リーリエロスでカントー行ったよ   作:バケットモンスター、縮めてバケモン

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VSフレンド 前編

「ハァ……ッ! はぁ……っ!」

 

おつきみやまに向かう先で、たくさんのポケモンが凶暴化していた。

まるで何かに毒されたように興奮して、全員が俺を襲ってきた。

蹴散らすのは容易い。けれど、時間を取られているのは確か。

襲いかかってくる邪魔なポケモンたちを倒しながらイワヤマトンネルに逃げ込み、いつ襲われるかと警戒しながら休みを取った。

 

「……っ」

 

イワヤマトンネルに開いた大穴。

持ち出した靴に履き替え、転落防止の柵を乗り越え穴へ飛び込む。

マンションの2階か3階か、それとも4階? 正確な数字はわからないけど、相当の高さ。

着地の瞬間、ナマコブシ靴から溢れ出たクッションが衝撃を吸収した。

……これはもう使えないな。クッションが完全に伸びてしまっている。マサキめ、高いところから降りる開発実験が怖いからって使い捨て品として妥協しやがって。

 

「……さて……」

 

無茶はしない。リーリエとの約束。

最低限の休息も、食事も睡眠もとった。

リーリエはそう簡単に諦めるような子じゃない。そう信じる。

だから俺にできる最速で行く。だから急ぐ。

 

だから。

 

だからさぁ。

 

「そこどけよ」

「……どかないよー」

 

イワヤマトンネルの地下にある、大空洞。

かつてアクジキングと戦ったそこに、一人の人物が立っていた。

深い緑色の髪。

呑気そうな表情。

けだるそうな仕草と、健康的な褐色肌。

幼い顔立ちに似合わぬ威圧感。

 

「ヨウから頼まれてんだよねー。アンタを通すなってさー」

「…………」

「一応言っとくと、おれ、ハウ。よろしくー……ってところで」

 

ボールを構える。

躊躇いはないみたいだ。

 

「ポケモンバトルと……いこっかー」

「頼むぞ、ケンタロス」

「ケケンカニ!」

 

イーブイは温存する。

たかたがハウごときに、イーブイの『まねっこ』のPPを使うわけにはいかない。

上から目線でごめんね。でも、ヨウに勝つためにはイーブイの力が必要不可欠なんだ。

 

「ケケンカニ、ストーンエッジ!」

「『じしん』をチェンジ───」

「なんつって、『インファイト』!」

「ぶもうッ!?」

 

……なっ。

 

「今、物理技に変えようとしてたでしょー? ヨウから聞いてるんだよね。ケンタロスはわざマシンのわざを戦闘中に覚えることができるって」

「…………」

「そんなずるいことするんだから、フェイントされても文句言えないよねー」

「『じしん』!」

「おっとっと、じゃあ『ストーンエッジ』!」

 

地震で割れた大地が、岩の刃となってケンタロスに降りかかる。

体勢を崩したケンタロスにケケンカニがその腕を振りかぶり……。

 

「『アイスハンマー』!」

「ぶもぉぅ……」

「そう簡単に、やられないよ」

「……戻れ、ケンタロス」

 

……最初から汎用性の高いケンタロスが使えなくなったのは痛いな。

リュックに入れられる限界は決まってる。だからあまり回復アイテムを入れられなかった。

ここでげんきのカケラを使うのは痛手だ。

 

「……ハウ。お前は……優しくて、聡明で……。勇気があって、頼れるやつだった! ちょっとバカだけど、それでも、憎めないやつだった! そんなお前がなんで、なんでこんなことを!」

「ちょっとディスられたのが気になるけど、褒めてくれたのはありがとー」

「答えろよ!」

「んー。ヨウに言われたからってのもあるけど、その前に……」

 

 

 

 

 

「おれ、アンタに会ったことないんだよねー」

「ハウ……っ……!」

 

 

 

 

 

俺は……お前を知ってる……。

でも、お前は……。

俺は……お前の記憶の中に……いないんだ……。

 

「……もう、いいか」

「……なにがー?」

「できることはするべきだよな」

 

三つのボールを構える。

 

「頼んだぞ。リザード。カメール。フシギソウ。『りゅうのいぶき』!」

「ザァー!」

「『みずのはどう』!」

「メルァー!」

「『タネマシンガン』!」

「ギシャー!」

「えええっ、三体同時ー!?」

 

トリプルバトル。

今まで決してできないわけじゃなかったんだ。

俺の力が甘いせいで、三匹同時に的確な指示ができなかった。

そう思ってた。

コイツらはプログラムされた機械じゃない。イーブイを見てようやくわかった。

自分で考え行動できる。後ろからの俺の指示に応えることもできる。

 

「固まるな! 離れろ!」

「ザァー!」「ガメェア!」「シギャ!」

 

だから俺がすべきことは、三匹のサポート。

死角を見つけて、弱点をフォローする。

やってることはレイドバトルと変わらないんだ。

 

「1対1が三匹かー。こうなるとおれ弱いんだよねー。最初に貰ったポケモン、ヨウに預けちゃったから」

「…………」

「でもその代わりに、おれもヨウにポケモン貰ったんだよー」

「…………! まさか!」

「ブースター! シャワーズ! リーフィア! 全員『でんこうせっか』!」

 

光が3本、リザード達の周りを走り回る。

まるでフェローチェのように、スーパーボールを思わせる動きで洞窟内を跳ね回り続ける。

そしてどれがどれだかわからなくなったところで急に動きをやめ、

 

「『フレアドライブ』! 『ハイドロポンプ!』 『リーフブレード』!」

「「「───ッ!!」」」

 

狙いを定めた、とわかったその時にはもう遅い。

リザード達は俺の後方まで吹き飛ばされ、洞窟の壁に振動と共にめり込んだ。

 

「ッ、フシギソウ! 起きてくれ!」

「ッシャー……!」

「『タネマシンガン』!」

「ブースター、『フレアドライブ』!」

 

吐き出したタネは全て燃えた。

次の指示を、と考える前にフシギソウの身体が吹き飛んだ。

 

「3匹とも、『でんこうせっか』!!」

「ギッ、ギギギ……!! ゥギィ……!!!!」

「フシギソウ!!」

 

空中で、見えない何かに何度も体を打ちつけるフシギソウ。

……3匹に一気に攻撃されたら、いくらフシギソウでも……!

 

「トドメだ! 『フレアドライブ』!」

「ブゥッタアー!」

「………………ギッ……!!」

「フシギソウ!!!!」

 

身体を炎に包まれながら、フシギソウが壁に打ち付けられる。

 

誰一匹として、動く気配がない。

俺の手持ちで1番タフネスを持ってるフシギソウが……!

こんな……こんな簡単に……!

 

「さぁ、次はどのポケモン?」

 

また、俺の甘さで負ける。

負けさせてしまう。

俺が、力量を見誤ったから、格上のポケモンと戦わされて、それで、サンドバッグにされる。

ごめん。ごめんみんな。

 

ごめん───

 

「フシャ」

「……フシギソウ?」

 

さっき……倒れたはずじゃ?

 

なんで、お前。

意識が、もどって?

 

「フシゥァ!」

 

諦めてないぞ。

そう笑う顔は、なんだかあの日のフシギダネに似ていた。

 

『またリーリエのカレーを、リーリエのご飯を食べるために』

『ダネ……』

『よろしくな、フシギダネ』

 

体の内側から青く光る、フシギソウ。

 

「……おまえ……!」

「ギソ……ギ……バナァ!」

「ガメェェェッ!!」

 

荒波のような水流が岩すら砕いて吹き飛ばす。

後ろから俺を照らした、青い光。

 

『なんだよ、お前優しいやつだなぁ。いつもここで人が居ないか見張ってるのか?』

『ゼニ!』

 

鈍く光る砲塔。

どっしりと構えた巨躯。

 

「…………ックス!!」

「グオォォォォ!!!!!!」

 

自身に覆い被さった瓦礫を吹き飛ばし、青い光に包まれた竜がその姿を表す。

 

『今だヒトカゲ!』

『ッカゲカァ!』

 

大きな翼を携えて、戻ってくる。

 

「ザァー……ドンッ!」

「お前ら……!」

「この土壇場で進化……? それも三匹同時に……?」

 

そうだ。

コイツらはプログラムじゃない。

そこに生きてる。そこに存在する。

ああ、ようやく見れたよ。

 

「……よし! 行くぞ! リザードン! カメックス! フシギバナ!」

「グオオオ!」「グルアアア!」「ジャアアア!」

 

お前らが、進化する瞬間。

本当に、本当にカッコいいよ。

 

「『ハイドロポンプ』!!」

「メェェェエエエッ……クスッ!」

 

放水の圧が太く、長く伸びる。

放たれた水はごんぶとのレーザーとなって岩を洗い流し、そのままブースターを直撃する。

かつて、焼石に水と言われ、ガオガエンに敗れた。

それももう前のこと。

 

「ハイドロポンプ……!? その技は、進化したすぐ後には使えないはず!」

「『フレアドライブ』!!」

「ゴオッ!!」「フィア……ッ!?」

「リーフィア! ……っ、なんで……!」

「『パワーウィップ』!!」

「バナァァァ!」

「なんでっ! なんでその技を使えるんだよー! まだ経験が足りてないはずでしょー!?」

 

経験?

そうか……今使った技はレベル技か。

フシギバナは……最初からレベルが高かったから良いとして。

他の二匹は不思議だよな。

 

わかってないみたいだから教えてやるよ。

 

「世の中にはな……進化するのに値する経験(レベル)を得てないのに、進化したポケモンを手懐けてるやつがちらほらいるんだよ」

「…………?」

「ポケモンの個性は千差万別……。一匹一匹、進化するタイミングや技を覚えるタイミングが違って当たり前だ……」

「なにを……いってるの……?」

 

ポケモンの進化するレベルは……技を覚えるタイミングは全て同じだ。そう思ってた。

けど、全ての個体が同じタイミングで成長するなんておかしいじゃないか。

だからあれは、『主人公が育てた時に成長する目安(レベル)』なんだ。コイツらは俺が育てたんだ。主人公が育てたわけじゃない。

ポケモンは、プログラム(ゲームのキャラ)じゃない。

 

「簡単に言ってやろうか!!」

 

俺と共に生きる、友達だ。

 

「ポケモンが……応えてくれたってだけだよ!」

「ッ……! リーフィア! シャワーズ! ブースター! まだ動けるよね! 『でんこうせっか』!」

「「「……ッ!」」」

 

そうやって、ゲームの中の概念に縛られてるから。

ポケモンを信じてやらないから、負けるんだよ。

信じろ。ポケモンを。

 

「蹴散らせ! できるだろお前ら!!」

「ザァァァッ!!」「ガメェェー!!」「バナァァァ……!!」

「ポケモンが……自分で技を出した……?」

「『かえんほうしゃ』で行く道を、『アクアテール』で逃げ道を塞いだ……。『はなふぶき』で全体攻撃! いいよお前ら、最高だよ!」

「……ッ、戻れ……! ライチュウ! 進化したとはいえ、相手は弱ってるはずだ! ここはZワザで決めるよ!」

「ライラーイッ!」

 

見慣れた動き。

アローラライチュウに集まった雷が、ハウの手の動きに呼応して空間を捻じ曲げる。

超絶ビリビリ、奥の手のでんきZワザ。

 

「『スパーキング』……!!」

「まだわかってないみたいだな……」

「……ッ……!? ぎ、『ギガボル』……!」

「俺たちの()()()はまだ、終わってねえ!!」

 

胸に手を当てる。

足、腕、首、腰。身体の全てを流れるエネルギーは、リリーからもらったものだ。

体を癒す力。身体の生命力を強める力。

流れる力を全て、俺の掌に集める!

 

「それは……!」

「ライ!」

「……っ! ごめんライチュウ、もう一度! 『スパーキング』……!!」

 

リリーが与えてくれたミュウのエネルギー。

進化に通ずる、無限の可能性。

大きくて、熱い。これが、リリーのくれたエネルギーの結晶。

俺たちの、絆の証。

 

「受け取れ!!」

 

俺が投げた三つの石を、爪で、手で、ムチで受け取る三匹。

瞬間流れ繋がる、三匹の意識。

 

「リザードン!」

「グオオ!」

 

勝ちたい。

勝ってリーリエに撫でられたい。

 

「カメックス!」

「ガァァア!」

 

勝ちたい。

勝ってリーリエに褒められたい。

 

「フシギバナ!」

「バナッ!!」

 

勝ちたい。

勝ってリーリエのご飯が食べたい。

 

そうだ。

 

俺たちの全ては、リーリエのために。

 

「メ ガ シ ン カ !」

 

メガリザードンY。

メガカメックス。

メガフシギバナ。

俺たちは、もっともっと強くなれる。

 

「キーストーンがが無い分の負担は、全部俺が背負う!」

「「「──────ッ!!!!!!」」」

「派手に暴れろ! お前ら!!」

 

 




リザード
Lv.35 → 36 リザードンに進化!

カメール
Lv.35 → 36 カメックスに進化!

フシギソウ
Lv.98 → 99 フシギバナに進化!

リザードナイトY
カメックスナイト
フシギバナイト 入手! (クロウが自身の全てのエネルギーを結晶にした時のみ使用可能)
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