ガンダムビルドブレイカーズforWAR 作:Wandarel
作者のワンダレルです。
さて前回!かつての因縁を携え現れた強敵「比島飛鳥」とガンダムヴェンデッタと激闘を繰り広げたコアガンダムαとヒビキでしたが、見事勝利を掴みました!
しかし代償としてコアガンダムαは完全破壊され、修復も不可能な状態となりかつての英雄を失いました…。
そして他方ではなんとあのレイカが完全敗北という衝撃の結果が!!
しかし!彼らの強さは心にあるのです!
再び立ち上がり飛び上がる日は近いでしょう!
それでは!ガンプラファイト!レディー!ゴー!
ゲリラバトル会場である中央広場で騒々しさが残る。
イチカ「ヒビキ、行こう。」
ヒビキ「……うん。」
ひとしきり泣いたヒビキが壊れたコアガンダムαを優しく握りしめ立ち上がった瞬間だった。
???「ヒビキ君!」
ほぼ怒号に近い形でヒビキとイチカの前に走ってくる一人の男は開口一番でこう言った。
アルマ「コアガンダムαは!?」
ヒビキ「……ごめんなさい。コアガンダムαは………。」
事の経緯は全てアルマに話した。
アルマ「……そうか……辛い思いをしたんだねヒビキ君。」
イチカ「ソウちゃん……。」
ヒビキ「アルマさん、僕は必ずαよりもすごいガンプラを作ります……絶対に……!」
その目にアルマは見覚えがあった。
アルマ「……ふ、流石だな君たちは。ならば僕も君達のために尽力するとしよう。さぁ、もうすぐ閉会式だ、ついてきたまえ。」
アルマに続きイチカとヒビキはその後ろをついて行った。
ストーカー「皆様!名残惜しいですが湯の森ゲリラバトル終了でございます!盛大な拍手を!!」
わっと歓声が上がり、拍手が広がる。ゲリラバトル自体は想定外の事も多くあったが、それでもみんなが楽しめる大会になった。
ここまでの大会が出来るのもアルマの政治手腕があってこその事だ。
ストーカー「それでは皆様!閉会の合図にご唱和ください!行きますよー!!希望の未来へ!」
「「「レディー!ゴー!」」」
ヒビキはαを失い、二日ほど学校を休んでいた。
兄の大切な思い出のガンプラであったαは、ヒビキにとって兄と過ごした思い出と、共に戦って来た記憶が刻み込まれたこの世に一つしかない大切な代物だった。
その日の正午頃
αを失い、陽の光を浴びながら廃人のようになっていたヒビキの前に1人の客人が訪れた。
キノ「ヒビキさん。」
家の外から中性的な姿の人が声をかけて来た。
降霊 義之(フレイ・キノ)、零斗の姿をはっきりと見ることができる数少ない人間の1人だ。
彼女は幽霊になった零斗の相棒ような存在だ。
そして、彼女もまたレイト、ヒビキと同様にコアガンダムを操るファイターだ。
ヒビキ「キノさん…学校は…?」
キノ「早退して来ました。」
ヒビキ「どうして?」
キノは少し顔を険しくして、言う
キノ「話はイチカさんに聞きました。レイトさんのガンプラを失くされたと…。」
ヒビキ「………。」
キノ「だから、心配になってここへ来たんです。」
ヒビキは表情を変えずに驚いた。
ヒビキ「どうして…?」
キノ「どうしてって…貴方の事をもっと心配している人がいるから…かな…。」
そう言葉を吐くと、ヒビキは少しずつ表情を取り戻していく。
数分後…
家の中に迎えられたキノは2人で話を進めていく。
ヒビキ「僕を心配している人が…いる?」
キノ「はい。」
ヒビキ「イチカや、レイカさんじゃなくて…?」
キノ「みんな、貴方を心配していますよ。でも…もっと大切な…人が貴方の事を心配しています。」
数十秒、心当たりのある人を考えていると、とある一つの答えに行き着いた。
ヒビキ「兄さん…?」
キノはゆっくり頷いた。
キノ「はい。レイトさんです。」
ヒビキ「そんなバカな…兄さんはあの時、僕の身体を借りてそのまま…」
(ビルドブレイカーズ外伝 After ZERO参照)
キノ「貴方のお兄さんがそう簡単に成仏するでしょうか…?」
キノはヒビキをうまくいいくるめた。
そして…
キノ「ヒビキさん、僕は貴方にこれを渡しに来ました。」
そう言って、ポーチから取り出した物は黒いコアガンダムだった。
コアガンダムZERO、レイトが死後に残したとされるコアガンダムの一機だ。
ヒビキはそれを見て焦りだす。
ヒビキ「コアガンダムZERO…!?そんな…!これは流石に僕には…」
キノは首を振り、言葉を返す。
キノ「これは、貴方が持つべきです。僕よりもずっと技術を持っているヒビキさんだからこそです。それに…僕のような下手っぴが使うよりもヒビキさんに使ってもらう方がZEROも喜びます。」
ヒビキには良い話である。コアガンダムZEROもレイトの作ったガンプラの一機という事もあり、操作性は全く同じように使えるからだ。またZERO自身にもレイトとの記憶が刻まれている為、思い出と共にまた闘える。こんなに美味しい話はそうそう無い。
だが…ヒビキは断った。
ヒビキ「キノさん、ありがとう。でも、僕にこれを受け取る事はできない。」
キノ「え…?」
ヒビキ「だって、ZEROの中には兄さんとキノさんの思い出が刻まれているから。そんな大切なガンプラを僕が持つには相応しく無い。」
キノ「で…でも…」
ヒビキ「大丈夫。これで、決心がついたよ。僕の…僕だけの新しいガンプラを作る決心を。」
ヒビキは手にしていた小さく光り輝くパーツの一部と思われるものを握り、決意する。
キノはその言葉を聞いて、ホッとしたような表情を見せた。
キノ「そうですか…。それならよかったです。」
そうして、ヒビキが決意したあと、キノはヒビキの家を後にする。
その後、キノは独り言を口にした。
キノ「僕が想像していた通りだった…かな。」
ZERO「ちょっとキノさん。なんで俺を渡そうとしたんです?」
キノ「ん〜…さっき話したけどなぁ。」
ZERO「え?本気で俺を渡そうとしたの!?そりゃ無いよ!」
キノ「まぁ、でも良かったじゃん。貰われなくて。」
ZERO「失礼な言い方するなぁ…」
キノは空を見上げながら、小さく呟いた。
キノ「これで良いんですよね。レイトさん…貴方の弟はとても強く成長してますよ。多分…貴方が思っているよりもずっと…」
電之商店にて
アマリ「ふふ、今日も売上は好調!バイトお疲れ様みんな!」
イチカ「ふぁぁ、やっと終わったぁ……。」
ツルギ「今日もいっぱい頑張りましたね。」
エタ「まぁこの可愛くて美しくいだけじゃなく強い美少女エタがいるんですから当然ですね。」
ヒビキ「……なんかすごく自意識過剰な気が……。」
エタ「何か言いましたか?」
ヒビキ「いいえなにも。」
レイカ「………そうね。」
(いけない……今日あんまり集中出来てない気がする……。)
皆がいつも通り元気な中、どこかレイカは消極的に見えた。
そしてアマリが電卓で今日の売上の計算をしていた時、ヒビキがレジにやってきた。
ヒビキ「あの、アマリさん。」
アマリ「あら、どうしたのヒビキ君?」
そこからヒビキは家でも部活でもガンプラ作りに勤しんだ。
ヒビキ『ちょっとだけ売られてるガンプラを見せてくれませんか?』
アマリ『あらあら、お易い御用よ♪』
ヒビキ『これで………!!』
~三日後~
ガンプラ部の部室でみんながシュミレーションをしてる中、ヒビキは一人ガンプラ制作をしていた。
ヒビキ「……うーん、違う。もっとこう……。」
レイト『うーん、まだ改良の余地があるな……。』
その集中力はかつてのレイトを思い出させた。
ツルギ「あ……もうイチカったら!」
イチカ「ふっふん、シュミレーション勝者の権限だもーん。」
セイラ「もう少し改良点がありそうですね。」
皆がシュミレーションを終えて帰宅準備を始める。
ツルギ「ヒビキさん、帰りますよ?」
ヒビキ「先に帰ってて、僕が最後に戸締りしておくから。」
セイラ「分かりました。あとは任せます。」
コハル「よろしくー。」
ぞろぞろとガンプラ部のメンバーが帰る中、ヒビキはシロー先生に気づかれるまで何時間もギリギリまで学校に残りガンプラの制作を続けていた。
「ヒビキー、ご飯よ。」
ヒビキ「はーい、すぐ降りる!」
ミナト「……ヒビキ、最近ちゃんと寝ているの?」
ヒビキに声をかけたのは有音 湊音(アリネ・ミナト)。ヒビキの母である。
ヒビキ「……いや、あんまり。」
最近はガンプラ制作に時間を費やしていてあまり眠れていない。
ミナト「いい、ヒビキ。無理だけはしないで健康第一によ?」
ヒビキ「分かってるって…ごちそうさま!」
ご飯をかき込んでまたガンプラ制作に務める。
ヒビキ(僕がこの機体を完成させるんだ……!)
ミナト(……あの子もやっぱりレイトにそっくりね。本当にむりをしないで欲しいけど……。)
ヒビキ(これをこうすれば……いや、違う。僕なら………。)
熱心に、ただ熱心に己のガンプラを作り上げていた。
ニッパーが、カッターが、マーカーが、あらゆるもの、何よりガンプラがヒビキに答えていく。
長く時間を費やし、完成へと向かい行く。
あの時の昂りを感動を忘れない為に。
約束を守る為に。
ヒビキ「………よし、今日はここまでにしよう!」
そう言って寝床につき、最近あまり寝れてないのかすぐに寝着いた。
その暗闇で綺麗な青き双眸が瞬く。
主の知らぬところで聞こえる声。
『祝福あれ』
その言葉と共に双眸の光はしばしの間消えた。
レイカは絶不調だった。
「はぁ……はぁ………。」
小さなことでの息切れ、乱れる呼吸。
震える手、震える足。
風邪でもなんでもない、身体は至って健康だ。
しかし、彼女は負け続けた。
あの時の敗北からずっと……。
レイカ「……対戦、ありがとうございました……。」
イチカ「レイカ姉……。」
ヒソヒソと響く噂話。
「ねぇ知ってる?レイカさん負けたんだって。」
「嘘だろ?今まで湯の森最強だったのに?」
「しかもそれ以来ずっと負けてるのよ……なんだか心配。」
「まあ、俺もファンだし心配なんだよなぁ。」
「別にいいんじゃない?ずっと最強気取って調子乗ってた罰よ。」
「そんなふうに言わなくても……」
「でも皆心の内では清々してるんだろ?元はと言えばコイツがいるから皆学校でガンプラバトルしなくなったんだしさ。」
「ちょっと!!いくらなんでも!!」
強さとは比例して批判も生む。
その痛烈な言葉は例え心に傷がついていようとも関係の無いこと。
レイカ「………。」
放課後になって、ガンプラ部が休みの中、一人バトルシュミレーターを使っていた。
ヒビキが見つけたあの時と同じもので。
だが……現実は非情だ。
レイカ「どう……して……?」
その時、ブラックサンダーを取りに来たイチカが部室に入る。
イチカ「ちょ!?レイカ姉どうしたの!!」
涙を流すレイカを見て、イチカが動揺しながら駆け寄る。レイカが泣く事など滅多にないからだ。
レイカ「イチカ……どうしよう……私……私……。」
イチカ「どうしたのレイカ姉?何かあったのなら言って?」
その次の瞬間、イチカは絶句した。
イチカ「……え?」
レイカ「技が……出ないの………。」
どれだけのことをしても、どれだけのことにも挫ける事無く無類の強さを発揮していた。
しかし、それはただのその場しのぎにしかすぎない。
湯の森の戦女神の動揺はもはやどうしようもないレベルだ。
戦女神の心は………。
既に壊れていた……。
イチカ「レイカ姉達抜きでも強くならないと……。」
コハル「……いつまで子供でいるんだか。」
アキト「……よし、決めた。」
セイラ「見えた、新しい進化を!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第三十八話「終局へのメッセージ」
それでは次回も!
ガンプラファイト!
レディーゴー!!!