アサルトリリィ -RED THISTLE- 作:ブリガンディ
「無駄だ!お前はもう、何をやっても俺に勝つことはできない!そのバカみたいな硬さで、死なずに済んでるだけだ!」
《──……》
楓に事情を話して数日した平日。ヴァイパー出現の報を聞いた隼人がすっ飛んでいき、即座に圧倒。ヴァイパーは邪魔された恨み節を表現するしかできない。
焦れて攻撃して来たところを──と考えたが、生憎隼人は縮地持ち。身構えても速攻で背後に回り込み込まれ、斬られて無駄に痛みを感じる羽目になる。
そうなれば、もうヴァイパーには逃げる以外手段が残されていない。最近ヴァイパーは隼人を見ると、いつか自分が本当に殺されるのではないかという恐怖を感じ、居ても立っても居られない状態になるのだ。
「ただで逃げれると思ったら大間違いだ!」
《──!?》
そのまま逃げれるかと思ったら、隼人がシューティングモードによる射撃を逃げる先へ置くように撃って来たので、ヴァイパーは咄嗟にそれを右へ避ける。
一瞬身構えるも、それを好機と見た隼人が右、左──と立て続けに二発発砲。一発目の弾丸でヴァイパーを意図的に避ける方向を絞り込み、二発目を直撃させた。
これによって堪らなくなったヴァイパーは足を止めるのを我慢して、一目散に逃走した。あの時の宣言だけでなく、今の一撃で加速させられた恐怖を引きずりながら──。
追撃の必要性が無くなった隼人は戦闘体勢を解き、百合ヶ丘に戻る道を歩き始める。
「(まだ別の場所に逃げる様子はない……)」
──縫い付けることができたのか?隼人はヴァイパーの様子を見て予想する。彼奴が負けず嫌いなのは知らないが、こちらが妨害しまくっているので、いい加減ストレスを溜め込んでいるかも知れない。
だが、隼人からすればこれでよく、出現位置を絞り込んだままにできるなら今後が楽になるのだから、いくらでも戦い方を考えられる。
「(ただ、俺が戦っていると逃走までの時間が早くなりだしたのは問題だな……)」
ノインヴェルト戦術は準備に時間がかかる──。逃走経路を封じるドームが完成するよりも前に範囲外へ逃げられた場合、不発だけで済むならまだしも、枯渇状態をヴァイパーに狙われたら最悪である。
弱い者虐めが大好きなヴァイパーのことだ、力尽きたリリィの悲鳴を楽しむ悪趣味なこと等は平然とやってのけるだろう。
なので、そうならない為にも確実にノインヴェルト戦術を叩き込む戦法を考える必要がある。
「(……危険だけど、あの二人──特に、梨璃が望むならやってみてもいい戦法はあるな)」
懸念点は夢結と楓が滅茶苦茶反対してくるかどうかだが、一番期待値のある方法である。それなら陣形の際に話してみてもいいだろう。
「(香織の命と夢を奪ったツケを払わせてやる……!)」
──次会う時こそ、お前の最後だ……!戻る際、隼人は再び怒りが燃え上がるのを感じていた。
* * *
* * *
思いついた提案を早速伝える……前に、隼人含む一柳隊の全員は一度やらねばならないことがあった。
「いやぁ……ごめんなさいね。わざわざ全員に来てもらっちゃって」
今日は前もって百由から話したいことがあると呼び出されており、一柳隊に宛がわれている部屋で話し合うことになっている。
とは言え、肝心な当の隼人が来ておらず、それを始められないでいるのだが。
「あいつが何やってるか聞いてる?」
「資料を取りに行く……と言っていましたわ」
──にしても、少し遅いとは思いますが……。一応、楓に対してだけはほぼ事情が割れているのでそれを明かしている。
その割には意外にも時間が掛かってしまっているので、少々疑問になっていた。
楓の回答を聞いた鶴紗が続けて資料のことに関して聞こうと思った時、ノック音が聞こえ、隼人が「お待たせしました」と声を掛けた。
一応、トラブルを避ける為に待つスタイルが多いのを知っているので、夢結が入る用に促し、隼人が入って来る。
「遅かったわね。どうかしたの?」
「この資料を作ってくれた人とちょっと話してました」
夢結に事情を話しながら、隼人はその木箱と鍵をテーブルの上に置いた。
「……木箱?」
「その中に資料を入れてある。今日まで極秘ものだったから、こうして厳重に封をしてたんだ」
だが、その資料を見せる前に百由が聞きたいことがあると言っていたので、先にそっちを促すことにした。
「じゃあ早速……と言いたいところだけど、その前にみんなにこれを渡しておくわ。隼人君の血液サンプルから解析出来た、リリィとしてのパーソナルデータよ」
その貰った資料に皆で目を通せば、やはりと言うか男性にしてはスキラー数値がやけに高い所は即座に気づかれる。
ただ、それは些細なことであり、問題はマギデータが異常なことである。
「これが本題。如月君、教えて貰えるかしら?」
「そうか……ここまで調べが付いてるんじゃしょうがないですね」
百由の問いに対し、隼人は半ば諦め気味に答えた。
だが、ただで答えるつもりは無いので、最後の確約だけは取りに行くことにする。
「なら、俺がこれから話す内容は必要最低限の人……まあ、理事長と生徒会くらいはいいとして、それ以外は口外無用でお願いします」
「……それに関しては理由が知りたいけど、知った時点でその約束は呑んだと認識するのかしら?」
百由の問い返しに、隼人は肯定する。話すネタが外に広げてはいけない系統だからだ。
ついでに言えば、対応次第ではアリスらに避難勧告の連絡を送らねばならず、隼人としては何としても避けたい事例である。
その為、これを呑めない人がいるなら、その人にこの話をするわけには行かない。何なら、レギオンが連帯するものだとして、一人でもダメならこの場で話せるのは百由たった一人になってしまいかねない。
「……なら、私から一つ質問させて貰うわ」
「どうしました、夢結様?」
「あなたが機密保持に拘るのは、誰かに命令されたから?それとも、何か別の理由が?」
夢結としては、前者でないことを確認したくて問いかけた。
仮に前者の場合、隼人の救助の考案から、対象施設の調査まで非常に面倒な段取りをする必要がある。
「先に言っちゃうんですけど……百由様が調べたアリスと、この資料に載っているとある人物は俺の命の恩人です。その人らが静かに暮らせる時間を守る為、俺は機密保持を徹底したいんです」
「(と言うことは、アリスと言う人か、もう一人か……どちらかが隼人さんを救助。救助した方と同じか、別か……どちらかが何らかの方法で右腕の治療を行った、と……)」
先にある程度の情報を貰えている楓は、隼人の事情に予想が建てられる。それが当たっているかはさておきとして、話をスムーズに整理できる。
隼人の目は真剣そのもので、これなら命の恩人の意味まで聞き出せると思った夢結はそこで納得した。
他の皆に確認してみたところ全員大丈夫とのことなので、隼人はその資料を全員に配る。
「何らかの要因で、腕を失ったリリィの戦線復帰・戦闘力回復を目的に開発された特殊義手……ですか?」
「ああ。この特殊義手の開発には、研究の協力を自ら申し出たブーステッドリリィの血液と細胞のサンプルを基軸に研究・開発された」
腕の欠損とは非常に痛いもので、CHARMであれば片腕でしか扱えなくなる為、変形の鈍速化、片腕でしか扱えないことによる安定性の低下から来る戦闘力低下は凄まじく、これが原因で戦線復帰すらままならずそこから
この現状を憂い、ならば義手を用意して戦線復帰の手助けを──と言う考えに至って開発されたのが、この資料にある特殊義手であった。
また、見た目の影響も最新の注意を払っており、内部に高性能ナノマシンを搭載することで、肌の色合いや指のサイズ等、本人のそれと自動で合わせられるようになっている。
ただしこの義手、何の問題も無く使えた訳では無く、ある大きな問題が理由で開発は打ち切り。試作品だけ残して終わってしまったのである。
「試作品だけで終わってしまった理由は、マギの混合。別の人のマギが混じってしまい、戦線復帰しても今までと似て非なるマギを使うせいで連携に支障をきたしてしまうから、単独行動前提でしか復帰できないっていう欠陥を抱えていたんだ」
試作品が出来上がった直後にノインヴェルト戦術が確立。そちらの影響で連携力が優先された状況下にて、それに支障をきたすものは提供できない。世代移行の波に飲まれてしまった技術である。
その時代の波に吞まれたことで、この義手は日の目を浴びることは無かった。
「なるほどね……ノインヴェルト戦術が確立されなければ使われていたかも知れないわね」
CHARMを二つ重ね、二人分のマギで魔法球を作るマギスフィアに多少影響はありそうだが、二人ならギリギリ許容範囲の可能性はあるだろう。
ただそれでも、パートナー変更を余儀なくされる可能性はあり、きっとどこかで問題になっていただろう。
「目的が目的じゃから仕方ないが、ちと勿体無いのう……これ、煮詰めれば医療技術としても使えたじゃろうに……」
技術屋としての性分か、ミリアムはその悲しき技術の道筋を嘆いた。
だが、そうやって純粋に技術の話をできる訳でも無く、気になる点が出てくる。
「じゃが、どうしてこんな資料を持っておるんじゃ?お主、こっちの道進んどらんのじゃろ?」
ミリアムの問いかけが、気になる点の全てを示していた。隼人の出自と普段の行動を考えたら全く釣り合わない資料である。
まあ気付く人は気付くだろうと思ってた隼人はさほど動揺はせず、そのまま答えを告げることにした。
「実はこの特殊義手の試作品、俺が使っているんだよ。ヴァイパーにぶった切られた右腕の代わりとして」
『……!』
まさか隼人がそんな代物を使っているとは思わず、全員が衝撃を受ける。
それはいい──。否、これだけでも大分トンデモな事態になっているのだが、根本的な疑問の解決は終わっていない。
が、その前に日の出町の惨劇の話を隼人が切り出す。
「ヴァイパーの初出現はそこらしく、一番最初の犠牲者は俺の幼馴染みの少女──彩月香織、重傷者は俺自身だったらしい。その後も、何人か俺のように目の前で誰か殺されたり、自分の体の一部分だけ斬られた人がいたみたいだ」
隼人はヴァイパーが苦しみを長引かせる為に放置され、そこを人に見つけられて救助され、一命を取り留めている。
「ち、ちょっと待って……。これだけだと……そのアリスって人、出てきてないけど……?」
「そっちか。この特殊義手の開発に使われた血液と細胞のサンプル、アリスのなんだ……」
──俺のマギデータにアリスが混じってるの、そう言うことなんだ。隼人がCHARMを扱えるようになった代償は、体の一部が本来のものではなくなる、リリィとしてみたら異質になることだった。
隼人の異常なマギに関してはこれで判明した。が、他にも隼人の提供した資料には情報が残っている。
「製作者名、明石由美……?」
「俺は話でしか聞いた事ないけど……その人、元
名前に気づいたものの、そのG.E.H.E.N.A.と言う組織に梨璃は今一ピンと来なかった。
だが、他の人たちはそうならない。その組織の名を聞き、複雑な表情をする者と苦虫を嚙み潰したような顔に変わる者がいた。
G.E.H.E.N.A.は元々、ヒュージの研究を
更にはリリィの強化に関しても控えめと思いっきりの二つで組織内による意見の割れがあり、とても一枚岩とは言えない状況と化してしまっているようだ。
研究自体は人類の役に立っているのがあるとは言え、リリィたちへの悪影響があるのも事実で、ガーデン内でもこの組織に対しては親睦するのか反対するのかで分かれている。
前者は恐怖の象徴にもなり兼ねないが、その分ガーデンやCHARMの強化等が容易く、リリィになれそうにない子の望みを叶えるも可能らしい。
反対に、後者の方はその手の場所の関わりを一切禁じる程で、何なら研究によって強化されたリリィや人質の救助等も行っているそうだ。ちなみに、百合ヶ丘は後者に当たる。
「隼人。その言い方だと、お前が関わった頃にはもう研究者を辞めていたってことでいいのか?」
「ええ。大体五年前──。この特殊義手の試作を最後に、アリスを連れて組織を抜けています」
ただG.E.H.E.N.A.の研究者だったら色々面倒なことをする必要があったかも知れないが、五年も前にそこを脱退しているとなればそれをする必要性の判断も難しい。
それに、アリスを何故連れて行ったのか。これも疑問である。なので、問いかけて見ると──。
「アリスは由美さんの知人の一人娘で、ヒュージの襲撃で孤児になっちゃった彼女を引き取ったんですよ……」
元々、何かあったら頼むと託されていたらしく、知人との約束でそのまま引き取ったらしい。それも、義理の母親として。これが今より八年も前らしい。アリスが由美を『お義母さま』と呼んだのはこれにある。
特殊義手の研究・開発の開始は七年前で、当時、アリスは自分が由美に命を救われたように、誰かの命を救えるならとリリィになり、血液と細胞のサンプルを渡して研究を手伝った。
これを気に、研究者の自分と親の自分とで揺れていた由美は次第に親の面と自覚が強くなり、元より凶行の強まるG.E.H.E.N.A.とそりが合わなかった彼女は、その研究を終えたら辞職し、アリスと共に暮らす道を選んだようだ。
「元々優秀な研究者だったから、今でも戻って来てほしいとかほざき倒す
命の恩人が嫌がることをやらせるつもりはない──。隼人からは、そんな義理堅い面が見えた。特にガーデンに属せず、偏った目を持たないからこそ──と言うよりも、今の隼人には命が何よりも重い為、他が全て二の次も同然なのかもしれない。
なお、強化手術等に関しては「リリィになれそうにも無く、どうしてもリリィになりたい人に必要最低限だけ」の思想だったらしく、控えめどころかほぼ不要と考えていたそうだ。
「百合ヶ丘が
──俺はここを去ります。招き入れてしまった時点でもう遅いかも知れないが、面倒になる前に終わらせることはできる。
実際、隼人は保護される必要もないし、百合ヶ丘を離れたところで寄る辺は残っているのだ。ガーデンさえ望むなら、隼人は準備が済み次第ここを離れられる。
「で、でも……!隼人さん、ヴァイパーを討つ為に男子一人を覚悟して来たのに……せめて、ヴァイパーを討つまでって出来ないんですか!?」
「そうなると、時期が不確定って言いたいけど……元々引き込んだのはこっちだから、それだけでも理由にはできるわね」
一先ず話すこと自体は可能だろう。二水の言う通り、元々ヴァイパー打倒と百合ヶ丘近辺のヒュージ迎撃で協力しているのだから。
何しろ、隼人側はもう十分に対価を出しているが、こちらはまだ対価を返せていない。隼人自身は最悪後世に──と考えてもいるが、それでも契約不履行だ。
「とは言え、話して見ないと分からないわね……隼人君、この資料まだ残ってる?」
「ええ。生徒会と、理事長分なら刷ってありますよ」
その人らに行き届かないのは不味いだろうと考えて由美に頼んでいたので、その辺に抜かりは無い。
必要分の資料を渡し、要点の確認を済ませたことでこの話合いは終わりとなり、百由はすぐ報告の準備に向かい、一柳隊も訓練の話は一旦後回しとなった。
* * *
「何でだよ……?何で……俺が、俺と香織が……一体何したってんだよ……」
ヴァイパーに右腕を斬られてしまった後、彼奴は何故か分からないが何もせずに去って行った。
どこか楽しそうにしている声音が去り際に聞こえたような気がするが、今となっては些細なことに過ぎない。
行きなり幼馴染みを殺され、自らの右腕が斬り落とされる──。何の罰が当たったんだと訴えたくなる。
「!?倒れてる……!」
隼人が嘆いた直後に金色の髪を持つ少女が彼を発見し、急いで駆け寄る。
「嘘……私の声、聞こえる?返事はできる?」
その少女こそ、アリス・クラウディウスであり、失血が増えてきている隼人に声を掛けたのだ。
「俺が……」
「……!どうしたの?」
「俺に、力さえあれば……香織が死ぬことも、右腕が無くなることも無かったんだ……チクショウ……チクショウ……!」
隼人は己の無力をこれでもかと呪った。せめて、ヒュージを追い払うことくらいできればと──。
もう自分たちの家族を案じる余裕すら無い。隼人はただ、己の現状を見るしかできない。
「何で俺は……こんなにも弱い……んだ……」
「……いけない!このままだとこの人まで……お義母さま、聞こえる!?私と同じくらいの年をした、重傷者の男子を一人見つけたわ!右腕が斬られてて、失血も進んでる!」
《何ですって……?事態は一刻を争うわ。降下するから、その人と一緒にヘリに乗って!アレを使うわ》
失血によって意識を失った隼人を見て、アリスはすぐに由美に連絡。その結果、特殊義手の試作品を治療に使うことが決まった。
これが理由で隼人は一命を取り留め、同時にヴァイパーを殺す為に復讐者の道を歩むことに決めたのである。
* * *
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」
意識が戻った隼人が声を上げながら体を起こす。そこは寮の自室であり、あの会議をした日から二日──週末になり、今日の授業が終われば合宿の為に暫くガーデンを離れることになる。
あの後百由の報告を受けた結果、ガーデンは「隼人が実験道具と化していないのなら、干渉の必要なし」として、ガーデン残留を認められた。
ただ、こんな話をしてしまった結果、隼人がもし居心地を悪くする場合、本人が望むならヴァイパーを討った後保証付きで脱退可能とかいうとんでもない話が出てきてしまったのは、暫く忘れられないだろう。
と言っても、今すぐ決める必要は無く、ヴァイパーを倒した後からでも決められる為、この話は後回しでもいいのは助かっている。
「完全に振り切れてる訳じゃない、か……」
油断していた所に再び悪夢を見たため、少しげんなりした。どうせ拭えない過去なら、せめて良かった頃の夢をみたいと思うのはダメだろうか。
ただ、一つ問題があるとすれば、両親と香織、もう一人幼馴染みの顔は今でも思い出せるが、香織ともう一人の方の両親が思い出せなくなってきている。
「(良くも悪くも、時間が経つってのはこう言うことか……)」
あの惨劇から時間が経ち、第二の家族と戦う力を手に入れ、新たな未来の為に旅立つ活力を得ているが、同時に過去の良かった記憶の一部が風化してしまっている。
その内過去の記憶はほんの一部、自分にとって忘れられない出来事しか思い出せなくなるのだろう。そう考えると少し怖くなった。
が、同時にそれも新しい希望や発見──出会いが補い、勝手に乗り越えて行けるのだろうと確信も得ている。
「……泣いてたのか、俺」
今回の悪夢は一番悔しくて、悲しい記憶だったからだろう。実際、ここから隼人の様々な基準は大きく変わった。
特に人命が関わる時の認識の変化は凄まじく、あの惨劇を経験しなければ、無免許でバイクに乗る選択肢を取ることなど、絶対に無かっただろう。
そう考えながら涙を拭い、今日のやるべきことを考え始める。
「(対ヴァイパー陣形……それも、ノインヴェルト戦術を決める前提なら、どうするかな)」
ただ撃退するだけなら自分が最初にヴァイパーへ突撃し、後から何人かが合流して波状攻撃を決めればいいのだが、今回は逃がしてはいけない為、少し趣向が異なる。
ノインヴェルト戦術によるドームが出来るよりも前に逃げられてはいけない為、程よく時間を稼げるリリィで最初は当たるのが望ましい。
「(奴は最近ビビって、俺を見たら逃げが早くなる……そうなるなら、俺は途中の交代要員兼フィニッシャーくらいにしか回れない)」
と言うよりも、ヴァイパー相手は流石に自分がフィニッシャーに回される可能性は高い。そうでないなら、フィニッシャーは夢結辺りが無難になる。
それはいいが、どうしてもヴァイパー経験がゼロの人たちにしか回せなくなるのは、結構痛い点である。一柳隊の中では飛びぬけて強い夢結と梅ですらも、ヴァイパーと交戦経験は無い。
だが、それでも上級生二人は非常に強く、ちょっとやそっとの事でやられるようには思えない。何なら、彼女らは普通に圧倒出来るだけの実力があるので、少なくともこの二人と自分は宛がえない。
「(やっぱり、こないだ考えてたアレを提案して見るか……)」
どうするか迷っていたが、決意を固めた隼人は準備を済ませて一日を始めることにした。
ちょっと無理あるかもしれませんが、隼人の右腕はこんな風になっていました。
隼人に右腕が渡るまでの流れを簡単に書くと……。
リリィの戦線復帰を助ける為、リリィの血液と細胞を基に義手を作ると企画。
↓
作ったはいいけど、マギが混合してしまう。
(実質的にリリィとしては別人同然に)
↓
更に連携が大事なノインヴェルト戦術が確立。マギ混合の問題は致命的に。
↓
しょうがないから、資料だけ残して凍結。
サンプルを廃棄するかは作った由美にお任せ。
↓
由美が持ち出してアリスと一緒にG.E.H.E.N.A.を去る。
(この時、残留を願う声を全て蹴っている)
↓
それから暫くして日の出町の惨劇が発生。当時現場にいた隼人が右腕を失う重症。
↓
隼人をアリスが発見して救助。治療の為、試作品の右腕を使用。
こんな感じです。
リリィになるつもりなんざなく(と言うか、時世的に絶対なれない)、普通に生きようとしていた隼人に対し、緊急的に使用した結果初めてマギ混合のデメリットを無視して使用できました。
次こそちゃんと翌週に出せればいいな……。
今後アニメ版準拠の展開はどのようにしてほしい?
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今みたいな感じで大丈夫
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もうちょい細かめが嬉しい
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サクサク気味がいい