リーリエロスでカントー行ったよ 作:バケットモンスター、縮めてバケモン
リーリエ……。
りーりえ……。
行かないで……。
いつまでも旅を……僕は、君のことが……。
「はっ」
知らない天井。
でもなんかスッキリ。あったかいし、頭もよく働く気がする。
ここは……ここはポケモンセンター?
客用の貸し出しベッドに寝かされていたみたいだ。
「あっ、起きたんですね」
「ジョーイさん。すみません、寝てました?」
「はい。急に目の前で倒れて寝息を立て始めました。ここがポケモンセンターで本当に良かったです。栄養失調や肉体の疲労……酷い状態でした。なにをしたらこんなに体調を悪くすることができるんです?」
「訳ありで……三日三晩、他の地方から泳いで来ました」
「三日三晩!? なにをされたんですか!! そんな仕打ちを……」
「いや、なにをしたと言うか……何もできなかったから泳いだと言うか……まぁ、一刻も早く25番道路へ行きたかったので……」
すごい執着、とジョーイさんが笑う。
リュックの中身が横に並べられている。警戒されて中身をひっくり返されたか。まぁ危険物ないし良いけど。
リュックにモンボを詰めていると、ジョーイさんがお粥を持ってきてくれた。
「あの、お金……」
「はい。ポケモンセンターで無料なのはポケモンの回復だけですので、宿泊料金などはいただきます」
「……なにか……何かできる仕事はありませんか……? わがままですが、一刻も早く……」
「はい。ですので、物資の運搬をお願いしたいのです。」
物資の運搬?
ジョーイさんは一枚の紙を取り出すと、こちらへ渡してくれた。
手書きにカントー地方のマップと、そこに赤い線で矢印が書いてある。
タウンマップを見ると、セキチクシティからタマムシ、ヤマブキ、ハナダシティのポケモンセンターに商品の技マシンや木の実を届けるという仕事。ハナダシティからマップでいう上方向に行くと、25番道路。25番道路の端には、俺が探しているみさきのこやがある。
「……気遣いがありがたすぎます」
「いえいえ。なにか事情があるのでしょうし。道中気をつけてくださいね」
そう言って目の前に置かれたお粥は、とても美味しかった。
◇
タマムシシティ。
スロット廃人を生み出した悪魔の街、とはプレイヤーの間で名高い。
「じゃあここに置いておきます」
「ありがとう。次はこのキズぐすりのセットを持って行ってくれないかな」
「わかりました」
「ケンタロスを休ませている間は好きに動いてくるといいよ。ポケモンでも捕まえておいで」
「あぁ……わかりました」
えっ暇wwwwww
俺ニートなんだけどマジワロス。
……ちゃんと目的はあるよ。
前に実況動画で見たことがある。タマムシマンションってところの屋上で、イーブイが手に入るイベントがあったはずなのだ。
俺はキョロキョロとあたりを見回し……ここだな。この、タマムシマンション。これの裏手側から屋上へ続く階段へ入るのだ。
階段を登りつつタウンマップを開く。
タマムシシティから7番道路を経由してヤマブキシティ。そこから5番道路経由でハナダシティ。上には24、25番道路と続く。
そこにリーリエがいる……はず。果たしてこの世界のリーリエはもうトレーナーになっているのだろうか。それともまだポケモンバトルが苦手なのだろうか。
あぁ、わからん。チャンピオン、つまり主人公がアローラにいるってことはアニメ世界線じゃないはず。だとするとマサラタウンのサトシもいない……はず。セレナとかはちょっとよくわからん。
お、着いた着いた。それじゃあお邪魔「ブイ!」へぶっ。
ドアを開けたらそこにはもふもふがありました。
俺の顔面に不躾にも腹を押し当て、短い手足でぽこぽこと俺を殴るイーブイ。はは、なんだてめぇ蒸し焼きにすんぞ。
っていうかケンタロス以外にポケモンに直接触れたのってイーブイが初めてだな。お前気に入ったぞ。
「ぶい」
「おっちゃん! こいつください!」
「えぇ……? ま、まぁいいが……顔……」
「俺の顔は無事! よしお前! お前よしお前! お前俺とこいお前!」
「……ぷいっ」
「!?」
「そいつは気性が荒いんだ。元からここに住み着いていたし、ゲットしてくれるなら助かるが……」
俺はイーブイを見る。
ぽふ、と俺の瞼の上に手が乗せられた。
「イーブイ」
「ぽい」
「オレ、アイタイヒト、イル。オマエ、オレノヨウジンボウ。オマエ、ツヨクナル」
「ぶぃ……」
「キノミタベホウダイ」
「へぽぉい!」
イーブイは俺の差し出したモンスターボールへ手を伸ばした。
イーブイがボールに吸い込まれ、視界が確保される。
抵抗力によってボールは最大三回まで揺れ動くが、果たして。
───ッ
一回。
なんの抵抗もなく、イーブイは俺のポケモンとなった。
「ありがとう。出てこい、イーブイ」
「ぶい!」
青い光と共に、イーブイはボールから出てくる。
「話をしよう。おっちゃん、ありがとう!」
「うい。わしに知らないことはない。何かに行き詰まったらまた来るといい」
イーブイを抱えて屋上の部屋を出る。
そっと床に下ろすと、イーブイはこちらを見上げて首を傾げた。
「イーブイ。俺はこのカントーで、会いたい女の子がいるんだ。名前はリーリエ。でもその子を探すためには、すごく時間がかかる。本当に、俺でいいのか?」
「……ぶぃ? ぇぽぉい!!」
飛び跳ねるイーブイ。
意思の疎通ができん。
「……俺の言葉は理解できるか?」
「?」
だよな。
「まぁ……悪いようにはしないよ。行こうぜ、イーブイ」
「ぇぼい!!」
そうして、俺は初めて自分のポケモン、イーブイを持つことになった。
イーブイは恐らくゆうかん。特性は……なんだろう。「にげあし」「てきおうりょく」のどちらかなんだけど。
「おまえはどっちなんだ……?」
「ぼぼい!」
「ぼぼいって言ったかお前。ぼぼいってなかなか出てこない発音だぞお前」
珍妙でやたらと萌え声なイーブイとじゃれつきながらポケモンセンターまで向かい、牛車……もといケンタロス車へ乗る。まだ日が登りきって間もないが、荷物運びをしなければならんのだ。
ヤマブキシティにはシルフカンパニーっていう会社がある。ゴーストの正体を見破るためのシルフスコープを作ってる会社がどうのって感じだったかな。たぶん。
それと、エスパージムがある。ちなみにここ、タマムシには草ジム。マジ草生える。
と、そんなふうにヤマブキシティは結構技術を使う街だからか、やたらと運ぶものが多い。何かの工具や部品とか、エスパータイプのわざマシンとか。
「お前はエスパー技はなにか覚えるのかぁ〜?」
「ぶぶい。ぇぼ」
「うっっっわ覚えたくなさそうな顔してるわ」
「けっ」
「今つば吐いたかお前? なぁ? 一応ご主人様よ?」
しけった面を見せるイーブイはさておき、ケンタロス車に全ての荷物を乗せることができた。
流石に重いのでケンタロスを一匹追加。二匹体制で荷物を運ぶことになりましたとさ。
「よろしく」
「ぶもう」
「お前も、引き続き頼む」
「ぶもう」
「二人合わせて?」
「「ぶもう」」
「はは、分かんね」
ケンタロスは進む。
タマムシを離れ、ヤマブキへ。
リーリエ。
愛しいリーリエ。
メルカリでポケカ一枚20万で売られていたリーリエ。
どうか、あなたに出会えますように。
リーリエいない小説書いててもつまんねェ〜
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リーリエがいないとか ない!
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Lillieがいないとか ない!
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莉莉艾がいないとか ない!
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イーブイ√(3パートくらい旅)