エルフにTS転生したら、めちゃくちゃムラムラするんだが? 作:なぎっぷ
――朝の読書。オレは紅茶を嗜みながら、本をペラペラとめくる。ムラムラを抑えながら。
エルフの集落というのは、基本的に精霊の多く住む森の中に形成される。オレの住むこのクインシアの里というのは、エルフの集落として最大規模を誇る....らしい。
と、いうのも身の回りの奴らが過保護すぎて、オレを他の里に連れて行かせてくれないから実際他のところの規模何て知らないのだ。箱入り過ぎて泣ける。
精霊というのは自然の化身であり、精霊が多いほど自然は豊かで、自然が豊かなところにはそれだけ精霊が多くいるという証左にもなる。
エルフの里の名前は、そこに住む精霊の中で最も強いもの、一般的には大精霊という格に分類されるものから取られる。つまり、わが里の名であるクインシア、というのはこの森の大精霊のことを表しており、また、この森でもっとも強い存在であることも意味している。エルフの集落として最大規模を誇るこの里で一番強いということは...まぁ簡単に言えば、この世で最も偉い精霊ということだ。
ちなみにオレは王家の一員なので里の名であるクインシアの性を持つが、だからといって大精霊クインシアの親族かとかそういうわけではなく、それ自体には大して意味はない。ただの苗字のようなものだ。
――ペラッと本をめくるたびに、肘が柔らかい無駄肉に触れる。そういえばムラムラとペラペラってなんか言葉の響きが似てるよな。ムラムラする。
で、この里の名であるクインシアという大精霊。この世界では知らない人がいない程の知名度を誇るほど有名なのだそう。なんでも、魔王を倒したことがあるとか。そこらへんは実際のところよくわからんが、私すごいですオーラが体中から発散されてるし、まぁ本当に強いのだろう。オレもムラムラを発散したいものだ。
――ペラペラ。ペラペラ。ムラムラ。ペラペラ。ムラムラ。ペラムラ。ペラムラ。ムラムラ。ムラムラムラムラムラムラ.....
「....クインシア、いい加減この駄肉をどうにかしろ」
「ぴゃうん!ひ、ひどいアリシアちゃん!...えへへでもなんだかアリシアちゃんにそう言われるとなんだか...む、ムラムラしてきちゃうわ....」
「無敵か?」
あ、そういえば申し遅れました。オレの名前はアリシア・クインシア。王位継承権第一位の常時ムラムラ希少種ロリロイヤルフェアリーエルフです....。そしてオレの背もたれ兼イスとなっているのが大精霊クインシア。あと今ちょっと貞操の危機です...。
そもそもこの駄肉との出会いは2日ほど前までさかのぼる。
この世界に来てから先ほど話した通り、オレは希少種の属性過多エルフではあるものの、一応は王家のものとしてそれなりの教育を受けなければならないということになった。
しかし、元異世界人のオレが、この世界のことを知っているわけがなく、なんなら一般常識すら危ういのだ。そのため、まずは子供向けの絵本を読むことにしたのだ。
絵本だからといってバカにすることはできない。絵本というのは活字を読むのが苦手な低年齢層向けに開発されたものであり、つまりオレであれば比較的簡単に読めて、なおかつそれなりにこの世界で一般常識となりうる知識を得ることができるのだ。
中には道徳心を養うための必要のないものもあるが、そこはオレ自身が取捨選択すればいいだけのことで、その日は性欲を紛らわすためにも一日中書斎にこもって読書をしていた。
「あなたが、アリシアちゃんですか?」
そこで、出会った。急に部屋の中に誰かいる気配を感じ、ふと顔をあげれば、そこには女神と見紛うレベルの女性がいた。
身体の表面からなんかキラキラ光る粒子出してるし、めちゃくちゃ神々しい後光がその存在感を高めており、控えめに言っても女神なんて目じゃなかった。
「く、クインシア様ですか...?」
「あら。私のことを知っているなんて随分とお勉強熱心なんですね」
ただ、その姿はちょうど読んでいる絵本に出てきたものと酷似しており、その正体はすぐに分かった。クインシアはうふふと顔に手を当ててにっこりと笑いかけてきた。
ついでにオレは、一つ衝撃的な発見をした。
(すげぇ...きれいすぎるとムラムラすら感じないのか...)
控えめにいっても女神の容姿であり、美しいという言葉で形容するには足りないほどではあるものの、その姿を見ても自分が何かしらの情欲を抱くことはなかった。
「やべぇ。アリシアちゃん可愛すぎる...ぺろぺろしても怒られないかな...よし、いくか」
「...!?」
小さくボソッとつぶやいたその声にわが耳を疑った。ぺろぺろ...?なんだ、ぺろぺろってなにかの隠語か?まさか淫語のほうじゃないよな?淫語...やべぇムラムラ再燃してきたな。いやさすがに高貴な大精霊がそんな変態なわけが...
「ぎゅ~♡」
「!?...ッ!?」
「はふぅ...れろ...♡くちゅ...♡」
「!?」
!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?
「あまくておいしい~♡」
「や、ややややめろぉ!!」
「きゃん!」
大慌てで、突き飛ばす。一応オレの肉体スペックはこの属性過多に見合うレベルで高く、走れば風と一体化できるくらいの速度は出せるし、パンチとかも結構いたい。というかただの人間くらいなら普通に一発で殺せる。
しかし、自分の顔についた謎の粘液を服でふき取りながら、そんな力で突き飛ばしてしまったので、一瞬で冷静になり、一応の心配をする。
「あ、あの...すいません、大丈夫ですか...?」
「えへ...えへへ」
「うわ、変態だ」
だめだこの大精霊。突き飛ばされたのに無限にえへえへしてる。ついでにえへ顔ダブルピースキメるくらい余裕がある。心配して損だった。つーかこのネバネバ全然とれないんだけどなに、お前口の中にスライムでも飼ってる?
「へ、変態って...やだ、ムラムラしてきちゃうわ...」
「おい、大精霊。威厳はどうした」
なんだコイツ。罵倒されてムラムラするとかもう無敵か?無敵の方か?逆に失望がすごすぎてムラムラしなくなってきた。コイツはムラムラバキュームだ。オレのムラムラを全部吸い取って自分のムラムラに変換する大性霊だ。悪鬼め...
というか、なんだその無駄に揺れる肉は。はぁはぁしながら左右に振るんじゃない。オレがないことへの当てつけか?いやないことに別に劣等感感じてたりしないが?
「おい、駄肉」
「~~!!今ちょっとイッちゃった...。えへへぇ、なに、アリシアちゃん!!」
つ、強すぎる...。コイツは無敵だ。多分何をしても相手のムラムラに変換されてしまう。しかも変換率多分300%くらいはある。ここまで一瞬でイメージが壊れることなんてないぞ...
「頼むからもうしゃべらないでくれ...」
「ほ、放置プレイ!?出会った初日にそんなハードな...でもしゅき♡」
「うがああああ!!」
だめだこの性欲大精霊。はやくなんとかしないと。
オープンスケベな女の子っていいよね...