チートじゃ済まない コラボ編   作:雨期

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魔女っ子アルト姫様の『幸運E-のIS学園生活』と
のコラボになります。今回もありがとうございました。


コラボ第13話

 私立IS学園に通うたった二人の男のうちの一人、衛宮心は一人で帰路についていた。彼には彼女もいれば友人もいる。一人でいる事が逆に珍しいのだ。

 そしてそんなリアルが充実している彼だが、一つだけ他人よりも明らかに劣っている部分がある。見た目でも、性格でもない。努力ではどうしようもない部分、それは…………

 

「みんな忙しい日なんてあるものなんだな。まあそれより、今日はどんな夕飯に、って穴ぁ!!?」

 

 彼は人数倍不幸だったのです。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 何かも分からない暗い穴に落下した心の視界が開ける。すると目の前には超高速で近付く拳があった。体勢的にも状況的にも回避も防御も不可能。

 

「おっ、坊主じゃん」

 

 だが拳は鼻先数ミリのところで停止した。それでも拳の風圧によって心の体は数mは転がっていき、壁に衝突した。

 

「いっつ~」

 

「ははは、突然降ってきたら危ないぞ。怪我はないか?」

 

「あんた、一条要! またあんたらの仕業か!!」

 

 笑っている要に蹴りをお見舞いする心だが、残念ながらその攻撃はダメージを与えるに至るものではなかった。

 

「俺らの仕業って言われても今回は知らないんだが。俺はただ軽くトレーニングしてて、すずかは今はアラスカだし」

 

「なんでアラスカ?」

 

「ちょっとオーロラ見てくるってよ」

 

「結構行動派だな…………」

 

 以前心がやってきた理由は、すずかのワームホールに巻き込まれた結果という事故だったが、今回はまだ何か分からない。心としては前と似たような感覚だったのでワームホールに違いないと考えている。

 

「まあんな事より、新しい包丁投影してくんね? 思ったより消耗早くてさ。孫に頼めば似たような事やれるんだけど、やっぱ精度はお前が上でさ」

 

「なんだ、投影使える身内がいるのか?」

 

「似たような事がやれるだけだ。んで、どうだ?」

 

「それくらいなら。貰った酒とかも旨かったし」

 

「そいつは良かった。うち自慢の酒を不味いと言われたらどうしようかと」

 

「包丁を投影したら、元の世界に帰してもらってもいいか?」

 

 心としては不本意だが、要式の乱暴な方法で世界を移動するしか方法はない。なので包丁の投影で事を済ませたかったのだが、要にはそれが不満らしい。

 

「包丁だけかよ。折角ならおじさんの暇潰しに付き合ってくれ」

 

「暇潰し?」

 

「おう。ここで試合しろ」

 

 とってもいい笑顔で言う要を見て、拒否権を感じられなかった心は渋々ながら双剣、干将莫耶を構える。生憎と心は自分に勝ち筋がないのを理解している。相手が悪すぎるのだ。ならば適当にあしらうしかない。

 

「物分かりが良くておじさん嬉しいぞ。いくぞぉ、そぉれ!」

 

「ぐぅっ!!」

 

 要の姿がぶれると、目の前でアッパーを打ち込まれる。咄嗟にガードするものの、両腕が痺れてしまった。心にとって恐ろしい事に要は肉体強化の術を一切使っていない。素の身体能力のみで英霊の力を持つ自分以上の力を見せている。

 

「ハァッ!」

 

 心は両手の干将莫耶を投げて朱い槍、ゲイボルクに持ち変える。だが干将莫耶を捨てたわけではない。干将莫耶はまるでブーメランのように旋回しながら要に左右から襲いかかる。そして心自身もゲイボルクを使い、高速の連続突きをお見舞いする。

 まるで光のような速さの突きと、双方からの干将莫耶による追撃。それを要は全て受けた。当然そんなものが当たれば血は流れる。だがその傷は全てが薄皮を少々切り裂いたのみと心には分かった。

 

「まるでヘラクレスのような頑丈さだな」

 

「かの大英雄に例えてくれるのは嬉しいが、俺はまだまだこんなもんじゃないぜ。真名解放でもしてみな」

 

「正気か? これがゲイボルクだって知ってるだろ」

 

「ああ。だからこそ面白いものが見れるぜ」

 

「…………言ったのはそっちだ。後悔するなよ」

 

 ゲイボルクに魔力が籠められる。それだけでゲイボルクから殺気が放たれ、空気は凍る。重く、常人では耐え難い空気の中で、要はニコニコとしていた。

 

「その心臓、貰い受ける! 刺し穿つ(ゲイ)…………!」

 

 普段の心ならば少し言われただけで宝具の真名解放などしない。だがそれでも行ったのは、心の中でこれをしても意味がないと直感的に感じたからかもしれない。

 

「死棘の槍(ボルク)!!!!」

 

 ゲイボルクは複雑な朱い軌跡を描き、要の心臓へと向かっていく。因果を逆転させ、心臓に刺さるという結果を確定させてから過程を導く一撃。避けるならば運命をねじ曲げるほどの幸運が必要とされる。

 そんな一撃は要の心臓に刺さる事なく、脇を通り過ぎた。要は避けてはいない。ゲイボルク自身が避けたのだ。

 

「頭のいい槍だ。当たる意味がないなら当たろうとしない」

 

「どういう、意味だ?」

 

「そのままだよ。そいつはあらゆる方法を使ってでも急所に当たる槍だが、当たりようがない。当たっても刺さらない。そう判断したんだ」

 

「…………本格的に化け物だな」

 

 ゲイボルク自身が諦めては、少なくともゲイボルクの真名解放の意味がない。手段は分からないが、要は必中の槍を無効としたのだ。

 

「まあ原作からしてまともに当たってねぇけどな、そいつ」

 

「おいやめてあげろ。原作でポンポン当たると原作崩壊ってレベルじゃねぇぞ」

 

「違いねぇ。くく、ゲイボルクが当たるのを想像したらなんか笑いが」

 

「だからやめろって! ゲイボルクが泣くぞ!」

 

 それでも笑うのをやめない要に心は諦め顔だ。

 

「あー笑った笑った。じゃあそろそろ帰るか?」

 

「脳筋父上、邪魔するぞ。む、弱々しい力を感じると思えば、誰だそれは?」

 

「弱々しい、ってお前こそ誰だよ」

 

「俺は一条光。そこの脳筋父上の息子だ。貴様こそ誰だ?」

 

「衛宮心だよ。なんでか知らないけどこの世界にやってきたんだ」

 

「ああ、そうか。貴様が巻き込まれた人間か」

 

 光の言葉にキョトンとする心に、光は続けて言う。

 

「俺が作った空間の穴に落ちるとはどれだけ運がないんだ貴様は。少なからず双方の世界に人が居ない場所を狙ったはずだが」

 

「…………やっぱりお前の家族が関わってるじゃねぇか!!」

 

「いやー、まさか息子が犯人だったとはな」

 

「責任は取ろう。動くな」

 

「あ、いや、そういえば包丁」

 

 要との約束の包丁の投影をし忘れていた心は光を止めようとしたが、次の瞬間には元の帰路に立っていた。要よりも丁寧で素早いそれに関心しながらも、やはり要の家族は異常だとつくづく感じる心であった。




何をやるか分からなかったので軽く戦闘してみました。そしていつも人を巻き込む一条家。反省しろ。
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