リーリエロスでカントー行ったよ   作:バケットモンスター、縮めてバケモン

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鳥ポケモンのスナップのしにくさといったら無いよね

モーニングコールは耳をとろけさせるようなマーメイドの歌声だった。

 

「おはようございます、クロウさんっ! 朝ご飯ですよ!」

「あと5分」

 

あと5分だけリーリエの声を聴いていたい。もはや好きとかのレベルじゃないだろ。中毒とかのレベルだよもう。

と、そんな俺の懇願虚しく、俺が爆睡しているのかと察したら想像リーリエは黙ってしまった。

あーあ。録音機能とか無いもんかしら。スマホロトムだったかが無いのが惜しまれるな。

 

「クロウさん、起きないとイタズラしちゃいますよ?」

「どうぞ」

「わっ! 起きてるなら行ってください! もう!」

「おはようリーリエ」

「遅いです! 朝ご飯にしますよ!」

 

頬を膨らませるリーリエもオツなもんだ。

そういえばカーテン閉めたはずなんだけど、プライベートスペース……まぁ、リーリエに開けられたのならば本望だ。エロ本とかは買っても隠しておくことにしよう。え? リーリエで抜く? バカかお前神聖なリーリエで抜くとか週に3回しかしないよ恐れ多いだろそんなの!

 

「お、おはようさん。はよ顔洗ってきいや。面白いのやっとるで」

「あい……。何見てるんです?」

「朝のニュースや。近頃、なんやおかしなポケモンが徘徊してるらしいで」

 

顔を洗って席に着くと、既に食事に手をつけていた二人は液晶に食いついていた。

マサキはわかるとしてリーリエまで。なんなんだろう。

 

『このポケモンはカントー地方では未発見とされており、他の地方から逸れてきたのでは無いかと推測されています。被害にあった男性は───』

「謎の鳥ポケモンが人を襲ったらしいで。羽の一枚も残さずに飛んでったらしいんや」

「……へえ」

「もしかして……」

「ワイはそのポケモンが見たい!!!!」

 

……やっぱり。

 

「そこで、あんさんの初仕事と行こうやないか! せっかく装備もそろったんやし、危険じゃない程度に調べて欲しいんや!」

「未確認のポケモン調べる時点で危険なのは確定なんですけどね」

「クロウさん、無理だと思ったらすぐに帰ってきて大丈夫ですから……」

「えぇ、やりますとも博士! ええ! いますぐにでも!」

 

リーリエ顔が良すぎてほんとにどんな命令も聞いちゃいそう。さすむす。さすがルザミーネの娘。さすむす。

なんやえらい態度が違うやんけ、と不服そうに苦笑したマサキはポケットから小さなデバイスを取り出した。なんだかゲームボーイのような薄っぺらさで、上半分に画面と下半分にボタンが幾つかついている。

 

「ポケモン図鑑や。最悪、写真を撮るだけでもええから、よろしゅう頼むで」

「ほう、これがポケモン図鑑。どう使うんです?」

「基本操作はここをこうしてやな」

 

ふむふむなるほど。

このポケモン図鑑、ゲームで主人公が貰うものとはだいぶ違うな?

まず、最初からポケモンが全部登録されてる。スキャンすればそのポケモンの情報が出てくるタイプだ。捕まえなくても良いなんてアニメ版みたいだ。

それと、手持ちのポケモンをスキャンすることで覚えている技がわかるらしい。ゲーム版のトレーナーはこうやって技を見てるのか? なんてすごい技術。

 

「……アローラのものとは違うのですね」

 

と、リーリエがひょっこり横から顔を出してきた。ヒェッ、天使の横顔。

 

「ん? あぁ、ポケモン図鑑は地方によって形が結構ちゃうからなぁ。アローラではどないやったん?」

「ええと、ロトム図鑑と言いまして……確か、このような形で……」

 

あー……。そうだ、第七世代ではロトム図鑑なんだ。

その前はXY……なんか薄型な感じだった気がするけど、どんなだったかな? プレイしてない世代は思い出せん……。

地方によって、ロトムが入り込む図鑑やデバイスが違うんだよね。

 

「ほぉ……電化製品に入り込むロトムの性質を活かしたんやな。ええシステムや」

 

そう言ったマサキは興味深そうにリーリエの描いた絵を眺めて……って、え?

ちょ、ちょっと待って。

 

「ろ、ロトムを知ってるんですか?」

「んあ? ポケモンのロトムやろ? シンオウ地方の」

「どうかされたんですか?」

「えっ、あっ、え……?」

「この辺には出えへんしな。一度お目にかかりたいもんやわ」

「最近は目撃情報も少しあるみたいですよ? 新聞の切り抜きを取ってあります」

「ホンマか? さっすがリーリエちゃん、いい嫁さんになるで!」

「よ、嫁っ……!? いえ、そんな……!!」

 

いやリーリエはマジいい嫁になる。それは間違いない。間違いないんだけど……。

そうか。そりゃそうだ。カントー地方だから初代のポケモンだけが出てくるわけじゃないんだ。

『なぜかカントーに出てこない』だけで、存在自体はしてるんだ。海の向こうに。

そういえば海を泳いでるときに色んな世代の海ポケモン見た気がする……! なんかハート型のなんだっけあの影薄いやつとか、スワンナとかもたまに見たぞ!

 

「っあー…………! なるほどなぁ…………! そう来たかぁ…………」

「ど、どうしたんですか……?」

「いやリーリエ、なんでもないよ」

「……? そうですか……?」

「とにかく、このポケモン図鑑で未確認の鳥ポケモンを調べてくれば良いんですね? わかりました」

「なんならゲットもよろしゅう」

「貪欲……」

 

ボロボロのリュックサックにモンスターボールを10個ほど詰める。

腰のボールホルダーにはイーブイとヒトカゲ、ケンタロスのボール。

キズぐすりも万端。よし、行くぞ。

 

「きいつけてな」

「が、頑張ってください!」

 

……さあ、外に出たはいいものの。

その前にまずやることがあるよね。

 

「イーブイ、ヒトカゲ、ケンタロス。出てきて」

「ぶい!」「かげ?」「ぶも」

「お前らの技を見せておくれ。じっとしててくれよ」

 

イーブイ、ヒトカゲ、ケンタロスをスキャン。

ふむふむ。

ふむふむふむ?

……え? あ〜……なるほどね? わかったわかった。

 

「よし。大体掴めたし、それじゃあみんなボールに戻って……」

「やっぱやめたほうがいいっすよ! あの子供いたらどうするすか!」

「知らないわよ! 今日こそデータをもらうんだから……ってあぁ!」

「ほらいるよもう! 大丈夫なんすか!?」

 

来やがったなロケット団。

ずんずんと大股で歩く女とそれを止めようとする下っ端感のある男。

 

「アンタね、こっちも忙しいんだからどっか行きなさいよ!」

「奇遇だなぁ。俺も今から仕事なんだ。早急に終わらせてもらう」

「今日はダブルバトルよ! ゴルバット!」

「なんで巻き込まれてんすかね俺。アーボ、出撃!」

「俺ポケモンバトル2日3日目くらいなのにダブルバトルやらされるってマジ? ヒトカゲ、ケンタロス、頼んだ!」

 

……さてと?

 

「『エアカッター』!」

「ヒトカゲ、『ひのこ』で牽制! ケンタロス、『ふるいたてる』!」

「アーボ、『どくばり』だ!」

 

空中にいるゴルバットに複数の火の玉が飛来するが当たらない。ヒトカゲの後ろで着々と準備をするケンタロスだが、横からどくばりを飛ばされていた。

 

「ヒトカゲ、『えんまく』!」

「なっ……こざかしい真似を!」

 

地面を蹴り土煙を舞わせるヒトカゲ。

アーボはどこに獲物がいるのかわからず、ゴルバットのエアカッターもエイムが定まらない!

 

「『ひのこ』!」

「ギャア!」「ああっ、ゴルバット!」

「どうにかして探し出すんだ、アーボ!」「ぎゃ、ぎゃ……?」

「ケンタロス、『ふるいたてる』! ヒトカゲは隙を見て『えんまく』!」

「畜生このガキ容赦がねえ!」

 

ふるいたてるで2段階アップ。

これはいけるか?

……と。

 

「ぶも!?」

「見つけたか!? よし、そのまま『まきつく』だ!」

「ナイスだわ! ゴルバットは動けないからあんたが残りもやりなさい!」

「どうっすか! これで終わりっす!」

 

えんまくが晴れると、ケンタロスの首に長い胴体を巻きつけたアーボが現れた。

苦しそうにするケンタロスと、アギトをあんぐりと開けるアーボ。

このままじわじわと体力が削られるのが目に見えている。

 

…………。

 

「ケンタロス」

 

まあ。

()()()()()()()()()()()()けどね。

 

「……ぎゃ!?」

「どうした、アーボ!」

「ぶもぉ」

 

ケンタロスがアーボごと胴体をひねる。

自らの背中を擦り付けるように、くるっと反転するように。

柔道の技のように美しく回ったケンタロスは、アーボを……。

 

「『しっぺ返し』!」

「ぶもォ!!!!」

 

地面に、叩きつけた。

 

「あ、アーボぉぉぉ!?」

 

即座にボールに戻っていくアーボ。

あっぶな、ケンタロスの体重で背負い投げみたいなことしたらアーボ死んじゃうんじゃないかってめっちゃ冷や冷やしたわ。

俺、振り払うんだって思ってたもん。まさか自分ごとひっくり返るとは思ってなかったよね。

 

「今すぐ帰るっす!!」

「ちきしょぉ、覚えてなさいよ! 今日はたまたま他の指令が来たから退いてやるだけなんだから!!」

「……他の指令?」

「あ、ここ最近近くで発見されたって未確認のポケモンを捕まえてこいってヤツっすね!」

「なんで教えちゃうのよアホ! 行くわよ!」

 

けっ、一昨日きやがれ。

……ロケット団も未確認のポケモンを追ってるのか? 悪用される前に急いでスナップしないと。

 

「あ、あの、すごい音がしましたが大丈夫ですか……? もしかして、ロケット団の……?」

「今追い払ったとこ。なんでああ言う奴ってどの地方にもいるんだろうな」

「…………ソウデスネ……」

 

か細く答えるリーリエ。あぁ、アローラ地方のスカル団ってルザミーネと繋がってたんだっけ。何やってんだグズマ。

 

「ま、リーリエを守るためなら、たとえ火の中水の中だし、大丈夫だよ」

「えっ……えへへ、ありがとうございます」

 

カッ───!?

可愛い。なんだそのえへへ赤面。照れるように頬をかくその姿を地上波に乗せたらそれはもうテレビ局に告白の電話がひっきりなしに鳴るレベルで可愛い。

思わずリーリエを守るためなら、なんて臭いセリフが出てきてしまったけどそのミスが帳消し、いやお釣りが来る、いや間違えて別の馬に賭けた馬券が万馬券だったぐらいの代物だ。

嗚呼、今俺にカメラがあったなら!!!!

自分がアンドロイドじゃないことを悔やむ! なんで脳内フォルダに焼き付けられないんだ!!!!

 

「……まあ、ロケット団は行ったし、俺も未確認のポケモン探しに行こうかな」

「あ、頑張ってください! 私もお料理、腕によりをかけて作ります!」

「楽しみだなぁ」

 

そう言ってリーリエが踵を翻した時、一陣の風が吹いた。

 

「きゃっ!?」

 

風はリーリエの服をこれでもかと煽り見るな俺!!!!!!

べちんと頬を叩いて自らの顔を横に向かせる俺は、向く直前、風にのって何かがリーリエに飛来したのを見た。

 

「あっ、帽子が……!」

 

そいつは圧倒的な速さでリーリエの帽子を掴むと、遥か上空へと上昇していく。

チクショウ、帽子が影になって全体が見えない! ただ、鳥ポケモンであるのは確かだ!

 

「クロウさん、図鑑を!」

「あ、そうか! ポケモンスナップ!」

 

懐から取り出したゲームボーイみたいなそれで鳥ポケモンの写真を撮る。

表示された文字は……。

 

『オニドリル???』

「未確定かよ使えねえなこの図鑑! 壊れてんじゃねえのか!?」

「そ、そんなはずは……!」

 

オニドリルっぽい何かは高い鳴き声でこちらを威嚇したあと、森の方へと飛び去っていった。

と、とにかく追わないと!

 

「ケンタロス、頼んだ!」

「ぶもぉ!」

「だ、大丈夫なんですか!?」

「わからん! ライドポケモンって初めて!」

「そんな、無茶です……!?」

 

ケンタロスにまたがる俺を心配そうに見るリーリエ。

やがてリーリエは、意を決したかのようにこちらをキッと見上げると、

 

「私も行きます!」

 

と言い出した。

 

「いや、リーリエッ、危険だよ!?」

「大丈夫です! ライドポケモンには慣れています」

「ケンタロスだって二人はキツいだろ!?」

「大丈夫ですよね?」「ぶもう!」

「ほら!」

「ええ……」

 

リーリエは俺の前に跨ると、背中を俺にくっつけてきて……ふぁ!?

ああ、あああ!? 香りが、髪の毛が、存在が!?

こんな近くにリーリエが、そして俺を背もたれに!?

 

「それに、帽子を取り返さないといけませんし」

 

ああ見返り美人ヒャッホーウ!!!!!!

 

「ケンタロス、GOです!」

「ぶもう!」

「……私が振り落とされないよう、しっかり守ってくださいね?」

「もっ!? も、もちろん!!」

 

そうして魔性の女リーリエは、ケンタロスを森へと走らせた。

しゅ、集中できねェ……!!!!

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