ガンダムビルドブレイカーズforWAR   作:Wandarel

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皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、偶然ながらエタはアルマと街中で出会いアルマの過去を知り、エタもまたアルマとイチカの関係性を知ることが出来ました。
そんな湯ノ森ガンプラ部の皆さんですが、どうやら再び来訪者のようです。
同じ学年のとある少女がわざわざ来てくれたようです。
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!


第十六話~戦場の勇気の凱旋~

アマリとヨシモリが土日の間ダブル出張の為、電之商店が休業になってるから学校で部活動をしに来ていた。

ただし、コマとルヤ、セイラはバイトで休み。

カナデは実家での仕事があるということで今週は休みを取っている。

イチカはレイカ曰く大切な用事があるそうだ。

「レイカさんは行かないんです?」

エタがそう聞いたが、返事はこうだった。

「……イチカにもプライベートはあるものよ。」

あの軽度(大嘘)のレイカからそんな言葉が出るとは思わなかったが、みんなも特にヒビキは納得していた。

「そういえば、イチカにとって大切な日ですもんね。」

「大事な用事ってことはやっぱりアルマさん関連ですかね?」

「違うよアキト。ホントにイチカにとっても大事な日なんだ。」

ヒビキは思い出していた。あの時イチカが言っていた大切な人を無くしたという言葉を。

「……よし!とりあえず私はマリオンの調整も終わった!調子はどう、マリオン?」

『えぇ、問題ないわ。』

ツルギは日常会話などに使うためブルーデスティニー3号機を模したMS少女と呼ばれる可動フィギュアにAIマリオンを搭載していた。

「しかし凄いものだな、プラモトレースシステムも。あのザクちゃんずもそうだけど、あらゆるプラモ、可動フィギュア、ガシャポン戦士までガンプラバトルに参加できるようにしてるもんな。」

「その様子だとアキト君は将来湯ノ森のガンプラエンジニアになるのかな?」

「まぁ、それもいいなとは思ってる。」

和気あいあいと青春らしく模型をいじっていると。

「頼もー!!」

突然部室のドアが勢いよく開けられた。

なお、ツルギはびっくりして椅子から転げ落ち、アキトは工具箱で頭を隠し、ヒビキは全てを悟ったかのような涼しい顔でコアガンダムαをいじり続け、レイカはその来訪者の背後に気配なく回り込み、エタはその来訪者の首元ギリギリにナイフを構えていた。

来訪者は長い髪をポニーテールにしており、かなりの美少女だった。(イチカ談)

「ひぃ……」

「いらっしゃい。何か用事ですかね?あとレイカさんとエタは来訪者にそんな事しない。」

ヒビキは死んだような目でツッコミをしながら事務的に接待をする。

「に、入部希望ですぅぅぅぅ……。」

「あら、入部希望の人?ありがたいわねぇ〜♪」

「ひぃい、いつから後ろにいたんですかぁ!?」

「怪しかったら手刀でシュパッとするつもりだったから〜♪」

「答えになってないぃ〜!」

「イタタ……、転げ落ちちゃった……。」

『大丈夫、ツルギ?』

「うん、なんとか。」

「よし、とりあえず君の名前は?」

「えと、月夜見 御霊(ツキヨミ・ミタマ)、です…。」

「ミタマさんかぁ……。1-Cにはいなかったから……。」

「あ、それ実はしばらく前に色々ありまして……登校できてなかったんですよね。」

「ふむふむ、私たちと同じクラスなのね〜。私はデンノ・レイカよ、よろしく〜。」

「俺はナルセ・アキト。よろしく、ミタマさん。」

「湯ノ森ガンプラ部のストッパーのルリネ・エタちゃんです。」

「タカミヤ・ツルギです、よろしくお願いします!」

「えーと湯ノ森ガンプラ部の真のストッパーにして苦労人のアリネ・ヒビキです。諸事情で何人か居ないけどとりあえず、バトルしていく?」

「やります!」

(個性豊かな人達だなぁ。)

「なら、私が相手になります!マリオンの調整もですが、このガンプラ部を隠蔽してる風紀委員としても戦わねばなりません!」

「ツルギさん、引率ね。隠蔽だとやましい事隠してる意味になるから。」

ヒビキの冷酷極まりないツッコミが炸裂する。

「うぐっ……ち、違うもん!間違えてないもん!」

「えーと……新入りの私が言うのもなんだけど……間違いってのはよくある事だよ?」

「ううぅ!勝ちます!私が勝ったらさっきの言葉を忘れてください!」

「えと、一応言っておくとツルギさんが負けてもちゃんも忘れますよ……?」

「そうしてください……。」

ツルギは顔を真っ赤にしながら俯いたが、顔を上げる頃にはいつもの調子に戻っていた。

二人がベースに並んでガンプラを構えた。

「タカミヤ・ツルギ、AGE2-Breaker!行きます!」

「ツキヨミ・ミタマ、ヴァルトラウテ!行きます!」

ステージはAGEのコロニー内部。

「AGE2Breaker……同じAGEですね!」

「そういうあなたのヴァルトラウテも、アデルを元にしてるAGE系列……なら私も」

「「絶対に負けられない!」」

二人が乗ってきたところでカウントが始まる。

そして、ゼロになった瞬間、レイカがマイクを持って叫ぶ。

「ガンプラファイト!レディーゴー♪」

先手を仕掛けたのはツルギ。

ライトドッズライフルを連射し、牽制をする。

しかし、ヴァルトラウテは素早く物陰に隠れ、凌ぐ。

「マリオン、予測範囲を十秒から五秒に引き上げて。」

『了解。』

(……思ってた以上に早い。兄さんが遺したAGE2Breakerのウェアはまだ見つかってない……同系列である以上もしヴァルトラウテがウェアを持ってたら終わりかもしれない。)

「ふぅー、怖いなあ。」

(……ヴァルトラウテのウェアは最終調整中だから今回は使えない。基礎性能のテストも兼ねて実戦あるのみ!)

ツルギがシールドを構えながらビル群を進んでいた。

「もらった!!」

『ツルギ!五時の方向!』

「ふっ!!」

咄嗟にシールド防御をしたが、ヴァルトラウテの所持するとGNパイルバンカーが直撃し、大きく吹き飛んだ。

だが、ツルギもドッズライフルを連射し追撃を回避した。

「……ありがとうマリオン。調整のかいがあったね。」

『ツルギ、シールド損傷率六十二パーセント。直撃するとかなり厳しくなるわ。』

「なら、私にも考えがあるよマリオン。」

マリオンはそれを聞くと驚いたような顔をした後にこう言った。

『……やっぱり、ヒカルとそっくりね。』

「まぁ、兄妹だしね。」

一方ミタマの方も

「あの距離のGNパイルバンカーを防いでくるかぁ…。あの位置パーフェクトだと思ってたんだけど。こうなれば、近中距離での撃ち合いかな……。」

お互いの思考が交錯していた。

ビル群の影からツルギが飛び出してきた。

「やァァァっ!」

「正面では無いのは分かってたよ!!」

すかさず、ヴァルトラウテはパイルバンカーを撃ち込んだ。

しかし、撃ち込まれていたのは完全に破壊されたシールドだった。

「!!」

つまり、シールドを犠牲にしながらも近距離攻撃を取ること。

「そこっ!!」

「やらせない!!」

AGE2Breakerはパイルバンカーを切り裂いたが、その代わりにドッズライフルを切られた。

「お互いに……」

「ビームサーベルがメインか……。」

お互いの得物を持っていかれたが、諦めていない。

「マリオン、使うよ!」

『ええ、ツルギ!』

AGE2Breakerが身構える。

「燃えてきたぁー!!」

ヴァルトラウテもまた構える。

「EXAM!」

『EXAM-System-Standby』

「ABYSS!」

『A-B-Y-S-S』

二つの能力向上システムが起動した。

すると、声が聞こえてきた。

『もうここまで来たらやるしかないね!!』

その声の主はヴァルトラウテから聞こえてきた。

「キェアァァァ!!シャベッタァァァ!!」

イチカが思わず絶叫する。

「あーあ、大人しくしててって言ったのに……。」

ミタマがため息をつき、再び操縦桿を握る。

「……サポートAI!?」

ここに来てツルギがようやく状況を理解した。

『余計に負けるわけにはいかないわ。』

マリオンもやる気が出てきたようだった。

ビームサーベルのぶつかり合いが始まる。

しかし、高レベルな攻防が余計に試合を盛り上げる。

「そこ!!」

ツルギが振り終わりの隙をつくはずが、ミタマが逆手持ちにしたビームサーベルで迎撃する。

『逆にもらった!!』

ヴァルトラウテがAGE-2Breakerを襲うが

『甘いわ。』

マリオンがそれを受け止める。

距離を取り、ビームライフルの撃ち合いも始まる。

『やるじゃん。』

ミタマの考えは正しかった。

(やっぱり、この子(ツルギ)は強い。特に……一糸乱れぬ共闘。まさに二人同時に相手をしているような気分。AIとの連携がここまで精度が高いのはそれほどの信頼があるからかな。)

システムによるブーストもあり、2機はどんどん削り削られ、お互いに追い詰めあっている。

しかし、決着の時は意外に早かった。

『ていっ!!』

ヴァルトラウテがドッズライフルで牽制をし、AGE-2Breakerの軌道を無理やり変えた。その時、ツルギが気づく。

(誘い込まれた!?)

互いに回避不可能な位置。

「『これで詰み(チェックメイト)だよ。』」

いつの間にか拾われ、修復されていたGNパイルバンカーを構え、突っ込んでくるヴァルトラウテ。

この一撃、間違いなく致命傷である。

だが、ツルギの目は生きていた。たった一瞬、彼女はうなづいた。

直後、AGE-2Breakerにパイルバンカーが突き刺さる。あとは射出するだけだ。

その瞬間だった。

「『今ッ!!』」

AGE-2Breakerがヴァルトラウテを横一文字に切り裂いた。

が、それと同時にパイルバンカーが射出され、AGE-2Breakerも爆発した。

戦いはドロー。お互いの機体データのダメージを見るとそれなりに接戦のように見えた。

『うひゃー、そこでやってきたかぁ。』

「ちょっと予想外だったなぁ。」

『ツルギ、流石ね。』

「もちろんです!でも、引き分けですね……。」

そして、ツルギとミタマが歩み寄り握手した。

「ツルギさん、貴方のマリオンとの絆はすごい。けど、やられっぱなしじゃまだ終わらないよ。」

「こちらこそ、とても強かったです…。機会があればまたやりましょう!」

白熱した戦い、思わずアキトが写真を撮っていた。

「ヴァルトラウテは確か、戦場の勇気……って意味だったっけ。すごいなぁ。ねぇヒビキ君!」

「あそこまで白熱した戦いを見るのは久しぶりだよ。いいもの見れた!」

「エタちゃん最近いい活躍してない気がする……、これはしっかりせねばヒロインの座があぶないのでは!?」

「心配しなくても大丈夫よエタちゃん〜♪」

湯ノ森ガンプラ部は土日においても平常運転です。


その頃

イチカは私服で自転車に揺られながらしきびと線香、そして五つのブラックサンダーを持って向かっていた。

そして、目的の場所について線香に火をつける。

ここは墓地。しかし、イチカはこの日だけは絶対に来ることを欠かせなかった。

ガンプラを作ってバトルに参加してたあの日から、アルマとの出会いがイチカを変えた時、ヒビキと共にイチカはかけがえのない仲間を手に入れた。

朝露 時雨(アサヅユ・シグレ)。

電之一家が家族ぐるみで仲良くしていた、『旅館朝露』の長女。

そして、シグレ以外にもアサヅユ一家はガンプラバトルの腕もモデラーとしての技量もプロ級でかなり有名だった。

「……やっほいシグちゃん。そんで、おじさんにおばさんにユウダチちゃん。元気してた?私は元気にしてる。今は、色んな人がいて、高校でガンプラ部作ったよ。でもね……。」

イチカは涙を流し、アサヅユ一家が眠る墓標の前で泣き崩れながらこう言った。

「もっと……シグちゃんと一緒にいたかったよ……。」

三年前、レイカが仲間を二人無くし、前へと進もうとしてた時だった。


シグレはイチカのことを名前に一があるのと犬っぽいからワンちゃんと呼んでいた。

「ワンちゃん。」

「なぁにシグちゃん?」

「これからもコンビ組むー?」

「うむ!私のザクとシグちゃんのデスティニーに不可能なし!」

「でもレイカさんとのヴァルキリーゼロワンはどうするの?」

「うぐ……でもシグちゃんも大好きだから!一緒にチームになろ!」

「はいはい、ワンちゃんは強引だねぇー。じゃ、そろそろ私帰るねー。」

「まったねぇー!」

あの時、見送りさえしなければ。

「緊急速報です!現在、旅館朝露にて火事が起きたとのこと。この事件で旅館客は全員避難していますが、先程、朝露 白奈(アサヅユ・シラナ)朝露 理樹(アサヅユ・リキ)朝露 夕立(アサヅユ・ユウダチ)が亡くなったそうです。原因は不明で……。」

その時、電之家の食卓は固まった。

「……嘘……だろ?」

「シラナさん………。」

父と母が絶句してた時、電之商店の扉を叩く音が聞こえたあと、鈍器で殴られる音が聞こえた。

そして、聞こえたのが

「手間かけさせやがってこのクソガキが。」

と人を殴るような音。

瞬時に緊急事態だと思った両親とレイカ、イチカは飛び出した。

「な……。」

そこには頭から血を流し、全身ボロボロなシグレが引きづられ四十を超える数の男に連れ去られそうになっていたのだ。

そして、実行犯であるシグレの手を握ってた反対の手には、工具用より大きなハンマーが握られていた。

人を殺せるくらいの。

「……何やってんだテメェらァァァァァァッ!!」

即座にヨシモリはモデルガンを引き抜き正確にBB弾を当てて怯ませ、シグレの髪を掴んでいた男はシグレを手から離した。。

「俺らの商売の邪魔をすんじゃねぇよ!!」

そして、ハンマーを持った男がヨシモリに襲いかかった時、

キィィンという音が鳴る。

アマリがガーベラストレート包丁で受け止めていた。

「レイカ!イチカ!シグレちゃんを中に!!このおバカさんたちは私達に任せて!」

「お前らァ!やれ!」

ここからは、ヨシモリとアマリが殺さない程度に痛めつけて侵入を防いでいたが、シグレを今に運んだ時、裏から回り込まれて取り巻きの男が六人現れた。

「……イチカ、病院に連れていきなさい。」

「レイカ姉!」

「大丈夫、お姉ちゃん強いから♪」

「でも!」

「いいから行きなさい!!」

「………うぅ!!」

イチカはシグレを肩車し走り出した。

当然奴らは追うつもりだったが、レイカが立ち塞がる。

「おいクソガキ、おじさん達はこわぁーい人達だよぉー?大人しくしといたら痛い目は見ずに済むぜぇ……。」

そういう男が下卑た目でレイカの全身を舐めまわすように見て

「いい身体してんなぁ嬢ちゃん。言う事聞かずにボコボコにされてから楽しむか、大人しく言うこと聞いて楽しむかどっちがいいよ?」

「あらあら、貴方達、アニメやマンガ、それにエッチな本の読みすぎじゃないかしらぁ〜♪現実がそう上手く事を運ぶと思うなよ?」

「だったらよぉ、包丁とか飛び道具使えばいいよなぁ!!」

拳銃を取り出したのを見たレイカが素早く動き、一人に正拳突きを放つ。

だが、やはり多勢に無勢。

拳銃の玉がレイカの脇腹を抉る。

そして怯んだ隙に工具用ハンマーで頭を殴られた。

「ぐっ………。」

流石のレイカも衝撃で膝を着く。

「……流派冥王不敗には不可能はない……わ。」

「ご立派な流派だねぇ。そんじゃ、外のヤツらより先に始めようかぁ〜♪」

「………ちっ!!」

レイカは振りほどこうとするが、流石に四人に四肢を抑えられてはどうしようも無い。

「その威勢がいつまで持つか楽しみだなぁ!」

そう言ってレイカの服を破ろうとした時だった。

「ちぇやぁぁぁぁぁっ!!」

馬乗りに乗っていた男に誰かの膝蹴りが入る。

「ぐびぇぇぁっ!!」

男が吹き飛ぶ。

レイカはその姿を見て、少しだけ涙を滲ませながら名を叫んだ。

「師匠……!」

「幼い女子相手に大人が寄ってたかって殴るだけに飽き足らずその上抵抗の出来ぬ女子に欲情するなど言語道断!貴様らは人としてなっておらん!貴様らのその腐った根性がこの東方不敗マスターアジアに通じるかどうか、試してみるがいい!!」

「なんだこのクソジジイ!やっちまえ!」

「レイカ、来るのが遅れてすまなかったな。あとはこのワシに任せておけい。」

「師匠………。」

「拳銃に勝てるわけがねぇだろぉが!ロートルがよぉぉ!!」

男の一人が拳銃を撃つが、かすりもしない。

「ふっ、これでもわしはまだ40代の半ばよ。そして、その程度の攻撃が当たるわけがなかろう。覚悟しろォッ!!

その頃、外では二人が善戦していたが、やはり多勢に無勢だ。

少しずつ押し込まれていっていた。

その時、アマリが投げ飛ばされた。

「キャッ……。」

「アマリ!」

その隙を逃さず、ヨシモリは銃で腹を撃ち抜かれた。

「ぐっ………!!」

「パパ!!」

二人がダメージを負った。

残り二十人と言ったところだが、この怪我では厳しい。

「クソが、予定狂わせやがって……さっさと死ねよ。安心しろよおっさん、アンタの嫁さんも楽しんだら直ぐに送ってやるからさぁ。」

男の一人が拳銃を構え、撃ち放った。

だが、弾かれたのは男が持っていた拳銃のみだった。

「湯ノ森の発展の邪魔をする毒虫風情が、僕の親友に手をかけることを許すと思っているのかな?」

「「アルマ!!?」」

アルマはまだ執務中で来れないはずだった。

だが、そのアルマがモデルガンとはいえ拳銃を手にしていた。

「市長……都合いいな、アンタを快く思ってねぇ奴がいてなぁアンタも殺しのターゲ……。」

バァン

アルマは言葉の途中で容赦なく撃った。

「毒虫の戯言を聞くつもりは無いよ。」

「テメェ……ぶっこギャァァァ!!」

アルマに撃たれた人間に突然電流が流れた。

「特殊なBB弾を使用してるのさ、エグナーヴァレットとでも呼ぼうか。」

「くそっ!一人に何してんださっさと!」

「誰が一人と言いましたかな?」

その声のする方に男たちが見ると、夜の月光によって目立つ、木剣を持った漢がいた。

漢は一気に飛び降り、四人を瞬時になぎ払い、五人目に木剣を腹に突き立てながら叫んだ。

「怯えろ!竦め!武器の性能を活かせぬまま倒れていけぃ!!」

五人目にやられた男は泡を吹いて気絶した。

「遅かったじゃないかノリス君。」

「はっ!武器の確保に少々手間取りましてな。」

そう言うとノリスは先程アルマが使用していた専用弾丸が入っているマシンガンが付いた盾を構えた。

「アマリ、ヨシモリ、暫くは休んでいたまえ。僕とノリス君が交代しよう。」

「調子こいてんじゃねぇぞおっさん共!!」

その頃、イチカは必死になって近くの病院へと運んでいた。

夜遅く、人もそんなに居ない。

「……ワン……ちゃん……?」

「シグちゃん!?目を覚ましたんだね!待ってて!すぐ病院に連れてくから!」

「ワンちゃん……私の家はね……湯ノ森を牛耳ってる……ヤクザが利権を狙ってたの………。」

「利権ってなに!?そんなことより……」

「私以外、みんな殺された……。前から……嫌がらせは受けてたけど……守代を払えって言っても払わなかったから……。」

「よくわかんないよシグちゃん!そんなことより病院行こう!はやく!」

イチカは泣きながら引きずった。

「ワンちゃん……私ね……。」

「大丈夫!必ず、必ず着くよ!ほら!もうすぐ!」

病院が見えてきた。あと少しだ。

「私、ワンちゃんが大好きだから……。養王田組の奴らが……ワンちゃん達に……攻撃されないようにしたいの……。」

「そんな弱音なこと言わない!行こう!はやく!」

もう少しだ。

「ワンちゃん………優しいね………ありがとう………。」

急に肩車をしていた右肩が重くなった。

「シグちゃん……?シグちゃん!!シグちゃん!!!」

イチカは本能的に時間が無いと悟った。

「間に合え……間に合えぇぇぇぇッ!!」

イチカは病院へとたどり着いた。緊急手術室へと搬送される。

だが、待っていたのは。

「手を尽くしましたが、既に………。」

医師のその言葉だった。

「…………うわぁぁぁぁぁぁぁん!ふざけるな!ふざけるな!バカヤロォォッ!!うわぁぁぁぁぁぁぁ………。」

イチカは、ヨシモリ達が来るまでずっと泣き続けた。

その後、イチカはアルマに養王田組の事を少しだけ話した。

「………ちっ、毒虫風情が……。」

アルマがそう言って、怒っていたのを覚えていた。

「ありがとう、イチカ。僕の全権限を持ってソイツらを根絶やしにしてくるよ。」

後日、アルマによって徹底的に潰されたのは言うまでもない。


「……じゃあねシグちゃん。また会いに来るよ。いつか、世界を掴んでみるからね。待ってて。」

イチカはそう言って線香を立てて、ブラックサンダーを四つ置いて、一つは食べた。

朝露家の墓参り。

イチカの強さと夢の為に、毎年この時期になるとイチカは墓参りに行くようにしていた。

アサヅユ一家惨殺事件。

それがイチカがアルマに語った夢の第一歩となった。

「夢を叶えるよ、絶対に。」

イチカはそう言って、背を向け自転車に乗り我が家へと向かった。


その数時間後、その墓標の近くにて

「ねぇねぇ、やっぱり超常現象じゃないこれ?」

「んなもんわかんねぇだろ。確かに高校も女子校じゃなくて共学高になってたからなぁ。そうだろサガラ?」

「そうは言いますけど、お二人共よく怖がりませんねぇ、最悪ドッペルゲンガーと会う可能性もあるんですよ?」

「そんなもん関係ないよ、ねぇワンちゃん?

「おうよシグちゃん。どちらにせよ今は帰れねぇんだ、楽しもうじゃねぇか。」

「あー、そうですか。全くあなた達は本当にすげぇですよ。神様もびっくりじゃないです?」

「そんときゃそん時よ。」

「神に会うては神を斬り。」

「悪魔に会うてはその悪魔をも撃つ。」

「戦いたいから戦い。」

「潰したいから潰す。」

「「アタシ達に大義名分なんてないのさ!」」

「「アタシ達が地獄だ!!」」

「はいはいそーでしたそーでした、私が地獄に慣れてないだけでしたー。」

「ワンちゃん、どうせならなにか美味しいもの食べない?」

「お?賛成シグちゃん!」

三人の地獄が通り抜けていった。




「およ?アイナちゃん?」
「あ!お姉ちゃん!」
「よーしよしよし!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第十七話「危険とザクと執念」
それでは次回へ!
ガンプラファイト!レディーゴー!
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