ガンダムビルドブレイカーズforWAR 作:Wandarel
作者のワンダレルです。
さて、前回はあの有名モデラーのキミヤカナデとの激闘をレイカが繰り広げてくれました!
かつての因縁、その執念の先にある復讐……と思っていた時期が私にもありました。
彼女はなんと、あのレイカことヴァルキリーゼロの根っからのファンだったのです!
意外な展開で私も驚いております。
さて、そんな湯ノ森ガンプラ部ですが、どうやらエタに動きがある模様です。
一体何が起こるのやら。
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!
~湯ノ森高校にて~
週末のガンプラ部室にてヒビキが叫んだ。
「クソっ!!また負けたぁ!」
「ふふっ、まだまだですねヒビキさん。」
そう言うのはザクちゃんずの長女のゼル。
ザクちゃんずVSそれぞれ1人ずつで模擬戦をやってるのだが。
「イチカ!どう考えても強すぎるだろ!」
「えー?そんなことないよ!私やレイカ姉でも勝てないだけだし。」
「その難易度じゃ誰も勝てねぇよ!!」
コマを筆頭に。
ルヤ、エタ、カナデ、レイカ、イチカ、アキト、セイラとそれぞれ特筆した猛者が全員倒されてるのだ。
「ふむ、シンクロトランザムがこうも…新しいものを考えないとね。」
「あのザクちゃんずの動きがAIを既に超えてるような動き、興味深い。」
このように研究を重ねてるのだがその度にボッコボコにされてしまっている。
「でもいい修行よー、逆にゾクゾクするわぁ〜♪」
「これもまた強くなるためなら!」
このように燃える人もいる。
結局はザクちゃんずが強すぎて解散になったが、なんとこの土日の間、電之商店は休業。
何やらアマリさんとヨシモリさんがとある企業に出張で行くことになったそうだ。
そしてその間レイカとイチカはアルマ市長の所で過ごすとの事。
「まさかそこまで仲がいいとはなぁ。」
この私エタちゃんもさすがにビックリです。
てなわけでふらふらと公園に来たはいいものの……。
「退屈だぁ〜。」
ベンチでぼーっとしていたその時だった。
「ふむ、これはなかなかに興味深い。」
隣にコーヒー片手に座ってきた。
「あら、アルマさん。」
「おや?久しいね、エタくん。」
噂をすればなんとやら。
「今日からいっちゃんとレイカさんがアルマさんの家に行くってマジですか?」
「いきなりストレートな質問をしてくるね……。まぁ答えはYESさ。」
「ほえぇー、ホントなのかぁ。」
「まぁ、やましい感情は無いよ。あくまで親友の娘二人を預かるなんて彼らの職業柄昔からよくあったしね。なにぶん市長というのは忙しいが、退屈な時はとことん退屈なんだ。いい刺激になるよ彼女達は。」
「なんかやらしく聞こえてくるな……。」
「君は僕を変質者か何かだと思っているふしはないかい?」
「気のせいですよ変態。」
「その言葉で疑問が確信に変わったよ。」
大人相手にしょうもない言い争いをしてみた。
「そうだ、食べるかいエタくん?」
差し出されたのはブラックサンダー。
「あ、いただきます。」
私はブラックサンダーを手にした。
(……いっちゃんにとってこの人が救世主なんだって言われたけどあんまり実感は湧かないんだよな。アルマさんってどんな人なんだろう?)
「……気になるかい、僕のことが?」
「え!?」
「ふふ、プラモトレースシステムのモデルがモビルトレースシステムだから心情心理などの影響を受けやすいから心理学を学んでいたんだ。完璧ではないが、ある程度なら心を読めるよ。」
「すっげぇぇ。」
「少し時間はあるかい?行きつけのガンプラバトルの出来るカフェを知ってるんだ。」
「えぇ、週末だから妹も部活で遅いでしょうからぜひ。」
「……先程までの変態を見るような眼差しと言動から打って変わったね。」
「ふふふ。」
「まぁ道中君になら話してもいいと思ったこともあるし、それを話題にしよう。」
そう言って歩き始めたアルマさんに私はついて行った。
「恥ずかしい話、僕の母親は昔気質の性格でね。当時中学生だった僕はガンダム作品、そしてガンプラには興味があったんだ。」
信号が赤になり、私たちが止まる。
「だが、会社の代表でもあった母からはみすぼらしい趣味など捨てろと言われ、それに触れることは無かったのさ。だが、高校生の時に彼らに会ったのさ。」
「アマリさんとヨシモリさんですか?」
「あぁ。彼らは僕にガンプラバトルを教えてくれた。もちろん、中学の頃からの熱意があった僕はのめり込んでいったさ。が、それも母にバレてね、僕の作ったガンプラは僕の目を離した時に捨てられていたのさ。当時のことは僕としてはショックだったよ。」
「そんなことが……。」
少し悲しそうな顔をしたが、アルマは直ぐに笑った。
「ふっ、面白いのはここからさ。ヨシモリが僕の母を殴り倒したのさ。」
「え!?」
「そう、湯ノ森の大半を事実上支配している僕の母を殴ったのさ。そして彼はこう言ったんだ。」
『親の都合で子供の夢を壊すんじゃねぇ!夢ってのは、誰しもが持てる権利なんだよ!!アンタがアルマの邪魔をすんじゃねぇ!!』
「ってね。かっこよかったよ、彼のあのセリフ。」
「す、すっげえ。」
「あぁ、それとアマリもアマリだよ。必死に色んなところに駆け回って僕のガンプラを見つけてくれたのさ。色んなゴミ処理所に押しかけて無理を言ったそうだ。」
「アマリさんもすげぇ!」
「ふふ、彼女もヨシモリと一緒だったよ。」
『こんなくだらないものでも!アルマ君が頑張って作ったこのガンプラを無碍に扱うのは許さない!』
「そう言っていたさ。そのガンプラが今のデュアルOガンダムだよ。」
「へぇー、デュアルOガンダムにはそんな歴史が……。」
「なに、実はまだ本気を出していないのさ。このデュアルOガンダムはまだ手加減をしている。」
「え?じゃあいっちゃんが勝ったのは?」
「あぁ、イチカも気づいているが、あれも手加減の一つだよ。勝利からのモチベーションは油断を産むが前進する力は強いからね。特にイチカの場合は。」
「へぇー。いっちゃんの事よく知ってるんですね?」
「親友の娘だから色々とあるのさ。」
交差点の往来を抜けていく。
「そして、僕らは高校生にてガンプラバトルで日本を制したのさ。その流れで僕も有名人になったわけだよ。」
「ほほう。」
「昔から母は僕を跡継ぎ、もしくは湯ノ森の市長にして全てを手に入れようとしていた。奇しくもなるようにして僕は二十二歳という若さで市長の地位を手に入れたのさ。だが、僕は母の理想とはかけ離れた存在になってたよ。」
~十八年前~
「アルマ、市長になったそうね。おめでとう。」
「ありがとうございます、母様。」
「これであなたが湯ノ森を仕切れば、蒼月は安泰ね。あとは私の決めた婚約者との……。」
「ふっ、何を仰ってるのですか?」
「は?何をってあなたの将来のことよアルマ。」
「違うな。貴方は僕をただの操り人形だと思っている。そうだろう?」
「な、なんですって?!」
「そう癇癪を起こさないでください、蒼月朋子(ソウゲツ・トモコ)。僕はあなたのような謀略的支配は望んでいない。」
「……ならあなたはどうやってこの世界を生きるのかしら?」
「簡単です。僕はこのガンプラに救われた。ならばこのガンプラというひとつのコンテンツを娯楽による支配を目論みますよ。」
「利益も何も生まないそのようなゴミになんの価値があるというのかしら?」
「ふっ、だから貴方は甘いんですよ。この世界を導くのは我々のような大人ではない。未来を作り上げるのは僕や貴方よりも遥かに若く新しい生命だ。その彼らの趣味を親の都合で否定する世の中を正す……それだけです。」
「……なるほど、あの時の二人がこうもアルマを変えるとわ。大きくなったわね。なら、私も全力を持って貴方を潰しに行くわ。」
「望むところですよ。」
~現在~
(なんてこともあったな。)
「あ、アルマさん信号変わりましたよ。」
「あぁ。もうすぐそこで着くよ。」
ガンダムカフェ・それすたるに着いた。
「こ、ここってかなり有名な……。」
「あぁ、店主とは知り合いでね。」
アルマさんは失礼するよと言って店の中に入っていった。
「いらっしゃい、アルマ君。」
「お元気そうでなによりです、伊織先輩。」
店主は確か伊織 勉(イオリ・ツトム)さんで、湯ノ森においてレイカのお師匠さんのクロス・ヨウスケさんと同期でガンプラバトルの基盤を作って身を引いたという生きる伝説……って言われてたと思う。
「さてと、いつものでいいのかい?……おや、そちらのお嬢さんは?」
「は、初めまして……。」
「親友の娘の親友と言えばいいかな?今日は僕のわがままで付いてきてもらったのさ。」
「なるほど……。アルマ君は?」
「あぁ、いつもので頼むよ。」
「お嬢さんは?」
「えと……コーヒーで。」
「かしこまりました。」
(あのツトムさんに出会えるとは……。アルマ市長本当に何者!?)
「市長たるもの、人との付き合いも大事だからね。」
「うへぇー読まれてるぅ……。」
とはいえ、確かに人徳の厚さはすごい。
「それで今の市長ってわけなんですねアルマさん。」
「ふふ、そういうことさ。まぁ確かにこの湯ノ森ではガンプラが住民票同然となっているから、別の市からは支配者だ、独裁者だとも言われて否定されている。だけど、僕みたいに親の勝手でガンプラに、夢に触れられない世界を僕は逆に否定したいのさ。」
アルマ市長はどことなく寂しそうな顔をしていた。
「強いて言うなら……かのリボンズ・アルマークのセリフを借りるとすれば、僕は子供達にとって救世主になりたいのさ。」
「………多分、もう誰かの救世主になってるんじゃないですか?」
「……イチカが僕をそう思ってくれてるのなら嬉しい限りだよ。」
その時のアルマさんの顔は本心から笑ってるように見えた。
私たちは出してくれたコーヒーを飲んで、アルマさんのいつものの中にあったブラックサンダーも食べていた。
「アルマさん、ブラックサンダー大好きですね?」
「糖分補給にちょうどいいのと、この手の駄菓子みたいなのが好きなのさ。」
(ははーん、さてはいっちゃんのブラックサンダー好きもアルマさんの影響だなー?)
「ん?どうしたんだいエタ君?遠慮することは無い、全額僕が負担しよう。」
「おおぉ、太っ腹〜。」
そう思っていると店の扉が開いた。
「やはりここにいましたか、市長。」
その声を聞いた途端、アルマさんがおもむろに舌打ちをした。
「チッ……随分と嗅ぎつけるのが早くなったね、ノリス君。」
「伊達にあなたについてきてはいませんからね。」
「ふふ、ならばすまないねノリス君。僕は今この子とデートに付き合っているのさ。」
「ほう、それでこの私がみすみす見逃すとお思いですかな?」
「……ふむ。」
「いいでしょう、スキャンダル目当てのパパラッチが多くいます。お気をつけて。」
そう言うとノリスさんは私の隣に座った。
「マスター、私はココアを頂きたい。」
「かしこまりました。」
「…ノリスさん……でいいんですかね?」
「えぇ、問題ないですよルリネさん。」
(こ、この人もエタちゃんの名前知ってるのか。)
「ノリスさんってアルマさんの秘書みたいなのをしてるんですか?」
「そうですとも。アルマ市長の元で務めて十五年の初老ですよ。」
「ただ、ノリス君に限っては役所でも唯一僕の居場所を的確に当てることが出来るのさ。」
「それは市長がある程度の雑務を放り出して外へと出歩くからですよ。」
「市長たるもの、市民の声を聞くのも仕事だし何せ今日はイチカとレイカを預かってるのさ。」
「預かっているのならなおさらデートなどしていてはダメでは無いですか市長。」
「ぐっ……。」
あのアルマさんが言い負かされてる!?
「君が娘の為とはいえ少々真面目すぎないかいノリス君。」
「貴方が不真面目なだけです市長。」
「お見苦しい所をすみません、ルリネさん。」
「ふふ、大丈夫ですよ。アルマさんの意外な一面も見れましたし。」
「さて、そろそろですな。マスター、バトルスペースを。」
「既に出してますよ。」
「お仕事が早くて助かります。」
エタちゃんにはなぜバトルスペースを準備してるのかは分からなかった……。
(!!……このプレッシャー。あ、なるほどなるほど。)
勢いよく店の扉が開かれる。
もちろん、三人は振り返る。
「おや?どうしたんだいイチカ?」
「…………。」
見ると無表情で真顔のいっちゃんが居た。
「イチカ?」
「ガンプラファイトしようよソウちゃん。」
「構わないが……どうしたんだい?」
「いいから。」
言われるがままにガンプラバトルを始めたがあのアルマさんが秒殺された。
「凄いなイチカ、僕が見ない間にこんなにつ……ぐっ!!」
いっちゃんはアルマさんに正拳突きを放っていた。
仮にも流派東方不敗の継承者なのでめちゃくちゃ痛いのだろう、打たれた所を抑えてアルマさんはうずくまった。
「ソウちゃんなんてもう知らない!」
そう言っていっちゃんは店を出ていった。
「の、ノリス君、まさかイチカに……連絡をしたのかい?」
「えぇ、市長の事を心配なさっていたので。」
「ま、まさかノリスさん、さっき言ったデートっていう嘘を?」
「む?あれは嘘だったのですか市長!?」
「………なるほど、相当に大きいダメージだよ……これは。イチカに嫌われたかな?」
思わぬハプニングもあってエタちゃんはとっても満足です。
「ノリス君、すまないが家まで送ってはくれないだろうか……?」
「仕方ありませんね……。よいしょと。」
ノリスさんがアルマさんの肩を掴んでそのまま引き上げた。
「そうだ、会計をしよう……。これでたのむ。」
アルマさんは現金一括払いをした。
「あのー、アルマさん。今日は楽しかったです!」
「……ふふ、そう言ってくれるのなら僕も誘ったかいがあったよ。さぁ、帰ろうか……。」
半分死にかけてるアルマさんを連れ、ノリスさんがアルマさんの家へと向かっていくのを見て私も帰路についた。
(大丈夫ですよアルマさん。いっちゃんはアルマさんの事大好きですから。それに、いっちゃんにとってはアルマさんが救世主なのはマジですよ。)
ふらふらと家に着いた。
「ただいまぁー。」
エタちゃんも強くならないとなぁ。
「ほうほうほう、AGEモデルですな!」
「同じAGEタイプなら負けられない!」
「ふっふっふ、隙などないですよ!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第十六話〜戦場の勇気の凱旋〜
ガンプラファイト!レディーゴー!