チートじゃ済まない コラボ編   作:雨期

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一条家にも新たな家族が増えました


家族が増えました

 別世界に嫁に行った要の娘、すみれは夫のノワールと娘の桃を連れて帰郷をする事とした。何でも要が早く孫の顔を見せろと五月蝿いらしい。

 

「…………すみれ、質問がある」

 

「何でしょう旦那様?」

 

「私達は空間跳躍程度軽く出来るというのに、何故電車に乗っているのだ?」

 

「気分ですわ。それに何でも効率ばかり重視するものではありませんわ。桃もこっちの方がいいですよね?」

 

「うん!」

 

「そうか。桃が喜んでいるならこれで良かったのだろう」

 

 ちょっと贅沢なグリーン車での旅。窓に身を乗りだし、景色を眺めている桃を二人は微笑ましく見ていた。しかし旅とは順風満帆とはいかない。時にはハプニングがあるものだ。

 

『お、お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか? いらっしゃいましたら至急運転席までお越し願います』

 

「おやこれは?」

 

「運転手に何かあったのかもしれませんわね」

 

「とうちゃん、かあちゃん、どうなるの?」

 

「速度がどんどん上がっていますし、大事故になるかも」

 

「私達は無事でも民間人がどうなるか。行こうか。医者ではないが医療の心得程度はある」

 

 乗客達もこのままではどうなるか気付き、ざわめき始める。ノワールが立ち上がり、運転席まで向かおうとしたが、何故か座ってしまった。

 

「どうやら事態は収束したようだ」

 

『お騒がせ致しました。引き続き新幹線での旅をお楽しみ下さい』

 

「何故分かりましたの?」

 

「とうちゃんって超能力も使えるのか?」

 

「先頭車両から感じる気配を察知しただけだ」

 

「! 全く気付きませんでしたわ」

 

「一般人に紛れるようにしていたのだろう。これだけ自然な気配の隠し方は流石としか言えまい」

 

「?」

 

 勝手に完結してしまっている二人に、桃はただただ首をかしげるだけであった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「いっちばーん!」

 

「こら桃。電車から飛び降りたら危ないでしょう」

 

 目的地に到着しはしゃぐ桃をすみれがたしなめる。

こへ一人の男がやってきた。

 

「成長したもんだな。てめぇも桃も」

 

「光おじさんだ!」

 

「お兄様、やはり同じ新幹線に乗っていらしたのですね」

 

「まさか考える事がそっちと同じだとはな。てかノワール、てめぇ運転席に来ようとしたろ。来るなら来い。面倒事押し付けられたのに」

 

「面倒事は勘弁願いたい。しかし義兄殿が人助けとは珍しいな」

 

「うちのお姫さまの要望でな」

 

 光が振り替えると、彼の背中にがっしりとしがみつく少女がいた。歳は11歳の桃とそこまで変わりなさそうだ。

 

「義兄殿……その子は、葵か? 確か葵はまだ生まれて一年も経っていないと記憶しているが」

 

「ああ。ただこいつ自身が成長を望んだからか10ヶ月でこれだ。流石に問題だと俺が強制的に止めたがな」

 

「お兄様と藍紗さんの娘ですからおかしなところはあるだろうと予想してはいましたが、ここまでとは」

 

「葵、おじさんとおばさんと桃に挨拶だ」

 

「…………はじめまして、です。葵、です。よろしく、です」

 

「よろしくな葵ちゃん!」

 

 桃が近付いていくものの、葵は光にしがみついたままだ。しかし怯えている様子はないので人見知りではないらしい。

 

「葵ちゃんはいつもそうですの?」

 

「いつも、ってわけじゃねぇな」

 

「さっきは世界が滅びそうだったからパパに甘えたいのよねぇ?」

 

「藍紗か。なんだその世界の滅びとやらは。私達、何より義父殿がこの世界には居るのだぞ」

 

「あー、葵の妄想だよ。こいつは極度の妄想癖があってな」

 

「妄想じゃない、です。未来予知や過去視、です」

 

 プンプン、と可愛らしい擬音が聞こえそうな風に頬を膨らませる葵。しかし言っている事は厨二病のそれだ。

 

「義兄殿、説明を」

 

「知らん。人の精神内部まで把握出来るかっての。ただこいつが急成長したのも妄想が原因だ。俺と葵はどんな関係だっけ?」

 

「前世で結婚を約束した王子さまとお姫さま、です。でも悪い魔女だった藍紗おかあさんと、サキュバスだったフランソワーズおかあさんに邪魔をされた、です」

 

「藍紗が悪い魔女…………お似合いじゃないか」

 

「ちょ、ノワール! 娘にこんな事言われるこっちの身にもなってみなさい!」

 

「成る程、妄想癖という理由がよく分かりましたわ」

 

「一応脳筋父上の神に聞いたんだが、そんな事実はなく、葵も記憶のある転生者じゃねぇんだと」

 

「むー、妄想じゃない、です」

 

「はいはい」

 

 呆れて適当に返事をする光の携帯電話に一通のメールが届いた。差出人はミコト。駅の前まで迎えにきたらしい。

 二組が雑談しながら指定の場所まで向かうと、マイクロバスの前で手を振るミコトの姿があった。

 

「ミコトにぃ!!」

 

「桃、元気そうで何よりだ」

 

 ミコトは走って抱き付いてきた桃を抱き締め、持ち上げ、クルクルと回る。

 

「少し見ないうちにおっきくなったなぁ。これなら桃のお母さんを追い越すのもすぐだな」

 

「そうかなぁ。かあちゃん胸おっきいよ」

 

「大丈夫。桃は成長期だから背も胸もすぐに、グボァッ!!?」

 

「ミコト、娘にセクハラはやめて下さいまし」

 

「いいのが入った、です」

 

「先に、言ったのはも……も、なの、に…………ガクッ」

 

「まだ余裕があるな。起きろ。さっさと連れてけ」

 

「け、蹴らないでよおじさん。いてて…………そういえば背中にいるのって葵? おっきくなったなぁ。いくつになるっけ?」

 

「10、です」

 

「…………間違ってはないわね」

 

 肉体年齢は10歳。精神年齢もたぶん10歳。生まれてからは10ヶ月。確かに10という答えに偽りはない。

 

「そっかー、10かー…………流石に今年生まれたってのは覚えてるからな。光おじさんの子供だから納得するけど、成長速度早すぎでしょ」

 

「ぶい、です」

 

「褒めたわけじゃ……まあいっか。おじいちゃんも待ってるしみんな乗って」

 

「…………俺は歩いて」

 

「どうしたんだ義兄殿。さあ乗って」

 

「だから俺は、うっ…………」

 

 押されるようにマイクロバスに入った光はすぐに口を押さえた。実はこの男、車が大の苦手である。特に新車やレンタカーのような人の臭いがあまり染み付いていないような車に乗れば即吐き気を催すほどだ。この事実は両親しか知らない。

 

「全員乗り込んだね。じゃあ出発」

 

「て、て、てれぽー、と」

 

「えっ、うおっ!? お、おじさん!! いきなりバスを家の前まで移動させるってどういう」

 

「…………」チーン

 

 一 条 光 轟 沈

 

「し、死んでる…………」

 

「おとうさん死なないで! です!」

 

「おーい、随分と早かったな」

 

「要じいちゃんだ!」

 

 一部が光を心配している時に要はやってきた。その姿を確認した桃はバスから飛び降りて要に飛び付き

 

ーーゴンッ

 

「~~~~~ッ!!?」

 

 頭が腹筋にぶつかって悶えていた。脳筋の腹筋を突破するにはまだまだ力が足りないようだ。

 

「元気なのは結構。でも俺にぶつかるのは感心しないな」

 

「やっぱり要じいちゃんおかしいよ」

 

「そうかもな。おうミコト、光を車なんかに乗せた責任取ってちゃんと部屋まで運べよ」

 

「はーい。まさか光おじさんがこんな弱点を持ってるなんて…………」

 

「オロロロロロッ」

 

「ギャー!! 背負った時に吐かないでー!!!」

 

「おとうさん…………」

 

「お父さんはお母さん達が看ておくから、葵はおじいちゃんと遊んできなさい」

 

「そういっておかあさんはおとうさんを襲うつもり、です」

 

「私達が監視しよう」

 

「ノワールおじさんがいうなら安心、です」

 

「ひどっ!? あたし母親よ!」

 

 娘からの信用のなさにヨヨヨと崩れ落ちる藍紗だが、普段の彼女の行動からどうせ嘘泣きと誰も相手しなかった。

 

「よーし桃、葵、出掛けっぞ」

 

「おー!」

 

「……おー、です」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 街へ繰り出した要と孫二人は特に目的もないのでウィンドウショッピングをしていた。

 

「これなんて桃に合いそうだな」

 

「オレそんなヒラヒラしたのあわないよ」

 

「なんだ、まだオレなんて言ってるのか? もっと女の子らしくしないと女の子にしかモテないぞ」

 

「うっ、なんでそれを」

 

「レズ、です?」

 

「ちげーから!」

 

「葵は学校に通わないとな。いくら生まれて10ヶ月しか経っていないからって、心と体は十分に成長してるんだから」

 

「でも、おとうさんたちが大変、です」

 

「? ああ、情報を操作しないといけないからか。いいんだよ。今はまだ親に迷惑かけて。そういうのはもっと大きくなってから気にすればいい」

 

 そんな話をして歩いていると、ふと桃の足が止まった。そこはゲームセンターの前だった。

 

「要じいちゃん、入ってもいい?」

 

「おう。ゲーセンに興味があるのか?」

 

「うん。かあちゃんからは止められてるんだけど、一度だけ。お願い」

 

「あいつそんなつまらん制限を。よし、金はあるから存分に遊べ! すみれには秘密だ!」

 

「やった!」

 

 すみれにも何かしら考えはあるのだろうが、たまには自由にさせてやってもいいだろうと要はあまーく考えていた。そう、甘かった。

 

「また獲れた!」

 

「すごい、です。お人形いっぱい、です」

 

 クレーンゲームや当たり付きゲームで大量の景品を根こそぎ奪っていく桃。クレーンゲームは殆どが運良く完璧な場所に引っ掛かり、当たり付きゲームでは一回で当たりを出していった。

 

「しまった。すみれの力を忘れてた」

 

 すみれの力は幸運を操る能力。子煩悩な彼女な常に娘の幸運を最大にしているのは考えるまでもない事だったのだ。故にすみれはゲームセンターを禁止にしたのだろう。

 

「うーん、むずかしい、です」

 

 対して葵は一つのゲームに悪戦苦闘していた。これがゲームセンター本来の形だ。しかし2000円使った辺りで葵も動き始めた。目を閉じ、深呼吸をしてからクレーンゲームに挑むと、これまでの苦戦が嘘かのように一発で景品が獲れてしまった。その後も全て一回か二回での獲得をしていく。

 

「やっぱ光と藍紗ちゃんの娘だ。基本スペックが違う」

 

 おおよそ二時間。店長に頭を下げられ、半ば強制的に店を出た要達だが、要の両手には大量の景品が抱えられていた。

 

「アリストテレス、転移しといてくれ」

 

《畏まりました》

 

「じいちゃん、ごめん。やりすぎちゃった」

 

「葵も反省している、です」

 

「その反省は次に活かせばいい。さて桃のやりたい事はやったし、葵はどうしたい?」

 

「結婚式場をおさえたい、です!」

 

「また10年後な」

 

「せめて6年でお願いしたい、です」

 

「はいよ。それ以外では何がしたい?」

 

「甘いものが食べたいの、です」

 

「甘いもの…………アリストテレス」

 

《約600m先に人気のクレープ屋があります》

 

「それでいこう。桃もいいか?」

 

「いいよ」

 

 クレープ屋は平日でありながらもかなり行列していた。確かに人気のようだ。あまり行列になれていない要だが、孫達と会話をしながらだったためストレスなく並んでいられた。

 

「いらっしゃいませ! ご注文をどうぞ!」

 

「オレはダブルクリームとピーチのクレープ」

 

「葵はブルーベリーチーズケーキのクレープ」

 

「ふーむ、迷うなぁ。折角だし、デラックススペシャルクリーム増し増したっぷりアイスクリーム盛りクレープ・フルーツ全乗せ」

 

「……要じいちゃん、食べられるの?」

 

「きっと正気じゃないの、です」

 

「止めた方がいいですよ」

 

「まさか店員にまで止められるとは思わなかったな。余計に食いたくなったから二つ頼む」

 

「「「!!?」」」

 

 二人のは5分と掛からず出てきたのに、要の注文したものは30分以上かかって出てきた。それを見た桃と葵はこう証言している。

 

「見るだけで胸焼けするカロリーの塊。もう見たくもねぇ」

 

「クレープを侮辱した糖分の塔、です」

 

 なお要はそれを数分で食いつくした模様。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「「「ただいま」」」

 

「お帰り葵。帰ってきて早々だけど、お父さんが回復しないから家に帰りましょう。お義父さん、ごめんなさい」

 

「気にすんなよ藍紗ちゃん。葵、お父さんをしっかり看病してあげるんだぞ」

 

「はい、です」

 

「桃、私達も帰りますわよ」

 

「何でだよかあちゃん。オレもっと遊びたいよ」

 

「宿題はやりましたの?」

 

「…………やべ」

 

「ははは、ちゃんとやるんだぞ。やったらまた遊んでやるから

 

「はぁい」

 

 孫達が帰るのを見送った要が居間の椅子に座ると暖かいお茶を渡された。

 

「すまんなすず、か…………」

 

「どうしたんですか? 顔がひきつってますよ?」

 

「すずかさん。何をそんなに怒ってらっしゃるんですか?」

 

「私も桃ちゃんや葵ちゃんと遊びたかったなぁ」

 

「すみませんでしたー!!!」

 

「土下座したって許しません。今度あの子達と会う時にはあなたはお留守番です」

 

「うぅー、それだけはご勘弁を」

 

「駄目です」

 

 結局要が一週間家事を担当するという条件で許しをもらったのであった。




緋凰桃はレティウス様案の名付け親自分で、一条葵はその逆です。
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