突然現れた人間の子供は、見慣れない筒を持っている。
その先端から打ち出されたものは、油断していた化け物の頭部を撃ち抜く。
傷の一つも付かなかったが。
「やっぱり硬いなー…」
どちらも私に気付いていない。
茅の外というものだ。
ふざけるな。
「……!」
「!?うぉ…!」
私はその人間に飛びかかった。
持っている筒もろとも破壊する勢いで。
その攻撃は、弾く程度に留められた。
「…いきなり何するんだよ!てか何でこんなとこに…」
「邪魔をするな。」
「え……て、後ろ!」
怒りによって周りが見えていない?
そんな状態は三流のやることだ。
「あんたは少し…待ってろ!」
後ろから飛びかかる化け物を、頭を殴って叩き伏せる。
動きが単調なのは獣の性か。
とても頭を狙い易い。
しかしお前の番は後だ。
まずは…この邪魔者を排除する。
「ちょちょっと待ってくれ!」
「待たない。」
「あいつ行っちゃうって…」
「は?」
ふと化け物を見ると、いざ飛び立つ瞬間だった。
「……殺す。」
「俺!?」
いざ殴る直前、緑の煙幕が立ち上った。
「!?」
晴れる頃には、人間の姿はなかった。
(逃げられた…?)
まあいいだろう。
元々標的は他なのだ。
そちらを追うことにしよう。
当然、あの人間も次見つけたら殺す。
―――――
少し登った場所に洞窟があった。
あの化け物が通るにも十分な大きさがある。
もしかしたらこの中にいるかもしれない。
徐々に奥に進んで行く。
道は三つ。
一つは光が射し込む坂の上。
恐らくは山頂に出る。
残り二つは洞窟の奥のようだ。
山頂にいたことは知っている。
なのでとりあえず山頂に向かい、いなければ山を下る。
その前に洞窟を通るとしよう。
―――――
最初に通った道を全て通ったが、奴の姿は見つからなかった。
私は洞窟まで戻り、洞窟の奥へ向かった。
『――!』
「はぁ…雑魚が多いわね…」
逆に考えれば、奴の餌も多いということ。
もしかしたら、奥で食事をしているかもしれない。
「……」
だとしたら相当嘗めてる。
あの人間も、まだ狙っているとしたら来るかもしれない。
少し急ぐことにした。
いなければもう山にはいないだろう。
それなら仕方がないので、人間の村にでも向かうとしよう。
いれば狩る。
確実に…もう絶対に逃がさない。
―――――
「……」
洞窟の奥に、その巨体は転がっていた。
食事中どころか睡眠中だった。
どこまでも嘗めくさっている。
まあ…容赦はしない。
「…ふっ!」
「――!?」
頭部に傘を振り下ろす。
二度三度と振り下ろす。
この傘で、しかも私の腕力を耐えるこの体は確かに硬い。
しかしどれだけ硬い装甲も、永遠には耐えられない。
走り出そうとする化け物は、頭部への殴打で止まる。
壊れるまで何度でも。
何度でも何度でも何度でも。
私の腕は止まらない。
咆哮をしようと尻尾で叩き付けられようと、私の傘が止まることはない。
尻尾を突き刺し手を突き刺し、頭を殴り腹を蹴る。
数分後には、化け物はピクリとも動かなくなっていた。
「…ふふふ…」
これ程に愉しい相手がいる世界なら…もっと愉しめそうだ。
血みどろの手をした妖怪は、満面の笑顔で笑う。
いやー…なんかサイコパスみたいだわー…幽香ファン様ごめんなさい!