左右に分かれ探索始め早数時間…館という程に巨大な物が全く見つからない。
もはやこちらにはないのだろうか…
一応あの本には『南の森』と記載があった。
この森にあるのは間違いない。
ただしそれは、紫の情報を信じるならだ。
残念ながら彼女に信頼はない。
というか全てが怪しいのだ彼女は。
まあその上子供を危険に晒したのだ。
むしろそれだけで信頼を無くすにも十分だ。
実際危険がなくとも、命を軽んじる行いは…私が最も許せない行為だ。
……とにかく本を信じて散策するしかない。
―――――
森を抜け、砂利の山が現れた。
つまりこちら側に館はないということだ。
となれば大妖精の方にあるのだろう。
あとは考えたくはないが…紫がやりそうなことでもあるが…南は南でも更に離れた森の可能性。
正直考えたくはない。
森を越え砂利山を越えた先に、更に別の森など考えたくはない。
だが……
―――――
「慧音先生…」
「その顔は…やはり洋館はなかったか…」
考えたくはなかったのだが…
それに大妖精も思ったようだ。
「あの紫のことだ…南に本当にあるのだろう。ただし…この森以外に…」
「……流石にこれ以上の遠出はチルノちゃん達が…」
「そうだな。すでに分かれてから一日経ってるし、リグルとミスティアに任せるにも(大妖精が)限界だろう。」
「はい…」
「…仕方ない。散策はまた今度にして今は帰ろう。」
「はい…」
しかし洋館はなくとも収穫はあった。
仮拠点の乱立、オウムの捕獲、少なくともこの森の安全はかなり確保したと言っていい。
木材の伐採にも困らなくなるし、また近い内に来るだろう。
石と木の安定供給はとても助かる。
今は拠点作りに集中しよう。
洋館探しはその後でも遅くはない。
―――――
「…あ!おかえりー!」
「おかえりなのだー!」
「ただいま。何か変わったことはあったか?」
「あ、そういえば牛達の柵の中に別の生き物が…」
「別?」
「近くにこの紐も落ちてて…」
「紐?…動物を抑えとくリードか…しかし何故…?」
「とにかく行きますか?大ちゃんはチルノ達見ててよ。」
「うん。」
リグルに言われるままに牛と羊のいる柵まで来た。
その中には、確かに見たことのない動物がいた。
羊…に似てなくもない程度の者が二匹。
羊と同じ体と、少し長い首の生物…少なくとも幻想郷にはいない。
「本にも何も書いてないから…どうしようかと…」
「成る程な…何か危険があったわけじゃないんだな?」
「はい。まあ何これ?って叩いたらつば吐かれましたけど…ハートは減らないです。」
「そ、そうか…まあ危険じゃないならこのままにしておこう。この世界の動物は何かしら役に立つ場合が多いしな。」
「分かりました。」
「柵は分けておこう。」
「羊の横に作りますね。」
「頼む。…しかし動物は地上で我々は地下か…」
「先生?」
「…よし。この際拠点を発展させよう。せめて地上で暮らせるよう家を建てるか…」
「え!?でもそんな専門知識なんて誰も…」
「必要ないさ。私と大妖精は既にやったが、ただの四角なら難しくない。過去野宿した時なんてもっと…」
「…先生?」
「…いやすまない関係なかったな。まあとにかく日の当たらない生活は健康に悪い。この世界の物理法則は何もかもデタラメだが、いつ崩れるか分からない洞窟で暮らす必要もないだろう。」
「じゃあ折角だし皆で色んな家作ってみませんか!?」
「ん?」
「ちょっとしたお祭りですよ!思えばサバイバルばっかりで遊びはあんまりしてないですからね…」
「…そうだな。何事も楽しむのは大事だ。」
「じゃあ皆に伝えてきますね!どうせなら家以外も整えますか…!牧場とか畑とか!」
「それでは村じゃないか…」
「じゃあいっそ村作りましょう!そしたら…蟲も集まるだろうし…」
「リグル?」
「何でもないですよ~とにかくそうしましょう!」
珍しく勢いの強いリグルに押され、皆で村を作ることになった。
次に紫が見る頃には…一体どんな拠点になっているだろうか…
分かると思うけど商人のラマです。つば吐いたの。商人はどこへ行ったんでしょうね~