また君と、今度はずっと   作:スターク(元:はぎほぎ)

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必ず希望はある。
無くとも探し続ける。


【Ep.126】怪物と、大将

パラ、という感触だった。

冷たい雫が額に当たり、頬を撫でて風に流れていった。

日の光に煌めいて、星が輝いてるみたいだった。ずっと見ていたいぐらいに綺麗だった。

 

 

────だから、止めてやる。

 

君の目から溢れ出すそれを止める為に、僕はここに来たんだ。

 

 


 

 

 

後ろで死闘が起きてるのは分かっていた。

私を潰そうと迫るグラスワンダー君、止めようとするスペシャル君達、引き摺り下ろそうとするゴールド君。足音と覇気と殺気がぶつかり合って、少しでも気を抜いたら飲み込まれそうな熾烈な坩堝。

 

それを制して、再び怪物の怒りが私に喰らい付いた。

 

『ぐっ……!』

 

やはり強い。威圧は勿論、私の大逃げにここまでついて来る単純な実力が。

去年の秋から、彼はどれほどの飛躍を経たんだろう。どんな苦しみを得て、この力を得たんだろう。

………決まっている。

 

(クロ君……)

 

あの時、グラス君の視線は彼に向いてた。クロ君をずっと想って、グラス君はここまで来たんだ。

それを私が、奪ってしまったから。

 

『君の、言う通り、だよ…っ』

『ふぅ、ぅううッ、ウウぅう……!!』

 

唸るような、強がるような声が返ってくる。どんな表情でその声を出してるのか、今の私に振り返る余裕すらも無い。けれど。

 

『だからこそ、全力で来て……!』

 

全力で受け止める。真正面から迎え撃つ。

私はクロ君に生かされた。クロ君の命を貰って、生き延びた。ならクロ君を失い壊れた君をなんとかするのは、私の使命でしょう!?

 

「そうだな、スズカ!」

『ユタカさん!』

 

貴方はいつだって、私の意気に応えてくれる。今回もそう、想いは同じだと示してくれる!

 

「見せてやろう、彼が戻って来たくなるぐらいに!!」

「────、ええっ!!」

 

今だ。のしかかる重圧を振り払い、今こそ解き放て。あの日の快感、あの日の疾走。

私が私足る、最強最高の夢の走りで! 

 

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SilenceSuzuka SilenceSuzuka SilenceSuzuka SilenceSuzuka SilenceSuzuka SilenceSuzuka SilenceSuzuka SilenceSuzuka SilenceSuzuka SilenceSuzuka

先頭の景色は譲らない…!

          Lv.6

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『——~~~あァあ゛あぁア゛ア゛アッ゛!!!』

『ぐっ——おおお!』

『サアアアァッ!!!!』

 

領域に入った途端、響き渡る痛ましい程の叫び。紛う事無く悲鳴でしかないそれは、怨嗟を帯びて恐怖と躊躇を促してくる。だとしても、それは私達の足を止める理由になりはしない。

そんなに忌まわしい?そんなにも憎い?

クロスクロウの屍の上に立って、私が(疾走)を謳歌する様が、それほどまでに恨めしい?

 

(いいよ)

 

君には権利がある。私を呪う権利がある。

でも、同時に!

 

『私にも、無事に還る()()があるからッ!!』

 

君にとってクロス君が光であったように、私にとって彼は“風”だった!私だけの孤独な世界に吹き込んでくれる新しい風だった!

そして君が彼と想いを交わしたように、私は、そしてユタカさんは彼から“祈り”を託されてるんだ!!それを果たすまで……止まる訳にはいかないんだよっ!!

 

 

 

 


 

 

風が吹き抜けていく。ボクの前を、ボクを置き去りにするように過ぎ去っていく。

 

『——Well……』

 

納得できた。ボクがアナタを、絶対に認められないその理由。

 

()()んだ。

 

クロに並べる強さを、アナタが持ってるからだ。

あの屈辱の日、ボクと同じ栗毛で、ボクより速くて、ボクよりクロに意識されてたアナタは、そのままクロと一緒にゴールを駆け抜けた。まるでそれが当然みたいに、ボクなんか一瞥もせずに二頭(ふたり)で。

 

……嫉妬、したんだ。そして同時に納得すらしてしまっていた。

強いクロと強いアナタで、ボクはアナタ達の世界に踏み入れなくて、相応しくなくて。

つまり、嫉妬したんだ。クロの隣の座にはアナタこそがお似合いだと思えてしまって、それを認めたくなくて僻んだんです。

 

(またボクは、恥の上塗りを重ねていた)

 

一瞬前の自分の錯乱を思い返す。あの激情は今も胸の内に渦巻いているけれど、同時に今のボクの理性は凪いでいた。きっと、“走る”事そのものの本質を、サイレンススズカに眼の前で見せられたからだろうか?

でも、嗚呼、恥ずかしい。なんでボクは全部、他馬の所為にしてたんだろう。あまりに情け無いじゃないですか。そんなのだから、あの日クロにライバルとして見てもらえなくて、そしてクロと満足な別れ方すら出来なかったんだ。

……その矛先なら、もっと、相応しい奴がいる。

 

(何よりも、誰よりも)

 

思い出せ。何も出来なかった愚図を、ノロマを、間抜けを。

クロの苦悩に気付いてたのに、何もしなかった役立たずが、いるでしょう?

 

『──ボクだろ

 

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精神t

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Errored Connection

          Lv.6

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『…っ!?』

 

最も警戒すべき威圧は、先程から弱まりつつある。ゴールド君が嗾けた後輩達との競り合いを皮切りに、グラスワンダー君が重圧に向けていた意識を単純な走りに割いたから。

でも一瞬膨れ上がった背後の気迫に、とうとう復活したのかと身構えたその時。すぐにそれは消え失せて。やっと疲れてくれたのかと、一瞬。

 

……精魂が尽きてくれていたのならば、どれ程良かったか。

 

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精神一

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一到 何g

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精神一到 ka

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神一 何かn

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『──〜〜〜ッ冗談じゃない!!』

 

信じられない。彼、()()()()()してる!

自分の領域(ゾーン)を上書きし合って、()()()()()()()()()()()()っ!?

 

『窓葉さん!オイ窓葉さん、聞いてくれ!!それ以上はダメだッ!!!』

『…………』

 

そんなの、心も体も無事では済まない。それが分かってるからユタカさんも呼びかけて、でも全然届いてない!こんな事になるのなら、私が憎悪を受けていた方が10倍マシだ!

 

『すみませんでした、先輩』

 

やめて。

やめろ。

ダメだ。

 

『ボクは、もう──迷わない

 

『ダメだよっ!!』

 

息は入れられていない、そんな余裕無かった。でもこれには、どうしても反論せざるを得なかった。

 

———1歩。

 

『その“躊躇い”を捨てちゃ、いけない!!』

 

大逃げを躊躇っていた私だからこそ分かるんだ。

 

『迷いと怖さは、()()()()()()の物なんだ!生きる為に、自分を保つ為に欠かせないんだよ!』

 

痛いのは嫌だから、怖がる。

勝利の栄光と命の二択で迷う。

どちらも大事な事だ。それを投げ出してしまえば、残るのは挺身で身を削られる未来しか無い。そんなの、生きてるだなんて言えないから!

 

———2歩。

 

『私達が走るのは——()きて()きる為、でしょう!?』

 

 

———3歩。

お喋りの代償は、詰められたその歩数。グラスワンダー君の顔は既にすぐ横まで。後悔は無いけれど、それでもゾクリと悪寒が奔る。

そして彼は、漸くその口を開いた。

 

 

『クロは、迷いませんでした』

 

刹那。業火。

ありったけの怒りを、彼自身の自責を焚ベられ、その上で抑え込まれていた炎が。風に煽られたその一瞬で、一帯を覆い尽くし燃え広がるかの如く。

 






I’ll save myself,

By killing myself.

羅生なるは我に在り

           Lv.1

That’s why, There’s no hope what I want.

It is just only painful to be here.






 

爆発したと分かった。させてしまったと理解した。

食い合わせた末に融合した二つの領域が、死へと向かって()()してしまった!

 

『待———!!』

 

怪物の牙が、野生でありながら理性で研がれ切った刃が、私の世界(先頭の景色)(つんざ)いてゆく。圧し掛かる重圧は、最初のとは違い誰に向けた物でもない余波でしか無く、そしてそれはつまり彼が繰り出した新たな領域の強さを裏付けている。

重く深く、寒く焼け付く憤怒の焔。何もかも焼き尽くし、果てには自分自身を滅ぼす為の真っ直ぐな断罪の力。

 

……どうすれば良かったのか。

やっぱり、無駄な説得を試みて反論に呼吸を割くべきじゃなかったのか。スペシャル君の言う通り、徹頭徹尾に自分の走りだけを考えておけばよかったのか……いや、どちらにせよあの加速相手では無意味だ。大逃げで突き放せず、すぐ後ろに尾けられ続けた時点で大勢は決していた。

つまり。勝機なんて、最初から無かったんだ。普通の馬が、怪物に敵う道理なんてある訳無かったんだ。

 

 

———本当に?

 

(嫌だ!)

 

そんな事思いたくない。私の信じるユタカさんと、ユタカさんの信じてくれる私が最速じゃないなんて、そんなの思いたくない!

まだ終わりじゃないんだ、まだ最後のコーナーを超えるかどうかだもの!諦めるなんて、早過ぎるじゃないか!

 

『グラスワンダァァァッ!!!』

 

諦めて、堪るかっ!!

 

 


 

 

《いよいよグラスワンダー迫る!鞭は使わず馬なりのまま、ああ差した!とうとう差した、あの屈辱から1年越しに逃亡者を躱して先頭に躍り出たっ!サイレンススズカ食い下がれるか!?》

《というか、グラスワンダー号は……()()()なのか?!》

《最終コーナーももう終わる、スペシャルウィークはどうだ!生沿健司はまだ来ない!!!》

 

 


 

 

もうすぐだ。

この痛みも。

これまでの苦しみも。

全部報われる。もう恥を晒さなくて済む。何も考えなくて済む、苦しまずに済む。

 

やっと……彼の所へ、いける。

 

何も要らないんです。

アナタさえいれば、この自我すらも不要なんです。

ですから、どうか、だから。

 

呼んで。

 

今一度、ボクの名前を。

 

彼方に仄かに瞬く光の中で、ボクを呼んで。

 

クロ。クロ。

 

アナタの声が、聴きたい。

 

 

<<<

 

 


 

 

『もうほっといても良くない?』

 

枯れた体力と威圧の後遺症で朦朧とする意識、その中で僕自身が僕に言う。

 

『グラスは止まらないよ。というか、止めたところでまた繰り返すじゃん』

 

そうだ。

今止めても意味が無い。また違うやり方で、彼はクロの所へ逝こうとするに決まってる。

だから僕に出来る事なんか無いんだ。なら、頑張ったって無駄じゃないか。

 

『送ってやりなよ』

 

それがグラスの選んだ道ならさ。

苦しみを代わってあげる事なんて、誰にも出来ないんだからさ。

僕がどれだけグラスを好きだろうと、想っていようと、グラスにとってそんなの関係無いんだからさ。もう、諦めてあげなよ。

それが優しさだろ。

それが、グラスを愛してたクロと、クロを愛してたグラスの、両方を知ってる僕の役割だろ。

ほら、後は踏ん切りをつけるだけだ。自問自答に内心で賛同すればほら、後は見届けるだけだもん。見逃さずにいてあげようよ。

 

さぁ。

 

さぁ。

 

『———嫌だ、ね』

 

無理だよ。そんなの。

諦めるなんて、それこそとっくの昔に諦めたんだ。この願いは譲れないから。

グラスに、生きてて欲しい。例えグラス自身だとしても、彼が誰かを殺すなんて、そんな真似させたくない。希望はあるって、まだ君が求める物はこの世界にあるって信じて欲しい。

()が、そう思って欲しい。これはこのスペシャルウィークの、僕自身の願いに過ぎない。グラスの為になるとは思っていても、グラスがどう思ってるかは関係ない。

……グラスに、笑って、生きて欲しい。

 

『僕の為に生きてよ、グラス……!』

 

その為なら、何だってしてみせる。僕の全ての力で、君の生に必要な物を叶えてみせる。力及ばないものだとしても、言い訳なんてせずに足掻き続けるから。

だから、戻って来い。僕達のいる場所に戻って来い、ううん、()()()()()()

君が欲しい、僕は君が欲しいんだ!!だからっ!

 

「スぺ!」

「……!生沿っ!!」

 

待ちかねた相棒の呼びかけ。それだけで高揚し、疲労を忘れる身体。

気の所為でも、それでもやっぱり力をくれる!

 

「悪いっすね、色々試行錯誤してたんだ!どこで仕掛ければ良いかとか、グラスの威圧を次はどう凌ぐかとか!」

『説明は良いよ、()()()()()から!!』

「っ、さっすが……!!!」

 

散々待たせて、やっと来たかって感じだよ。勝算が無かったら振り落とすからね!?

 

「無きゃ言わないっての!中山(ここ)は俺の肌に合ってるっぽいし……なっ!!」

『それは……何よりだよっ!!!

 

生沿が“色”を出す。僕もそれに、自分の色を重ねる。

僕達だけの人馬一体。この場所に一番似つかわしい、この舞台で頂点を取る為の力。

──君から、奪う為の力だよ、グラス。

 

『僕は……僕は、君に!!』

 

辛かったら泣いて欲しいし、怒って欲しい。自分で自分を律せる君だからこそ、その奥に秘めた心を見せて欲しい。

だから僕は、君を泣かせたい。怒らせたい。そして……笑わせて、あげたい。

君の涙を拭って、微笑みを取り戻して、その為に!

 

『君に───勝つッ!!!』

 

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威風堂々、夢錦

          Lv.6

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 スぺの心に火がついた。

 

スズカはまだ諦めていない。

 

 勝負はここからだ。あの栗毛の目を覚まさせる。

 

ならまだ終わりじゃない。この絶望に、

諸共に沈んでやるわけにはいかないんだ。

 

 なぁ、グラスワンダー。

 

窓葉さん。

 

 クロスクロウを好きだったのが、

お前だけだなんて思うなよ。

 

“ライスシャワー”を繰り返すつもりか?

 

 辛いのはお前だけじゃない、なんて

言わないよ。

 けどな。

 

俺は、“クロスクロウ”を繰り返すつもり

は無い。               

 

何もかも失くしたつもりだって言うなら。

 

あなたが、もう同じ轍を

踏みたくないなら。   

 

 見せてやる。

 

これを見てくれ。

 

「俺達の中に、今も生きている“クロスクロウ”を!」

 

「死の淵から生まれ変わった僕達を、

サイレンススズカを!」       

 

 


 

 

《!とうとう生沿鞭を振るった!来るか!!来るのか!!!》

 

 


 

 

もう脚が残ってない。スカイ諸共だいぶ離されて、グラスの背中は射程距離外の遥か向こうだ。

でも。お前はまだやれるんだな。

行けよ、スペ。

まだ“キング”を名乗るには未熟が過ぎて、お前達からもだいぶリードを取られてしまったけれど。

でも、信じてる。

俺はまだ、力になれる。

だからせめて、俺の、未完成でも、俺の、この。

領域(ゾーン)を。

 

『連れて行ってくれ、スペ……!』

 

 

 

Call me KING

          Lv.5

 

 

 

 

キングを抜いた。

土砂降りの雲間に、光差す世界が見えた。

 

 


 

 

参った。

膝を崩された、倒れないので精一杯。持ち堪えただけ、フラワー姉にグルーミング(ヨシヨシ)してもらわなきゃ割に合わないくらいだ。巻き込んで引き摺り下ろしてしまったキングには合わせる顔も無いけど。

うん、悔しいな。

結局、君任せになりそうだ。ねぇ大将。

 

『持って行っちゃえ……!』

 

だから、託す。

大逃げ(サイレンススズカ)の走りをコピーしてみせた君なら。

ずっとオレに辛酸舐めさせ続けたお前なら、って!

 

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アングリング×スキーミング

          Lv.4

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スカイをかわした。

いつか引き摺り上げられた、晴れ渡る海原が見えた。

 

 


 

 

チクショウ!!最後は結局テメェかよッ!

あァ癪だ。クロスクロウの跡目に就いたお前も、後追いするグラスの野郎も。それをなんとか出来ねェ、勝ちたいと思った時に勝てねェ俺自身の不甲斐なさも!

なんだッてこんな、誰も彼も思い詰める結果になってンだよ!?あいつマジで絶対許さねェ、寿命走り切ったら地獄まで噛み殺しに行ってやる!!

ンで、コレをなんとか出来るのが──今はもう、テメェが最後の頼りッてワケだこの青二才!

 

『殺すッッッ!!』

 

最後の方策として確保していた進路を譲る。いずれにせよもう加速する体力も気力も無ぇが、それでも俺に()()()()()事の意味をよく理解しろ。

ここまでさせておいて負けたら殺す!今度こそ殺す、マジで殺るからな!?!

だから───

 

『負けンなァァァッ!!!』

 

 

 

 

先輩がどいてくれた。

その先の道が、黄金に輝いて見えた。

 

 


 

 

きっと、“今”なんだと。

新しい馬房(へや)、新しい牧場(いばしょ)に移されたエル。空気が一段と冷え込んだある日の夕方、その瞬間に何故か弾かれたように西の地平線を見つめマシタ。

あそこに、スカイがいる。

キングがいる。

……スペ-サンとグラスが、競ってる。

 

『ぁ、ア……!』

 

グラスが。グラスが死んじゃう。

止めないと、エルの所為で、クロ-サンを止められなかった所為で、死んじゃう。

 

『エル!』

 

荒くなったエルの息を止めたのは、マンボ。はためかせた翼で、エルをビックリさせて。

 

『ダイジョーブ、ダ』

 

信じろ、と。

それしか出来ないなら、ひたすらそれを、と。

口を突いて出そうになった反論と我儘を飲み込み、頷いた。エルはもう何も出来ない、それでも。

仲間がいるから。

 

『お願い、しマス……!』

 

 


 

 

エルをふと、思い出した。一年前、クロと共に僕を置き去った走りの記憶。

きっと、思いは同じだから。

 

 

『……!』

 

次に目が合ったのは、先輩。

もう交わすまでもない。言葉も、想いも。

 

 

───揃った。

 

「あぁ。あの時と同じだ」

 

そうなんだ。去年のジャパンC(あの時)も、クロは、これを。

 

深緑空色紅蓮黄金、そして。

僕が今見据えてる、翡翠

………紺碧

 

皆の力がある。

皆と繰り広げてきた日々が、ここにある。

その(いろどり)の、最後の一欠片は。探すまでもなく、貰うまでもなく。

 

───銀の風は、(ここ)にある。

 

『グラスワンダー……、』

「そうだな、スペ───」

 

息を入れた。一つだけで良い。僕達にはそれだけで充分だった。

ここまでの積み重ね、それを噛み締めるには。

 

卑怯だと言え。

 

皆の、君の力すら借りる僕を、狡いって罵れ。

 

それでも僕は、君が捨てようとする全てで、君を超えていく。君を止める!

 

「『勝負だぁぁぁッッ!!!』」

 

・。・゜ ・。・。 ・。・゜・。・。 °・・。・゜ ・。・。 ・。・゜・。・。 °・・。・゜ ・。・。 ・。・゜・。・。 °・

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メテオライトクロス

          Lv.6

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・。・゜ ・。・。 ・。・゜・。・。 °・・。・゜ ・。・。 ・。・゜・。・。 °・・。・゜ ・。・。 ・。・゜・。・。 °・

 




それが生きるという事。
胸に秘めての、最終直線。
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