エルフにTS転生したら、めちゃくちゃムラムラするんだが? 作:なぎっぷ
「...んお、おーい、こっちだこっちー!」
真昼間。辺りには人だかりができ始めているというのに、オレは公共の迷惑とかを考えず、大声を上げる。クラクションがならないんだもん仕方ないよな。
今まで辺りをうろちょろしながら探していた友人は、オレの存在に気付くと、幾人かの静止を振り払い、すぐにオレの車に乗り込んできた。
「なんだ、こんなところにいたんですか。さっさと外行きましょうよ」
「いやはや、見て分かんだろ。それに、外クソ寒いし。ここはあったかいぞ」
季節は冬。月は師走。空にはどんよりとした黒雲が広がっていて、まるでディダラボッチみたいだ。
確か、今朝の天気予報では、今日の最高気温は10℃にもいかないだとか。久しぶりの寒さに、思わず体もブルリと震える。
「まぁ確かにあったかいですけど。...じゃあ、僕もここに居座るとしましょうかね....」
「おいおい、冗談やめろよ最強ニート。お前は少しオレと話をしてくれるだけでいいんだぜ?報酬はたんまりだ」
「いやいや先輩こそふざけないでくださいって。僕がそんなことできるふうに見えますか?」
「...あー、そうだな。じゃあ最期まで付き合ってくれよ」
ふと、目の前の友人との出会いを思い出す。
あれは、高校生の頃。コイツは今でこそムッキムキの黄金の肉体を所持しているが、あの頃はひょろひょろのガリガリだった。
クラスのヤンキーAに、いいようにこき使われる惨めな姿。オレは自分勝手な正義感を振りかざし、ヤンキーAを征伐したのだ。
結局、ヤンキーAの仲間を呼ぶで、ヤンキーBやらCやらがこんぼう装備して出てきやがったから、オレもボコられたんだけどな。
オレに憧れたとかで、しばらくオレにひっついてきてた。今度はオレがパシリにしてるみたいで、気分が悪かった。
だから、『友達になろうぜ。上下関係とかない。ただの友人に、な』なんてクサい科白をはいてしまったのだ。結果としてよかったものの、あれは今でも思い出す黒歴史ナンバーワンだ。
「そんで...お前はオレを守るとか生意気にも言い出しやがってよ....。オレは世渡り上手だから、問題ねぇっていったのにさ」
「まぁ、僕は先輩に一目ぼれでしたからね。男なら、好きな人にいい恰好見せたいものでしょう?」
「ハッ、オレに男の尻を追う趣味はねぇっての。...男なら最高の友人。女だったら....まぁこんなことにはならなかったかもな」
「まぁ、先輩女運ないですもんね。...アレは嫌な予感がするからやめろって、何回も言ったんですけどねぇ」
「ホントだよ。オレもバカだったなぁ。こんなことになるなら...そう、それこそお前とでも...な....だからよぉ」
「泣くなって。オレも泣きたくなってくる」
オレの胸から生えている真っ赤な棒は、ただの木だ。最も、シートを貫通して、そもそも車自体貫通しているし、抜けようがないのだが。
じわじわと体の末端から熱が奪われていくのを感じる。背中はこんなにも熱いというのに。熱力学第二法則に反してるんじゃないか?
今まで暗澹たる灰色の空を映し出していた車窓がパリンと割れ、熱気が直に顔面を炙りにくる。
ガソリンにでも本格的に引火したのか、先ほどとは勢いの違う炎が俺たちの乗る車を包み込む。
友人だって酷いけがをしている。この車が急に爆発し、木に激突した時、車外に思いっきり吹き飛ばされてしまったのだ。腕も、足だって骨折していることだろう。頭どころか体の至る所から血を垂れ流しているし、コイツじゃなかったら死んでても可笑しくない。
脳裏に、卑しく笑うあの女の顔が思い描かれる。好きだのとほざいてて、結局こうやってオレから保険金を毟りのうのうと生きていくわけか。まぁ、だまされるオレも悪いんだけどな。
「...先輩、どうせならこれからのこととか話しませんか?」
「これから?...オレも、お前ももうこれで終わりだろ。次なんてない」
「まぁそうですけど。そうじゃなくて、ほら、転生とかそういうやつですよ。どうせならそういうのに期待してみても面白いんじゃないですか?」
「...ハハハ!いいな、それ。...そうだな、オレは魔法使いとかがいいな。あとはちょっとしたハーレムとか、それに耐えられる肉体なら最高かもな」
子供の頃夢想した、最強の自分。オレはどんなゲームでも魔法使い最強理論を崩すことはなかったし、どれだけ魔法使いが弱いゲームでも、諦めないでジャイアントキリングを成し遂げたことがあった。実際に自分がそういうのになるって考えると、少し怖いかもしれないが、少なくとも今よりは楽しそうだ。
「いいですね。じゃあ僕は、子供の夢見るような最強の剣士ですかね。...魔法使いになった先輩のこと、守ってあげますよ。僕は一途ですからね」
「ハハハ、ほざくじゃないか!魔法使いは守られる程華奢じゃないぞ。いざとなれば近接戦闘だってできるんだからな」
「それは、先輩の使ってたキャラだけですよ...というか、実際に杖って結構な攻撃力ありそうですよね」
「ハハハ....ハハ....あー....すまん。眠くなってきた」
「いいですよ、先輩。すぐに追いつくんで、先に行っててください」
プツン、という音がして、世界が真っ暗になる。もはや肉体は限界に達しているからなのか、特に驚くこともなく、冷静に『あ、視覚消えたな』なんて認識できた。
「せんぱい、さいご....い...か」
手は動かない。足も動かない。口も、動かない。脳だけが、意識だけが、力を失いかけているその聴覚になんとか神経を集めようと働いている。
「....、....、す.....た....」
――ああ、知ってたよ。
「.....」
随分と懐かしい夢を見た。この世界に転生してきてから何度も夢見た、前世の最期の記憶。最近はめっきり見ることもなく、もはや忘れかけていたものだが、久しぶりに見ることができた。
体の上にのしかかっている少し重い布団をずらし、天蓋付きのベッドから降りる。
冷や汗でびっちょりと濡れた服をパサリと脱ぎ落し――
――現れたのは、白磁の肉体。誰にも触られたことのない、シミ一つない真っ白な体を月光が照らし出す。ほんのすこしのふくらみもない平野では、二つの桜色のつぼみが、淡く光を反射しながら、自分の存在を誇示するようにピンと立っている。
視線は、自然と下へ下へと吸い寄せられていく。月明かりの届かぬ聖域。そこには、かつて雄々しく存在していた息子の姿はない。ぴっちりと閉まった、未使用のヒミツの場所。
.....実に、ムラムラします。ああ、神よ。この身を汚すことをお許しください――ッ
手を下腹部まで伸ばしたところで、ハッと気づく。視線を後ろに向けると、そこには、手に着替えを持つ付き人の姿。恍惚とした笑みを浮かべていてまたもやムラッとしますがそこは気にしない。
そうだった...そうだった...あぶないあぶない。どうして失念していたのか。高貴なフェアリーエルフの名を汚し、王家の御名に泥を塗るわけにはいかない。
そう、オレは今生を、エルフの王族、それもフェアリーエルフとして生きることを天に定められた。フェアリーエルフというのは、精霊に愛されたエルフの異種のことで、ただでさえ精霊の加護を受けているエルフの王族から、精霊に愛され体質のオレが生まれたのだ。丁重に扱うどころの騒ぎではない。それはもう、伝家の秘宝なんかよりも慎重に、懇切丁寧に扱われている。
ここ、エルフの王城の最奥、オレの部屋に侵入してくるものなど可能性は極めて0に近い。しかし、万が一、いたずら好きな精霊によって何か間違いが起きてしまうかもしれない。そういう考えから、オレには常に、エルフの中でも最強格の存在が交代しながら付きまとっている。
まぁ、別にオレを心配するってのは分かる話だし、付き人がついているっていうのもまぁ理解はできるんだが....
ここで、問題になるのが、一人の時間なのだ。そう、ちょっとおませなお子さんなら暇さえあれば励むべき時間である。しかし、俺にはそれがない。生まれてからずっと。気が狂いそうだ。オレに人権はないのか。エルフだからか?エル権はないのか?
簡単に言おう。俺の今の悩み。それは――
オ〇ニーが、したいッ!!!!!!
こんなことなら死ぬ前に腐るほどシコっとけばよかった....。オレは初めて、前世の最期を後悔した。
人前では隠してるけど本当はえっちなことをしたい思いがむんむんしてる女の子っていいよね...