ってもいいのか悩んでいるようだったが、アリストテレスから構わないのではないかと言われ、決心がついたようだ。

 

「あれはオレの能力で『イメージを現実化する能力』なんだ。でもなんでもできるわけでもなくて、制限もあって…………」

 

「なんかむずかしいけど、考えただけで色々とできるんだろ。便利でいいじゃん」

 

「へへ、ありがとう」

 

「零児に、ミコト。流石に大丈夫だと思うが、今日は境内で遊ぶにするように」

 

「「はい」」

 

 

 

 

 

ーー少年少女遊戯中

 

 

 

 

 

「おいしー! おかわりください!」

 

「はい。一杯食べなさい」

 

 リュウの妻、博麗霊夢が帰ってこようが、日がすっかり沈もうが要がミコトを引き取りに来る気配がなかったため、ミコトは博麗神社の夕食にお邪魔する事となった。彼の食べっぷりはかなりのもので、用意したご飯の半分以上が彼の胃へと収まった。

 

「見た目のわりに大食漢だな」

 

「ちょっと力を使ったらエネルギーが足りなくて」

 

「あら、何かあったのかしら?」

 

「な、なにもなかったから、お母さんは気にしないでいいよ」

 

「つまりあんたが何か仕出かしたのね竜華。後で私の部屋に来なさい」

 

「その件については俺が説教しておいた。そう何度も叱る必要はない」

 

「それならいいわ。あっ、ミコト君、遠慮せずにどんどん食べてもいいのよ」

 

「ありがとうございます! はむっ!」

 

「すげぇ食いっぷり…………」

 

「零児はその野菜炒め食べないの? だったらくれない?」

 

「やらねぇよ。お前の食いっぷりにぼうぜんとしただけだ」

 

 子供が1人増えただけだというのに、いつもの倍は騒がしい食卓となったが、そこに居る誰もがそれを楽しんでいた。

 

「ごちそうさまでした!」

 

「お粗末様。しかしあんた本当に要の孫か怪しいくらいに真面目ね。やっぱり3代目くらいになると血も薄まるのかしら」

 

「すずかの遺伝子が勝ったんじゃないか?」

 

「激しく失礼だな、てめぇら夫婦は」

 

 いつの間に神社に侵入していた要からツッコミが飛ぶ。本来要が何か文句を言われるこの場面でも、幻想郷では不法侵入程度は日常茶飯事のため、誰も驚かないし何も言わない。

「おじいちゃん!」

 

「おお、ミコト。大変だったみたいだな。でも友達を守って偉いぞ」

 

《あの…………主? 何故、大変だったのをご存じなので?》

 

「てめぇを通して監視してたからだよ。燃えないゴミは何曜日だったかな」

 

《お、お待ちを!! あれは私が招いた事ではありませんし、少しお茶目な警告をしただけで》

 

「リュウ達はこれいるか?」

 

「ゴミは持ち帰れよ」

 

「そりゃそうだ。ミコト、もう帰るぞ」

 

「うん。さようなら。竜華、零児、またね」

 

「またねー」

 

「おう、またな」

 

 結界に穴を開けて出ていく要とミコトを静かに見送

 

「平然と結界を破るな脳筋!! 夢想封印!!」

 

「ぐへぇっ!?」




この時代のミコト君は、一条家による甘やかしという名の洗脳と、精神が肉体に引っ張られた影響で、とても転生者とは思えない年相応な少年となっていますね。

ベヘモス様、ありがとうございました。
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