チートじゃ済まない コラボ編   作:雨期

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今回はベヘモス様とのコラボですね。予定よりも遅くなってすみません。


コラボ第12話

「なぁミコト。久し振りに零児君と会いたくないか?」

 

「えっ! おじいちゃん幻想郷に行くの?」

 

「いや違うな。ハルケギニアとかいう場所だ。で、どうなんだ?」

 

「会えるなら会いたいよ。あっちも成長しただろうし、昔話でもしながら食事とかいいよね」

 

「よく言った。なら行け」

 

 バァンッと激しい音が響くと空間に穴が開いていた。要お得意の世界の壁破壊(物理)だ。これだけでミコトは何となく察した。自分、飛ばされるなと。

 

「そぅら!」

 

「うわぁ(棒)」

 

 襟首を掴まれて穴へとぶん投げられる。やっぱりこうやって投げるのかと、最近雑になってきた自分の扱いにホロリと涙しながらもミコトは旧友との出会いを楽しみに世界間を飛ばされていった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ーーバァンッ

 

 早朝、まるで大きな扉を力一杯叩きつけたかのような轟音によって、零児と彼と旅するティファニア、そして緋色の龍のヒルダは叩き起こされた。

 

「な、何!?」

 

「落ち着けティファニア。サイフィス、何があったか分かるか」

 

 風の精霊、サイフィスに尋ねる零児だが、サイフィスはかなり動揺している。まるで怪物でも見たかのようだ。

 

『世界に、強引に穴が開けられた!? しかも魔法とかじゃなくて力ずく!?』

 

「あ…………力ずくか……要さんかもしれん」

 

「カナメさんってそんな事まで出来るの?」

 

 以前零児とティファニアは事故でミッドチルダに飛ばされ、そこで要に保護された経験がある。零児は父、リュウの認める要ならばそれくらいやってのけるだろうという確信があった。

 音のなる方へ向かってみると、空中に障子を殴って穴を開けたような、そんな雑な穴が開いており、そこから青白い髪の青年がガムでも吐き出すかのようにペッと投げ出された。

 零児は成長した青年を懐かしそうに見つめ、ティファニアは要の家で見た写真に青年が写っていたのを思い出した。

 

「いてぇ…………」

 

「どうしてここにいるかは知らないが、久し振りだな」

 

「ん……………………零児、か? おいおいおい! 久し振りじゃん! 元気か? そっちのかわいこちゃんは誰だよ。まさか彼女か?」

 

「元気だ。ただティファニアは彼女じゃなくて旅をする仲間だ」

 

「ふーん…………」

 

「なんだその目は」

 

「別にー」

 

 ミコトからすれば二人がとても仲が良さげに見えたのか少しニヤニヤしている。そんなミコトなどどうでもいいとばかりに零児はミコトがやってきた目的を訊いた。

 

「目的? ないよ。おじいちゃんが零児に会えるって言うから遊びに来ただけ。出来るならこの後は竜華にも会いたいな」

 

「姉貴にか。今引きこもってるらしいぞ」

 

「そーなのかー」

 

「ねぇ兄様、これは何? 兄様とは違う変な気配がするけど」

 

「? そこの竜、喋ったか?」

 

「あー、そっか。この世界は言語が違うからな。お前が何者かだと」

 

「ふむ。ちょっと時間くれ」

 

 まるで発声練習をするかのようにアーアーアーと声を出すミコト。何かを徐々に調整しているようだ。

 

「これでどうだろ?」

 

「えっ! どうやってこっちの言葉を?」

 

「あ、成功したみたいだな。君の言葉も分かるよ。ちなみに方法だけど能力だぜ」

 

「想像しただけで何でも出来るんだったか。忘れてた」

 

「10年以上前だからな。さてそこの竜」

 

「ヒルダよ」

 

「あい。ヒルダ、オレは一条ミコトってんだ。こいつの古いダチで、化け物の孫だ」

 

『生物よりは精霊よりの力ね。かなり薄いけど』

 

「なんだ? 妖精か?」

『風の精霊よ。サイフィスと呼んでいいわ』

 

「ふーん。しかし折角やって来ておいて何もしないのもなんだな…………食事でも作ってやろうか」

 

「出来るのか?」

 

「舐めてもらっちゃ困るな。こう見えても弟妹やいとこのガキンチョ達を世話してきたんだ。料理には自信があるぜ」

 

 表情から見てとれるほどに自信満々なミコトに、そこまで言うならと零児も料理を任せる事にした。時間としても朝食にはちょうどいい。

 

「じゃあ食材探しからだな」

 

「? 食材ならここに」

 

「えっ、あそこにあるじゃん」

 

 ミコトの指差した先には穏やかに草を食べる草食竜のアプトノスの親子の姿があった。その発言にティファニアは思わず引いてしまう。他もあまりいい顔はしていない。

 

「こっちに食料があるのに無益な殺生をするのはどうなんだ?」

 

「朝から肉はねぇよ。あっち、卵だよ」

 

「でも無害なあの子達の卵を取るのは、ちょっと」

 

「うっ、ティファニアちゃんにそう言われるとな。でも人間って家畜を育てて、その卵とかで不必要なデザートとか作ってんじゃん。それとも有害な生き物の卵ならいいのかい?」

 

「それを言われてしまうと」

 

「有害な生き物、か。居るわ。駆除とまではいかなくても少しは数を減らした方がいいのは」

 

「本当かヒルダ」

 

「本当よ。確か火竜が最近繁殖しすぎているって話がどこかでありましたよね、兄様」

 

「あー、確か行商人がそんな話をしていたな。火竜の卵なら多少奪ったところで生態系を保つのに貢献するだけだし、それならティファニアもいいんじゃないか?」

 

 あまり殺生には同意したくはないようだが、あくまで生態系保護という名目ならと同意してくれた。それに気を良くしたミコトは即座に卵の調達に向かおうとしたものの、零児に引き留められる。

 

「今行くと朝食がいつになるか分からんから、朝食だけはある食材で作れ。いつまでここにいるかは知らんが、こっちにいる限りは作ってもらうぞ」

 

「はいはい。さっさと作ってやんよ」

 

 ミコトはありあわせの食材でトーストサンドを作った。調理器具などは自分の能力で創造し、そのサンドの味は全員が満足できるものであった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 火竜の番が巣を作っているのは活火山の山頂だ。人がまともに立ち入る場所じゃない。そんな場所にミコト達はやってきた。

 

「ヒルダって意外と速いんだな。追い付くのがやっとだったぞ」

 

「それはこっちの台詞よ。なんで人間があんなに速く飛べるなんて、あっ、人間じゃなかったわね」

 

「お前らの飛行速度はどうでもいい。ティファニアを連れてくる必要はあったのか?」

 

「一緒の方がいいだろ」

 

 当たり前のように笑って言うミコトに零児は頭が痛そうにする。とはいえミコトのみでは迷子になる可能性があったし、案内役にヒルダを付けても零児かティファニアが一緒でなければ彼女を律するのは難しい。案内に零児も同行となるとティファニアが一人になってしまうので、全員で来るのが一番なのだ。ただしミコトはそんな事は考えてもいない。

 

「んじゃ行こうぜ」

 

「まさか俺に言っているのか?」

 

「当然。火竜の卵ってそこそこの大きさあるんだ。おじいちゃん達のお土産に一つ欲しいから付き合ってくれよ」

 

「なんか、変わったな。昔はもっと大人しかったのに」

 

「今でも身内じゃ借りてきた猫みたいに大人しいぞ」

 

「普通は逆だ。仕方ないな。ヒルダ、サイフィス、ティファニアを頼む」

 

「任せて」

 

『分かったわ』

 

「気を付けてね、レイジ、ミコト」

 

「ティファニアちゃんを心配させるような事はしねぇさ」

 

 女の子に気遣いをされるというのが余程嬉しかったのか、ミコトは山道を跳びながら移動していく。呆れつつもミコトに置いていかれないように零児も走る。まさしく風のように突き進む二人だが、途中でミコトがある事に気が付いた。

 

「生き物の気配が少ないな。火山だからこんなもんなのか?」

 

「いや、火山地帯に適応した生物もこの世界には少なくない。それに比較的涼しいこの麓付近なら草食竜や小型の肉食竜だっているはずだ」

 

「火竜に駆逐されたと見るべきかな?」

 

「だとしたら火竜の退治は必要かもな。ん、いるじゃないか」

 

 少し離れた場所には先程ミコトにターゲットにされたアプトノスがいた。アプトノスは二足歩行の青い鱗を持った肉食竜、ランポスに取り囲まれている。

 

「野生だなぁ」

 

「先に進もう。観察している時間は…………」

 

「…………お出ましだな」

 

 上空に黒い影が出現した。それを察知したのかランポスは早々に逃げ出したが、ランポスによって痛め付けられたアプトノスは逃げようにも逃げられない。そんなアプトノスに上空から飛んできた影の爪が突き刺さる。アプトノスは悲痛な悲鳴を上げ暴れまわるが、上に乗っているものに押さえ付けられる。

 

「あの赤いワイバーンが火竜でいいよな」

 

「ああ。リオレウス、とか呼ばれてる雄の火竜だ。雌のリオレイアは多分巣だと思う」

 

「嫁と子供のために働くのはどんな男でも同じか。いや最近は主夫なるものがいるらしいけど」

 

「働いている以上は家族のためだろう。今のうちに抜けるぞ」

 

「アイアイサー」

 

 アプトノスに夢中になっているリオレウスに見つからないように二人は駆け抜けていく。マグマが今だ流れている火山中腹を抜け、山頂まで息を切らす事なく走りきった。

 山頂付近は思っていたよりも涼しく、そしてリオレウスが緑色になったような火竜、リオレイアね眠る巣を発見した。

 

「うわぁ、卵多いな」

 

「二つ持っていくだけじゃ足りなさそうだ。いくつか潰した方がこの山のためだな」

 

「資源は大切だもんな」

 

 気配を消して十以上はある卵のうち二つを抱え、残り四つ程度になるように潰していく。手早く静かに済ませたのでリオレイアは起きていない。

 

「帰ろうぜ。これなら旨いもんを沢山作れそうだ」

 

「そうしよう。ティファニア達も心配だ」

 

 二人が卵を割らないように慎重に下山を始めると、周りに多くの気配と殺気を感じた。人のものではない。野生生物が相手を食らおうとする殺気だ。

 

「この卵を狙ってやがるな。チキン共め。これはもうオレのだっての」

 

「おこぼれを狙う奴らがそんな事を気にするか」

 

「キシャアアァァァァッ!!」

 

「「フンッ!」」

 

 後ろから飛び掛かってきたものに同時に回し蹴りを放つ。ゴキッという音と共に足に伝わってきた感触で首の骨を折ったのが分かった。

 

「なんか赤くね?」

 

「イーオスとかいうのだ。毒を持っているらしいから気を付けろ」

 

「毒? 効かねぇよ」

 

「そんな予感はしていた」

 

 仲間がやられたのを見た隠れていたイーオス達は一斉に飛び出し、二人へと襲い掛かった。だがあまりにも相手が悪い。

 

「伏せろ零児。魔王直伝! ディバイン・バスター!!!」

 

 青白い砲撃がイーオスの群を一掃する。非殺傷設定のため殺してはいないが、暫く動く事は不可能だろう。しかし一際大きな個体がヨロヨロと起き上がる。

 

「根性あるのがいるじゃん」

 

「あれはボスだろうな。ああいう個体はドスと呼ばれるそうだ」

 

「ウオウオウォッ!」

 

 まるで犬のような遠吠えを空高々響かせるドスイーオス。それだけすると力尽きたのか地面に倒れた。

 

「仲間でも呼んだか?」

 

「かもしれん。急いで離れるぞ」

 

「あいよー…………えっ、マジで」

 

 上空にはここに来るまでに見た黒い影。大きな羽音を響かせて地面に着陸する。

 

「グオオォォォォォォォォォォッ!!!!」

 

「あのクソトカゲ! 呼んだのはこいつか!!」

 

「リオレウスにとってはイーオスは手下だったのかもな。何にせよ面倒なのに見つかった。こいつが居てはリオレイアも呼ばれる可能性もある」

 

「ならぶっ潰す!!!」

 

 一気に距離を詰めたミコトは空中で前転しながら踵落としをリオレウスの頭に叩き込む。だがそこでリオレウスの口元から溢れる炎に気が付いた。

 

「グアァッ!!!」

 

「アッヅッ!!?」

 

 すんでのところで身を翻し回避したが、左足が炎に包まれる。この程度なら軽い火傷で済むと判断したミコトは即座に反撃に移る。

 

「何してくれんだこの羽虫!!!」

 

ーーゴッ

 

「ギュアァァァッ!!?」

 

 まさかの頭突きである。重い音を響かせたそれはリオレウスにかなりのダメージを与えたようで、リオレウスは思わず後ろに仰け反った。決定的な隙を零児は見逃さない。

 

「悪いが、早々に終わらせてもらう」

 

 強固な鎧のような鱗と甲殻に覆われたリオレウスの肉体。その隙間を縫うようにして刺し込まれた零児の太刀はリオレウスの心臓を貫き、更に零児はその肉体から抜いた太刀を即座に翻して声帯も斬り裂いた。それによってリオレウスは断末魔を上げる事なくその生に幕を閉じた。

 

「いくら叫び声でリオレイア呼ばれる可能性があったからって、ちょっと酷くね?」

 

「お前が卵を盗むなんて提案しなければこうはならなかった。俺にも責任はあるが、お前にも責任があるんだぞ」

 

「そりゃちょっとは反省してるよ。オレのエゴだからさ。だから卵は大事に食ってやらないとな。ほれ走るぞ。卵は鮮度が命なんだ」

 

「お前って瞬間移動出来るだろ」

 

「駄弁りながら行きたいの」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「あっ! 二人が戻ってきた!」

 

「兄様、お帰りなさい。血の臭いがするけど」

 

「問題ない。やる事もやってきた」

 

「見ろよこの卵。人間の赤ちゃんくらいはあるぜ。これなら色んなものが作り放題だ」

 

「作る前にここから帰るぞ。卵がない事に気が付いた親がどんな反応をするかは分かるだろ」

 

「そうだな」

 

 その場から飛び去った時、火山からは悲痛な鳴き声が聞こえた気がした。リオレイアのものだろうと想像するに難くはなかった。ミコトは自身のやった身勝手な行動を思い返しつつ、反省をした。だが謝罪しようとは思わなかった。許されるつもりなど毛頭なかったのだ。

 

「ミコトはこんな大きな卵で何を作るの?」

 

「オムレツだろ。零児のために茶碗蒸しだろ。デザートのプリンとエッグタルトだろ。白身をメレンゲにしてシフォンケーキも作ろうか。メインがないな…………二人が食べた事なさそうな天津飯なんか良さげだな」

 

「本当になんでも作れそうだね」

 

「要望があればなんでもやるぞ」

 

ーーすまんな。そりゃ無理だ

 

 どこからか響き渡る声。してひひび割れていく目の前の空間。その空間を砕くように一本の腕が突き出てきた。それは空間を無理矢理押し広げ、人が出入りできるほどの大きさとなった。

 

「よう零児君、ティファニアちゃん。こないだぶり」

 

「…………要さん。そういう登場はやめてください。ヒルダとサイフィスが怯えています」

 

「あわ、あわわわわ、兄様、な、なにこいつ」

 

『や、やばいわこれ。私より圧倒的に上位じゃないの』

 

「こりゃ、失礼。ミコト、楽しいところ悪いけど緊急の仕事だとよ」

 

「えー、おじいちゃんやってよ」

 

「我が儘言わない。ごめんな零児君。こいつを突然連れてきては突然連れ戻して」

 

「いえ、前にそちらに迷いこんだ時に助けてもらったお礼がありますから」

 

「そう言ってもらえると助かるよ。ミコト、零児君を見習えよ」

 

「別に見習う事なんかないし」

 

 不満そうに言うミコトの表情についティファニアはクスリと笑ってしまう。これまでも子供のような様子はあったが、今などまさに親に叱られた子供だ。

 

「何笑ってんのさティファニアちゃん」

 

「あ、ごめんなさい」

 

「怒ってはないから謝らなくてもいいけど。それよりおじいちゃん、料理作る約束してるんだけど作ってからじゃ駄目?」

 

「だーめ。そんなこんなでどうせ遅くなるからな。レシピと材料だけ渡して帰りなさい」

 

「むぅ、分かったよ。ごめんなみんな。オレ行かないと駄目みたいだから。これレシピと材料な。ティファニアちゃん、零児に作ってやってくれ。また遊びに来るからな」

 

 ミコトから渡されたそれは丁寧に包装されていた。零児はそれがミコトの想像(のうりょく)の無駄遣いなのがすぐに分かった。

 

「あ、これお礼の酒とジュースとお小遣いね」

 

「このジュースは本当にジュースですか?」

 

「流石にノンアルコールだよ。またな」

 

 プルプル震えていたヒルダとサイフィスは要が消えて落ち着きを取り戻した。

 

「あ、あんなのがいるのね」

 

『もう来ないでほしいわ』

 

「そう言うな。あの人に悪気はないんだから」

 

「そういえばお小遣いって何かな?」

 

「開けて確認してみたらいい」

 

 ティファニアは酒とお小遣いが入っているという袋を開ける。そこには小さいが金色に光る塊が一つ。

 

「金塊とは、これならどこでも金にはなるだろうけど、申し訳ないな」

 

「今度何かお礼しないと駄目かな」

 

ーーニュッ

 

「気にしなくてもいいぞ」

 

『「「ひゃぁっ!?」」』

 

「突然首だけを出すのはやめて下さい」




他にも書く予定のものがあるから少し雑になってしまったかもしれません。予定よりGWが短くなったのが悪いのです。許して下さい。
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