あと先日、キタサンSSRサポカを完凸したんですが何すかアレ
それまで(4凸時代)からアホらしくなるぐらい強さ跳ね上がってるんですが
【Ep.66】本筋!
\\\ぅおおおおぉぉおおお!!!///
何度聞いても、この大音量は身が引き締まる。というか、単純にビックリする。
ニンゲンって、なんで大勢でこんな騒ぎたがるのかな?皆でワイワイやるのは僕も好きだから嬉しいけど。
それはそれとして。
『久しぶりだね、スカイ』
『やぁやぁスペく、ゲホゲホッ』
……えー。
「えっ、スカイ?えっ!?」
『大丈夫?体調悪いの?』
『なんかね〜。ゲホッ、喉がちょっ、コホッ』
うわぁ、大変だ。これじゃレースどころじゃないよ、スカイの不調をニンゲンさんに知らせなきゃ!こんな状態の相手に勝っても嬉しくないよー………
なんて、ね。
『嘘つき』
『──ダメか〜!今のところ、スペ君以外は皆ダマせたんなけどなぁ』
『あははっ、初めて会ってからもう季節をひと回りしてるんだよ?流石に分かるって』
「急に咳し出したね。手応えとしてはどうだい」
「た、拓さんか。ついさっきまでは大丈夫だったんですけど」
「咳か。よほど酷いようなら……」
皐月賞の前の……弥生賞、ってクロは言ってたかな?
それがまだ暖かくなり始めの頃合いで、今はもう完全にそれを過ぎた時期。つまり1年以上付き合ってきた訳で。そんな
……というのは、今度は僕の嘘。強がりだね。
『君に乗ってるニンゲンが酷く狼狽えてるもん。それを見るに、君はここにきてから急に苦しみ出した……ってのも考えにくいから演技かなって』
『あちゃ〜、今度からはタテミネさんともちゃんと打ち合わせしなきゃ』
『えーっ、ニンゲンと喋るのはクロだけで充分だよぉ』
『……えっ喋れるのアイツ?』
『うん。クロとイキゾイ君は話せるよ』
『キモっ』
「急に治った……何だったんだ」
「危ない危ない、マーク相手がいなくなったらどうしようかと」
「やめてくださいよ、レース中止でもレース続行でもどっちにしろ茨の道じゃないですか」
ちょちょちょ!?それは無いでしょスカイ!いやまぁ側から見ててかなり変な光景だなとは前から思ってたけどさ!
でも凄かったよスカイ、さっきの演技さ。咳も堂に入ってたし、ニンゲン──タテミネさん?の様子を見なきゃ騙される所だったもん。
……確認するけど、演技なんだよね?
『え〜。これまでの名推理が台無しじゃん』
『言わないでよ、なんか今になって心配になってきたし』
『……そういう所さぁ』
そして、スカイは呆れたように僕に言った。
『クロによく似てきたよ、スペ君』
『───!』
『見事に内心を言い当ててくる所とか、下手に気を遣ってくる所とか……あと、最後に自分で台無しにしちゃう所とかさ』
『最後は余計だよー!!』
なんて事言うんだよスカイ!それじゃ僕がセッカチで慌てん坊でウッカリ屋さんみたいじゃんか!
……でも、同時に嬉しい。僕、ちょっとはクロに近付けたかな?
『クロに1番集中してるスカイが言うなら、そうなんだろうね。スカイはクロ大好きだもんね』
『んな訳無いでしょ蹴り倒すよ』
『そう怒んないでって!うん、怒る気力があるなら大丈夫か』
『……そういうなめた所まで、本当にソックリ。わざとやってない?』
『やってないやってない』
悪い所も引き継いじゃってるのは反省だけど、それでも
僕は日本一になって……帰ってきたクロを、迎え撃つんだから。
そして、何よりも。
『
『何を?』
『ううん、独り言。色々叶える為にも、今回一杯食べて準備万端にしてきたんだ*1』
『な〜んか準備の方向を間違えてるような気がするけど……スペ君がそれで良いなら、まぁそれで』
お互い頑張ろうね、とだけ言って別れる。後はターフで語るだけ、これ以上の馴れ合いは要らない。
……よし!
心の底から首を傾げました。
『先輩ー!今日もよろしくお願いしまーす!!』
『えっと、スペシャル君ですよね』
『そうですが?』
『前よりおっきくなりました?』
『
とは言っても……と僕ことメジロブライトは、挨拶しに来たスペシャル君の体を今一度見直します。うん、やっぱり
『ほわぁ……』
『何ですかその感嘆詞の意味は!?』
『単純計算で1.2倍……』
『僕もうほぼオトナですよ!なのに2割増しとかもう馬かどうかも疑わしいじゃないですかヤダー!!』
嘘じゃない。嘘じゃないけど、今ツッコミをしてくるスペシャル君と僕の認識は確実にズレていますねコレ。
僕が1.2倍、と言ったのは。
(
声から、態度から伝わってくる“心の芯”。
前の彼には無かった、その太さ。
『これは……前よりも苦戦しそうですね』
『えっ、あっ、はい』
『馬かどうかも疑わしいと君はさっき言いましたが、僕だって君達の世代が本当に馬が怪しみたいですよ』
『そんな事言われても……』
困り顔を披露する後輩の顔は依然可愛らしい。その内に秘めた可愛くない物から目を逸らし、僕は微笑み返しました。
『スペシャル君。何か、変わった事でもありました?』
『……そうですねぇ』
その瞬間、和やかながらも鋭い視線に貫かれる。大抵のプレッシャーは受け流してきたタチの自分が、硬直するのを自覚せざるを得ない程に。
これ、は……!
『誰の為か、何の為の走りかって理由を探してみたって。ここの所しばらく考えてたんですけど……まだ僕は、自分の為にはまだ走り切れないなって』
『ああ…前に僕が揺さぶれたのってそれが理由でしたか』
『恐らくは。ただそんな僕でも、一本筋通せる物を見つけられたんです』
皆のお陰で、と。
そう告げた瞬間、強まるスペシャル君の存在感。不味いですね、このまま正面から受け続けたら絶望してしまいそう。
『グラスが、キングが、スカイが』
『……!』
『キュームインさんが、ウスイさんが』
誰かの名前が挙げられる度、気圧されていく僕。より大きく見えるスペシャル君の姿。
この後に及んで、僕はまだ油断していたというんですか……?
『エルが、クロが、ユタカさんが──そして、栗毛さんが。僕に夢を託して、共に走ってくれるから』
それが、君の芯。
『はい!貫き通して叶えるんです、皆で一緒に走る
相当厳しい。
発露する事で、彼の夢はその満足と共により強固となりました。言い方を変えれば、より自分の足元を固めたと言えます。
そんな彼を相手にするレースは……前よりも、さらに厳しい戦いになる。そう、理性と本能の両方が告げていました。
『ブライトさぁ〜ん!たたた大変ですよ〜!!』
去りゆく後輩の背中を見届けながら、次に駆け寄ってきた声の方へ向きます。どうしました、フクさん?
『大変も何も!今回のレースでワタクシ、なんと今朝“大凶”をシラオキ様から賜ってしまってるんです〜!』
『ん〜と……あっ夢の話ですね?』
『夢と侮るなかれですよ!今までシラオキ様に告げられた予言は概ね当たってしまうんですから!!』
『……それを受け入れるつもりで?』
『いえまさか。良いお告げの時は感謝して信じ、悪いお告げの時は感謝して覆す所存』
『安心しました、それでこそです』
変わりの無い同期の様子に思わず安堵。お陰で元気も出てきて、心の中で感謝しました。
しかし、どうやらそれだけではないようで。
『ただ、気になるお告げがもう一つ』
『もう一つ?』
『ええ。《時代は変わる。今日か、それとも明日かは些事》と』
……なるほど、ですね。
『なら明日です』
『へ?』
『今日にはしません』
『へ???』
良かった。今日だと断言されなくて。
そんなの、彼らの新しい時代に僕たちが負ける、と言われてるのと同義ですから。
『でも。抗えるなら抗い切る、それだけです」』
そうです。去年勝ったのはこの僕、なれば王者はつまり僕。
新時代が迫ると言うのなら、この威で以て跳ね返すまで。
『迎え討って差し上げますよ、スペシャル君───!』
《桜も散って、いよいよ春の盾を巡る戦いが始まります。クロスクロウとエルコンドルパサーが海外に飛び、主役不在と言う声もありますが杉元さん》
《いやいや、入場者数170%の大歓声が必ずしもそうではないと物語っていますよ!スペシャルウィークにセイウンスカイ、それぞれが別の世代なら時代の中心を担えている馬が、長距離の覇者である前世代のメジロブライトに挑むこの構図。三頭それぞれが主役のオムニバスストーリーを追っている気分です》
《しかし同時に、遠征中のクロスクロウ号に変わり国内で華を見せる役を世間が求めているのもまた事実。つまりこのレースは、物語の主人公同士で中心を決める戦いになるという事ですか!》
《ええ、その中でもスペシャルウィーク!アメリカJCCでのクロスクロウとの一幕、そこからの快進撃は私達の目を引きつけて止みません。そのスペシャルに菊花賞で勝ったセイウンスカイが逃げ、その隙を伺ってスペシャルが追い、そこで前年度覇者にしてリベンジを狙うメジロブライトの切れ味がどう活きてくるか……!》
《さぁ今スターターが壇上に上がりました。そして1999年第119回、天皇賞・春のファンファーレです!!》
最近の悩み:中距離ダート走れるのがエルしかいねぇ