東方異世界生活記 弍   作:ジシェ

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夏終わって今度は猫が布団に入ってくる…鼻水止まらない…本気で助けてほしいです…


monster5

タイラントワームの攻撃方法は至極単純。

体を大きく振り回すのみ。

後はドルマ系統の魔法だが…

 

(レベルが低い個体なら…ドルマ以上はないはず…)

 

あの巨体が全身をうねらせて攻撃してくるこの光景は、リアルに見たくない物だった。

ミミズの気持ち悪さとかではなく、圧倒的恐怖感と、体格差による絶望感。

まあ見慣れてるシャルロットちゃんからすれば、回避も難しくないのだろう。

それに基本的に大きい分遅いのだ。

引いてから振るまでに三秒、到達までに二秒…五秒もあればどうにでもなる。

シャルロットちゃんは飛べる上、体が小さい分避けやすい。

彼が戦う以上、私は離れていればいい。

援護兼囮として少しでも攻撃(投石)していれば、あの最強のモーモンは…

 

「キュー!」

 

必ず倒してくれる。

モーモンの攻撃手段は噛み付くだが、巨大な相手には効果はなかったのだろう。

最初からずっと体当たりしていた。

魔法はない。

技もない。

なら小さい体で出来る攻撃は体当たりのみ。

しかしてその威力は普通じゃない。

渾身の体当たりを繰り返し行うことで、ついにタイラントワームの体は倒れ込んだ。

 

「やった…?」

「キュー…」

 

『仲間』を倒さざるを得なかったからか、彼は黙祷を捧げていた。

 

「…お疲れ様でした。」

「キュー~…」

 

疲労に崩れるモーモンの身。

彼はマダムの愛玩動物。

故にレベルは1だったはずだ。

その身でタイラントワームと戦ったのだ。

いくら普通のモーモンじゃなくても、流石に保たないだろう。

 

「ゆっくりお休み下さい。本当に…お疲れ様でした。」

 

彼の事情を知っているからか、無意識にそんな風に言っていた。

ただただ、彼の哀愁纏う姿を支えたいがために―

 

―――――

 

眠るシャルロットちゃんを抱え、慎重に飛行船へ戻る。

正直休みたいし、単独での行動はかなり危険だが、そうも言ってられなくなった。

タイラントワームの目覚めが予想以上に早かったのだ。

この世界のモンスターは、一個体一個体が実に強い。

基本的にモンスターの死亡はないのだ。

例外は勿論あるし、必要なら留めを刺すが、こんな巨体は、留めすら刺せない。

だからタイラントワームもただ気絶していただけで、時間が経てば目覚める。

それは分かっていたことだ。

しかし早かった。

少なくともシャルロットちゃんより早かった。

一刻も早く逃げなければ、倒された恨みを晴らすべく、道の真ん中で戦闘を行う必要がでてくるかもしれない。

密林から近いとはいえ、飛行船は頑丈。

タイラントワームが来ても、なんとかはなるだろう。

そもそもそれぞれのエリアを担う巨大モンスターが、エリアから出ることはない。

その設定が生きているなら、きっと大丈夫だろう。

そう祈りながら、声にならない悲鳴を上げ、私は全力で

密林を駆け抜けた。

 

―――――

 

道中あらゆるモンスターに追い立てられた。

幸いなのは私の走る速度に追い付けるモンスターがパンサーだけだったことだ。

ベビーパンサーなら石ころでも怯んでくれる。

キラーパンサーは運よく遭遇しなかった。

とにもかくにも私達は飛行船にたどり着くことが出来た。

 

「はぁ…はぁ…ぜぇ…やっと…着いた…」

 

道中ほぼ全力疾走。

しかもモーモン抱えて走るなど、何の修行だろうか。

因みにモーモンの平均体重など知らないが、猫くらいはあった。

一日の疲労とは思えない程に疲れた私は、飛行船の椅子にシャルロットちゃんを置き、倒れ込むようにして自分も椅子に身を投げた。

 

―――――

 

「…ん…ん…?あれ…?もう朝に…!?」

 

辺りが明るくなったと思ったが、私がいたのは飛行船ではなかった。

見覚えのある一室、椅子に腰掛け本を読む男性、ごちゃごちゃとした物置小屋のような店。

 

「香林堂…?」

 

いつの間に私は帰ってきたのだ。

いやそもそも何故ここなのだ。

 

「おや?目が覚めたかい?」

「は、はい…何で私はここに…」

「ここに来たのは君で『四人目』だ。流石に説明が面倒だねぇ。」

「えっと…」

「省くつもりはないよ。それじゃあ説明しようか。」

 

―――――

霊夢編十八話参照

―――――

 

「それじゃ、何をご所望かな?」

「と言われても…」

 

あるのはガラクタばかり…一応ここにあるのは私に必要なものだけらしいが…数が多い。

しかしそこには私にとって絶対に必要なものも混ざっていた。

 

「!これは…!?」

「ん?その指輪かい?それは…」

「『スカウトリング』!」

「…どうやら、一番必要なものは見つかったらしいね。」

「はい!流石にこれは絶対必要なので…」

「そうかい。じゃ持っていくといい。改めて聞くけど、それでいいんだね?」

「はい!」

「では…またね。」

 

そう言い彼は香林堂ごと姿を消した。

いや…私の意識が消えたのだろう。

急に視界がぼやけて倒れたようだ。

目が覚めるとそこには、私の顔を覗き込むシャルロットちゃんがいた。

 




説明長いので香林堂については霊夢編参照で。端的に言うと物々交換でアイテム貰える店です。
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