獲物を求めて移動する。
以前は雪山だったが、今回は密林のようだ。
この世界では、様々な環境に応じた数多くの化け物…モンスターが存在する。
今の標的は『リオレウス』と呼ばれる飛竜だ。
詳細は聞かないで来たために、飛ぶことしか分からない。
まあ…
「リオレウスは空の王者って呼ばれててな。火竜の名前通り火を吹くんだ。絶対に気を付けなきゃいけないのは爪。爪には毒がある。だから解毒薬は必須で…」
「何故貴方もいるのかしら?」
「へ?いや案内も兼ねて依頼を受けたから…」
「……邪魔をしたら殺す。死にたくなければ戦うな。」
「中々聞かない脅しだな…心配しなくても戦わないよ…モンスター二体相手出来るかよ…」
まあ妖怪は人間から見れば化け物だろうし今回は許そう。
人間…カッチャは元の馬車に戻る。
しかし竜となると、ティガレックスと比べて面倒な相手だろう。
今の私は空も飛べない。
弾幕も弱い。
対空手段は投げつけるくらいか。
火や毒程度はどうとでもなる。
「……」
手頃な石を持ち、その辺の獣に叩き付ける。
一撃で倒れる草食獣。
これは撃ち落とすのに使えるか…?
そう考え幾らか投擲物を回収した。
まあそもそも拠点…キャンプの青い箱。
支給品の中には投げナイフがあった。
どこぞのメイドも使っていたが、これが中々に面白い。
投擲物も岩やナイフがあれば十分だろう。
遠距離での戦闘よりも近距離の方が楽しいのだから。
肉を潰し骨砕く感触が…音が…なんとも心地良い…
―――――
「赤い体…草食獣の三、四倍の体躯…あれね。」
標的を見つけた。
池の水を飲む巨体の獣。
その姿はとても王者とは言えない姿だった。
勿論不意討ちでは面白くない。
全てを叩きのめし、絶望の中死に追いやる。
それが最高に楽しい時だ。
軽く石を投げる。
自分に敵対する者に対し、全てを獲物と見るその姿勢。
獣の王としては一級だろう。
もっとも…喧嘩を売る相手を見極める頭もない獣畜生に、王の称号は過ぎたものだが。
すぐに吠える。
耳を塞がなければ弱い人間なら死んでしまうかもしれない程の轟音。
ティガレックスもそうだが、モンスターは獲物を見つけると吠えるのか。
大きな隙だと何故分からないのか。
「煩い。」
傘を横に振る。
顔面を強打されたリオレウスは怯み、咆哮も止まった。
しかし王だけあり、すぐに羽ばたき火を吹いた。
ティガレックスなら動きが止まったことだろう。
火は一直線に私の頭上に。
「そんな炎で…この傘が焼けるとでも?」
傘を広げて防ぐ。
身で受けても問題はないが、服が焦げてしまう。
勿論獣に学習能力などない。
炎を二度三度と吐き続ける。
広げた傘は、一発たりとも逃すことなく弾き続ける。
ふとリオレウスのいた場所を確認すると…
「!いない…?」
どうやら火を吹きながら移動したようだ。
そしてその移動場所は…
「…!」
私の後ろだ。
迫り来る爪と傘を組み合い、振るって退かす。
「獣にも学習能力くらいはあるのね…」
背後からの奇襲…むしろ狩りをする獣だからこその思考だろうか。
(火は回避かしらね…向かって来るなら…)
全て叩き落とす。
それこそが…狩りだ。