リーリエロスでカントー行ったよ   作:バケットモンスター、縮めてバケモン

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今回のは面白くないです。壁にへばりついたセロハンテープのカス眺めてた方が楽しいです。


お前さぁ、リーリエに似合わないモンがあると思ってんの?

タマムシデパート。

休日ということもあり、前回来た時とは違った賑わいを見せるカントーが誇るショッピングセンター。

モンスターボールにわざマシン。服やら何やらまで揃っているが、今回探しに来たのは日記である。アローラに置いてきたリーリエの日記の、その代わりだ。

 

「平日の方が良かったかな」

「人混みですか? いえ、これはこれで」

「…………」

 

俺の()()()声がする。

結局、本当にずっと俺の腕を抱いていたリーリエ。この様子だと最後まで解放されなさそう。

それはそれで至福なんですけど、リーリエが歩きづらくないかってこればかりが心配になるんだよなぁ!!

 

「足は疲れてない? どこかのカフェでも……」

「大丈夫ですよ? それは後で行きましょう。まずは雑貨屋さんへ」

「へーい」

 

人生二度目となるリーリエとのショッピングデートinエレベーターというわけだが、流石の俺も2回目となれば慣れる。

ごめん慣れない(手のひら つのドリル)。この前よりも距離が近すぎる。体温を感じられる距離に推しがいて平然としていられるわけがないダルルォ?

 

一階分上がるだけの時間が永遠に感じる。

一階分上がるだけの時間が一瞬に感じる。

高鳴る心臓とは裏腹に穏やかなココロは、ただリーリエの愛おしさに酔っているだけのようにも思う。

 

「着きましたね。行きましょう、クロウさん」

「リーリエのお眼鏡にかなう日記があれば良いけどね」

 

文房具売り場では、シンプルなものから派手なものまでひしめき合っていた。

……げ。消しゴム一つでもこんな種類あんの? 『消し度はかいこうせん級!』……怖。ノートごと消えるじゃん。

あ、お試しのやつある。けしけし。

 

「……ふせんが……消えた……」

「消しゴムはまだストックがありますよ? 買うんですか?」

「こんなおっかないもの買えないよ!?」

 

机の上の消しカスに恐れをなしつつもノートのコーナーへ。

ページ数やマス目を売りに出しているものや、表紙の手触りを売りにしているものなど、ぱっと見でもえらい数の日記が。

 

「あ、これなんか良いんじゃない? プクリンの毛糸を表紙に使ってるんだって」

「可愛いですね……! 触り心地も……ふわ……!」

 

さらさらふわふわの毛皮を持つプクリンの毛を使った日記帳。

……夏場は持つだけで汗が滲みそうなファー仕様だ……。

とはいえリーリエには似合うんだけど。これは買いだな。

 

「クロウさん、あの高いところの日記はなんという売り文句が書いてあるのですか? ここからだと角度が……」

「一旦手を離してみればいいんじゃない?」

「嫌です」

「……。『安心安全鍵付きの日記帳! クレッフィの折り紙つき!』」

「鍵付き! アローラで使っていたものも鍵をかけていました!」

 

クレッフィってあのアレか。鍵を体につけてるポケモン。

あのポケモンの折り紙つきと言うのだから相当なセキュリティなのだろう。付属の鍵も黒い日記に合わせてシックでオシャレな物になっている。

……リーリエには少し大人すぎないか? もう少し清楚っぽいものとか……。

……………………シックな……秘書風……オトナリーリエ……。

うん、似合うな! これも買おう!

 

「リーリエ的には鍵付きは必須ポイント?」

「えっ。あっ、その、そう、ですね……。誰かに見られるのは、ちょっと……」

「気に入った日記が鍵付きじゃなかったら俺が溶接するけど」

「そんなことできるんですか!?」

「できないけどその時は勉強して資格取るよ」

「……元から鍵がついているのを探します。クロウさんってどうしてそんなに行動力があるんですか?」

 

えー? リーリエのためなら普通じゃない? リーリエが海に行きたいなら船の免許を取るし、リーリエが空を飛びたいなら舞空術を会得する。推しが望むのならなんのそのですわ。

 

「俺そんなに行動力ある? 自覚ないんだけど」

「アローラからカントーまで泳いで来たんですよね???」

「さぁ! 他にも日記はたくさんあるぞ! 探そう!」

 

ほら! ほらアレ! あの日記とか良いじゃん! ツメが食い込んでるような赤黒い表紙に鎖が巻き付いていてアレは魔導書では……???

 

「チカラが……欲しいか……?」

「リザード、燃やせ」

「ガァー!」

「アーッ! お客様! 困ります! 店頭に誰かが忘れて行ったゴーストポケモンが取り憑いているっぽい魔導書らしきそれを燃やすのはおやめくださいお客様! お客様ァ!」

 

燃え盛る店内をよそに、リーリエは俺を見上げる。

ここはキリッとした表情をしておこう。

 

「じー……」

 

焦げる魔導書。焦がれるような視線。

……なんやねん。

 

「じー……」

 

……なんやねん。

 

「クロウさんって、炎が似合いますよね」

「え? 俺ほのおタイプってこと? マジ?」

「なんというか爆発を背にポーズを取るのが似合う気がします」

「??? Zワザってこと???」

「あっ、いえ……なんでもないです!」

「あー??????????」

 

乙女心はソクラテスでも腰を抜かして逃げ惑うような謎でできている。

真意を読み取ろうとしている俺に気づいたのか、炎に照らされるリーリエはその頬を少し赤らめ、恥ずかしそうに微笑んだ。

ぎゃあああかわええええええええええ。

 

「ダメですね……! 私、クロウさんといると集中できません!」

「カ゜」

 

フラれた!!!!!!!!!!

 

邪魔だってよ!!!!!!!!!!

 

「ガッ」*1 

「腕を組むのだって、クロウさんの迷惑になるってわかっているのに……どうしても……やめられなくて」

べういえーあうああーあいよ(別に迷惑じゃないよ)

「クロウさん、そう言っていつも私に良くしてくれるじゃないですか。なのに私は……」

「ン゛ッ。*2……難しく考えすぎなんだよリーリエ」

 

こんなに可愛い格好で、俺の隣で生きている。

存在してくれているだけで十分だ。

……願うことなら笑ってほしい。幸せに生きてほしい。その人生の喜びの手伝いができれば、それが俺の使命なんだ。

 

「俺はリーリエの力になるよ。いつまでもずっと」

「ほんと、ですか……?」

「さっき、そう言っちゃったしね」

「……はい」

 

リーリエはぎゅっと、俺の腕を強く抱いた。

ガッ(舌を切る音)

ン゛ッ(舌を再生する音)

 

「じゃ、日記探しの再開しよっか」

「……はい!!」

「お客様! 燃える店内で萌えるのはおやめくださいお客様!」

 

 

 

 

「……この中でクロウさんが選ぶとしたらどんなものを選びますか?」

「え、俺? うーん……」

 

きょろきょろと、陳列されている日記を見渡してみる。

先ほども見たプクリンの毛皮の日記や、鍵付きの日記。

……お。いいやつがあるじゃない。

 

「アレかなぁ」

「合成皮の日記ですか。……えっ! インドゾウを昏睡させる電撃に耐えられるそうですよ!」

「他にもインドゾウでも耐えられなかったアリポケモンの牙にも打ち勝ったんだって。インドゾウ実験台にされすぎじゃない?」

 

俺が指したのはシンプルな黒の日記。

うーん、やっぱ実用性重視しすぎて味気ないよなぁ。

こんな男がリーリエと腕組んでて良いのかなぁ。自分のセンスが恥ずかしくなってきたわ。

 

「好きなの選びなよ」

「せっかくですからクロウさんの意見も聞きたいです。 クロウさんの選ぶ『実用性』も日記の大切な要素ですから」

「えー……」

 

でもリーリエにはもっとこうキラキラした爽やかなものが似合うと思うんだよなあ……。

例えばさぁ、白いレースとかついてる日記で、そこそこのページ数があってさ。金の鍵穴が付いてて、青い墨入れ(?)みたいなので装飾されててさぁ。

 

「これですか?」

「そうそう、こんなのがあったらなってあるじゃん

「これが、私に似合う日記…………」

 

じっと日記を見つめるリーリエ。

 

「……ふふ……」

 

は? かわいいが?

 

「クロウさん、私これが良いです」

「え。他にももっとあるよ? 別にそれじゃなくてもさ」

「いえ、これが良いです!」

「そう……?」

 

まー、気に入らなくなったらまた別のを変えばいいか。

じゃあそれで、と言うことでレジまで持って行って精算。

あ、焦げた魔導書らしきアレが後ろに置いてある。回収したんだ。

 

「結局その本なんだったんですか?」

「中身見たら気分悪くなるタイプの本でした……。お客様、お読みになります?」

 

ちょっと気になるのやめてくれねえかな。リーリエのほうをちらり。

 

「……私ですか? 構いませんよ?」

「じゃあちょっと読んでみるかぁ……」

 

なんかさぁ、カントーに来てからゲンガーだの魔導書(?)だのゴースト系のポケモンと出会いやすい気がする。もしかして俺死んでる?

 

……まぁ中身は普通のオカルト本って感じかな。人間からポケモンになる魔法だって。オモロ。

ポケモンと一つになるためには、心を一つにする石を取り込む必要があるらしい。心を一つにする石ってなんやねん。メガストーン? はたまたZクリスタル? うさんくせえ! うさんくっさ♡ ざぁこざぁこ♡

 

「この手の本はお祓い行った方がいい気がするな」

「お祓いですか?」

「んー。RR団の任務でシオンタウン行きのやつあるし、今度行ってみることにするよ」

 

シオンタウンは死んでしまったポケモンの墓やそう言ったゴースト関連が集まる街。

なんかシオンタウン症候群とかあった気がするけど詳しいことは知らん。でもお祓いとかはやってくれるんじゃないかな。

 

「ではその時は私にも教えてください! お供します!」

 

ええマジぃ? 夏に入る時に2人で心霊スポットデートってなんてそれなんてラブコメ???

とはいえ、シオンタウンはそこそこ遠い。俺がRR弾の小間使いをやっているときにみさきのこやにウルトラビーストが襲撃に来たら守れる人がいない。マサキ? 戦力外だよ()

 

「まぁ、それはそれとして。はい、リーリエ」

「あっ……」

 

差し出したのは、ラッピングされたリーリエの新しい日記。

白いリボンで口を縛られた小さな袋を大事そうに受け取ると、リーリエはそれを胸に抱いた。日記そこ代われ案件到来。

 

「大事にしますね」

「いつか読ませてね」

「絶対いやです!? なんのための鍵付きなんですか!」

「やっぱだめかぁwww」

「もう!!」

 

ぷんすこリーリエも絵になるなぁ。日記をつけるその姿を想像するだけでくらくらする。

その日の大冒険をどうやって文章にするか悩み、思いついた文面をその手で書き記す……。そう、それは静かで神秘的な夜、月明かりに照らされながら……。イイ。すごくイイ。

かわいい子には旅をさせろ。かわいい娘には足袋を履かせろ。和服リーリエってこと!?

 

「そちら手提げの紙袋にお入れしますか?」

「あっ、お願いします……!」

「それじゃあ、ちょっと休憩にしよっか? 近場でカフェとかあれば……」

「あっ、でしたら行きたいお店があって……」

 

紙バッグを店員から受け取ると横からリーリエにぶんどられた。荷物持ちしようと思ったのだが……。

 

「これは私がクロウさんから頂いたものですから、私がもちます」

 

オタク冥利に尽きるよなぁそんな言葉!?

いやぁ、推しにあげたプレゼントが速攻捨てられるとかよくある話よ? それをなんだいアンタはそんな乙女の顔をして抱きしめちゃってさ! 結婚しよ?

 

「荷物になってもいいのなら……」

「大丈夫です! いきましょう、クロウさん!」

「ありがとーございましたー」

 

……まぁ本人があそこまで喜んでるんだしいっか!

よほど気に入ったデザインだったんだな!

 

「それで、行きたいところって?」

「雑誌に出ていた喫茶店で、今までは隠れた名店として出ていたようです! そこの紅茶は絶品らしいですよ?」

「へぇ……。名前は?」

「バトルカフェ『ガラガラハウス』です!」

 

…………お客さんのいなさそうな名前!!!!

*1
舌を噛み切る音

*2
気合いで舌を再生させる音




プクリンの日記は最初は「プクリンの毛皮を表紙に使用した日記帳」でしたが調べたところプクリンから抜け落ちた毛を毛糸にすることでも高級品になるとのことらしいので、表現をマイルドにすべくそちらに変更いたしました。
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