胸にぽっかりと空いた穴を埋める方法を求めてセイウンスカイは津々浦々を彷徨した。
さまざまな景勝、くさぐさの生業を目の当たりにしたが、どれも彼女の燻りを再点火するものではなかった。
結局、収穫のないまま数年かけて日本を一周したころ、実家の両親から連絡がかかってきた。
いわく、いいかげん実家に戻って家業を継げ、いつまでふらふらしているんだ、もうじゅうぶん自由にやっただろう。
土地に根付いた生業を営む両親からみれば、各地を転々する彼女は放蕩娘に映った。いい年になっても根無し草として風にそばえている娘への心配も含まれていた。
しかし、自分の道をみつけられずにいた当時の彼女にとっては、愛情混じりの苦言は煩わしく思えた。
彼女の育てたへそ曲がりも手伝い、激しい口論の末、実家への帰郷を拒否した。
通話終了後、興奮の波が引くと、気骨が抜けるように全身が弛緩して力が入らなくなった。身体の末端から血が引き、指先が冷たくなった。時間、空間、人間関係。感覚器に入ってくるあらゆる刺激がことごとく自分を絡みとってくるようだった。
「(だれも追いかけてこないところに消えてしまいたいな……)」
そのとき、旅先で知り合った知己の話を思い出した。両親から土地家屋を継いだが築古しているうえに遠方で管理ができない。売り手もつかない。誰か引きとってくれないかという話だった。
当人に連絡すると念を押すように確認された。「田舎というより秘境だよ。ほんとにいいの?」。むしろ都合がよかった。あとは野となれ山となれ。まとわりつくしがらみから雲隠れするように、縁もゆかりもない山奥の土地に流れ着いた。
移住先の村に都会的な娯楽施設は
食料の買い出しすら車で1時間以上かけて麓の町に下りなければならない、不便極まりない土地だった。
いっぽうで指図する親も上司もおらず、生活はのどかで気楽だった。大量に食料を買い込み、無為徒食にふけった。廃屋に雨宿りしていた猫を手懐け、家猫として愛玩した。
そのうちやることがなくて退屈になったので、家の裏手に生えていた細竹を切り出し、かつて祖父に教わったように、ありあわせのものを使って釣竿を作り、釣りに出かけた。
県下の水源たるこの地には清冽な渓流が玉水を運び、気まぐれな山の神がときおり地団駄を踏んでできた滝壺には、川の最上流域にしか生息しないイワナが碧水の溜まった岩陰に群棲していた。エサはカゲロウを捕まえてそのまま針につけた。入れ食いだった。
ときにはエサもなしに針だけ投げ入れた。水にたゆたう魚に同調し、一定のペースでざあと流れるせせらぎに耳を傾け、樹間から差す木漏れ日を浴びてうららかな時間に身をゆだねると、苔のように貼りついた心の澱が洗われていった。
しかしその寧日は時限つきだった。天然魚の資源保護の観点から、この地域では10月初頭から2月末までが禁漁期間になっている。またしても猫と戯れる以外、手持ち無沙汰になってしまった。
いかに閑日月を好む彼女とはいえ、あまりになにもないと気が滅入ってくる。禁漁期間中は気晴らしに地域の一番標高の高いところまでゆっくり登るのが日課となった。
ある日、日課をこなす道すがら、村民から声をかけられた。
「ウマ娘の嬢ちゃん、あんた最近いつもここ通っとんね。今日も上に行くんじゃろ。悪いけんどついでにこの荷物、上に住んどる知り合いに持ってってくれん? ワシ、膝が痛うて運転できんのよ」
とくに断る理由もなかったので二つ返事で引き受けた。村民とは道で出会えば会釈するくらいの関係でしかなかったが、この一件以来、あの若いウマ娘はなかなか感心なやつだとの評が広まり、ほかの村民からの依頼も時おり舞い込んでくるようになった。
「何でも屋みたいにいろいろやったよ。お使いとか、電球替えてくれとか、野良仕事の手伝いとか。どうしても外せない用事があるから帰ってくるまで老親の相手をしててくれなんてのもあったね。私は農業やってないけど、ある意味お百姓さんだったのかもしれない。
いい気晴らしになったよ。みんな生活に直結してる依頼だったから。会社みたいに『なんのために存在するのかよくわからない仕事』はなかったし。
お金にはならなかったけどね。見方によっては体よく安価な労働力として使われたって構図になるのかもしれないけど、お金の代わりにおもしろいものが返ってくるようになったんだ」
彼女の世話を受けた村民たちは、受けた以上の返礼を心尽した。畑で収穫した野菜や果物をカゴいっぱいに届けるものもいれば、採れたての山菜をたらふく彼女にご馳走したうえにお菓子まで持たせたり、山で採れるキノコの見分け方、穴場の釣りスポットなど、換金不可能な有形無形の土着の恵みを彼女に贈与した。
「孫にお小遣いあげる感覚だったのかもしれないね。この村、お年寄りばっかりだから。高齢化率はなんと50%超え! 50代の人が若造扱いだもん。だから私みたいにー、若くて素直で、とびきりキュートなウマ娘はひっぱりだこになったのでしたー」
この山奥の村は電車が通らず、バスも1日3、4本程度しか運行しない。生活のための自家用車は必須だ。
土地面積の9割以上は山林で平地がほとんどない。かつては林業で潤っていたが、都市経済の発展とともに若者は町に流れ、往時の活力はみる影もない。村にいたる峠道に残るかつてのパチンコ、キャバレーの廃屋が当時の殷賑の面影をかすかに残すのみだ。
新たな産業をおこすどころか近隣諸都市への人口流出が50年以上前から一貫して続いている。
いまや村の道を通るのは細々と残る林業者のトラック、散歩が趣味の老いた地元民、田舎暮らし志向の夢想家、競技自転車の集団、まれに来る登山者くらいのものだった。
地域おこし協力隊として移住してきた若者も何人かいたが、村民の大半はこの過疎状況について、
理想と現実の
「私には青雲の志なんてものがなかったからかえってよかったのかもしれないね。そもそもここに来た理由が『知り合いがだれもいないところに行きたい』っていう世間からの逃避だもん。
その日暮らしを続けて、自分の将来なんてまるで考えてない。暇だから村のじいちゃんばあちゃんたちのお願いを聞いていただけで、地域の付き合いを考えてたわけでもない。
まるきり利己的な行動しかしてない私が村に根付いているのも不思議なもんだよね。狩猟をはじめたのだって奇妙な縁だよ」
彼女が狩猟と関わる契機となった出来事もまた偶然だった。
年の瀬近くのある日、セイウンスカイのもとにクーラーボックスを持った老翁が尋ねてきた。老翁は訛り声で彼女に謝意を述べる。
「こん前うちのカカアがようけ世話になったわ。おかげで大事にならんで済んだけん。ありがとう」
遡ること数日、道端でうずくまっていた老女を発見し、抱きかかえて麓の町の病院まで連れて行った。
幸い症状は大事なく、検査入院程度で収まったが、医療過疎地のこの村ではひとたびケガ・病気が発生すれば適切な医療につながるまでに都市部の比ではない時間がかかる。
老翁の妻も、彼女が通りがからなければ深刻な状態になっていたかもしれず、そうでなくとも苦痛が長引くのは自明であった。愛妻に救いの手を差し伸べた彼女に老翁は深い恩義を感じ、謝礼にやってきたのだという。
老翁がクーラーボックスを開けると、肉をパック詰めしたチャック付きポリ袋が隙間なく詰め込まれていた。圧倒的な肉密度に彼女は目を丸くした。
「メスのシシ肉や。
「うわぁ、圧巻。シシって、イノシシのこと? 町に売ってるとこがあるんですか?」
事情を知らない彼女の新鮮な反応に老翁は放笑を返した。
「ハッハッハッハ、嬢ちゃん、これは山入って獲ってきたんよ。ワシ、猟師やっとるけん」
老翁はハンターベストの胸ポケットから狩猟者登録証を出して彼女にみせた。帽子には青と赤の2つの
「へぇー、あの野獣がこんな美味しそうなお肉になっちゃうんだ」
村の道路を通っていると、山裾から時おりサルやシカ、タヌキやイノシシなどの野生動物が飛び出してくる。イノシシは分類学的には豚と同種とはいえ、木と土に溶け込む剛毛に包まれたへちゃむくれの四足動物が、目の前にある血色豊かな食肉になるのは不思議な感覚だった。
彼女は話の接ぎ穂に獲物の捕獲方法を尋ねた。
「イノシシってどうやって獲るんです? 鉄砲かついでって、みつけたら遠くからバーンと?」
「そうするときもあるけんど、こりゃ罠仕掛けて獲ったんよ。なんや嬢ちゃん、猟に興味あるんか? ちょうどこれから罠の見回り行って
特段狩猟に興味があるわけでもなかったが、やることがなくて退屈していたうえに、あれだけ大量の肉をもらったのに誘いを無下にして
一行は軽トラックに乗せて罠を仕掛けた山へ向かった。猟にあたっては、解禁日の1ヶ月以上前から近隣の山々に入り、獲物の動きや気配の濃さを確認してから実際に仕掛ける山を決めるという*2。
「魚釣りとおんなじよ。気温や天気、獲物の種類、地形なんかで居場所予想して竿垂らすじゃろ。そもそも獲物がおる場所に仕掛けな意味がないんよ。
魚釣りで例えられて彼女は得心した。事前に相手を想定し、情報を収集し、準備を整えて、実際に相対するのは狩猟でも同様らしい。
考えてみれば魚だって野生動物の範疇に入るのだから、水中か陸上かの違いだけで「獲る」という点では相通ずる。
「罠仕掛けたら毎日見回りに行かんといけん。獲物はいつ掛かるかわからんけん、何日も放っとくと、罠にかかった獲物が傷ついたり、下手すると死ぬ場合もある。肉が不味うなるし長う苦しませるのは本意やないけんね」
狙っていなかった動物が掛かったりする場合もあるし、罠周辺に獲物の新たな痕跡が残されたりもする。
外からみるといつも変わらないようにみえる山も、森のなかは常に変化を続けている。その情報を読み取るためにも、罠を仕掛けた山の見回りは毎日欠かせない。
「ワシはもう森林組合を引退した身じゃけ、気楽やけど、勤め人やりながら朝夕見回るヤツは大変ぞ。
さて、せっかくじゃけんワシがなにをどがいに考えて獲物追うたかも含めてみしちゃる」
老翁は峠道から分岐している未舗装の林道の途中で軽トラックを停め、山装備とカバーをかぶせた銃を背負い、道路脇の登り斜面に立った。
「ここから尾根ひとつ超えて雑木林のエリアに入って
「えー、ここから? 入口もなにもないじゃないですか」
林縁には背丈の倍ほどもある孟宗竹とアズマネザサが垣根のように来るものを阻んでいる。
「なにいうとん。あるやろ、ここ」
老翁は笹薮の隙間に空いているトンネルのような空間を指し示した。その奥はまったく見通せない。もっと開けたところから入っていくのかと思っていた彼女は思わず面食らった。
「猟師っていつもこんな道にはみえないところ通るんですか」
「そらそうよ。動物の使う道と人間の使う道は違う。獣道いうじゃろ。ワシら猟師の通勤路はそこやけん。行くで」
老翁はずんずんと笹薮を分け入り道なき道を追っていく。あわてて彼女も、顔にかかる藪を押しのけて後をついていった。
林縁部を突っ切って進んでいくと藪は疎になり、代わって急勾配が一行を迎えた。この山は周囲の山容と比べれば標高は低いが斜面が急で登りにくい。
老翁は古希を超えた年齢を感じさせない
いっぽうの彼女はといえば老翁よりも軽装なのにもかかわらずついていくのがやっとであった。
整備のされていない自然任せの凸凹した急勾配は足のバランスをとるのが難しい。坂路コースでも経験がない。
平地のほとんどない山中ではいかに体力自慢のウマ娘といえど、普段から出入りしている山人に一日の長があった。
斜度が緩やかになったところで老翁が足を止めて眼前の叢林を指し示した。
「ここにも獲物の
「うーん、よくわかんないですねぇ。なんの変哲もない森の風景としか」
枯れ葉が薄く覆う地面にスギ・ヒノキが無秩序に林立している。倒木の周囲を侵食する膝高の藪と盆栽のような低木が葉を広げ、山に差し込むわずかな光を奪い合おうと声のない角逐を演じている。
「ワシの位置からみてみい。かがんでみるとようわかるで。あすこに薮ンなかをジグザグしてできた細道が合流しとる、こっちの道は落ち葉が踏みしめられて平らになっとる、あーの倒木の前は土がめくれとる」
「どれどれ。……ほんとだ! なにかが通った跡がある。道ができてる!」
獣の目線から改めて検分すると、うら枯れた地面に残された痕跡がトリックアートのごとく浮かび上がってきた。
老翁がなにか奇術を使ったわけではない。彼女らが来る前も獣道は存在していた。認識できていなかっただけなのだ。一度みつけてしまえば人間の目線に立ち返っても明らかだった。
「おもろいやろ。山に毎日入ってるといろんなモンがみえてくる。獣道だけやのうて、獲物の足跡、糞、ニオイ、寝屋、地形、天候の変化、草木の成長、鳥の声なんかな。
自分のなかで蓄積ができてくるんよ。するとだんだん違いがわかるようになってくる。違いがわかれば獲物がどがいに考えて動いたかもわかってくる。そうなると楽しいで」
われわれは普段、人間の世界だけを意識して暮らしている。しかしそこには同時に植物の世界、虫の世界、そして動物の世界など多くの世界が混然と取り巻いている。
彼女はいま、山を形作る諸世界をつなぐ糸を発見し、自らの環世界を更新したのだ。
静かな興奮が彼女の全身の神経を駆け巡った。なんの役に立つかわからない些細な情報が、ふとした瞬間に作戦の妙手につながるときと同じ感覚だ。
お義理でついてきた山歩きだったが、予想外に楽しんでいる自分に彼女は驚いていた。
獣道をたどっていくと沢沿いの尾根筋に出た。老翁は斜面の凹みの水溜まりに目をやった。泥土を含んだ楕円の黄水が沼のようになっており、土いきれと糞の合わさった独特のにおいを放っている。
「これはヌタ場。シシの泥浴び場じゃ。ダニを落としたり身体を冷やしたりする。水の濁り具合からして今日も来とったようやね」
老翁によればイノシシの行動を追跡するにはヌタ場を調べるのが最適だという。
「獣道はいろんな種類があって、餌場への道、逃げるときの道、ねぐらへの道とか目的ごとに分かれとるんよ。人間の使う道路に国道やら林道があるのと一緒やね。しかもシシもシカもタヌキもサルも使う共通路があったり、いままで使ってた道が廃道になって新しくできたりもして複雑なんよ。
だから獲物の拠点になるとこ押さえたほうが追いやすい。ほれ、ここにいっぱい足跡があるやろ。ヌタ場は痕跡がわかりやすいけん」
水溜まりの周囲には丸みを帯びた象牙型の偶蹄が多数散在しており、ぬかるみを耕したかのようになっている。蹄跡の根本の点穴は副蹄が地面についた跡だ。
古くなって乾いた足跡と、比較的新しくまだ湿り気の残る足跡とが混在し、一帯を生息圏とするイノシシの拠点として頻繁に利用されている様子がわかる。
「で、この下草についた泥と併せよってたどっていったらどの方向に向かったのかがわかる」
老翁の教示に彼女の勘が働いた。
「ということは、こっちに進んでって、こうだ!」
一見すると足跡が途切れている箇所の低木の枝葉を横に寄せると、隠されていた獣道があらわになった。
人間には通行不可能にみえても、体高の低いイノシシは下に潜り込んで通過できたのである。
推論の的中したセイウンスカイは意気軒昂に拳を握った。
「正解! やるやないか。獲物の気持ちが理解できとんね。あんた見込みあるで」
自身の感興ぶりを指摘された彼女は、はっとして空吹く風と聞き流した。
その後、彼女の発見した道を進んでいき、周囲の木にこすりつけられた泥*4や掘り返された地面*5などを手がかりに、スギ・ヒノキの密生する一帯から尾根を越えて広葉樹の混じった雑木林に入った。
「ここいらの山3つに罠を仕掛けた。それぞれみてこーわい」
最初に訪れたのはなだらかな下り傾斜の細い獣道だ。道に沿って2、3丁、罠が埋めてあるという。しかし、仕掛けどころにはなにも掛かっていなかった。
「なにも知らずに来たら罠があるってわからないですねー。風景に溶け込んでて罠があるなんて素人は気づきませんよ」
「そりゃ罠ってわかったら意味ないけんな。でもすぐ近うまで来たようや。この足跡みてみい」
老翁の指し示した地面には、ひとつの大きな蹄跡と複数の小さな蹄跡が混在し、罠の前で行き止まりにあったかのように方向転換している。
「シシが子連れで来とんじゃろ。母親が餌場やら逃げ道を子どもに教えながら歩くんよ。
母親の跡の幅が5~6cmじゃけん、体重はだいたい
子どものほうは母親の半分くらいの大きさ。
「足跡みただけでそこまでわかっちゃうんですか!?」
足跡というわずかな手がかりから年齢・体重・家族構成まで詳らかにしてみせた老翁に彼女は舌を巻いた。目の前の人物が急に名探偵のような凄みを帯びたように感じられた。
「何十年も山入っとったらそりゃわかる。シシがなに考えてたかも当ててみせよか。
母子で楽しくお散歩。ここまで勢いよく下ってきてふと気づいた。ヘンなニオイがする。慌てて急ブレーキをかけた。どうやら目の前の地面から発しとるようや。このまま進んでもええんか。ためらって、迷って、結局折り返して回り道していった。そんな感じじゃろ。
シシは犬並みに鼻が利くけん、
老翁はイノシシの行動を手にとるように把握し、直にみてきたかのように語る。その話を聞いていると、普段とは違う様子に戸惑うイノシシの様子が鮮やかに浮かんでくる。老翁はみえないものをみていたのだ。
好々爺然とした人柄に秘められたハンターとしての達理に、彼女は畏怖の念すら感じられた。
「まあ結局逃げられてしもたわい。今回のは警戒心がだいぶ強うヤツや。ここの罠はこのままにしておこ。別のヤツがここを通るかもしれんけん。罠猟は獲物との根比べじゃ。焦ったほうが負けよ」
獲物が掛かるかどうかは運の要素も大きい。個体の性格まではいくらべテランといえども制御できない。どんなに確信をもって罠を仕掛けたとしても、次の日から獲物がぱったり通らなくなるときもある。
「ワシらが獲物のケツ
一行は次の設置場所に向かった。罠を仕掛けた獣道の合流地点は地面が荒らされていた。弁当箱型の踏み板が地面からあらわになりワイヤーがむき出しになっている。老翁が切歯扼腕した。
「かーっ、やられた! 掘り返されとうわ」
老翁の罠猟ではくくり罠が使用されている。1本のワイヤーの片方に
罠の設置点の手前には足跡が両足そろって残されていた。普通に歩いていてつく足跡ではない。異臭の発生源の前で踏ん張り、鼻で土をどけ、罠を発見したのである。
「なんだか、こんな罠ぜんぶ丸わかりだぞって鼻であしらわれてるみたいですね」
セイウンスカイの感想に猟師としての矜持を刺激されたのか、老翁は発奮した声で告げた。
「スレたシシが来たもんやね。よーし、こっちも徹底的にやったろ」
くくり罠の輪の直径は12cmまでと法律で決められている*7。山という広大なフィールドトラックのたった12㎝の円のなかに足を踏ませるためには、的確な痕跡の読みと、獲物に察知されない自然な仕掛け方が必要になる。
老翁はくくり罠のトリガーがまだ作動していないのを確認し、木に結ばれた後端のワイヤーも問題なしと判断すると、ザックからスコップを取り出し、土を掘り出した。
掘削した土は周囲に撒いてにおいをごまかす。掘った穴にくくり罠を埋設する。地表のにおいと同調させるために周囲から少しずつ土を持ってきてかぶせる。
罠がみえなくなったら今度は落ちていた木の枝を手頃な長さに折り、罠を囲うように井桁に組む。跨ぎ枝という工夫だ。
四足動物は不安定な木の枝や石には足を着くのを嫌がり、たいていは跨いで通る。野生動物にとって足のケガは人間以上に致命的になるからだ。
枝を跨いだ着地点にトリガーを埋めておけば捕獲率を高められる。
作業の仕上げに四つん這いになって獲物の視点から地面を観察する。
人間の目線は他の野生動物に比べてかなり高い位置にある。獲物と同じ視点にならなければ本当に罠が隠れているかはわからない。
事実、ワイヤーの光沢が漏れている箇所をみつけた。あらためて土をかぶせる。
最後に近くの木に敷設者情報を知らせるためのネームプレートを巻き付ければようやく罠の仕掛けは完了となる。
「よーし、こんなモンでええじゃろ。最後の場所行こわい」
額の汗をぬぐった老翁は最後のポイントへの移動を開始した。
セイウンスカイは振り返って仕掛けられた罠の位置をもう一度みやった。獲物を捕獲するための技術と工夫もさることながら、彼女はむしろイノシシの知恵に感心していた。
獲物の習性を把握しているはずの猟師の仕掛けを見破り、一度は完全に上回ってみせたのだ。陸上生物最大の脅威であるはずの人間が四つ足の獣に手玉に取られた。山では相手も海千山千である。
森を流れる小沢を越えて別の山に仕掛けたポイントに近づいていくと、だんだんと獣臭が濃くなってくるのがわかった。掃除不十分なウサギ小屋よろしく
「ヒギュー、ヒギュー! ギュゥゥゥ!!」。叢林の通り風に乗って竜のいななきのような甲高い声が間断なく耳に入ってくる。
「おったで。あそこや」
老翁の眼光が鋭くなった。斜め斜面の林間の一点を指差す。豆粒のような影が蠢いている。とうとう獲物がかかった。
「山の上手から近づいていくで。シシは突進してくるけんな。下手から近づいたら勢いづいてワイヤーが切れやすい。シシにド突かれて死んだ猟師もおるんよ。ほやけん絶対に気ぃ抜かれん」
自由の身であれば人間から逃げていくイノシシも、捕われの身になれば赫怒として襲ってくる。自然、近づく足取りは慎重になった。
老翁は
獲物の顔が遠目に確認できる距離にまで近づくと、老翁は双眼鏡を取り出し、獲物の足にかかったワイヤーの状態を確認する。左前肢のスネを固く締めあげている。ほつれもない。
「あちゃあ、シシの
老翁から渡された双眼鏡でセイウンスカイも獲物に目を通す。
柴山のような剛毛を背中にまとった、頭が大きくずんぐりしたイノシシが落ち着きなく動き回っている。笹薮を押し倒し、突き出た鼻で地面を掘り返す。根付け木を中心としたワイヤーの伸びる範囲が同心円状に耕起され、土俵になった窪地のあちこちから木の根が露出している。
双眼鏡越しにイノシシと目があった。その途端、イノシシの姿が急拡大した。彼女のいる方向に向かって突進してきたのである。
「うわぁ!!」
双眼鏡を放り出して近くの木に飛びついた。相手が目の前に瞬間移動してきたかのような迫力に彼女の危機察知能力が反射的に反応した。一気に心拍数が跳ね上がる。
大丈夫かと老翁が彼女を案じ、しがみついた木から離れると、獲物との距離がまだ数十メートル離れている状況にようやく気づいた。
「やっこさんもこっちに気づいたんじゃろね。目ぇは悪いけど鼻で相手を感じられるんよ。用心してこーわい。もうちょびっと近づいて、鉄砲で
老翁は
「とどめを刺すってことは、やっぱりその……死なせちゃうん、ですよね?」
道中でなるべく考えないようにしていた抵抗感が彼女の心を渦巻いた。釣った魚を自分のものにするのとはまったく異なるざわめきだった。
「
「ないです、ぜんぜん。食べるために命を犠牲にしなきゃいけないのは、頭ではわかってますけど、やっぱり間近でみるのは心がざわざわするっていうか……」
無産者のナイーブな感覚だと鼻で笑われるかと思ったが、意外にも、命の奪取を生業としているはずの老翁は、柔和な声で彼女を諭した。
「そりゃ人間として当然の感覚や。ワシも子供のころ、
「そんな経験があったのに、どうして猟師になったんですか」
彼女の素朴な質問に、老翁は少し間をとって考え、答えを口にした。
「ワシにとって、獲って食べるが『生きる』ことそのものになったからいうんかな」
そういって老翁は幼少時代の原体験を彼女に語りかけた。
「肉を拒否しとったころ病気したことがあったんよ。栄養が足りてなかったんじゃろね。医者から滋養のあるもん食えいわれて母ちゃんが親子粥作ってくれたけん。まだ卵産む貴重な鶏潰して。そこまでしてもろたら食わんわけにはいけんじゃろ。
で、おそるおそる口にした肉がな、美味うて美味うて。五臓六腑に
ほてから肉が平気になって、野山駆け回れるようになって、虫や鳥や魚や獣、それに人間。ぜんぶ命が巡っとるんやなあって思うたね。そげな感触を忘れんために猟しとるのかもしれん」
消費された命がまた別の命をつなぎ、循環する。獲物との命のやりとりも、山全体の調和を調節する機構のひとつにすぎないと、この山人は身をもって学んだ。
「ほんで、どがいする。止め刺しなんぞあんまり気持ちいいもんでもない。ここに残っててもええよ」
「いえ、ここまで来たからには最後まで見届けます。そうしなきゃいけない気がする」
「ほうか。まあついてきい」
彼我の距離が5メートルほどの位置にまで足を踏み入れた。肉眼ではっきりと視認できる距離から改めて相対すると、この
全身の毛を逆立てた剣山が耳を立てて尻尾を振り回し、上下の顎から伸びた鋭い牙をガチガチ鳴らして威嚇する。「ゴフッゴフッ」。地を這う濁声がこちらの臓腑を絞りあげた。
興奮したままふたたび突進してくる。激憤を脚に乗せ、自らの身を弾丸のように打ち出した。文字通りの猪突猛進。人間の柔肉を必殺の牙で貫こうと、しゃくりあげるように頭を振った。が、届かない。ワイヤーの伸びきる音が満山に虚しく響いた。
手負いの
対照的に老翁は泰然として、銃身の根元を折り曲げ薬室を開放し、
機構がシンプルで丈夫、かつ軽量で持ち運びしやすいため、老翁はいまなお愛用している。
「後ろに下がっておいたほうがええ。耳も塞いどき。難聴になったヤツもおるけん」
指示された彼女は5、6歩後ろに下がり、指で耳をふさいだ。老翁も耳栓を装着する。足元を確認し、矢先の斜面が
右足を斜め後ろに開き、上半身を軽く捻って獲物に差し向かう。左手で先台を握り、肩に床尾を当て、頬を銃床に乗せて3点で保持し、右手をグリップに添える。何十年と繰り返してきた動きに淀みはない。
目の前の野猪はいまだ土俵を暴れまわり、狙いが定まらなかった。疲れて動きが停止する瞬間を待つ。緊迫が背中と腕を伝う。止まった。矢先を合わせる。銃身・照星・獲物を6時方向に捉え、眉間を狙って引き金を絞った。
銃声が遠雷のごとくはためいた。耳を閉じても鼓膜をつんざく。幽森の
イノシシの身体が一瞬のけぞり、大地に横倒しになった。硝煙のにおいが漂い、時間が凍りつく。森の奥から何事もなかったかのように小鳥の声が響き、上空の晴嵐が梢を揺らした。樹冠の合間から日が射した。周囲の藪に緋が差した。
「(はぁ……はぁ……息が詰まりそう。これが、とどめを刺す瞬間なんだ)」
遠目からみていても、耳を塞いでいても、銃の威力は空気の振動を通して彼女にも如実に伝わった。発砲音とともに跳ね上がった心臓の早鐘が鳴り止まない。
冷や汗が首を伝う。呼吸が浅く早い。きつく絞った耳をいまだ解くことができない。眼前の光景から目を離せない。
銃の構えを解いた老翁が手招きする。それでようやく止め刺しの終結に気づいた。被弾したイノシシにこわごわと近づく。
地面を赤黒く染めた暴風は、致命傷を受けてなお息絶えていなかった。全身が痙攣し、虚空を力なく蹴っている。
「まだ生きてる!? 頭に当たったのに」
「シシはしぶといけん、一発で仕留めるのは難儀する。でももう意識はのうなっとる。身体に染みついた動きを無意識のまま繰り返しよるだけや。今回は当たりどころがよかった。もうすぐに事切れる」
「虫の息になってもまだ生きるのを諦めてないんだ……最期まで、あがいて」
諦念など微塵もない、臨終を峻拒する猪武者の、魂が野生に還元されていく姿に、彼女は胸が締めつけられた。
やがて動きが完全に静止し、幽明の境を異にした。冷たく潤む黒目に彼女の愁眉が映っていた。かの者が最後にみた映像だった。
先ほどまでこのイノシシは猛火のごとく生命を燃やしていた。それが引き金を絞る一瞬でただの
口を引き結んでどのような表情をしていいかわからないでいる彼女に、老翁は告解するように口を開いた。
「さっきいった猟をやる理由な、ちいとおためごかしも入っとる。仕留められた獲物にとっては人間に利用されようがされまいが終わった命に変わりはないけん。所詮は身勝手な理屈よ。どこかで殺生の後ろめたさを振り切らな狩りはできんし生きてはいけんのよ」
後日、老翁から仕留めたイノシシの肉が送られてきた。先日まで生きていた猛者の感触をまずはそのまま味わうべく、ステーキにして食すことにした。
「ッッ~~~!!」
率直にいって煮ても焼いても食えない味だった。発情期のイノシシのオスは、メスを探して徘徊するため筋肉や脂肪が減り、獣臭が強くなる。背脂は鎧のように硬い。
当時は狩猟肉の調理方法に無知だったのもあって、噛みしめるとナフタレンのようなレバー臭が口腔・鼻腔の粘膜を蹂躙した。
だがその強烈な野性味が逆に、このイノシシを追って山に入った記憶を鮮明に思い起こさせた。
彼女の感じた狩猟のイメージは「心理戦」だった。
獣道に入って痕跡をみつけ、ここぞというポイントに罠を仕掛ける。どういう場所なら気づかれにくいか、どう仕掛ければ違和感を持たれないか。そこに決まったアルゴリズムはない。
獲物の種ごとに傾向はあっても個体の性格が違う。場所が違う。地形が違う。相手もこちらを感じている。感知すれば経路を変え、逃走し、時には堂々と人の浅知恵を突き返す。
相手の行動と心の動きをその場その場で分析して裏をかかなければならない。狙った獲物が掛かればいいが、そうでなければ心理戦は延々と続く。
罠に掛かっても一筋縄ではいかない。彼らにギブアップの文字はない。最期まで全精力をかけて生存を勝ち取ろうとする。気を抜いたらこちらがやられる。
「(なんだかレースのときと似てるな。相手の立場になって、癖や心理を把握して、ここ一番で仕掛けるってあたりなんかとくに。
罠にかかってからの気迫もすごかった。息絶える瞬間まで絶対に諦めない。最終直線で後ろから猛追してくるようなびりびりするプレッシャーだった。あんな緊張感を覚えたのはいつぶりだろう)」
人里離れた山で展開される人間の狡知と野生の本能のぶつかり合いに、彼女はレースに通ずる感覚を覚えた。
人間の目からすると自然に溶け込んでいるようにみえる罠も、仕掛け方が甘ければ野生動物にとっては不自然な異物だ。その認識の違いを理解し、獲物を誘導するためには、相手をよくよく理解しなければならない。
猟師と獲物とのあいだには言語を超えた高次のコミュニケーションがある。それは、常日頃から相手を観察し、互いの意図を読み合い、一歩でも相手に先んじようとするレースでの姿勢となんら相違なかった。
現役を退いて以降望むべくもなかった真剣勝負、その果ての充実感。命のやりとりは措くにしても、こちらの思考に十二分に応えてくれる対戦相手を、久しく忘れていた精神の躍動を、狩猟という行為はもたらしてくれるのではないかと心惹かれた。
肉はいまだ口内で混沌とした風味を発している。吐き出しそうになるのを必死にとどめて飲み込んだ。
なんとか皿を空にし、しばらく眺めたあと、セイウンスカイは老翁の家に出向き、頭を下げた。
「私に狩猟を教えてください」
◇
それからの彼女は罠猟免許を取得し、老翁の指導のもとでめきめきと罠猟師としての腕を上げていった。
元来の彼女の器用さ、肌感覚の良さも猟師向きだった。老翁が猟友会の顔役だったこともあり、偏屈揃いの猟友会の面々にも受け入れられた。
「私はラッキーだったよ。師匠がいろいろ教えてくれたからね。猟師って一匹狼な人が多くて、新しく若い猟師が参入するのは表向きでは喜ばしいことになってるけど、自分の縄張り以外でやってくれっていうのが本音なんだ。猟師は縄張りが財産だから」
獣道や餌場のみつけ方、地場特有の地形や気候、目印など、経験を積んだ猟師は秘伝のデータベースを備えている。それはともすれば数十年もかけてひとりひとりが築いてきた身代だ。山の恵みは偏在しており、個人の利益を考えるならば易々と赤の他人には教えられない。
環境省の資料によれば狩猟免許取得者の6割が60代以上の高齢者であるため、技術は盗むものという意識も強いのかもしれない。
また現代の猟師はみなそれぞれほかの仕事と掛け持ちで忙しい。罠猟師なら見回りも加わる。
したがって猟場を教えたうえに新人の手ほどきにわざわざ付き合うほうがよほど珍獣なのである。
こういった事情があるため、苦労して狩猟免許を取っても現場の勝手がわからず、獲物に遭遇できないまま何週間も無聊を託つ場合も少なくない。狩猟の醍醐味を味わう前に辞めてしまう新人猟師は後を絶たない。
「当時、師匠は猟師を辞めようか悩んでたらしいんだ。歳をとってきて、前よりも身体が動かなくなってきたから事故が起こる前に身を引こうと思ってたんだって。
でも人間、いざ引退しようとなると跡継ぎが欲しくなるみたいだね。そこにちょうど現れたのが私ってわけ。
まあ当の師匠は私に教えるようになってから『若いモンには負けられんけん』なんていって、いまでも元気に山に入ってるけど」
セイウンスカイはウマ娘特有の鋭敏な聴覚と膂力を買われ、
しかしついぞ今日にいたるまで銃は持たなかった。
「日本で銃を持つのはハードルが高いんですよねー。所持手続きは面倒だし、買うのも維持費も高いし、
銃を所持するためには猟銃免許取得のほかにも数々の講習や手続きをこなす必要がある*10。
手続きは主に警察署でおこなわれるため、文字通り何度も警察のご厄介にならなければならない。
費用も罠と比べて高価になる。狩猟免許取得にかかる費用やハンター保険に加え、猟銃は安い中古でも3万円、新品ならば数十万円は必要だ。
さらに
猟場には自分以外の猟師がいる場合もあるため、藪がガサガサ鳴るのに反応してドンと発砲したら獲物でなく人間に当たってしまったという誤射事故が毎年発生している。
銃は獲物を視認できてから放つのが玉条だ。しかし獲物がいると思うと撃ち気にはやる者がどうしても出てくる。
「射撃教習は一回受けてみたんだけど、鉄砲
銃猟も獲物との心理戦の面はあるけど、最終的にはいかに銃をうまく扱うかに着地するからね。罠猟だったらより相手との駆け引きが肝になる。後ろから追いかけるよりも先に仕掛けて相手がハマるのを待つほうが私らしいじゃない」
セイウンスカイは狩猟でも追い込みよりハナを行くウマ娘というわけだ。
そこまでいってなにかを閃いたのか、彼女は含み笑いを浮かべてこちらに問いを投げかけた。
「実は、私にも扱える鉄砲がひとつだけあるんだ。しかも免許がいらない。なんだと思う?」
そう問われて答えに詰まった。現代社会で免許なしに扱える銃とは。まさか駄菓子屋で買えるような銀玉鉄砲ではあるまい。害獣駆除用の強力なエアガンもあるが、彼女がそんな単純な問答をするだろうか。
雲をつかむような謎掛けに私の思考は翻弄されるばかりだ。
「悩んでるねぇ。そんなあなたに大ヒント! 名門に生まれたわけでもなければ特別な能力もないウマ娘がクラシック制覇を狙ったり、一時の勢いでどんなところかもわからない山奥にいきなり移住しちゃって、あまつさえ女性が極端に少ない猟師なんてやりはじめる人のことを世間ではなんというでしょ~?」
彼女はわざとらしいえびす顔をこちらに向けた。そこまでいわれてようやくピンときた。
彼女は現役時代、トリックスターと呼ばれ、かつての知己からは策士と評価されて計算高いイメージがある。しかしその実、彼女は。
「気づいたみたいだね。そのとおり。無鉄砲、だよ」
●第一種猟銃免許(青バッジ):散弾銃・
●第二種猟銃免許(緑バッジ):空気銃のみを取扱可能
●罠猟免許(赤バッジ)
●網猟免許(黃バッジ)
●北海道以外の区域:11/15~翌年2/15
●北海道:10/1~翌年1/31
また同規則で狩猟鳥獣と非狩猟鳥獣も定められている。ただし、自治体によって柔軟なルール運用が可能であり、増加著しいイノシシ・シカであれば猟期が延長されたり、よそでは狩猟鳥獣であるクマが特定の自治体では非狩猟鳥獣だったりする場合もある。
●猟銃等講習会(面接含む)
●射撃教習
●火薬類の譲受許可申請
●銃の購入手続き
●医師の診断
などなど煩雑な流れを経てようやく所持許可「申請」ができる。さらにその後、
●銃の現物の引き渡し
●身辺調査
●実銃の公安委員会への提示
以上で問題なしと判断されてようやく正式に所持許可証が発行される。さらに所持許可が降りた後も年に1度の銃砲検査が義務付けられている。許可証の有効期限は3年間で、更新のさいにはまた身辺調査を受けなければならない。