月光花様、コラボありがとうございました。
明けましておめでとう。今年もよろしく。俺の家は今年は月村の別荘で新年会だ。
さて突然だが、我が一条家では少し変わった正月の過ごし方がある。だからといって普通の過ごし方をしないわけじゃない。
「早く来ねぇかなぁ」
「そんなにソワソワしても子供達は早く来ませんよ。食器でも並べておいて下さい」
「う~」
ーーピンポーン
「! 来た!!」
叶達がやってきたに違いない。高速の速さで迎えに行かないと。
「家の中でソニックブームを起こさないで下さい!」
「はは、すまんすまん! 服よーし、髪よーし、プレゼントよーし。行くぞ」
ーーガチャッ
「明けましておめでとう!」
「よ、よう。明けましておめでとう。テンション高い」
「帰れえぇい!!」
ーーブンッ
「おわぁっ!!?」
ーーバンッ
思わずぶん投げてしまったが、何故あの若白髪野郎………えっと、シノンが居るんだ。新年早々に嫌がらせをしに来たのか? あいつはそんな無駄な行動するような奴じゃないはずなんだが………………
ーーピンポーン
「むっ」
今度は誰だ? またどっか違う世界の奴か? いやでも子供達だったら? にかくあ開けよう。話はそれからだ。
「明けましておめでとう」
「じぃじ!!」
「アカネ! ハハハ、よく来たな!」
「こらアカネ。ちゃんと挨拶しろ。おじいちゃん、明けましておめでとうございます」
「おうミコト、そんなに固くなる必要ないんだぞ」
抱き付いてきたのは末っ子の男の娘、アカネ。そんなアカネを叱ったのはご存じ(?)長男のミコトだ。
「あけおめグランパ。グランマの手伝いしてくるわね」
「じぃちゃんあけおめー。ママ、アタシもやるー」
「あけおめ叶、ツグミ。ツグミはあんまりつまみ食いするなよ」
ツグミは長女なんだが、太っているのが気になるんだよな。今も十分可愛いんだが、痩せたらもっと可愛く、美しくなると思うんだが。
「明けましておめでとうございます~お義父さん。僕はヤナギと本読んでますね~」
「おめでとうおじいさん。今年もよろしく」
「明けましておめでとうユウト君、ヤナギ。お昼が出来たら呼ぶから」
ヤナギは次男。既に死んでいて幽霊なんだが、それでも人と大して変わりない。流石は俺の孫だ。
「脳筋父上、来たぜ」
「ハーイ、お義父様」
「よう新婚さん。すみれとノワール君はあっちか? フランちゃんは?」
「ああ。明日には入れ替わる。フランは暴走するから置いてきた。どうせ祭りにもついてこれん」
「そうか」
「それよりあの壁に突き刺さっている愉快なのは誰?」
「あー、忘れてた。引っこ抜くか」
ーーズボッ
「おい、なんだこの扱いは」
「すぐに活躍出来る」
ーーーーーーーーーーーー
「はぁ、旨かった」
「そりゃすずかの料理だから当然だ」
なんだか知らないけど、正月の料理を頂いてしまった。ただ要の子供が結婚したと聞いたから祝いにやってきたのに。いや埋められた詫びと考えればいいか。
「グランパの知り合いにしては小さいわね」
「見た目通りの年齢ではないだろう。だが弱い」
「言ってくれるな。確かに今は弱いが、それもこれも肉体が幼体化しているからだ。そうでなければ君達とも戦える」
「へぇー、言うじゃない」
「今でも少しは戦えるだろ。俺の腕を切り落としたくせに」
「ほんと!? 君すごいね! アカネとあそぼ!」
「手加減されてたからやれただけだよ。遊ぶのくらいはいくらでも付き合っていいぞ」
「やったー!!」
「! 止めろアカネ!!」
俺に飛び掛かろうとしたアカネを凄まじい剣幕のミコトが制止した。兄の言う事なのでピタリと止まったが、アカネは不満げだ。
「お前の遊びとシノンさんの遊びは種類が違うんだ。もう12にもなるんだ。そこら辺はしっかりと理解しろ」
「ぶぅ」
「どうやら一部我慢出来ないのが居るみたいだし、いつものあれやるぞ!!」
要の宣言に場の空気が変わった。すずかとユウトはそそくさとその場を離れて、他の一条一家は臨戦態勢に入る。これはなんだ。明らかに普通じゃない。
「シノンさん、今から危ない行事が始まるよ。おばあさんとお父さんと一緒に避難してもいいよ」
「こういうのは慣れっこだ」
「あーらヤナギ君。わたしには何も警告なし?」
「おばさんに何を警告すればいいのか分からないよ。ともかく参加するなら説明するよ。これから始まるのはお年玉争奪の戦い。勝てば倍増、負ければ減額。タイマンでも団体戦でもいいよ」
「ようは勝てばいい。分かりやすいだろ」
「シノン君、やろー!」
「いや、俺はお年玉いらないんだが」
「ふぇ………………? うぅ、ひっく」
「シノン? 俺の孫を泣かせるのか?」
「いだだだだだっ!!!? わ、分かった! やる!!」
この馬鹿野郎。頭をがっつり掴んで持ち上げやがった。面倒な事は拒絶したいんだが、それを許すつもりはないようだ。まあ相手は子供だ。軽くあしらうか。
「共闘しましょうシノンさん」
「ミコト?」
「ヤナギとツグミはマミィとやりましょうね」
「愛紗!! 脳筋父上を潰すぞ!!」
「任せてダーリン」
「対戦カードは決まったな。各自解散!」
解散って、確かにこんな家の中で戦えるわけないんだが、どこに向かえばいい?
「転移開始!」
おぉっと、流石に違う場所に転移するのか。ヴェルフグリントをセットして戦う覚悟だけはしておこうか。
「オリジン、セットアップ」
「金の光? 変わったデバイスだな。あの子はデバイスを使わないのか?」
「アカネにそんなものはいらないんですよ」
「わーい!」
合図も何もなくアカネが飛び掛かってくる。ただ子供がじゃれているようにしか感じないが、本能が逃げろと大音量で警報を鳴らしている。
「よっ」
「ありゃ?」
ーーゾリュッ
大太刀でアカネ君を背後に受け流したものの、アカネが抱き締めた空間から聞いた事もない音がした。恐る恐る振り替えると、空間が抉れていた。意味が分からない。
「アカネは単純な暴力以外に能力はありません。魔法も、気も使えない。だからこそ恐ろしい」
「要のせいでそこんところはよく分かっている」
「いっくぞー!! にゃんっ!??」
あ、こけた。いやあの子の両足を金色の手が掴んでいる。
「いたた、兄ちゃんのデバイスだなぁ」
「潰れてろ!」
ーードゴンッ
転んでいる実の兄弟の頭をクレーターが出来るほど強い力で踏みつけやがった。しかも一度ではなく何度も繰り返している。それでもアカネは血の一滴も流していない。あれでどんな能力も使っていないのか。
「髪汚れる!」
ーーボキャッ
「!」
触っただけでミコトの足が折れたぞ。加減が出来る要と違ってまだ子供だ。常に全力って事か。これは強敵だ。まずは治癒術でミコトの援護だな。
「ヒール!」
「助かります」
「今度こそくらえー!」
速くて威力があるのは認めよう。だがな!
「単純すぎる!」
「ひぐっ!?」
拳で顎を全力で殴り上げる。動きが読みやすい。それがこの子の弱点だ。
「ひ、ひはかんら」
脳みそ揺らすつもりでやったのに舌を噛んだだけかよ。しかも体が硬いから殴った拳が痛い。もし怪我をさせて要がぶちギレたらと面倒とは思ったが、これなら大太刀で斬っても大丈夫そうだ。
「おにょれ~」
「敵はこっちにもいるぞ」
「うにゃぁっ!?」
アカネの後頭部にハンマーが叩き込まれる。ここは俺も攻めよう。
「爪竜連牙斬!!」
「はわぁっ!?」
地面を滑るように移動しながら、流れるような連撃を叩き込む。表皮は斬れても肉まで刃が届かない。
「うる、さいっ!!!」
ーーゴオォッ
「っ!?」
咆哮で10mは吹き飛ばされた。生物としてのスペックが違いすぎる。だが慌てるような事じゃない。何かあっても落ち着いて対処するだけだ。
「ブッ飛んじゃえ!!」
動きはとんでもない速さだが、戦闘経験と感覚で十分に回避出来る。
「てぃや!!」
やはり単純だ。このタイミングで横に跳べば
ーーバキゴキゴキャ
「コフッ………………!?」
胸にアカネの拳が突き刺さっている………!? 何故だ? か完璧なタイミングで回避した。あそこで動きを変えるなんて!? くそ、心臓はまだ生きているが、両肺が破裂した!
「シノンさん!」
《マスター! 早く治癒術を!》
そんな事は分かっている。だがそれよりもどうやってアカネが攻撃を当てたかが………………なんだあのアカネの腕は。グチャグチャにねじ曲がっている。そうか、読めたぞ。有り得ないほどの筋力で関節を逆方向に曲げて攻撃を当てたのか! しかも曲がった腕も着々と再生している。
「ヒーリングライト!」
「! 治癒術か。要の孫にしては多才だな」
「ええ、まあ」
俺の傷もすぐに治すほどの治癒術を使えるなんてな。本当に要の孫か? どっかかから拾ってきたんじゃないか?
「なあ、剣は使えるか?」
「得意分野です」
「なら良かった。俺と呼吸を合わせてくれ」
「ねぇねぇ、もういい?」
「「!」」
危ない危ない。後ろに跳ばなければ踵落としで脳天からミンチになっていた。さて、あれをやるために上手く距離感を掴まないとな。
「てやてやとりゃっ!!」
形振り構わず殴ってくるが、今度はさっきのような不意打ちは喰らわない。おっ、ここだ。
ーーコツ
「ひゃっ!?」
足を引っ掛けたら簡単に転んだ。やっぱり子供だ。
「いくぞミコト!」
「お願いします!」
俺とミコトの位置はアカネを中心に90度。距離も申し分ない。ミコトは俺を見て動きを合わせにきている。本当に要の孫とは思えないくらいにやりやすい!
「「衝破十文字!!」」
十字を描くように二人でアカネを貫く。流石の化け物強度もこの強力な突きには耐えきれず、アカネは胸から血を噴き出している。
「これじゃあまだだ。パラライズバインド!」
「あぁぁあああっ!!?」
全身を電撃で麻痺させるバインドか。ならこのチャンスを活かさせてもらう!
「天光満ところに我はあり、黄泉の門開くところに汝あり、出でよ神の雷………これで最後だ! インディグネイション!!」
世界を揺らすほどの極大の雷がアカネへと降り注ぐ。全力の術だったが、どうなった?
「あは、はははは、はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
狂ったような笑い声がした。雷で巻き起こった砂埃が消えた跡には天を見上げて笑い続けるアカネが居た。足が震える。そして本能で理解した。
「死ぬ………」
「はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
ーードサッ
「………………………………は? 倒れ、た?」
「い、生きてる。勝ちましたね」
いや、あの子はまだ戦えた。あの子は、俺達が倒したわけじゃない。
「あ、終わったかしら? 長かったから見に来ちゃった」
「お母さん!!」
「叶、だったな」
「そうでーす。アカネの相手は大変だったでしょ? よいしょ」
「最後はお前の仕業か?」
「えっ、最後?」
「何を言っているのか分からないわ。ただ私は子守唄を歌っただけだもの。あ、アカネ女の子に変身してる」
あのまま続けていたらと思うと、介入があって良かった。
「そうそう、これグランパからのお年玉ね」
「ありがとう、お母さん」
「貰えるならもらおう」
ミコトのポチ袋は見るからに分厚く、俺のはぺらぺらだ。あっちは家族でこっちは他人だから格差があるのは当然だな。元々貰う予定なんてなかったし。
「っと」
疲れからかポチ袋を落としてしまった。
ーーチャリンチャリン
………………五円が二枚。確か勝てば倍増だから、元が五円だけ………………
「やったわね! 縁が増えたわよ!」
「うっせぇ!」