ガンダムビルドブレイカーズforWAR   作:Wandarel

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皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、約束されたレイカの帰還に喜びながらも、内心焦りや力不足を感じていたイチカですが、そんな集中力が欠けていたが故に約束をすっぽかしそうになっていました。
そんな折に来たのはその約束をした相手、ルリネ・エタだったのです!
二人の行く末がとても気になります!
それでは!
ガンプラファイト!レディーゴー!


第四十八話「剣と斧とデート・後編」

二人は歩きながら談笑する。

イチカ「聞いてよエタっち、この間ね床に落としたニッパー取ろうしてタンスの角に小指ぶつけたんだよね。」

エタ「100ファンブルじゃないですか。」

イチカ「もーすっごい痛くてさホントに……。」

そう言いながらたどり着いたのは電之商店もある湯の森商店街である。

イチカ「たのもー!!」

「あらいらっしゃいイチカちゃん……あら、今日はエタちゃんも一緒なのね〜!」

今日はお肉屋のおばちゃんの所に寄っていた。

エタ「おばちゃん、コロッケ二つください。」

「あいよぉ〜、二人共仲良しだねぇ。」

イチカ「えへへへぇ、大親友だもんね!」

エタ「え?恋人じゃないんですか?」

イチカ「なにそれ初耳なんだけど」

「はぁーい、コロッケ二つどーぞ!合わせて150円だね!」

エタ「じゃあ一括で私が。」

イチカ「いいの?」

エタ「いいですよ。」

イチカ「(∩´∀`)∩ワーイ」

「はぁーい毎度あり!またね、イチカちゃんエタちゃん!」

イチカ「アディオース!」

エタ「また来ます。」

そして食べ歩きながら、エタはふとイチカの顔を覗く。

その顔はとても悲しそうにエタには見えた。

エタ「……いっちゃん。」

イチカ「ふぁっ!?な、なに?」

エタ「ソースついてますよ。」

イチカ「お、ありがと!」

話しかけてる時は元気そうにしてるが、目を離すとやっぱり何か抱え込んでいる。

エタ「水族館行きましょう。」

イチカ「お?いいねぇ!行こう行こう!」

二人は水族館へと向かい歩く。

イチカ「うわぁぁー!見て!シャチ!!」

エタ「海のギャングですね。」

イチカ「あ!ウナギもいる!」

エタ「え、ウナギもいるんですか?」

イチカ「おぉ!!タコもいる!!」

エタ「なるほどシャウタコンボですか。」

イチカ「ん?なんの事?」

エタ「いっちゃんは知らないことです。」

イチカ「んー?ま、いっか。」

水族館を歩いていると、エタはふとイチカが隣にいない事に気づき後ろをむくとイチカがイルカの水槽を見ていた。

イチカの目線の先のイルカ達は仲良さそうに泳いでいる。

説明を見る限り、昔からの付き合いのある親友同士だそうだ。

イチカ「………。」

エタ「……いっちゃん?」

イチカ「うぁぁ!?どうしたのエタっち?」

エタ「ついてきてないから迷子センターにいるのかと思いましたよ。」

ひどく驚いたイチカにエタは呆れながらそう言った。

イチカ「だぁぁれが迷子だコノヤロー!」

そう言ってイチカはエタの頭をわしゃわしゃとしてくる。

それでも、少し目を離せばイチカの表情は曇る。

エタ「………。」

イチカ「あ!見て見てエタっち!アザラシだ!」

エタ「可愛らしいですね。」

アザラシがこっちを見てペチペチと自分の身体を叩き出した。

イチカ「かわよい……。」

エタ「来て良かったですね。」

そして本命のイルカショーが始まる。

この湯の森水族館のイルカショーはかなり有名でメディアにもちょくちょく取り上げられている。

「よーし!ハイジャンプ!」

「キュー!!」

飼育員の指示を的確に聞き取り、完璧なパフォーマンスを披露する。

だがすごいのはここからだ。

「よーしみんな!最後にブレイクダンスー!!」

イチカ&エタ「わーい!」

「キュイー!!」

するとイルカたちは中央に集まり、まるでブレイクダンスをするかのように水上をぐるぐると回る。

統一性がある動きの最中、飼育員が指笛を鳴らすと一斉に全てのイルカが自由なダンスやパフォーマンスを始めた。

「皆様!イルカショーをご覧になりありがとうございました!!」

拍手が起こり、イルカショーは閉幕した。

イチカ「いやーすごかったねぇエタっち。」

エタ「えぇ。少なくともいっちゃんより賢そうでした。」

イチカ「え私平均点以上取ってるよ。」

エタ「そういうところです。」

イチカ「……ナニイッテンダコイツ」

エタ「じゃあ、次はレストランに行きましょうか。ちょうど水族館のレストランやってますし。」

イチカ「おぉー!」

湯の森水族館のレストランの料理はとても美味しいと評判だ。

???「いらっしゃいませ〜」

レストランに入ると、イチカには聞き覚えのある声が聞こえた。

イチカ「その声……ケイラさん?」

ケイラ「あら?イチカちゃん?」

最近、湯の森高校で教員になったゼル=クロシェフィールドの妹であるケイラ=クロシェフィールドだった。

イチカ「久しぶりケイラさん。もしかしてバイト?」

ケイラ「そう、アルバイトなのよぉ。それにしても大きくなったわねぇイチカちゃん〜……あら、お隣の子は?」

イチカ「大親友!エタっちだよ!」

エタ「初めまして、ルリネ=エタです。」

ケイラ「あらまぁ、礼儀正しい子ね……っていけないいけない。お客様である以上案内しないと。ついてきて〜。」

ケイラの後に続いて二人は席に着く。

ケイラ「はい、これメニュー表。決まったらそこのベルを押してね?」

イチカ「はいなー。」

エタ「はい。」

イチカ「なーににしよっかなぁー」

エタは目の前のイチカを眺める。

イチカ「ん?どしたエタっち?」

エタ「いえ、子供みたいにはしゃいでるなって。」

イチカ「なんか一言余計なんだよなホント。」

先程頼んだ料理が早い段階でやってくる。

ケイラ「はーい、海老のクリームパスタと海鮮サンドイッチお待たせしました〜。ごゆっくりねー。」

ウインクしながら料理を提供したケイラが他のテーブルへと向かっていく。

イチカ「いただきまーす!」

エタ「いただきます。」

一口食べるだけで海の幸が口の中で広がり爆発を起こした。

イチカ「うんむぁぁぁ!!!」

エタ「大声で騒がない。」

勢いよく食べるイチカをエタが眺める。

エタ「いっちゃん、ほっぺにクリームついてますよ。」

イチカ「ん?マジ?」

エタが拭き取り、また食事を始める。

いつもならイチカが喋っているところだが、珍しく静かな食事となった。

イチカ「ごちそうさまぁ!」

エタ「ごちそうさまでした。」

イチカ「割勘でいい?」

エタ「当然ですよね?」

イチカ「だよねぇ〜」

二人が財布を取り出し会計に向かう。

ケイラ「お会計2340円になります〜。」

イチカ「一緒で!」

既にエタから代金を貰っているイチカは手早く支払った。

ケイラ「ありがとうございました、またお越しくださいね〜。」

イチカ「じゃあねケイラ!」

エタ「それでは〜。」

二人は水族館を出て歩く。

歩くペースはイチカがとても早い。

エタ「いっちゃん、歩くのはやすぎ。」

イチカ「ん?そう??」

エタ「それに、メインは残ってますよ。」

イチカ「んー?」

そして着いたのはGPDアリーナが付属している大規模の練習場だった。

イチカ「……ほぇー、ここ私とレイカ姉しか知らないと思ってたんだけどな。」

エタ「こっそりついて行ってました。ブイ。」

イチカ「むむ!ストーカー!」

エタ「いっちゃん、手元にダブルオーザクが無くっても全力全開ですよね?」

イチカ「……どうだろうね。」

エタはデバイスを、イチカはプラモトレースシステム、そして互いにガンプラを取り出す。

エタはヴァルキュリアを取り出すが、その姿は大きく異なっている。

イチカはダブルオーザクの修復中の為、代理の機体である

「NEOジオニックガンダム」を取りだした。

νジオンガンダムに習ってイチカが作り上げた機体でありカラーリングはザクをベースとしたグリーンである。

背中には大きなジオン勲章を模したジオニックソードを背負っていた。

エタ「ガンダムヴァルキュリアX、行きます。」

イチカ「NEOジオニックガンダム!出る!」

二人はホログラムカタパルトより出撃した。

バトルフィールドに選ばれたのはダイバーシティ東京風のフィールド。

街並みなどがあり障害物もそれなりにあるスタンダードなフィールドだ。

エタ「いつの間にそんな機体を?」

イチカ「ロストデスティニーの構築の時に作ったんだ。すごいでしょ?」

エタ「ええ、凄いですよ。」

イチカ「むしろエタっちのヴァルキュリアもだいぶイメチェンしたね。」

エタ「たまにはこういうのもいいかなって。」

互いに構え、一瞬の静寂が通り過ぎる。

イチカ「ガンプラファイト、レディーゴー!!」

先手はイチカが取った。

改造されたザクマシンガン二丁で弾幕をばら撒きながら近づいてくる。

エタ「随分ぬるい攻撃ですね。」

ビームサーベルを取り出し瞬時に弾幕を斬り裂く。

一気に距離を詰めたイチカはビームサーベルを取り出しエタと斬り合いに持ち込む。

ビームとビームが弾かれる音が辺りにひびきわたる。

そして、2つのビームが鍔迫り合いを起こした。

双方が至近距離で睨み合い、力が拮抗していた。

瞬間、NEOジオニックガンダムが突然、頭部バルカンをヴァルキュリアXに撃ち込んだ。

エタ「うわ……!」

頭部のダメージを懸念し、ヴァルキュリアXが蹴りで無理やり距離を作った。

瞬間的な判断により、ダメージ自体は軽微なものだった。

エタ「いつもみたいにバルカンって言わないんですね。」

イチカ「…まぁね。」

互いの牽制による空白はすぐに埋まった。

瞬間、ヴァルキュリアXの眼が妖しく光る。

イチカ(……纏う空気が変わった。仕掛けるなら……?)

一瞬の思考、それが後手に回る。

いつの間にか目の前にいたはずのヴァルキュリアXを見失っていたのだ

ここでイチカはプラモトレースの力をフルに発揮した。

本来なら不可能に近いであろう動き。

背後から振り下ろされた大型ビームサーベルを背中を向けたまま背中にマウントされていた大型実体剣ジオニックブレイドを抜刀することで受け止めた。

そして今度は意趣返しのようにイチカが後ろ蹴りで距離を開けさせた。

イチカは思わず冷や汗をかく。

イチカ(なんだ今のスピード……いくらなんでも早すぎるでしょ。)

その様子にエタは不敵に笑うだけだった。

エタ「ふふ……。」

だが、イチカは即座に見抜いた。

イチカ「……なるほど、今まで詰め込んでた近接武器を絞ってきてスピード特化にした感じか……ぶっ壊れにもほどがあるんじゃない?」

その言葉にエタは少し驚いた。

エタ「流石ですねいっちゃん。少しの戦闘でそこまで見抜けるなんて。」

イチカ「伊達に湯の森高校の最強格じゃないからねぇ。」

そうは言うものの、イチカは思考を練り続けている。

イチカ(今言った言葉はブラフも視野に入れないといけない。音声入力でのサポートデバイスも可能性として有り得る。……なら!!)

そんなイチカをよそにエタは、ヴァルキュリアXはビームサーベルを構えゆっくりと近づいてくる。

ヴァルキュリアXのビームサーベル、形状はXの物だろうが、少々改造が施されているようだ。そして何より……

イチカ(!!?)

突然ビームサーベルの形状が変形し細剣(レイピア)となり、素早い刺突が音ともにNEOジオニックガンダムを襲う。

だが、激しい金属音に阻まれた。

いつの間にかNEOジオニックガンダムが手に持っていた背中の改造した大型のシールドである。

エタ「かった……。」

イチカ「忘れたの?私の異名は湯の森の絶壁だよ!」

瞬間的にイチカはジオニックブレイドで斬りつけるが、エタはそれを見越し後方へと一回転して飛び、華麗な回避を見せた。

エタ「なら今日はその壁を越えてみようかな。」

イチカ「望むところ!!」

そして着地したタイミングで再びイチカがザクマシンガンの乱射を行う。

エタ「言いましたよね?それはもう通じないって。」

余裕をもってエタが弾幕を弾……かずに回避行動に移った。

エタ(いつの間に……。)

撃たれていたのはビーム弾。イチカは盾で防いでいる間に2丁あるザクマシンガンのうち、1丁のマガジンを実弾からビームに入れ替えていたのだ。

イチカ「タクティカルアームズ式ってね!!」

再び弾幕を乱射する。

流石の高度な技量を持つエタをもってしても相当な動体視力がなければ弾けない。

エタ「でもこれなら……!」

加減速を活かし、弾幕の数々を躱していく。

イチカ「チッ!!」

さすがの機動力だ、当てられる気がしない。

イチカ「でも!!」

ここでイチカのセンスが発揮される。

迷わずエタの進行方向に大型の盾を投擲した。

エタ「!!」

突然の投擲にも反応し、エタは反射的にビームダガーをNEOジオニックガンダムに向けて投擲する。

……だが既にイチカはそこにいなかった。

ほぼ真下、そんな場所にNEOジオニックガンダムは既に盾を回収し特殊な形の片手剣となっていたジオニックソードをかまえ、そのままの勢いで……大型の斧に変形した。

イチカ「ちょいさぁ!!!」

斧が斬り上がり、ヴァルキュリアXを打ち上げる。

エタ「マジですか……。」

寸前でビームサーベルで防御をしていたが、それでもある程度の貫通ダメージが入っている。

その証拠に本体からバチバチと小さな火花が飛んでいた。

だが、いくら機動性が高くとも空中だ。

エタ「マズイですね。」

こうなった以上はイチカの独壇場。

イチカ「ファイヤー!!!」

あらゆる射撃武装がヴァルキュリアX目掛けて飛び交う。

実弾、ミサイル、ビーム、数多の射撃武装が次々と火を噴き、エタの機体を蜂の巣にせんと言わんばかりに弾幕が太く、広く張られていく。

無論、エタもそれを計算に入れていないわけではない。

エタ「全く、とことんめんどっちいですね。」

(とはいえ、多少の被弾は覚悟すべき……か。)

金属音を鳴らしながらエタはその数多の弾幕を弾き始めた。

一手一手、回避できるものは回避し、避けきれないものを弾く。

単純ながらもイチカ含めた弾幕の使い手を相手とするならば難易度は極端に上がる。

そのヴァルキュリアXの姿は正しく不規則な回転をする独楽(コマ)のようだった。

そうして弾幕を捌き、互いに距離を取り静寂が訪れる。

エタ「それにしてもなんですかそれ。」

あまりにも奇怪な動きをする武器。

ジオニックソードを模した大型の盾と片手剣だったはずだ。

イチカ「ジオニックチャージアックスってやつ。私がよかやってるハンティングアクションゲームの武器を私なりに落とし込んだんだ。どーよ!」

エタ「私もそのゲームやってるんですから分からないと思ったんですか?」

イチカ「じゃあなんで聞いたの?!」

エタ「そうですね……今のいっちゃんが嫌いだからです。」

イチカ「うぇっ...!?」

一瞬の動揺、それをエタのヴァルキュリアXが狩る。

致命傷は回避したものの、NEOジオニックガンダムの肩を削られた。

すかさず、エタが携えていたビームライフルを撃ち込む。

イチカ「うわっち!?」

いつもなら持ってないであろう武器、ビームライフルはイチカにとって想定外だった。

イチカ「それがエタっちの答えってわけね!」

エタ「えぇ。これは私なりのいっちゃんへの答えです。」

その問答と共にもう一度大型ビームサーベルと汎用のビームサーベルを構えた。

イチカ「上等!」

NEOジオニックガンダムが変形し元の片手剣の姿に戻ったジオニックチャージアックスを手に突き進む。

再び激しく金属音、ビームの音が響き渡り、火花が散る。

そして、剣戟の果てに互いの距離がゼロになる。

ギリギリと火花を上げながら力の押し合いが始まった。

エタ「いっちゃん、いい加減その強がりも辞めたらどうなんです?」

イチカ「…強がってなんかないよ。」

剣戟の中でも二人の会話は止まらない。しかし、一瞬でも見えたその部分をエタは見逃さない。

エタ「うそつき、そうやって強がって隠しても私には分かるんですよ。」

ヴァルキュリアがNEOジオニックガンダムを弾き、押し倒す。

剣で斬るではなく、押し倒したのだ。

エタ「レイカさんが居なくなって寂しい癖に我慢ばっかりしちゃって。」

イチカ「寂しくなんかないよ。」

エタ「じゃあ……。」

突然ヴァルキュリアXとNEOジオニックガンダムの頭部がぶつかり合う。

とても大きな衝撃だった。

イチカ「いっつ……!」

無論、プラモトレース故にリアルな衝撃がイチカを襲う。

エタ「今さっき見せた隙はなんです?いつものいっちゃんならそんな事しない。」

すかさず、大型ビームサーベルの柄で追撃を入れる。

しかし、イチカはそれを勘で回避する。

イチカ「わかったような口を聞いて!!」

エタ「分かってますよ。いっちゃんと一時的とはいえ一緒の家に住んで色んなことをしてきたんですから。」

NEOジオニックガンダムが盾でヴァルキュリアXを殴る。

イチカ「………寂しいよ。」

この時、エタの目の前のイチカは涙を流していた。

イチカ「寂しくないわけないじゃんか!!」

ボロボロとイチカが泣き始めた。

イチカ「レイカ姉が辛かったことも…分かってる。でも、

私はレイカ姉がいなくなった湯の森ガンプラ部は寂しいんだよ……。」

気がつけば感情に任せて叫んでいた。

抑えきれなかった。

イチカ「私が……レイカ姉の居場所を作りたかった……!」

エタはただ無言で攻撃することもなく、話を聞き続ける。

イチカ「レイカ姉も……ミタマっちもいなくなった。私はもう嫌だよ友達が、家族が目の前で居なくなっちゃうのは……。いつか別れなきゃいけないのはわかってるけど……もう辛いよ私…。」

イチカはそのまま、泣きながらその場に膝をつく。

プラモトレースをしているNEOジオニックガンダムも同様だった。

エタ「ようやく言ってくれましたね。」

ゆっくりとヴァルキュリアXは近づいていく。

そして、NEOジオニックガンダムを抱きしめた。

エタ「いいんです、今は泣いたって。私はいつだって隣にいます。ガンプラ部のみんなも居てくれます。だから、辛くなった時、泣きたくなった時はいつでも言ってください。私に出来ることはせめてそんなことしか出来ない。貴方は私の大切な人なのですから。大好きな貴方に出来る唯一のことを私が……。」

抱きしめ、背中をさすりながらエタは言った。

自分の心の奥底にある感情も、きっと世間でいえば間違いなのかもしれない。それでも。

エタ「それでも私は、貴方が好きですから。」

いつの間にかエタの頬に一筋の涙が伝う。

だがそれは本人も自覚することなく、地面へと落ちる。

イチカ「……ありがと。少し時間ちょうだい。」

エタ「いいですよ。」

イチカは立ち上がり、ポケットから取り出したブラックサンダーを1つ頬張る。

ボリボリと噛み締め、飲み込んだ。

イチカが顔をあげる。

エタ「!」

その顔は、正しく不敵な笑み。

そしてその双眸は青く澄み渡っている。

電之一華が、そして電之零華が湯ノ森最強の一角と呼ばれる所以。

それはこの不敵な笑みだ。

強者へと挑むその姿勢こそが彼女を引き立たせる。

エタ「おかえり、いっちゃん。」

イチカ「ただいま、エタっち。」

双方が顔を見つめ合う。

イチカ「第2ラウンド開始だぁッ!!!」

振り切ったイチカが吼える。

イチカ「必殺の!!ジオニックタァァァックルッ!!」

その声とともにNEOジオニックガンダムがとてつもないスピードでタックルを仕掛ける。

無論、ザクのスパイクショルダーを採用しているので当たればひとたまりも無い。

そんな中、エタが選んだ選択肢は……

エタ「ふんっ!!!!」

真正面から受け止めることだった!!

大きく、大きく轟音を立てながら後ろへと押し込まれていく。

イチカ「どーしたどーした!!そんな貧相な耐久力じゃ押し潰しちゃうよ!!」

いつものような取り繕うことのない無邪気な笑顔で恐ろしい事を言ってのけるイチカ。

それを見て、エタはついニヤつく。

エタ「何も止められないわけじゃないんです……よッ!!!」

ヴァルキュリアXのバックパックが少し変形し、思いっきりスラスターを吹かせる。

そしてなんと、あのタックルを止め切ってみせたのだ!

イチカ「うえっ!?止められた!!」

エタ「ここは、私の距離です!」

瞬時にビームサーベルが振るわれるが無論、イチカもそれを想定し回避する。

………が。

イチカ「!!?」

その先に物理砲撃が飛んできていた。

NEOジオニックガンダムが直撃し、後方へ飛ぶ。

イチカ「一体どこから……!!」

エタ「腰のコレは飾りじゃないですよ。」

そう、ヴァルキュリアXの腰部に備え付けられたクスィフィアスレール砲が火を吹いた。

ほぼ不意打ちだったものの、それでもダメージはでかい。

イチカ「でも、まだまだだよ、いけ!ブルファンネル!!」

イチカもまた腰部に備え付けられたテリブルファンネルを射出する。

エタ「ホントにみんなファンネルが好きですね!」

一見νジオンガンダムのテリブルファンネルと思ったが、このファンネルはGNファングのような刺突がメインのようだ。

ヴァルキュリアXがそれを弾きながらもNEOジオニックガンダムを捉えようとするが、動きが早い。

エタ(捉えきれない、さすがいっちゃん。)

イチカ「ボサっとしてるよ!」

そのファンネルの中でザクマシンガン二丁とミサイルポッドが火を吹く。

イチカ(さっきとは段違いの難易度だよ!まず弾くことはできない!!)

イチカもそう判断していた。

しかし……。

エタ「甘いですね。」

唐突にヴァルキュリアXがビームサーベルを投擲し、的確にビームライフルでビーム刃を撃ち抜いた。

イチカ「!!?」

ビームコンフューズ。Zガンダムがやってのけたあの芸当を、エタはその技量のみでやってのけた。

ミサイルやブルファンネルが次々と落とされる上、ザクマシンガンの弾幕も持ち前のスピードで避けられた。

エタ「そこ。」

そして、なんと大型ビームサーベルの形状が変わり、ムチのようにしなり、NEOジオニックガンダムを襲う。

イチカ「うわわわわ!!あいた!!」

被弾させながら、ムチで投擲したビームサーベルも回収し、再び互いが向き直る。

イチカ「もうなんでもありじゃん!!」

そう言ってNEOジオニックガンダムがジオニックブレイドを引き抜き縦を構えながら近接戦を仕掛ける。

エタ「いっちゃんのダブルオーザクの方がめちゃくちゃですよ。」

ヴァルキュリアXもそれに呼応するようにビームソードを構えた。

イチカ「てぇぇやぁぁぁっ!!!」

大きく吼えるイチカに対し、エタは淡々と攻撃をいなす。

エタ(まだ早い。仕掛けるのはもっと先だ。)

大きく衝突音が響き、2人の熱狂が、ボルテージが大きくなる。

そして、その時は来た。

イチカ「チェストォォっ!!」

大きく振りかぶったその時だった。

エタ(ここ。)

ほんの少しの間だった。

たったのその間にヴァルキュリアXのXバスターユニットとビームライフルを合体させた複合大剣となった。

その名も「Xバスターソード」

圧倒的な質量とGN粒子を纏った刀身の切れ味で全てを切り裂く代物だ。

それを下から打ち上げる形で逆袈裟に閃光か走る。

ガギャァァンと甲高い音と共にNEOジオニックガンダムが大きく仰け反った。

イチカ「うおっ!?」

奇しくも、イチカが新武器をお披露目した時の意趣返しとなった。

そしてそのまま機動力を生かし、NEOジオニックガンダムに高速で追撃を仕掛ける。

防戦一方になり、NEOジオニックガンダムは盾で防ぎながらジオニックブレイドで弾くしか今は手段がない。

イチカ「ぐっ……!!」

激しく繰り広げられる攻防、そして……

ガオン!!

突然、ヴァルキュリアXがレールキャノンを地面へ撃ち込み土煙を上げた。

イチカ「……これが最終ラウンドか。」

互いにダメージは大きい。

でかい一撃を貰えば終わりだろう。

全神経をイチカは集中させる。

それに連動するかのように、NEOジオニックガンダムの頭部に付いているモノアイも周囲を見渡し始める。

その瞬間、土煙が動いた。

イチカ「ふんぬ!!」

飛んできたビームサーベルを受け止める。

すかさず反撃をしようとした時……。

イチカ(……いない!?)

そこにあったのはビームサーベルのみ。

正確には柄の部分にビームリボンで包まれている。

つまり……。

NEOジオニックガンダムの背後からXバスターソードを振りかぶるヴァルキュリアXが現れた。

イチカ(ビンは最大値……やるしかない!!)

タイミングや流れがエタに持っていかれている今、やるしかない。NEOジオニックガンダム最大の必殺技。

大型の盾にジオニックブレイドを差し込み、構えた。

エタ(このタイミングで仕掛けてきますか……。)

正式名称は異なるがイチカがベースとして組み上げたこの武器の最終奥義のようなもの。

盾斧を大型の大剣にし、そのまま通常攻撃などで溜まった専用のダメージ増加ビンをねじ込み、大型の斧となって相手に高出力質量攻撃を叩きつける大技。

超高出力解放斬りまたの名を……

イチカ「ジオニックフルバスターッ!!」

至近距離で大技がぶつかり、互いに大きく飛んだ。

空中にいた分、エタの方が少々着地姿勢が悪かったがイチカは地上にいた分受け身を完全に出来ていた。

そのままNEOジオニックガンダムが追撃に入る。

エタ「まっず……。」

イチカ「はぁぁぁっ!!!」

ジオニックブレイドを引き抜き、盾との連携によるひたすらな連撃を重ねるNEOジオニックガンダム。

その応酬にXバスターソードを分離しビームサーベルで応戦し、再び火花と金属音が鳴り響く。

エタ(だいぶいっちゃんの調子を崩した。このまま押し切ります。)

イチカ「………えへっ。」

瞬間、イチカが不敵に笑った。

エタ(なにか来ますね。)

その瞬間、その連撃の隙間にガシュンという音がした。

なんと、盾の下先端の一部が飛び出してきたのである。

盾突きと呼ばれるその攻撃をエタは見切っていた……はずだった。

エタ「っ!!」

防御姿勢を取ろうとした瞬間、片腕に違和感。

いつの間にか二基のブルファンネルが突き刺さり、左腕のコントロールを奪っていた。

エタ(一体いつから!?)

イチカ「最初っからぁっ!!」

NEOジオニックガンダムが咆哮をあげるかのように突撃する。


数刻前

イチカ「第2ラウンド開始だぁッ!!」

(このタイミングで二基は別行動させておこっか。)


これを狙ってイチカは既にブルファンネル二基を別行動させ、事実上の隙を狙っていた。

無論、この隙は最大級だ。

イチカ「私のこの手がジオンに輝く!」

射程距離、絶対に逃れられない。

イチカ「栄光掴めと轟き吼える!!」

体勢も悪い、防御もこの位置では間に合わない。

イチカ「ジオニックッ!!フィンガァァァァッ!!!」

必殺の一撃がヴァルキュリアXを捉え、貫かれた。

イチカ「ジーク!!ジオ………?」

違和感。まるで空を切ったかのような感覚。

ジオニックフィンガーはヴァルキュリアXを捉えてなどいなかった。

エタ「ごめんねいっちゃん、今日は、今日だけは勝ちはあげない。」

青く輝いていたヴァルキュリアXがNEOジオニックガンダムの背後を取っていた。

イチカ「ワンセコンドトランザム!?でも色が……!」

既にその手には合体されたバスターソードがある。

エタ「これで終わりです。」

XバスターソードをNEOジオニックガンダムに突き刺した。

無論、NEOジオニックガンダムもブルファンネルや徒手空拳で引き剥がそうとしたがもう遅い。

エタ「湯ノ森の絶壁、陥落せり。」

突き刺したまま、ライザーソードのような高出力ビームでNEOジオニックガンダムをそのまま包み込みバトルエンドの音声が静かに鳴り響いた。


イチカ「いやー、やられたやられた。」

あまりの激戦の疲れでへたり込んでるイチカにエタが手を差し伸べる。

エタ「帰りますよ、いっちゃん。今度はダブルオーザクが相手でも勝ちますから。」

イチカ「ふっふん、NEOジオニックガンダムも、ロストデスティニーも、ダブルオーザクも最高傑作なんだから!」

エタ「知ってますよ。」

エタがそのままイチカを引っ張りあげるとその勢いのままイチカはエタに抱きついた。

イチカ「エタっち、ありがとう!大好きだよ!!」

その真意は分からない。

いつものとってつけた言葉かどうかは分からない。

エタ「私も大好きですよ、いっちゃん。」

そのまま2人は熱い抱擁を交わした。

未来へ、先へと歩むために。

抱えていた約束を果たすために。

そして今、そんな二人を邪魔するものなどいなかった。

エタ「帰りますよ、いっちゃん。」

イチカ「うん!」




アマリ「あら、久しぶり!」
ヨシモリ「え!?帰ってきたの!?」
イチカ「え!?」
レイカ「まさか?」
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第49話「荒熊の来訪・前編」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディー!ゴー!
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