リーリエロスでカントー行ったよ 作:バケットモンスター、縮めてバケモン
ケンタロスは進むよどこまでも。
野を越え山越え。
「うっ……ぐはっ……」
屍を越え。
い、今ありのまま起こった事を話すぜ!
ロケット団「荷物を全部置いていきな!」
俺 「轢けケンタロス!」
ロケット団「ぐああああああああ!」
犯人俺でしたわ。
これはガーディに街中引き摺り回しの刑ですわ。
え? 待って、これ逃げればワンチャンバレない説ある?
「ケンタロス、逃げるぞ」
「ぶもう」
「そうは行かないわよ! リーダーをケンタロスで轢きやがって! おまわりさん! この人です!」
側から出たロケット団の下っ端がジュンサーさんを連れてくる。
「…………」
「…………」
「…………おまわりさん、こいつロケット団です」
「ご協力感謝します」
「うわああああああ! なんでよおおおおお! アタシの方が先に通報したじゃない! どうしてえええええええ!」
うわあ、首輪付けられてる。あれが街中引き摺り回しの刑か。
「君、盗まれたものはない?」
「あ、ないです。強いて言うならケンタロスで人轢いちゃったんですけどどうなります?」
「野生のポケモンに襲われたってことにしましょ。まったく、最近妙に増えてきて困るのよ……」
「増えてるんですか?」
ジュンサーさんははぁ、とため息をついてからガーディに睨まれてすくみ上がっているロケット団の下っ端を見た。
「なんかね。シンパなのか宗教なのか、昔のロケット団の復興を! みたいな輩が増えてきてね。ポケモンをお金儲けに使うだなんて、絶対に許せないわ」
「そっすねぇ」
「おまけに、伝説のポケモンを捕まえるーとか、保管して見せびらかすーとか言ってるのよ」
「それは普通のポケモントレーナーでも同じでは?」
「…………」
「………………」
ジュンサーさんは無言で帰っていった。なんだったんだ今のは。
ただ、ロケット団が増えてるなんて聞いたことがない。リーリエが危険だ、速く向かわなければ。
「どうしたイーブイ」
「ぇぼ……」
ぷるぷると伸びしたイーブイを横目に俺はタウンマップを取り出した。
なんとここはハナダシティ。まぁ随分と、速くについたもんだ。
決して大人の事情ではない。そう、絶対に。絶対に、『リーリエがいない小説書いててもつまんないからアンケートとったら断然リーリエ早く出せ派の方が多かった』などという理由はないのだ。
そんなわけで、俺はこの荷物をポケモンセンターに運んだらみさきのこやまで一直線に行けるとウッキウキでケンタロスに木のみを与えているのだ。
「うまいか? もう少しだけ頑張ってくれ。なるべく早めに」
「ぶもう」「ぶむお」「えぼ!」
「イーブイはさっき食べたじゃん」
こんな感じで接してるとわかる事だが、きのみって、結構な頻度で手に入る。
回った街でお駄賃としてもらえるものだったり、いつのまにかイーブイが持ってきてたり。
BWではあんまり手に入る印象はなかったためにちょっと意外かも。でもサンムーンでは結構手に入ってたな。作品によってちがうんだろうか。
再び歩き出すケンタロス。人を轢いたことも意に介していないようだ。俺もそんなに気にしてない。
嗚呼リーリエよ。清楚な正統派ヒロインリーリエよ。
カントー地方ではどうなっていますかリーリエ。主人公が11歳だとしてそれよりも少し背が高くて今14〜16歳くらいの柔和な笑顔に誘われた私はカブトムシなリーリエよ。
…………。
なんか嫌だな。やっぱリーリエは12、3歳くらいの方がいい。年齢不詳だけど、恐らくルザミーネさんのデオキシスがいでんしのくさびでリーリエに遺伝してモデルスタイルになっただけだと考えよう。
だとするとククイとかいう上裸変態博士はどれくらいの身長なんだ。ムカつく。
つまりはそういうことです(あきらめ)
まぁしっかし旅とは暇なもんである。ルートが決まっているので旅じゃないかもしれないけど野生のポケモンすら出てこねぇ。え? 野生のロケット団? 知らない子ですね。
というか見どころほんとになくて草なんだ。普通はイベントに巻き込まれたりするもんじゃないの───
───「それじゃあ、本当にお疲れ様。向こうのポケモンセンターには伝えておくよ。あと、それを差し引いた分のバイト代」
「あざーす」
本当に何もなかった……
マジでなんもやることなくて草。
ポケモンセンターに待機してたゴーリキー*1に箱を渡し、ゴーリキー*2の手が空いたらまた箱を渡し。
ゴーリキー*3はとても優秀で、俺の出番もほとんどなかったくらい。じゃあ帰りますかってなっちゃうもん。
いや帰らないけどね?
つまるところ、これにて任務は完了。バイト代としてもらった35000円を握りしめ、いざ24番道路へってできるのだ。
リーリエリーリエ。
ケンタロスとのお別れは寂しいけどリーリエが大切リエ。
「ブイ、いくぞ」
「えぼい!」
頭の上にイーブイが乗っかるおっっっっっっも。
首の骨イカれそう。
でもリーリエが大切リエ。はやく動くリエ体。
のろのろと動き出した足に力を込めながら、俺はハナダシティの橋を渡る。
確かこの隣の草むらにはゼニガメがレアエンカウントでいたはず。あとで捕まえておこう。
「……あっ! ちょっと君!」
「? あ、俺ですか」
「そう、君だよ。ちょっと来てくれないかな」
橋を渡りきったところくらいで向こうにいたお兄さんに引きとめられる。
足元にはヒトカゲがおり、尻尾がパチパチと燃えていた。なんやねん。ポケモンバトルか? 俺とリーリエの恋路を邪魔する気なら容赦はしないよなぁイーブイ。
「おれ……ポケモン育てるの下手なんだ」
「はぁ……そうですか」
「このヒトカゲも弱いままで可哀想だから、俺よりすごいトレーナーにあげたいんだ」
……おろ? 確かこの人って、ポケモンを捕まえた数が多かったらヒトカゲを譲ってくれる人では?
「君がポケモンを捕まえた数は1か……それじゃあ渡すことはできないな」
「おうなんやコラ俺のポケモンセンス舐めとんとちゃうぞコラァ」
「ええ何!? で、でも……」
「アローラではブイブイ言わせてたんじゃボケェ! リゾート開発するために90匹とか捕まえとったんじゃボケェ!」
「ひっ、ひい! わ、わかった……! 譲るから、譲るから! ……大切にしてくれよ」
「もちろんじゃボケ誰やと思っとんねん」
「誰?」
「……誰だろう俺」
そういえばカントーでなんも成し遂げてない。強いて言うならバイトくらい。
「まぁまぁ任せてよお兄さん。立派なリザードンにして見せるから」
「ほ、本当かい? ……定期的に見せに来てくれよ。怯えてるようなら返してもらうから」
「はいはいわかったわかった。月一とかでいい?」
「あ、応じてくれるんだ……」
ヒトカゲは欲しい。なんとしてでも。
興味深そうにこちらを見つめているヒトカゲに、お兄さんからもらったモンスターボールを差し出す。
光と共に俺の掌に収まったそいつをポケットに押し込み、俺はお兄さんに頭を下げたのだった。
「あの時のヒトカゲ育ってる?」
「……ん? いや今貰ったばっかで」
「あの時のヒトカゲ育ってる?」
「お兄さん?」
「あの時のヒトカゲ育ってる?」
あかん、あの時のヒトカゲ育ってるbotになってしまった。
イーブイ、行こう。
あの人はもうだめだ。
───うわやまおとこいるやん。迂回しよ。早くリーリエに会いたい。
───うわ短パンこぞうおるやん。迂回しよ。早くリーリエに会いたい。
───うわミニスカートおるやん。迂回しよ。早くリーリエに会いたい。
───うわ───
多くねぇ!?
ポケモントレーナー多すぎて隠れながら進むのにめちゃくちゃ時間かかったんですけど!?
はぁ〜マジ疲れた……ってかよく俺迂回できたわね。
さて……ポケモントレーナー多すぎ道路、別名25番道路の先。一件だけ、小さな小屋がある。その隣には、原作になかったであろうキャンピングカー。
間違いない。リーリエがいる。
リーリエが、この扉の先にいる。
……怖。扉を開けるのがこんなに怖いとは。
いくぞ。いくぞ。俺はできる男。扉を開けて「アローラ!」で行けるはずだ。
ふぅ。いくぞ。
───ガチャ
「アロー……ラ……?」
誰もいない。
目の前に二つの筒がついた大きな機会。整理されて机の上に並べられた資料。ソファと、本棚やタンス。
…………リーリエいない?
リーリエ……(・ω・`)
「ん? お客さんかいな……」
ごそごそと、機械の裏から物音がする。
裏からひょっこり顔を出したのは、イケメンだった。
「こんちわ! わいはマサキ……人呼んでポケモンマニ「リーリエ違う…… 」怖。なんやその反応。ごめんて」
煤汚れでところどころ黒くしながら、マサキは俺の目の前までやってくる。
関西弁っぽいのはジョウトの言葉らしい。二次創作する際に大阪の人に怒られなくて済むねやったね!
「ほんで……あんさん、一体何の用があってこんなとこまで来たん? あっ、わかったぞ。こんなところにあるのが珍しくて、つい入ってしもたんやな!」
「違います」
「冷たっ。んまぁ、ええわ。で、何の用やねん。ここにはしゃべるポケモンは居らへんで」
うわ自虐じゃん。おもしろ。
「リーリエという女の子を知りませんか?」
「なんや、リーリエちゃんの知り合いかいな。そんならそうと言ってくれればええんに。リーリエちゃんなら隣のキャンピングカーでランチタイムとちゃうか?」
「隣っすね? いるんすね、ここに、リーリエが!」
「……んん? んまぁ……おるけど……なんや、ちょっと怪しくなってきたな」
「ロケット団じゃないからセーフ」
「なんやそれならええわ」
マサキに一礼して小屋を出る。
そして徒歩2秒のところにあるキャンピングカー。カーテンは閉まっていて仲を見ることはできない。エーテル財団の物なのか、二階建てバスみたいな大きさで白をベースに、そしてタイヤの真ん中にエーテル財団のマークがある。
間違いない。これはアローラからきた物だ。
そして、そこにはリーリエがいる。ルザミーネさんもいる。
長かった。ここまで長かった。
呼吸を止めて1秒わたしシンケンな目をしたから。
そこから息ができなくなるの窒息ロンリネス。
……ふう。落ち着いた。
中指を軽く曲げ、ノックを3回する。
「はーい」
内側から、可憐すぎる声が聞こえた。
長時間聴いているだけで耳がとろけそうなよく響く声だった。もっと聴いていたい、そんな思いが湧き上がる。
はやる思いを胸に、ドアを開けた。
「すみませんマサキさん、ごはんもう少し待ってくださ……い……?」
「…………ッ」
かっっっっっっわ。
サンムーンでも着用していた、白いプリンセスラインのノースリーブワンピース。揺れる淡いブロンドの長い髪と、雪のような白い素肌。
グリーンフラッシュを宝石の中に閉じ込めたように輝く知的な瞳が、こちらを見つめている。
もう死んでもいいかもしれない。
「えっと……どなた、ですか……?」
声かわいい!!!!
やばい心臓がうるさすぎる告白じゃないんだぞそうだ頑張れ俺しっかりしろリーリエにちょろっと挨拶すればいいだけなんだ行ける俺なら行ける俺なら絶対行ける何のために三日間泳ぎ続けたんだリーリエに会うためだろ第一印象が大切なんだオタクになるな俺は俺だいけるいけるいける!!
「あ……えっと……」
「……?」
「あろー……ら…………?」
「………………あ、アローラ……え?」
プルプルと震える両手で円を描いた俺に対して、リーリエもぎこちない動きで円を描く。
は? 脇が丸見えなんだが? 天使か? は? 俺じゃなかったら襲ってたまであるぞこれ。
「あ、アローラ地方の方ですか……?」
「まぁ……その、服装的にも……ね」
「たしかに……そっくりです」
そっくり。
やっぱり、リーリエは主人公に会っている。
色合いや細部が違うものの、俺の今の格好はポケモンサンムーンの主人公にそっくりだ。
「えっとそれで……アローラの方が……何かご用ですか? あっ、もしかして母様に……?」
「あぁっ、違う、違うんです……その……リーリエ、さんに……その」
「わたしにですか?」
ヒェっ。
顔が良い!
挙動不審な俺にも普通に対応してくれるリーリエちゃんマジ天使。っていうかなんかふんわり良い匂いするし香水っていうか女の子ってこんな匂いするんだぁ……。
いかん、不審者になってしまった。死ね、俺。リーリエにふしだらな情を抱くな。
「だ、大丈夫ですか……?」
「すみません。取り乱しました」
「いえ……。気分が優れないようでしたら、少し横になりますか?」
誘惑するのはやめろまじで!!!!
「い、いえ! 大丈夫です! えっとその、用と言うのは……」
「はい」
「用と、言うのは……」
あれ。
なんで俺、リーリエに会おうとしてたんだっけ。
というか、俺はリーリエとどうなりたいんだ?
会ってから何するのかも考えてなかった。とにかく会えば何かが始まると、謎の確信を持っていた。
「…………えっと」
「ゆっくりで大丈夫です。お茶、飲みますか?」
「あ……」
「今、淹れたばかりなんです。マサキさんには内緒ですよ」
そう言って人差し指を口に当てるリーリエは、ひどく魅力的に見えた。
そして、我慢ならずに言ってしまった。
「とっ……友達になってくれませんか!!!!」
「ふぇ……?」
ふぇって言った。リーリエがふぇって言った。かわいい。
腰を曲げ片手を差し出す告白のようなポーズのまま俺はリーリエを見る。
ぽかんとしていた。めちゃくちゃ顔が良い。あっ、リーリエが、リーリエがイーブイ1匹分の距離にいる。あのリーリエが。
ドクンドクンと跳ねる心臓をもう片方の手で抑え、リーリエを見つめる。
リーリエは、何が起こったのかわからないと言った顔で、辺りをきょろきょろと見渡した後、恐る恐ると言ったように。
───ピトっ
「ひぇっ」
俺の手を握った。
桜貝のような爪が綺麗に揃った白魚のような手が、俺の差し出した手をぎゅっと握る。
「……あ……あ……(カオナシ)」
「えと、よ、よろしくお願いします……?」
そのはにかみ顔で俺の寿命は5年縮んだ。いや10年縮んでるかもしれない。
「あ、ありがとうございます……」
「は、はい……」
リーリエがぴょぴょぴょってしてる。困惑リーリエかわいい。やばい。
告白後みたいな雰囲気を出してる俺はどうしたらいいのか分からず、ただ手の感触に集中した。
「(…………ちょっとだけ……硬いな……)」
普通の女の子では、手はそんなに硬くならないと思う。
平均よりも、硬い。何かを多く経験しているというか……。掴んだり握ったり、持つ機会が多かったんだなって。
大丈夫。リーリエに降り注ぐ危険は俺が防ぐ。
お友達に、なれたし!!!!
「リーリエちゃんご飯って……あ……お邪魔やった……?」
「い、いえっ!! ご飯ですよね、できてます! どうぞ!」
「おっ、パンケーキかぁ。美味しそうやんけ! よし、じゃあ向こうで食うで!」
パッと離れた手が積まれたパンケーキの皿を持つ。
それはマサキに手渡され、マサキは消えた。
おてて離れちゃった……(・ω・`)
「えっと……じゃあ、これからよろしくお願いします」
「おうい! リーリエちゃんとあんさんもこっちきいや!」
「は、はいっ! い、行きましょう!」
握られた手をまじまじと見ていると、リーリエはキャンピングカーの外へ走っていった。
すれ違ったときめちゃくちゃ良い匂いした。やばい。
それじゃあ、俺もそっちへ……ん?
「写真だ」
そこには、リーリエとハウ、そして主人公の……ヨウが写っている、写真があった。
写真たてに反射する俺の顔とは、別人。
…………もしも、リーリエが主人公に好意を抱いているのだとしたら。
「…………俺は、どうしたら良いんだろう」
主人公の名前 私はアカシアがおすすめ
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