リーリエロスでカントー行ったよ   作:バケットモンスター、縮めてバケモン

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オラッ! ほしのかけら出せッ!

「つええ〜……」

「逃げるわよ!」

 

ふん。ついにはバトル描写さえ書かれなくなったか。雑魚め。

ここ最近の俺のパーティはゼニガメが加わったこともあり、イーブイケンタロスヒトカゲゼニガメとバランスよく戦えるようになっているのだ。

 

ぐうううううう。

 

「お腹すいた……」

 

バトルに夢中になっていたが朝ごはんがまだだった。

リーリエの作る朝ごはんは絶品だからな。あれはかなり練習したはずだ。

 

「あっ、お帰りなさいクロウさん。バトルをしていたんですか?」

「ルザミーネさんをベッドに寝かした直後にこれだよ参っちゃうね」

「お疲れ様です。ごはん、できていますよ」

 

皿の上に乗せられているのは、砂糖をまぶした揚げパンのようなもの。

丸くて可愛い手のひらサイズのそれを、紙に包んで手が汚れないように食べるわけだ。

若干一名、既に手と口周りをベッタベタに汚しながら資料を見ている人もいるが。

 

「マラサダです! 作ってみました!」

「おお、これが」

 

アローラの郷土料理……郷土お菓子。

手を合わせていただきますするとニッコリ笑いながらリーリエがコップにミルクを注ぐ。至れり尽くせりか?

 

「なぁクロウくん」

「熱ッ、うまっ、なんでしょ?」

 

中にカスタードクリームが入ってゐる!? 最強か!?

 

「今週は夜にお仕事や」

「……夜に?」

「流星群らしい」

 

流星群。

渡された新聞(砂糖と油で湿っている)の見出しには、ここから七日間、流れ星がとんでもない量降るとの予報らしい。天気予報士の相棒のエスパーポケモンが夢にその光景を見せたそうな。

 

「で、なんのお仕事なんです?」

「ええっ!? 反応が薄くありませんか!? クロウさん、流星群ですよ流星群!」

「テンションは上がるけど……流れ星って怖いじゃん?」

「へ? 流れ星が……ですか?」

「だって、落ちて来て家にぶつかったら絶対死ぬじゃん」

 

一個でも街破壊レベルなのにそれがたくさんなんてとんでもない。

だからもし今夜、流星群を見張らなければならないならまずはシェルターを作るところから始めなければ。

 

「…………」

「…………」

「「え?」」

 

え? じゃなくて。 ……え?

 

「「あはははははは!」」

「はっ!? えっ!? なに!? なんで急に!?」

「クロウさっ、うふっ、ふふふっ!」

「いひひひひ! 落ちて来るて! 隕石とちゃうねんぞ! ははは!」

「なんなんすか!? なんかおかしいんすか!? ねえ!?」

「あはっ、あはー……クロウさん……ふふ……流れ星は……落ちてこないんですよ?」

「!?」

「あれは燃えながら落ちるんや……せやから地面につく前に燃え尽きて……んふっ」

 

は!? なにそれ!?

初耳なんですけど!

 

「じゃあデオキシスは!? デオキシスは隕石から生まれたっていうじゃないですか!」

「ふー……もちろん、燃え切らずに地面に落ちてくる流れ星もありますよ。それを隕石と言うんです」

「燃え尽きないのが珍しいから博物館とかに飾られるんよ。もし流れ星が全部落ちて来てたら、人類はとっくに滅亡しとるわ! なはは!」

 

恥かいた!

 

「でも意外です。クロウさんって物知りなイメージがありましたから」

「ほんまに。……ふふっ、ほんまに……」

「そんな笑います!? 失礼だなぁもう!」

 

ツボに入って笑い転げるマサキ。頭が良い人は、バカを目の前にするとおかしくてたまらないのだろうか。腹立つ。

そんなマサキを見ながら、リーリエは俺に近づく。

そして俺の耳元で、

 

───私たちの秘密は知っているのに、ですね?

 

そう囁いて、クスリと笑った。

あっ死ぬ。

 

「そっそそそッ、それでっ、流れ星と夜間の仕事になんの関係が!?」

「ひー……ごほん、それでな。隕石や星にまつわるポケモンはぎょーさんおる。『メテノ』っちゅうポケモンは知っとるか?」

「……ホクラニ天文台にいるという……あのポケモンさんですか?」

「それは知らんけどな。んで、そのメテノっちゅうポケモンがたまに持ってる、ほしのかけらっちゅーアイテムが次の解毒薬や」

「メテノのほしのかけら……。今夜落ちてくるメテノを捕まえるなり倒すなりして、ほしのかけらをゲットしろってことですか」

「せやせや」

「やっぱ落ちてくるんじゃないですか!」

 

嘘ついた! この人たち嘘ついた!

もうしらん!

 

「いやほんとに、メテノだってそのほとんどが大気圏で燃え尽きてしまうんやって」

「えっかわいそう……」

 

ポケモンとして生を受け、大気圏で死ぬ……。

そんな悲しいことなんてないよ……。

 

「大気圏を突破し生き残った個体も、その寿命は長く続かないんや……いつもいつでもうまくいくなんて保証はどこにも無いんや……」

「そんな……博士……俺悲しいよ……」

「そんなメテノを救うアイテムがこれ! モンスターボール〜!!!!」

「な、何ィ───!」

「…………お二人とも……何やっているんですか……?」

 

なんだってー!? モンスターボールで捕まえてちゃんとした空間に隔離することさえできれば、メテノはその外角を再生成することができる!?

そんなことがあり得るんですか博士ー! 科学の力ってスゲー!

 

「でもでもぉ〜、なんでメテノのほしのかけらじゃないとダメなんですかぁ〜???」

「よう聞いてくれたなぁ! 大気圏を突破したメテノのほしのかけらは割った断面をぴったりキレーに肌にくっつけると傷を治す再生能力があることがこの前学会で発表されたんや〜! ほとんどの人が気づかず他のほしのかけらと合わせて加工をしてしまっていたから気づかんかったんやな! 一説では近くを通り過ぎた他のポケモンの影響を受けているってのもあったから、全てのメテノのほしのかけらがそうとは限らんけど……試してみる価値はありやで〜!!!!」

「そうと決まれば、早速望遠鏡とモンスターボールを買いに行きましょう博士!!!!」

「ほ、本当に……何をやっているんですか……?」

 

ドン引きリーリエかわいいね。

しかし、理屈はわかった。再生能力のあるメテノのほしのかけらを使い、何かしらの加工を行いルザミーネに処方すると。

数は一個で良いらしいので、あとは夜を待つだけなのだが……。

 

「一個ネックがあってな。全てのメテノのほしのかけらが()()ではないとわかっとる以上、なるべくサンプルは同じものにしたいんや。学会で発表されたほしのかけらを持っとったメテノは……黒色だったらしい」

「「黒のメテノ???」」

「特殊色彩個体だの、遺伝子劣化結合素体だの……学者間の呼び名はぎょうさんあるが……俗に言う『色違い』やな」

「……………………なるほど」

 

 つまり、ほしのかけらを持っている色違いメテノを討伐or捕獲しろと。

無理ゲーじゃね???

 

「なるほど! 頑張りましょうね、クロウさん!」

「うん!!!! 俺がんばる!!!!」

 

今回ばかりは自身のチョロさを呪った。

 

 

 

 

時刻は午後10時半。

天気は快晴、雲一つない空。風は体の熱を覚ますほどで、無風というわけでは無いが支障はない。

 

「おーい! そろそろ来るでー!」

 

屋根の上で望遠鏡を覗いていたマサキがこちらに叫ぶ。

 

「リーリエは、メテノの流星群って見たことあるの?」

「いえ。名前を聞いたことがあるだけで、メテノというポケモンさんを見たことすらありません」

「そっか」

 

草原(くさはら)に腰を下ろした俺たちは、今まさに煌々と輝かんとする夜空を見上げる。

みさきのこやの電気は消し、なるべく暗い状況で挑む。ルザミーネは既に夕食を終えて眠りについた。

灯りのない夜でも、星灯りのおかげでリーリエの顔はちゃんと見える。

 

「見てくださいクロウさん、とても綺麗です」

 

その瞳に星空を映す横顔が。

 

「うん……綺麗だ」

 

この美しさを前に、言葉は野暮だろう。

 

「初めての天体観察が天文台じゃなくてごめんね。ちゃちゃっとそれくらい(つく)れれば良かったんだけど」

「そんなの時間も資材も技術も足りませんよ……クロウさんならやってのけてしまいそうな気はしますが」

「なんで微妙そうな顔したの? ねえ?」

「えへへ……でも、本当に大丈夫ですよ。今こうして、大切な人と一緒に空を眺めることができて、私は幸せです」

「……大切な人?」

「えっあっ、えーとえーと、博士やクロウさんと一緒に見れてと言いますか……今度は母様も一緒に見れると良いですね!」

 

なんだ、そっちの(家族的な)意味か。

 

「ごほん! とにかく……あの家が───

 

あのキャンピングカーが

 

このカントーが

 

そしてこの空間が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私たちの……天文台(大切な場所)です!」

 

 

深い青を滑る星々の灯りを背に笑うリーリエ。

あまりにも儚く可憐で、この手で触れたら壊れてしまいそうな美しさに息を呑んだ。

 

「うん」

 

とす、軽いという音と共に、俺の隣に何かが落ちてくる。

目をやると淡い光と共にソレが浮かび上がった。

 

「これが……」

「メテノ……」

 

卵が落下の衝撃で割れるように、メテノ(?)の外郭にヒビが入る。

それは大きく広がっていき、一際大きく震えたと思うと、

 

「──────!」

 

と産声をあげ、メテノがその姿を表した。

 

「わぁ……!」

「ちっこい……」

 

殻を被っていた時とは違って、しっかりと紫色に光り浮遊するメテノ。

そのメテノが小さな口でもう一度声を上げる。

 

「───!」「───!」「───?」

「───!」「──────!」

 

水の中、草の中、森の中。

気づかない間に落下していたメテノが次々と姿を表した。

 

「クロウくん! メテノの殻を壊すんやー!」

「はーい! 頼んだ、イーブイ」

「えぼ!」

「『でんこうせっか』!」

 

コンッ、とイーブイがメテノにぶつかる。

パキッと殻が割れ、今度は橙色の光を放つメテノが鳴き声を上げた。

 

「かわいい〜……!」

「黒のメテノじゃないか……。イーブイ、次はあっちだ。『シャドーボール』!」

「えぼぼ……ぃぼ!」

「───!」

「今度は青色! 綺麗です!」

 

覚悟はしてたけど……これはかなり骨が折れるぞ……。

 

「リーリエにヒトカゲとゼニガメを預けておくね」

「あっ、はい! お預かりします!」

「よし、みんな出てきてくれ! 黒色のメテノを探すんだ!」

「かげー!」「がめが!」「ぶもう……」

「総動員ですね!」

「お仕事なので」

 

こうして黒色メテノの大捜索が始まった。

 

「『ひのこ』をお願いします!」

「かげー!」

「今度は赤色です!」

 

「『でんこうせっか』」

「えぼ!」

「ん〜、黄色か」

 

「ぶもう」

「なんやなんや、ぶっ飛ばしたメテノ同士がぶつかって……赤、紫、青、赤……やるやないか!」

 

「ゼニガメちゃん、『みずでっぽう』を!」

「ガメガー! ガメー!」

「緑色と水色……まだ見たことない色です! ……って、もう攻撃は大丈夫ですよ!? ……倒してしまいました」

「が?」

「メテノさんたちには少し悪い気もしますが、仕方ありませんね」

 

「黒色いた?」

「いえ……。ほしのかけらを持っている子もいませんでした……」

「道具持ち自体がレアだからなぁ……そのうえ色違いとなると……」

 

あたり一面が殻の砕けたメテノだらけになったころ、疲弊し切った俺たちは一旦休憩と言うことで座り込む。

遠くに見える街の灯りと遜色ないほどメテノ達が光を放つ。揺れたり飛んだり震えたり、声が聞こえてきそうなほどはしゃぐメテノたち。

 

この子達も、明日の朝には消えてしまうのだっけか。

儚い命だなぁ……。

 

「えぼぼ……」

「カゲ! ……クァっ!」

「ぶるるる…………んぐもぉ〜」

「ぜに……が〜……がぁ〜」

「………………ぶぶい」「カゲ」

 

ポケモンたちも疲れてきてるみたいだ。ゼニガメなんて完全に寝てしまっている。

呆れたような目でゼニガメをみるイーブイも、取り繕ってはいるが眠そうだ。

ただ一匹、ヒトカゲだけは元気そうだけども。まだ子供か。良きかな良きかな。

 

ヒトカゲが一匹一匹、メテノたちの殻を割ってまわっていく。叩けば中身が出るのが面白いんだろうな。ガチャガチャみたいだし。

 

「実際にメテノガチャをやると辛いな……」

「お夜食でも作って来ましょうか?」

「え本当? それマジ最高」

 

マサキもリーリエも、今夜はもう諦めのムードだ。

全員昼寝をして夜に備えていたとはいえ、動いて戦ってを繰り返していればいくら寝ていても疲れは出てくる。

かく言う俺も体力の消費は激しく、気を抜けばあくびをしていた。

 

「ふぁ……ん、どうしたヒトカゲ」

「かげ!」「──────」

「おお、黒色のメテノが出たのか。良かったなぁ」

「かげ!」

 

………………ん。

 

「黒色のメテノ!?!?!?」

 

 




続きます
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