東方異世界生活記 弍   作:ジシェ

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スカウトはない!


monster7

「シャルロットちゃん!とにかく回避です!なんとか洞窟まで向かって下さい!」

「キュ!?キュキュー!?」

「大丈夫です!」

 

シャルロットちゃんの声は明らかに動揺している。

ウイングタイガーを避けて、私が単独洞窟にたどり着くのはかなり厳しいからだ。

かといって戦うわけにはいかないのだ。

はっきり言って勝ち目がない。

原作でもタイラントワームと比べると圧倒的に強い。

ゲームと違い、尻尾のモンスターである『テイルズ』と同時に相手することになるのは明白。

その上あの巨体で空を飛ぶのだ。

更にはスキルが悪意の塊だ。

遠距離攻撃主体のあげく、行動不能系統の技まで持つウイングタイガーに、体当たりくらいが主体のシャルロットちゃんじゃ有効な手が全くない。

レベルが低くてもおたけびは習得出来る。

下手すればじひびきも覚えてる。

絶対に戦ってはいけない。

だからこそ先に行ってもらう。

モンスターはモンスターに惹かれる。

人間の私より先に、シャルロットちゃんに向かう。

それはモンスターの習性だ。

奴が飛び越えてUターンするまでの時間に洞窟に向かうのは難しくない。

 

(弱いからこそ悪知恵は働くんですよ…!)

 

案の定私より先にシャルロットちゃんの方に飛びかかった。

残念ながら、あの巨体で追い付ける程、モーモン種は遅くない。

軽く避けたシャルロットちゃんはそのまま洞窟へ。

奴が戻る前に私は走り抜ける。

 

―――――

 

「はあ…はあ…最近私走ってばっかりですね…」

「キューー…」

 

無理するなと言いたげな声。

休みを挟んでいても、全力疾走を何度も何日も続けてするのはもう陸上部だろう。

しかもモンスターに追われながら。

そんな体力はないし、精神的に持たない。

しかしここに安全な場所はほとんどない。

まだまだ走り続けることだろう。

せめて水場までは…

この洞窟内では…走るよりゆっくり慎重に行くべきだが。

もぐらがどこから出るか把握していないからだ。

まあ終盤のダンジョンでもなければシャルロットちゃんが負けることは万が一にもあり得ない。

警戒する理由は私。

全てを知っていて、シャルロットちゃんを導き、全員が無事ならばいるであろう場所の予測もある。

私が持つのは情報。

しかし戦闘では役に立たない。

いくらシャルロットちゃんでも囲まれれば絶対強者ではいられない。

だから慎重にならなければいけない。

 

「この先に小さい川があるので…そこで休みましょう。もう一頑張りです!」

「キュ!」

 

―――――

 

「…?何だかモンスターがいませんね…」

「キュー……キュ!?」

「どうしました?」

「キュー!」

 

騒ぐシャルロットちゃんの視線の先には、既に見慣れた後ろ姿が見えた。

青い服にずんぐりむっくりの老人…紛れもない『GJ』こと『ゴルッテ』さんだ。

 

「ゴルッテさん!」

「?!……おおお前さん…!無事でおったか…!」

「ゴルッテさんこそ…!」

「キューー!」

 

シャルロットちゃんも喜んでいる。

しかしどうして無事だったのだろうか。

ゴルッテさんには仲間モンスターもいなければこの場所は安全とは言い難い。

食料など一切ないだろうし水だけで生きていられるはずもない。

 

「…ゴルッテさんは今までどうしてたんですか?」

「わしは偶然に助けられたのう…」

 

―――――

 

話の内容はカット。

どうやら投げ出されてから着地した場所が密林のプチット族の村だったようだ。

ゲーム通り川の反対に位置していたために会うことはなかったようだ。

似た体型故に仲間と思われたか…はたまた元々友好的だったかは定かではないが、何故か歓迎されたようだ。

プチット族に少しの間世話になり、川沿いに下った所、私達と同じ平原入り口にたどり着いたようだ。

あとは時間の問題。

先に入ってここにいたようだ。

 

―――――

 

「それからプチット族の四人が一緒に来てくれたんじゃよ。」

『――!』

 

その上プチット族の四人…ゲームでは四人で一体だが、思いの外強いらしい。

 

(この子達でこの辺のモンスター全滅ってことは…十中八九最強プチット族ですよね…)

「しかしお主らに会えてよかったぞい。これで飛行船に帰れるわい。他の連中は無事かのう?」

「まだゴルッテさんしか…」

「そうか…」

「――!」

「キュ?」

 

私達が話てる間、どうやらモンスター同士も話していたようだ。

プチット族はゴルッテさんにお辞儀をし、私に向き直った。

 

「な、なんですか?」

「キューキュー!」

「――!」

「…?」

「どうやら仲間になりたいようじゃの。」

「え!?」

「おそらくじゃが…そのモーモンはマダムの子じゃろ?しかし異様に強く見える…そのモーモンと共に行きたいのではないか?」

「そうなんですか…?」

「――!」

 

四人が剣を掲げる。

本当にゴルッテさんの言うとおりのようだ。

 

「それじゃあ…これからよろしくお願いします!」

「――!」

「キュー!」

 




モンスターの鳴き声はシャルロット以外出てない…
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