リーリエロスでカントー行ったよ   作:バケットモンスター、縮めてバケモン

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リーリエに怒られる

「……ですから、母様のことを心配してくれるのは本当に嬉しいのですが、逃げられたりしたら私だって傷つきます!」

「ごめん」

「いいですか? 風邪は万病のもとなんですよ? 他でも無いクロウさん自身がそう言っていたではありませんか!」

「いやまじほんとごめん」

 

もうすぐ日付も変わるという頃。

此度のリーリエはシャレにならないくらいに怒っていた。

包帯だらけの俺は正座しながら、リーリエの怒り主張を心身に行き渡らせるように聞いている次第である。

 

「あの、リーリエちゃん? そろそろ解放してやっても」

「博士は黙っていてください!」

「アッハイ……」

「……それでですね? 今回は大きな怪我もありませんでしたから良かったものの、もしも何かあったらどうするんですか?」

「反省してます」

「そもそもポケモンバトルではなく生身でポケモンさんと戦うなんて無謀すぎます! 最近はポケモンさんの技に巻き込まれる事故も増えてきているんです! 気をつけてください!」

 

こ、心がいてえ……。

マサキの腹がぐぅと鳴っているところを見るに、おそらく今日は晩御飯は抜きなのだろう。

おこがましくもリーリエの手料理を食べたいと思っている自分が憎い。俺ごとき雑草でも食べてれば良いのだ。

 

「でも、リーリエ……」

「なんですか!?」

「あのアクジキングはちょっと予想つかなくない?」

「多分ですけど、暴れているポケモンさんとあのウルトラビーストとは関係ないと思います! 話を逸らさないでください!」

「……すんません」

「ちょっ、ちょっと待て。今、ウルトラビースト言うたか? ウルトラビーストって言や、ウツロイドと同じ種族やないか」

「……そうですけど……なんですか、博士?」

 

おかんむり状態のリーリエマジで怖い。情状酌量の余地が一切ねえ。

 

「なんでカントーにウルトラビーストがおるんや。リーリエちゃんの話からすれば、アローラでたまに見かける生物なんやろ?」

「それは……確かにそうですね……。とあるポケモンさんの力を使ったりしなければ、ウルトラビーストはこちらには来ないはずです。でもカントー地方にはそんなポケモンさんも、それを知る人もいないはず……です」

「つまり、自然的にウルトラビーストがカントーに来るようになったって……ことなんか……?」

 

その可能性も無くはない。

でも、今回の件においては違うとはっきり言える。

 

「それは……多分違う」

「……え? なんでや」

「あのウルトラビースト……すでに誰かのポケモンだった。モンスターボールを弾いたから、捨てられたポケモンってわけでもない」

「誰かが、あんなおっかないモンを放ったって言うんか!?」

「わかんないですけど……多分」

「そんな…………」

 

リーリエが絶句する。

ウツロイドの被害に遭っているリーリエだからこそ、そんなことをしている人がいると知ってショックなのだろう。

むしろ、昏倒や精神毒で頭がおかしくなるというウツロイドはまだマシなのかもしれない。

アクジキングに食べられれば、その肉体も衣服も何もかもが吸収され、塵すらこの世に遺せない。こんなもん神隠しとおんなじだ。

 

「リーリエ。なるべく外に出るのは避けて欲しい。買い物や散歩に出たいときは、必ず俺のケンタロスを連れて行くこと。あのアクジキングだけじゃない、もしかしたら他のウルトラビーストも来るかもしれない。もう外は危険なんだ」

「あ…………はい…………」

「……」

「…………」

「……」

「……だったらなおさら、クロウさんも無茶をしてはいけません!」

 

バレたか。

こうすりゃリーリエも安全だと思ったんだけど。

正直リーリエ救えるなら俺の命とかマジど〜でもい〜。

むしろリーリエに心配されるし怒られるし無茶した方が良いのでは? とも思う。構ってちゃん的な。

 

「むー」

 

アッ! リーリエが膨れている! かわいい!

 

「本当に……無茶はいけませんよ? 稲色の実というものも、存在するのかすらわからないんですから。ちゃんと準備を整えてからいきましょう?」

「あ、そうそう、洞窟から持ち帰ったんだけどさ」

 

カバンの中をごそごそと漁る俺に対してリーリエとマサキが首を傾げる。

 

「はい、リーリエ。これあげる」

「…………え……? これって……?」

「稲色のモモンの実! ルザミーネさんにあげてきなy……」

「母様!!」

 

リーリエが飛び出して行ってしまった。

たった一個の木の実を大事そうに両手で包み、ドアも閉めずに走って行った。

 

「いやあ、頑張った甲斐がありましたね」

「いやいやあったんか!? 金色の木の実!」

「なんかありましたね。と言っても成ってた木自体が食べられちゃったんで、もう手に入らないと思いますけど」

「本当に実在するなんて……キミとんでもないことしてるで……。今すぐリーリエちゃんから返してもらって学会に持っていけば……」

「良いんですよ」

「なんでや!? 勿体無い!!」

 

そりゃ死ぬ気で探したし死ぬ気で戦ったし、死ぬとも思ったけどね。

でも俺は……有名になりたくて探したんじゃない。

 

「あの子が笑ってくれたら、それで良いんです」

「………………」

「もしリーリエが心臓を食べなきゃ死ぬ病気にかかったとしたら、迷わず死にますよ、俺は」

「……クロウ……くん」

 

リーリエが好きだから、探したんだ。

 

「引くわ」

「何故!?!?!?」

 

 

 

 

「母様!! これを食べたら病気が治るかもしれません!!」

 

「ほら、母様……口を開けてください……」

 

「そうだ、食べやすいように半分にカットします」

 

「母様…………」

 

「早く起きてください、母様……」

 

「すう……すう……」

 

 

 

 

「リーリエちゃん遅いなぁ」

「寝てるんじゃないっすか? メシ食べちゃいましょうよ。腹ペコですよ俺」

「いやあんさんが怒られるようなことしたからやで!? ……即席ヌードルでええか?」

「わあい、ラーメンだぁ」

「リーリエちゃんにバレたらまた怒られるから内緒でな」

 

ちなみに翌日ゴミでバレた。

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