それと一条家の家系図的なものが分からないとコメントがあったのでここで説明。
一条要ーーー月村すずか
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ユウトーー叶 フランソワーズーー光ーー藍紗 ノワールーーすみれ
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| 葵 桃
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ミコト ヤナギ ツグミ アカネ
簡単に家系図を書くとこうなります。ユウトはユーノとなのはの息子、フランソワーズは光が退治したサキュバス。藍紗とノワールはレティウス様の作品のキャラです。ちなみにこの家系図は今回の艦これ話に全く関係はないです。
僅かな光が照らすのみの長い廊下を一人の女性が歩いていく。廊下の先には電子ロックのされた大きな扉があり、女性は指紋、声帯などのチェックを通し、扉を開く。
扉の先は大きな円卓とモニターのある部屋となっており、一つの席を除いて全てが埋まっている。
「遅かったではないか香取元帥」
一際年を取った、白髭の男性が低い声で言う。
「申し訳ありません。指導に時間が掛かりまして。それと『元』ですよ、大槻元帥。今の私は一介の練習巡洋艦です」
「じっちゃんにはいつまで経っても香取っちは元帥って事よ」
「黒津地元帥。口を慎め。これだから実力のみで成り上がった若者は」
若い金髪の男性に一喝する大槻元帥。しかし黒津地元帥は反省している様子はない。空気が悪くなるものの、そんな事を気にせずに書類の準備に勤しんでいた女性が声を出す。
「香取さんが来たのなら早々に会議を始めるべきでは? 皆様忙しい身でしょう」
「むっ、確かに砂田元帥の言う通りだな。元帥会議を始めようか」
その場の空気がピシッと締まる。ここは元帥の会議のために作られた場所。他に座っているのも香取を除き元帥だ。
「今回はあの問題児についてだ」
「一条少将には困ったもんだ」
「現役時代の貴方ほどではないですよ、黒津地元帥。香取さん、彼の訓練生時代の指導は貴方が行ったと伺っております」
「はい。確かに彼には問題がありました。ですがそれを顧みても優秀な生徒だったと言えます」
「深海棲艦を自身の部隊に無断で引き込むような輩がか?」
「はい。見方によっては問題のある行為ですが、深海棲艦を無効化し、有力な情報源を手にしたという考え方も出来ます」
「それは結果論だ。否、今でもその深海棲艦が悪事を考えている可能性も」
「それはないです」
ダボダボの白衣を着た10歳にも満たないような子供が大槻元帥の言葉を否定する。
「何故かね、栗山元帥」
「今朝、一条少将と深海棲艦の戦艦棲姫がケッコンカッコカリをしたからです」
「ブハッ!!?」
「マジで! ウワッハッハッハッ!!」
「…………」
「あらあら、これは一度顔を見ておく必要がありそうですね」
お茶を吹き出す大槻元帥。大笑いする黒津地元帥。無言で机を拭く砂田元帥。そして香取は懐かしの教え子に会う事を決めるのだった。
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「提督、愛してル」
「分かったからそう引っ付くな」
書類を片付ける要に引っ付く戦艦棲姫。要も鬱陶しそうではあるが、心の底から嫌といった様子ではない。
「司令官、次の書類です」
「ああ、助かる」
そんな二人の傍に居ながらもテキパキと仕事をこなす長良。その顔には余裕すらあるように見える。
提督室のドアの隙間から覗いていた青葉はその様子を事細かにメモしていた。
「正妻戦争というよりは共存ですね。どちらも隙を窺うわけでもなく、自由にしているのが面白い。あっ、戦艦棲姫の胸に提督が反応しましたね。やっぱり男の人なんですね」
「面白そうな事をしていますね、青葉さん」
「ひぃっ!!?」
背後から突然声をかけられ、転がるように提督室に入ってしまう青葉。その様子に要は呆れたように声をかけた。
「前転が甘い。やり直し」
「突っ込みどころ違いません!?」
「相変わらずね、一条君」
「! 香取先生! ご無沙汰しております!!」
傍にいる長良や戦艦棲姫も気にせずに立ち上がり敬礼をする要の姿に全員驚く。教育をしていた香取すらだ。
「変わりましたね、一条君」
「そうでしょうか。いえ、確かに普段はこんな態度ではありませんけど、先生の前ですから」
「人によって態度を変えるのは感心出来ませんね。でも、少し嬉しいです」
あくまで生徒と教師という関係のはずだが、長良と戦艦棲姫にはそれ以上の関係に見えてしまった。ちなみに二人がいがみ合わないのは身内と認識しているためである。
「青葉、折角だから先生を鎮守府内の案内をしてくれ。俺の様子を無断で観察するくらいには暇なんだろう」
「それならケッコンカッコカリなさっている長良さんと戦艦棲姫さんにお願いしていいかしら? 今の一条君について詳しく訊いたいので」
「うへ、下手な事言わないでくれよ二人共」
「分かったワ」
「香取さん、行きましょうか」
「よろしくお願いしますね」
香取が出ていった部屋で要はフーッと大きく息を吐いた。かなり緊張していたのだろう。そんな要に青葉は質問する。
「提督は香取さんとどんな関係なのですか?」
「あっ? 生徒と教師だよ。俺にとっちゃ初恋の相手でもあるな」
「へっ?」
「なぁに驚いてんだ。誰にだってある経験だろ。さあ仕事だ。しっかり付き合ってもらうぞ」
「いえいえ! 今のについてもっと詳しく!」
「やだよめんどくせぇ」
一方香取を案内している長良と戦艦棲姫は希望された人気のない場所へとやってきた。どんな目的で香取がこんな場所を希望したのか不明だが、何があってもいいように二人は身構えていた。
「では質問しても?」
「どうぞ」
「……………………ABC、どこまで進みました?」
「…………へぁっ!?」
「C!」
突然の質問に長良は妙な声を上げ、戦艦棲姫は声高々に宣言した。それに香取はうんうんと頷いていた。
「やっぱりそれくらい行くわよね。という事は戦艦棲姫さんよりケッコンカッコカリ歴の長い長良さんも。あ、憲兵さんには秘密だから安心してね」
「待って下さい! そんな事のためにやってきたんですか!?」
「生徒の成長を知るのは大切よ。確かに長良さんの言う通り元帥会議でここと深海棲艦の繋がりについて調べに来たけど、あんな幸せそうな様子を見たらそんなの些細な事よ」
「ええー………………」
「勿論訊きたい事はそれだけじゃないわ。戦艦棲姫さんは今深海との繋がりは?」
「ないワ」
「ならお世話になった所へ挨拶に行ってもいいんじゃないかしら? もしこの鎮守府が貴方と良好な関係なら、我々と深海棲艦が良好な関係になるのも不可能ではないと考えているの。貴方達にはその架け橋になってもらいたいわ」
思ってもみなかった言葉に長良は呆然としてしまうが、戦艦棲姫の方はやる気があるようだ。彼女は元々はあちら側。心のどこかで戦う事に申し訳なさなどを感じていたのだろう。
「やるワ。きっとみんなも理解してくれるはずヨ」
「頼もしい言葉ね」
「はぁ、戦艦棲姫さんは少し気楽すぎます。もっとよく考えないと」
「長良さんの言いたい事は分かりますけど、ここは一度一条君と戦艦棲姫さんに任せてみるのもいいと思いますよ。こちらの準備は万端ですし」
ふふふ、と笑う香取に長良は何か嫌な予感がした。香取が何かとんでもない事をやらかしそうな予感が。
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深海棲艦の鎮守府は同じ深海棲艦であった戦艦棲姫がよく知っている。今その付近に戦艦棲姫と何故か水上を進む要、そして護衛の別動隊が居た。
「艦娘ってのはこうやって移動していたんだな。なかなか快適だ」
「すぐに適応するなんテ、流石は提督ネ」
『一条少将、油断しないで下さいよ』
「おう、加藤少佐も護衛をしっかり頼むぜ」
『分かっています。比叡、付かず離れずだ』
「任せて下さい!」
護衛には以前演習をした加藤航少佐の部隊が付いている。ほぼ敵の本拠地なのだ。緊張した空気に満たされている。あの要でさえだ。
「キシャアァァッ!!」
「! フッ!!!」
ーーズドンッ
「グギャィッ!?」
水中から飛びかかってきた駆逐イ級の腹に要の掌底が突き刺さり、イ級は沈黙した。
「大層なお出迎えだ。戦艦棲姫、交渉を始めるぞ。加藤少佐、手は出すな」
『いざという時までは動きません』
様子見程度のイ級とはいえ、同じ深海棲艦が人間の一撃に沈んだ事に驚き、最大限の警戒をする深海棲艦達。彼女らへに普通に接触できるという事で、まずは戦艦棲姫が前に出た。
「みんな、落ちついテ」
「戦艦棲姫様! 戻ッテコラレタノデスネ!」
「そうではないワ。報告に来たのよ」
「報告?」
「私、この人とケッコンするワ♪」
『……………………エエエエェェェェェェェッッッ!!!!!?!??』
深海棲艦達には想定外過ぎた発言を聞いて混乱する。拐われていたと思っていた味方の最高戦力の一人が突然敵との結婚を言いに来ればこうなるのも当然だ。
「お前はもう少し言い方はないのか。第一大切なのは和平を結ぶ事だろう。深海棲艦達、俺達はただケッコンカッコカリ報告に来ただけじゃない。俺と戦艦棲姫はこうやってケッコンカッコカリまで漕ぎ着けた。俺らは深海棲艦と手を取り合う事が出来るんじゃないかと考えている」
「身勝手トハ思ワナイノカ?」
「港湾棲姫…………気持ちは分かル。だが一度彼を信じてクレ」
「黙レ裏切リ者!」
深海棲艦達の中に居た戦艦レ級が感情的になり、戦艦棲姫に向かって砲撃を放った。避けようにも間に合わない。戦艦棲姫は防御の姿勢を取ったが、何かが彼女の前に飛び出し、砲弾の弾道をずらした。砲弾は的外れな方向へと飛び、着水すると爆発した。
「お前らがこいつにどんな感情を抱いてもいいけどよ。俺の目の前でケッコン相手に手を出すのは許さねぇぞ」
「怪物メ…………」
「あの日以来だいぶんと変化しちまったもんでな」
要の言うあの日とは、異世界の自分に肉体を乗っ取られた日だ。それ以降、要の身体能力は艦娘と同等かそれ以上になった。
「結局そっちは和平を結ぶつもりはないと」
「ソウダ」
「分かった。ならまた明日来よう」
「ナニッ?」
「そっちが折れるまで何度だって来てやる」
それから要は毎日やってきた。晴れの日も、雨の日も、時には嵐の日も。艦隊を連れてくる事もあれば、一人でやって来る事もある。来る度に砲撃を受けても翌日にはケロリと復活してくる。約三ヶ月、そんな要に流石の深海棲艦達も折れた。
「和平ヲ結ボウ。タダ信用シタノハマダ貴様ノ鎮守府ノミダ。故ニ貴様以外ノ要望ヲ聞クツモリハナイ」
「港湾ちゃんありがとー!」
「抱キツクナ戦艦棲姫! 暑苦シイ!!」
「オニイチャン、レップウオイテケ!」
「あいよ。これな。こないだあげたのはどうしたんだ北方棲姫」
「コワレタ!」
「…………もっと大切に遊んでな」
要だけ深海棲艦との繋がりが非常に強くなりました。