リーリエロスでカントー行ったよ   作:バケットモンスター、縮めてバケモン

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最強! 無敵! ロリーリエ!!!!

「博士、玄関先に宅配便が届いてます」

 

いつものように朝食をキャンピングカーから運んできたリーリエが、そんな知らせを持ってきた。

意気揚々と飛び出す博士について行ってみる。

 

「うおデカ。俺の身長くらいあるじゃないですか。何入ってるんです」

「この前朝早くから出かけた時あったやん? そん時に作った機械なんやけどデカ過ぎてワイ一人じゃ持って帰れんくて」

「それで宅配にしたと。送料は?」

「にまんえん……」

「バカじゃねえの?」

 

うわ……カイリキー便ロイヤルプラン……。

梱包も丁寧で傷ひとつ無く配送する代わりにクソ高ぇ送料取られるやつじゃん。出先でなんて出費を……。

 

「というかこれ、玄関から入るんですか? 箱のサイズ的に扉通らないですよね」

「あ」

「「え……?」」

 

 

 

 

「クロウくんそーっと! そう! そこや! もう少しやから頑張って! アッちょっと天井が……」

「クロウさん! みなさん! 頑張ってください! あとすこし! ふれー! ふれー!」

 

殺す……! 絶対殺す……!

 

「ぐおおおお……頑張れフシギダネ、気合い入れてけ……!」 

「ダネァ……!! ダゥァ……!!」

「アッ進化来た! フシギダネ進化してる! クロウくんストップ!」

「何!? なんなの!? いや無理無理無理これ何キロあるんですか!」

「115キロ!」

 

冷蔵庫じゃねえんだぞバカタレ!!

 

「ソウ!」

「あっ進化しました! 進化しましたよクロウさん!」

「いやもうほんと勘弁して!!!!」

「ソォ……!」

「うぐぉぉぉ……!!!!」

「オーライ、オーライ、オーライ、ストップ! よし! よし! そのまま立てて! 立てるんや!」

「ぬぅぅぅあああ!!」「ギソォ!!」

「よおーし! お疲れ様やでホンマに!」

 

あーしんど!!! 死ぬかと思った!!!

 

「お疲れ様ですクロウさん、ジュースです。……フシギソウちゃんも」

「ばなー!」

「これ、リーリエお手製のきのみジュース? やったじゃんフシギソウ、お前の大好きなリーリエお手製だぞ」

「ソー!!」

 

まさかこのタイミングで進化するなんて……というかまた進化の瞬間見れなかったんですけど。どういうこと? 俺、進化に嫌われてる? 概念に?

まぁ……まぁ進化したなら良かったよ。強くなれたな、フシギダネ……じゃなかった、フシギソウ。

 

「それでこの機械はなんなんです? 超重かったんですけど」

「よくぞ聞いてくれました! これは……やな!」

「は?」

「怖い目……。ごほん。鍋っちゅうんは極論の話な? この機械はポケモンの素材を入れてその能力を発揮させる、夢のマシンなんや! つまり、この段階ではまだ未完成とも言える!!」

「は、はぁ……」

「とにかくご飯にしませんか? 冷めてしまいますよ」

 

サンドイッチを片手に、リーリエがおずおずと手を挙げる。

そのサンドイッチをむんずとつかみ、マサキはその場に座り込んだ。

うわこの人飯食いながら説明するタイプだ……。

もしくは、ご飯を食べる時間も惜しむくらいこの機械が素晴らしいのか。

 

「この機械はそもそもの話、昔の学会で見た時間と空間に干渉する鎖型装置の基盤を元に設計しててな? まーこの仕様上そんなコンパクトな形にはならへんかったんやけど、この前の深夜にぽんっと思いついたんよ。これを使えばどんな病気だって一撃で治せるようになるってゴニョニョゴニョニョ……」

「うーん、わからん」

「語り始めるといつも()()ですからね……」

「───つまりやな? これにポケモンの素材を入れて完成させることでこの機械は真価を発揮するんや。もうええか? 良いよな? もう辛抱たまらんからこのまま完成させるわ! この箱の中に素材を入れてくんよ! それをこの前のお出かけで採取してきたんや! まずはラッタの乳歯と───」

 

左手にサンドイッチを、右手にポケモン素材の詰まったカゴを持って目をぐるぐるさせながら話すマサキ。

研究者ってすごいよな。知らない世界があるならすぐ見に行きたがる。そんで見てしまうのだから脱帽だ。

 

「───あと遠い地方にいるヤバチャってポケモンの紅茶エキスとセレビィの毛とガラガラの骨で取ったダシスープを───」

「……ん!?」

「いまなにか凄いのが入りませんでしたか!?」

「そして最後に別地方の博士から譲ってもらったこのユクシー・アグノム・エムリットの血清を入れてボタンを押せば!! ハハ!! ハハハ!! やったで!! これは革命や!! 自分の頭脳が恐ろしいわ!! アーッハハハハハ!!!!」

 

あああなんかウィンウィン鳴ってる! 機械がガタガタ揺れてる! こわい!

マッドサイエンティストだよ! 悪役だよ! RR団側だよあなた!

 

「病が治せないのなら! 病に()()()()()()()ことにすれば良い! これがッ! これが時空干渉マシン! 【ウルトラカプセル(仮)】! ポチッとな!」

「なっ、なんだあれは!! 緑色の光がウルトラカプセル(仮)のアンテナ見たいな部分に集まって……! 集まって……!」

「きゃーっ!?」

 

リーリエぇぇぇえええ!!!!

 

「博士!」

「へぶう!! ……ハッ! ワイは何を! リーリエちゃん! リーリエちゃ(けむ)ッ!! リーリエちゃん! リーリエちゃぁん!!」

 

まずい、謎の光線がリーリエに直撃した!

白煙で何にも見えないけど、俺の心の中の()()が警鐘を鳴らしている! 緊急リーリエ警報! 緊急リーリエ警報!

 

白煙の中に突っ込み、リーリエを探す。

頼む、どこかに行かないでくれ……!

と、伸ばした手に触れたのは布。

この装飾はリーリエの服だね。ほら、ゲームでも最初に来てたワンピースの襟の部分。水色のね。

 

ふむ。

 

なぜここにリーリエの服単品が……?

 

あーうん。なるほどね?

そういうヤツだ。フラグだ。

 

「えい」

「白煙の中に赤い煙が!」

 

まず己の目を潰すじゃろ?

 

「───……」

 

ありとあらゆる感覚を消すだろ?

 

「…………」

 

気配を辿って服をリーリエに覆い被せるだろ?

 

ふにゃっ!?

 

……ん?

なんか……思ってたより小さいぞ?

何かしらの影響で服だけ吹き飛ばされたものだと思ってたけど……。

 

「煙が晴れてきた! リーリエちゃん、クロウくん、無事か!?」

「……いや……俺は大丈夫なんですが……リーリエが……」

「ねえあの、さっきここから大きな音が聞こえたのだけれど大丈夫?」

「あっルザミーネさん、いやこれはですね……」

 

 

 

 

「かあさま!」

「かわいいいいいいいい!!」

 

 

 

 

「リーリエ!! 私のリーリエ!! 可愛い!! っというか懐かしいわ!! なにこれ!! どうしたのこれ!! よしよし!!」

「かあさま、ちょっとくるしいです」

「いやぁ……それが……かくかくしかじかメブキジカで……」

「はぁ……つまりこの装置の誤作動でリーリエが『過去の姿』になってしまったということね?」

「本来ならルザミーネさんに当ててウツロイドと同化する前に戻すつもりが……こんなふうになってまって……すんません……」

 

自身の腰ほどの背になってしまった娘をなでなでしながらルザミーネは目を細める。

 

「もしも命に関わるようなら彼が……クロウくんが守ってくれるでしょう? こうなっているということは、リーリエには特に影響が無いということでしょう」

「なんスかその絶大な信頼」

「それに、マサキ博士ならすぐにでも戻す方法を調べてくれると、分かっていますもの」

「そりゃあ、まぁ、そのつもりではありますけども……」

「今はただ、今ある『可愛い』をなでなでしなければ……!」

 

ルザミーネがリーリエ吸いをしている間に、俺は朝食を並べ直す。

決して冷静なわけでは無い。

動転しすぎてちょっと今やるべきことが見つからないんだ。

うーんちょっと可愛すぎるなぁ〜???

いやいやでもね? 早めに治さないと、記憶にも影響あるかもだしね?

 

……ちらっ。

 

「うりうりうり」

「くるしいです……」

 

ちょーっと可愛すぎるな……。

俺はこの先あのプリンセスを守るのか……本気で……?

魔性だ……魅力に溢れてるな……守りたいという欲求に駆られる……。

 

「えっと……とりあえず朝ごはんにしましょう。サンドイッチはリーリエが作ったものなんで」

「ダメよ! せっかく小さくなったんだしリーリエにはもっと健康的ななものを食べさせましょう! 食事制限もして、今度こそ美しくなるのよ!」

「はい没収」

「嗚呼っ! やめて! 冗談だから! 冗談だから私から娘を取らないでっ!」

 

懲りないねあんたも!

それで今こんなこと(ウツロイド中毒)になってるというのに!

根っからの性格は治らないってわけ!?

な。リーリエ。リーリエは俺が守るからな。

 

「お兄さんは……どなたですか?」

「博士ダメだ耐えられない。戻そう」

「戻したいのは山々なんやけど、ウルトラカプセル(仮)の再起動には時間がかかるんや。リーリエちゃんにはしばらくこの姿でいてもらうしか……」

「ねっ! ねっ! マサキ博士もこう言っていることだし、もう一度私にも抱かせてちょうだい! ほら抱っこよリーリエ!」

「…………」

 

そして渦中のリーリエ……ロリーリエは阿鼻叫喚の俺ら三人の面々を見て、おろおろとしたかと思えば俺のズボンを掴むと、

 

「なかよくしてください……」

「「「…………」」」

 

これはダメだ。

イエスロリータノータッチ。というかこんな触れたら壊れてしまいそうな女の子に触れられるわけがない。

思わず頭を撫でそうになる。手を伸ばしてしまう。

耐えろ。後ろでにへにへしているダメ大人二人のようにはなるな。

たとえロリーリエ自身が俺の手に気づいて頭を差し出しているとしても、絶対に撫でてはいけない。

戻れなくなる。

撫でるな。

撫で───

 

「……♪」

 

あらまぁ可愛いねぇあなたお名前なんてーの?

リーリエ!! 可愛らしいお名前だこと!! よしよしされて恥ずかしそうにしてるけどなかなか離れようとしないねえ!! かわいいねえ!! そうだジュース飲む!? たくさんお飲み! たくさんお食べ!

 

「リーリエ、お着替えしない? すぐに取り寄せるから色々着てみましょ?」

「と、とりあえず採血をせんと、身体がどんな状況かわからへんからちょっとだけ、ちょっとだけ注射させてぇな!」

「ダメですよ博士! 怖がっちゃったらどうするんですか!」

「うちの子は注射ごときで怖がるような教育をしていないわ!」

「いいかげんにしてくださいっ!」

 

俺の足元から発せられた幼くも大きな一声に固まる俺たち。

ロリーリエは椅子の上に立つと腰に手を当て俺たちを見下ろす。

……見下ろせては無いけど。椅子に立ってもなお見上げてるけど。

 

「なかよくしてください、と言ったはずです」

「「「はい…………」」」

「先にちゅうしゃをすませましょう。かあさまはその間にわたしのふくを用意してください」

「はい……」「はい……」

「おにいさん、お名前は?」

「あ、自分クロウって言います」

「クロウさんはこの二人がけんかしないように見ていてください」

「はい……」

「ではかあさま、おねがいします」

 

言われてハッとしたようにキャンピングカーへ戻っていくルザミーネ。

いつのまにやら、俺が使っていたブランケットを巻いて身体を隠したロリーリエはさっさとソファに座ってしまう。

 

……なんか……なんか今のリーリエとだいぶ違うんですけど……。

おしとやかなところとかしっかり者なところは面影あるんだけど、こんなに物をはっきり言う子だったのか?

悪くない。

……いや正気に戻れ。

 

「(……博士これはいったい?)」

「(たぶん記憶が混濁しとる。本来なら記憶はそのままに身体の一部だけ時間を巻き戻すはずなんやけど、なにかの間違いで記憶ごと……。せやから、今のリーリエちゃんとちっちゃいリーリエちゃんの記憶と性格がこんがらがって……)」

「(()()、なったと。戻せるんですか?)」

「(メンタリストとかいればあるいは……)」

「あの、えっと、ぉ、ぉーぃ。ちゅうしゃはしないのですかー……」

「はい、ただいま参ります!!」

 

つまり、今のロリーリエは完全なロリーリエではなくリーリエとロリーリエが合わさったハイブリッドロリーリエってわけだ。

おう、わからん!!!!!!

 

治るんなら良いんですけどね。ウルトラカプセル(仮)のチャージ時間までは、ゆっくり守らせてもらいますよ。

 

リーリエに会いたいな。目の前のあの子もリーリエではあるんだけどな。

 

 

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