ウマ娘短編集   作:他人丼

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ジョジョパロなのかこれは
以外ッ!自信が無いッ!


アグネスタキオンは動かない

 やあ、私だアグネスタキオンだ。

 今日は私が体験した恐怖体験を皆に話そうと思う。

 おっとその前に自己紹介を──いや、別に説明はいいか。

 ここにいるということは既に私がどのような人物か知っているだろう。

 話したいのはそんなことじゃあないんだ、私が体験した恐怖……いや、恐怖というかもっと恐ろしいものだった。

 好奇心は猫を殺すと言うが、まさか自分が死にそうになるなんて思ってもいなかったよ。

 あの時の自分を呪いたいね。

 ……と、前置きが長くなってしまったかな。

 そろそろ本題に入ろうか。

 

 

 あの日私は研究が一段落ついて久々にゆっくり出来る時間があったんだ。

 まあ、ゆっくりすると言っても頭の中は考え事でいっぱいなんだがね。

 しかし特段まとめないといけないことも、実験しないといけないことも無かったから学園をブラついていたんだ。

 そしたら微笑ましい光景を見つけてねぇ、少し観察しにいったのさ。

 何を見たかって? 

 ああ、サイレンススズカ君と彼女のトレーナーが和気あいあいと会話していたのさ。

 彼女はとても楽しそうでねぇ、しっぽと耳が忙しなく動いていたよ。

 あんなにも感情が高まっているならいいデータが取れそうだと思って、いささか趣味は悪いが立ち聞きをさせてもらったのさ。

 なに、話の内容は当人以外には面白みのないありきたりな会話だったよ。

 聞きたいって? 

 ……まったく、君も悪趣味なやつだな。

 仕方ないから聞かせてやろう、確か……

 

「トレーナーさん、今日この後お時間ありますか?」

「あー、この後ちょっと会議があるんだよな……すまん……」

「い、いえ! 用事があれば別にいいんです!」

「まあ会議って言っても数十分で終わるからその後でなら時間はあるけど……」

「あの、それなら会議が終わったら少し出かけていところがあるのですが……」

「いいよ、行こう。僕は第三会議室にいるから終わった時に連絡するね」

「わかりました……!」

 

 それで彼女とトレーナーは別れたのだが、さっきも言った通り少しばかり好奇心が湧いてしまってねぇ……

 いつもなら絶対に試そうとも思わないことを試してしまったのさ。

 今思えばあの二人の幸せオーラでおかしくなっていたとしか言えない。

 何をしたかって? まあ待て、物事には順序があるだろう? 順番に話そう。

 まず最初にスズカ君に近寄って話しかけたのさ、それで軽く世間話をしたんだよ。

 

「やあ、スズカ君」

「あ、タキオン。どうしたの?」

「いやなに、君と君のトレーナーが楽しそうに話しているのを見かけてね。もしかしてデートのお誘いでもしてたのかな?」

「そ、そんなんじゃ……」

「ははは、まあ私も他人の恋路に首を突っ込むほど野暮じゃないさ。声をかけた理由だが、少し君に聞きたいことがあってだね」

「何かしら?」

「君がレース中に何を考えながら入っているかについてなのだが──」

 

 それからは2人で歩きながら会話をしたのさ。

 ここまでは私の予想通りに事は進んでいて、もうしばらくは思い通り進んだんだ。

 スズカ君、彼女はちょっとした癖のようなものがあってだね、彼女一人の時や彼女のトレーナーと居る時以外は必ず自分が一番前に出るのさ。

 一番前が何かだって? 

 文字通り一番前だよ、グループの先頭ということさ。

 もし少し歩調が乱れて彼女が一番前じゃなくなっても何事も無かったように一番前に戻るんだ。

 それをどうにも崩して見たくなってねぇ……今思えばまったくバカなことをしてしまったよ、癖というのはその人物の深層心理を顕著に表してるものだからねぇ……簡単に踏み込んでいい領域じゃあなかったんだ。

 会話の途中から少し歩くペースを速くしてみたんだ、そうしたら当然彼女はそれより速いペースで歩き出した。

 もちろんそれで私は引き下がらなかったよ、負けじとさらにペースをあげたさ。

 もちろん彼女もペースを上げた、そこでやめておけば良かったのに私は愚かにも彼女の前に居続けたいと思ってしまってねぇ……そこからが悲劇の始まりというわけさ。

 彼女が前に出れば私が前に戻る、そうすれば彼女はもう一度前に戻る、私がそれを追い越す……これを繰り返していけば自然に歩くことから走ることに変わるポイントがある、そこだよ私の最大の誤算は。

 歩くことから走ることに変わった瞬間、彼女の雰囲気が変わった。

 今までの学友に向けるふんわりとした好意ではなく明確な敵意、それととんでもない殺気を発し始めたんだ。

 このとき私は初めて理解した、彼女にとって先頭というのは誰にも譲れない、いや譲ってはいけないものだったのだと。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」

「…………」

 

 私は全力で走ったよ、そんなことはないだろうが追いつかれれば死ぬ、そう思いラストスパートのように走ったさ。

 しかし全力がそう続くわけでもないし、おそらく彼女の方が私より長く走れるだろう。

 じゃあなんで無事なのかって? 

 それは私に3つの幸運が舞い降りたからだよ。

 あれがなければ正直ヤバかった、今思い返してもそう思うよ……

 まず一つ目の幸運は逃げ回っていると廊下が行き止まりになり、階段を使い上の階に上がったんだ。

 そうしたら彼女階段でつまずいたようでね、ガクンと速度が落ちたんだ。

 しかし遅くなっただけで止まった訳じゃあない、だが多少は距離が稼げた。

 そして階段を駆け上がった先で2つ目の幸運がきた。

 まあ、私にとっては幸運だっただろうが彼女、マンハッタンカフェからすれば不運だったと思うがそこはいいだろう。

 

「タキオンさん……?」

「カフェ! カフェじゃあないか!」

「そんなに慌てて一体どうしたんですか……」

「少しトラブルでねぇ、今必死に解決策を探しているところさ」

「トラブル……あ、そういえば……」

 

 会話の途中、私は背中で殺気を感じた。

 もう近くまで来ているのだ、彼女が。

 

「くそっ……もう追いついてきたというのか!」

「タキオンさん……あなたまた私のスペースになにかしましたね……」

「悪いが今はそれどころじゃあないんだカフェ、すまないが今度にしてくれ」

「いいえ……ダメです……これで何度目だと思ってるんですか……」

「本当にすまないが今は無理なんだ、後にしてくれ!」

「あ……待ってください……!」

 

 強引に会話を切り上げ走り出すと余程重要な事なのかカフェも一緒に着いてきてしまってねぇ……その時は鬱陶しいくらいにしか思っていなかったのだがスズカ君が私たちを見つけた時に状況が変わった。

 そう、カフェが私を追いかけているということはつまり、私と一緒に走っているということになる。

 それがどういうことかわかるだろう? 

 そう、カフェも彼女の前を走っているということになったのさ。

 その時の彼女の殺気といったらもう先程の何倍も強くてねぇ、なんせ追い抜かさないといけないのが1人から2人に変わったわけだからね。

 カフェもそれを感じたようで文字通り全身の毛を逆立てていたよ。

 

「カフェェェェェェ! 走れぇぇぇぇぇぇ!」

「っ……!」

 

 捕まったらヤバい、数メートル後ろにいたカフェが一瞬で私の横まで加速してきた。

 

「タキオンさん……なんなんですかあれは……!」

「知らんっ! しかし唯一わかっていることがある!」

「なんですか……!」

「アレに捕まれば終わりってことさ」

「そんなの誰でもわかりますよ……!」

 

 私たちはとにかく走ったよ、しかし終わりの時は近かった。

 もう私もカフェもスタミナが切れそうになってきていたのだよ。

 もうダメだと観念した時、私に3つめの幸運が訪れた。

 

「カフェ! あの部屋だ! あの1番奥の部屋の扉を開けてきてくれ!」

「あの部屋って……行き止まりですよ……!」

「いいからはやく! 唯一のチャンスなんだ!」

「なんで私がこんな目に……!」

 

 カフェは最後の力を振り絞り、扉を開けるためにスパートをかけた。

 しかしそれに呼応するように彼女も速度が上がりだしてしまった。

 

「な、なんだとぉぉぉぉぉぉ!?」

「…………」

 

 彼女は全力と思っていたが実際はそうでは無かったようでグングン私との距離を縮めてきた。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 私も必死に走るがその距離は狭まるばかりで一向に離せない。

 

「カフェェェェェェ! その扉を開けぉぉぉぉ!」

「どうなっても知りませんから……!」

 

 後数歩で追いつかれる所まで距離が詰まっていたが、私の方が一瞬速く目的地にたどり着くことができたんだ。

 私は文字通り部屋に、第三会議室と書かれた部屋に飛び込んだよ、机の上にあった書類やティーカップを蹴散らして壁まですっ飛んでいった。

 おや? 不思議そうだね。

 部屋に入ったら逃げ場がないんじゃないかって? 

 ああ、その通りだとも。

 しかしさっきも言っただろう? 3つめの幸運が訪れたと、最後まで聞きたまえ。

 

「いたた……はっ! そうだ彼は……彼はいるか……!」

 

 私が部屋を見渡すとそこには彼、サイレンススズカのトレーナーがいた。

 その彼はとんでもない雰囲気の彼女を見てぽかんと口を開けていた。

 

「ス……スズカ……?」

「……っ! ト、トレーナーさんこれは……!」

 

 彼女はトレーナーに話しかけられた瞬間、今までのものでは無くいつも通りのサイレンススズカに戻っていたのさ。

 おそらくだが彼女が彼に寄せている想いのおかげだろう。

 

「あ、危なかった……彼女が階段で躓いていなかったら……途中カフェに出会っていなかったら……最後に使用中のこの部屋を見つけていなかったら……彼女がトレーナーに恋心を抱いていなければおそらく……そ、想像することすら恐ろしい……」

 

 一件落着、という訳ではないが最悪の事態は免れた。

 安心してその場に経たり混んでいるとヨロヨロとカフェがこちらへ寄ってきて私の隣に倒れ込んだんだ。

 

「こ、この貸しは必ず返して貰いますからね……」

「ああ……最高級の茶菓子を君に渡すよ……」

 

 そのあと私たち3人は諸々の件の反省文を書かされたよ。

 

 

 

 と、いうのが今回私が体験したことさ。

 君もスズカ君と一緒にあることがあったら気をつけたまえ。

 それで最後にもうひとつ話があるんだが……我らが会長、シンボリルドルフのジョークをひたすらに面白くないと言い続けたらどうなるか興味が湧かないかい? 

 なぁ、気になるよなぁ! 

 という訳で君にその役をお願いしたいのだが……ん? 私がしないのかって? 

 何を言っているんだ、当たり前だろう。

 今回私は自身の好奇心で身を滅ぼしそうになったんだぞ。

 だから君に頼むというわけだ。

 あ、おい待て! 逃げようとするな! 

 こっちは情報を話したんだぞ! 聞き逃げなんいくらなんでも卑怯だろう! 

 こら待て! 情報に対する対価を払うんだ! 

 おい、待て──

 




ジョジョは2部と4部が好きです
あと7部と8部も好きです
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