アサルトリリィ -RED THISTLE-   作:ブリガンディ

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アニメ7話は結梨ちゃんの身の回りなどで結構な日数が経過しているものとして、同時進行で本小説独自の話が混ざります。


第18話 整理

レギオンに宛がわれた部屋に付いた後──。梨璃はメンバーに自分が暫く少女の面倒を見ることを伝えた。

 

「差し出がましいようですが……梨璃さん。少々入れ込み過ぎではないでしょうか?」

 

神琳も言った通り、少し少女に対して関わりに行き過ぎではある。事実、祀らが彼女の身なり等をどうにかできる以上梨璃が無理にいく必要はないのだ。

ただ、梨璃も梨璃で大切な家族や友達が待っているはずの彼女が、何も思い出せないのは全てを失ったも同然であり、せめて一緒にいてあげるくらいはと考えを返す。

それでも、楓からは梨璃の役割として必然性は無いと制止の声が掛かり、夢結からは梨璃自身が一柳隊のリーダーと言う他に代わりの利かない存在であることを告げられる。

 

「それでも何とかするしかないでしょう。心配しないで」

 

──が、夢結からすれば梨璃の選択は織り込み済みらしく、背を押す回答を返す。その隣で楓も頷いている。

 

「俺はもう、香織と話すことはできない……だから、あいつから聞きたかったことを聞くことも、俺が何か伝えたい時に伝えることももうできない……これは、この先ずっと抱え続ける後悔だ。けど、お前とあの子はまだ違う。聞きたいことは聞けるし、伝えたいと思ったら伝えられる」

 

──だったら、後悔しないように、今できること、やれることはやっておくべきだと思うぞ。要するに、隼人も賛成の答えである。

 

「ありがとうございます。私のわがままで……」

 

梨璃は自らの行動で面倒を増やしてしまうと思ってこう言うが、それは違う。

 

「いいえ。それは思いやりよ」

 

あの少女を思うからこそ行動できるそれは、夢結が返したとおり思いやりである。

この二人の賛成から全員がそれぞれ「こんなご時世だからこそ」や、「気持ちはわかる」と言った、夢結と同じく背を押す声が出る。結局のところ、始めから反対する気は無かったのだ。

どうせ賛成するなら、アンタらはどうして一々面倒な問いかけしたんだと隼人は言いたくもなったが、話がややこしくなるのでそれはしない。

 

「ありがとうございます。私、行ってきますっ!」

 

迷う理由が無くなった梨璃は一度頭を下げてから、そのまま少女の方へ走っていった。

 

「俺も、放課後余裕があれば少し行くかな」

 

「いざという時の滞在先には、あなたもいるものね」

 

あの施設はこのガーデンでの生活が終わり、特に宛がないなら隼人も引き続きそこで過ごす。故に、少女との面識を合わせる必要性はある。

そうすれば、少女がどんな様子かを伝えることも十分に可能となり、メリットも大きい。

ただ、一つ願うことがあるとすれば、その少女がその施設に来ないこと──或いは、来たとしてもあの施設内の生活で窮屈しないかの二点だ。

そんなことを考えていると、何やらカタカタと音を立てるので、そちらを見てみればテーブルの上の紅茶が入ったカップが揺れており、何があったのかと思えば夢結が片足でトントンと、リズムを刻むように床を叩いていた。

 

「あら?もしかして夢結様、ヤキモチを焼いてますわね?」

 

「……ヤキモチ?私が?」

 

自らの問いに対して、「一日の長がある」と楓に返された夢結は、梨璃が自分以外の誰かの方へすっ飛んで行ってモヤモヤしているのを自覚した。

 

「いや、何故そこで自信満々なのじゃ……」

 

「まあ、それだけ梨璃が大切なんだな」

 

そんな風にヤキモチのあれやこれやを話してメンバーが盛り上がっている風景をそっと見守りながら、隼人は一つのことを思い出した。

 

「(いい加減、あっちの方でも動かないとな……)」

 

──その為にも、まずは整理だな。やるべきことを見出した隼人は状況の整理を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日の放課後──。一柳隊のメンバーはラウンジにて休息しているが、晴れて少女の面倒を見ることになった梨璃は姿を見せていない。恐らく今も、少女の為にできることを精一杯やっていることだろう。

このように一つの問題に決着を付けたことにより、隼人はもう一つの問題へ思考を回すことになる。

 

「(あいつと鉢合わせるタイミング……どこがいいんだ?)」

 

その問題とは、隼人が右腕を失うきっかけになった日の出町の惨劇──。この時から百合ヶ丘近辺への編入直前よりも先にて、あまり進んでいないもう一人の幼馴染みの少女の行方と再会である。

三年以上も経っているのに全く出会えおらず、せいぜいそれらしき少女を一度見かけ、エレンスゲ女学院の制服を着ていたくらいである。

 

「ここしばらくの間、ヒュージの襲撃が来てないみたいようですし……梨璃さんがあの子の面倒を見ている間、このままだといいですね」

 

「そうじゃな。それなら梨璃も変に気を遣わず面倒を見てられるしの」

 

夢結と楓が梨璃の帰りを待ち遠しく思いながら足踏みし、それによる靴音とティーカップが揺れてカチャカチャ音を鳴らしてリズムを刻んでいるが、他の皆は気にせず会話を続ける。

 

「(場所としてはあの慰霊碑の前。そこで張り込む……は、無いな。香織やみんなの眠りを妨げてまでやることじゃない……)」

 

それらの音が鳴る中、隼人も思考を回し続け、次は場所が思考に出てくる。

とは言え、そこが最も見込みの高い場所である為、行くとしたらそこしかないだろう。無理に他の場所へ行ったところで、行き違いになるのが予想できる。

強いて言えばエレンスゲの近くまで踏み入れてもいいが、特別用も無いのにガーデン近辺──しかもG.E.H.E.N.A.と仲のいいガーデンの近くを自分が迂闊に動き回るのも良くない。

 

「梨璃って……暫くの間、座学しかできないんだよね……?実技とか、どうするんだろう……?」

 

「実技の部分はあの子の面倒を見た後に補習……だそうです。まあ、これは仕方ありませんね」

 

梨璃は現在の体制が体制なので、実技は後回しにされるそうだ。これも状況が状況故に仕方ないところである。

 

「なあ鶴紗。梨璃は今日、帰ってくると思うか?」

 

「さあ……?夢結様に会う為に、一瞬くらいなら帰って来るんじゃない?」

 

「(外出許可の使いどころもか……。俺、もう少し頻度落とせって言われたもんな……)」

 

隼人は本来、その特異性故に外出頻度を控えて欲しかったのだが、右腕のメンテやら資料やら、墓参りやら買い出しやら──とにかく事あるごとに外出していたのでお小言を貰っている。

この為、タイミングを選ばねばならず、できることなら一発で当たりを引きたい所存だ。

 

「(梨璃……今頃どうしているのかしら?あの子の様子からして、変なことをされたりはしないでしょうけど……。こうやって待っているのはやはりもどかしいわ。早く戻ってこないかしら?)」

 

「(全く……お邪魔虫が多くて、梨璃さんと二人きりになれる時間がありませんわ……。梨璃さんはどの道曲がらなかったでしょうけれど、隼人さんはアシストしてしまいますし……)」

 

先程から梨璃の帰りを待ち遠しくている二人は、考えると余計に梨璃が早く戻って来て欲しいと思い、足踏みのテンポはそのままに、勢いが若干強くなる。

 

「(どうする?ナノマシンの交換しちゃったし、一週間……いや、最低でももう二週間待つか?それか、いっそのこと無理言ってもう少しの間だけ控えるの待ってもらっても……)」

 

自分が無事を伝えないせいでずっと待ち続けている可能性もあり、隼人は自らの狭義的な思考を加速させ始めていた。

──そもそもタイミングを考える必要あるのか?カツカツカチャカチャ言ってないで、動ける時動けば……。と、考えたところで、一度隼人の思考に待ったが掛かる。

 

「いやいや、そうじゃないだろ……」

 

耳で物音を拾った結果、思考が乱れてしまったので頭を横に振りながらストップさせる。

色々考えられることはあるが、同時に考えねばならない状況が非常に腹立たしい。

 

「……どうかしましたの?」

 

「いや、ちょっと考え事してた。個人的なことだから、気にしないで」

 

楓に問われたが、一旦はぐらかす。

ただ、一度整理しなければならないし、今日は訓練も予定していないので、隼人は一度場所を移動して思考し直すことにした。

 

「今の、絶対集中切れたね……」

 

「お前ら……梨璃を気にするのはいいが、ちょっと表に出過ぎだな?」

 

鶴紗が確信した通り、隼人のリアクションは集中できなくなってしまったそれである。

こう言う人らがいる状況でなお思考を選んだ隼人も自業自得ではあるが、こっちもこっちである。

 

「(あの感じ、何かの心残りかしら……?)」

 

はぐらかした時、復讐心が取れた結果の穏やかさと、何かを抱えた悩みを両立させたかのような表情をしていたのを楓は見逃さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「参ったな……どうする?」

 

それから数時間後──。寮の自室にて、結局結論を出せないまま時間が過ぎてしまった。

流石に確信も持ててない状態で説得しようにも、それでは納得させられないので待つしかなさそうになり始めているが、いつまでもそのもう一人を待たせるわけにもいかない。

 

「(けど、見つければ残った全ての心残りを解決できるかも知れないんだ。これ以上悠長にするわけには……)」

 

考えながら時間を見ると、後三十分くらいで梨璃が一度戻ってくるかも知れない頃合いの時間だった。仕方がないので、一度移動を始めることにする。

 

「こう言う時、確信できる段階に持っていければ良かったんだけど……それは仕方ないか」

 

割り切ってドアを開けると、目の前に楓の姿があった。恐らく、自分がここにいると当たりをつけて来たのだろう。

 

「お前か……。もう時間だろ?」

 

「ええ。覚えていたようで何よりですわ」

 

梨璃を迎える時は、事情がない限り皆で迎えようと決めており、前もって来てくれたらしい。

じゃあ行こうか──。そう言って移動を始めようとした時、楓が待ったを掛けた。

 

「その、差し出がましいかも知れませんが……あなたが言っていた考え事……それは何ですの?」

 

「……別に答えてもいいんだけど、どうしてそこまで俺を気にする?」

 

ヴァイパーも討ったのだから、もう彼女が自分を気にしなくていいはずだ。ならば何故だ?隼人はそこが疑問になった。

故に問いかけたのだが、その回答は隼人に周囲の配慮を気を付けさせるものになる。

 

「すみません。見えてしまいましたので……あなたの抱え事している表情が。ヴァイパーを討ってなおそうなると言うことは、何かあるのでしょう?」

 

「ああ……これは俺が迂闊だったな」

 

そうなるなら、もう少し早く場所の悪さに気付くべきであったと頭を抱える。

とは言え、話していいかどうかは話が別だ。自分でどうにかせねばならないネタなような気もしていた。

 

「無理に……とは言いません。よろしければ、話してくれませんこと?」

 

「……分かった。ただ、これは正直聞いたお前にどやされても文句言えない内容だってのは承知しておいてくれ」

 

「えっ……?ええ……」

 

──けれど、どんな内容ですの……?いきなりそんなことを言われ、流石に楓も一瞬反応に困った。

ただそれでも、力になれればと言う気持ちが勝り、話を聞くことを決断する。

 

「俺の幼馴染み……香織のことは覚えてるよな?」

 

「ええ。あれは、悲しい話でしたわ……」

 

それが動機で普通の生活を捨て、復讐者となったのだから、間違いなく悲劇である。

ただ、今回はそこでは無く、別の問題だった。

 

「実は、俺にはもう一人幼馴染みの女の子がいるんだけど……そいつとあれから一度も顔を合わせられてない」

 

「……えっ?」

 

ここに来て始めて知った衝撃の事実である。また、これは後で気付くことだが、隼人もこの時何故か楓にすんなりと話せてしまったことに驚いたそうだ。

何なら、両親行方も未だに分からないままで、知っている連絡手段は使用できないと大分な状況であった。

幼馴染みの少女らしき人物は一度見かけたらしいが、確信には至っていないらしい。

 

「生きているって確証は無い……けど、動かなきゃ何もわからないままだから、どうしようかと思ってさ……」

 

「あの……一つ、よろしくて?」

 

その悩みを聞かせてもらい、楓は一度待ったをかける。

何故かそうしたのか──は今更聞こうとは思わない。それは彼の辿った道が証明している。

 

「悩んでいるようでしたら、尚更急いで見つけるべきですわ。それなのに何を迷ってらっしゃいますの?」

 

「えっ?いや、けどさ……」

 

隼人はそれでもなお、自分がガーデンに負担をかけていたことを自覚していた為踏み出しきれなかったが、それを見た楓が痺れを切らす。

 

「このアホンダラっ!あなたの大切な人でしょう?それならガーデンも話を聞いてくれますわっ!そもそも、ヴァイパーを討つ時の考えを出したり、行動するときは止まらないのに、どうしてこっちは止まろうとしてますの!?」

 

「誰がアホだ!出来るんだったら言われなくてもそうしてるよ!」

 

いきなり罵声から入って来たので隼人も思わず言い返してしまったが、よくよく考えればそうなのだ。動きもしないのに諦めては意味がないのだ。

 

「とは言え、リリィの中にも、何かを抱えて戦っている人がいるのは事実ですし……やりすぎ注意なのもまた事実ですわ」

 

「まあ、そうだよな……俺一人が何でもかんでも融通利かせてもらうのは、ちょっと違うか」

 

だがそれでも、自分一人が不幸かと言えば当然否であり、ある程度自粛すべき時もあるのだ。

そして、隼人は今回、その時が来たのである。自らが抑え、落ち着いて行くべき時が。

 

「控えめで行くとするかな。助かったよ」

 

隼人が今後の方針を見出したようなので、そこに一安心する。これからは必ずしも急ぐ必要はない。

何しろ、この男は己の復讐心にて人生と価値観が大きくずれ、そのまま走り続けてしまった身である。そんな少年のことを想い、楓は無意識に彼の右手を両手で取っていた。

 

「せっかくですし、少しくらい休んでもいいのではなくて?」

 

だから、自らのあり方や考え方を整理する時間を作る意味も兼ねて、一度くらい立ち止まってもいいと考えていた。

その考えに肯定した隼人は、この時の楓が見せた慈愛の溢れる表情と瞳がやけに印象に残っていた。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

{ 第 18 話 }

 

整 理

arrangement

 

 

まだ終わっていないこと

──×──

before spending time in peace

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「(まあ、なるようになれだな……)」

 

その日の夜──隼人はそう思いながら歩いていた。

本当なら急ぎたいところだったが、他の人を考えれば流石に今回は踏み出すつもりもない。隼人は話を聞いていないが、夢結の場合過去に自分のシュッツエンゲルを失っている。

ただ、こんな状況で焦らないのは、それだけ自分が落ち着いた──。或いは急ごうとしなくなったと考えることもでき、楓に言われた少しくらい休んでもをすんなりと受け入れられたのだろう。

 

「楓……?こんなところで休憩か?」

 

「あら、隼人さんもですか?」

 

辿り着いたのはガーデンにある噴水広場の前であり、そこで腰を下ろして休んでいた楓と出くわす。

楓は気に入った場所として時々来ており、隼人は幼馴染みの少女を探す際の位置を改めて考えたついで、ちょっと立ち寄ってみただけであったことを話す。

 

「そうでしたか……ただ、手がかりが少ない以上、時間が掛かりそうですわね」

 

「まあでも、お前の言ってた通りちょっとくらい休んでもいいんだし、引きずりはしないよ」

 

そこまで気負う必要はないので、隼人も無理はしない。行ける時に行けばいいだけである。

だが実際の話、早ければ早いほどいいが、時間制限が無い事柄である為、急がなくていいのだ。

 

「あいつ……元気にしてるといいんだけど」

 

「実際に見なければ分からないでしょうけれど、今は信じましょう」

 

希望通りになっているとは限らないが、今は信じたい。だから、楓の言葉に反対は無かった。

 

「ところで、その幼馴染みの方、どんな人でしたの?」

 

「そうだな……凄い大雑把に言えば真面目なやつで、お前みたいに悩んでる人見たらほっとけないやつだよ」

 

──たまに変なこと思いつく、面白い部分もあるけどな。隼人が覚えている限り、その少女はそんな人物であった。

更に、隼人はある意味楓と似ていると評する。自分で話してて通じる部分があったからだ。

 

「わたくしと……?」

 

「まあ、この辺りは俺の所感だから、参考程度にな」

 

別にしつこいとかそんなことは思わない。何しろ、今日あの時話を聞いてもらわねば自分は今頃、思考の袋小路に入っていただろうから。

──いつか、あいつと楓が話すところを見てみたいな……。そんなことを思ったら、楓が何やら自分の右腕に触れていた。

 

「……どうした?」

 

「見たり触れたりだけでは別物だと思えませんわね……本当に精巧な右腕ですわ」

 

改めて、その右腕の完成度に関心を抱いていた。実際、隼人の腕を義手だと見抜ける人は一人もいなかった。

実は触れられた感触等もしっかり備わっており、尚更義手と見抜くのは難しい代物となっている。

 

「俺も時々、これが義手だってこと忘れそうになるけど……その方がいいのかもな。余計なことを気にしないでいいから」

 

「ええ。あの方たちもきっと、それを望んでいるはずですわ」

 

こう言う恩人や知人の感情や想いに対しての配慮はしっかり出来ているのに、勿体ない──と楓は思った。

容姿自体は中々のものを持っており、背丈も高い。表情自体も穏やかものを自然とできるのだから、そこで圧を掛ける心配もない。

だと言うのに、自分が二度も膨らみを押し付ける事態になっても──しかもその内一回はこちらから伝えているにも関わらず反応が非常に鈍かった。

確かに、こちらの体格等を見て常時にやけられるとかよりは全然いいが、それとこれとは別だと言える程反応が悪いのは後々大きく響いてしまうマイナス点である。

 

「(どうすればいいのかしら……?)」

 

何かきっかけを与えられればいいのだが、そのきっかけが見つからない。

少なくとも、色気でどうこうできる段階には至っていない。この男の執着が薄すぎるからだ。

 

「(それもまずは、幼馴染みの方を見つけてから……かしらね?)」

 

隼人の心境を考えると、そこからのような気もする楓だった──。

 

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

それから二週間近くが経過した休日の午前──。外出許可を得た隼人は発見した少女の避難先として使う予定である施設にて、部屋の整理を手伝う為にそちらへ出向く。

見かけたレギオンメンバーにそれを告げながらバイク置場にやってきて、その内一台を押して校門前まで移動を始める。

放課後の余裕がある時に隼人も顔を見せているが、体の方は大分良くなってきており、少し前辺りからランニングマシンで走ってる姿も確認できた。もう少しすれば、体調の方で面倒を見る必要は無くなるだろう。

 

「行きますのね?」

 

「ああ。この機会だし、ついでに行ってみるさ」

 

事情を知る楓からは、見つかることを祈る旨を返され、その言葉を胸に刻んだ隼人はヘルメット着用をし、エンジンを入れて今度こそ出発した。

ガーデンに所属して以降、ノーヘルで動き回るのは緊急時のみであり、彼女らの格式を損なわない為にもそれは避けている。実際、ガーデンに来て以来、ノーヘル運転したのは施設までバイクを使えなかった時と、成り行きで楓を乗せて移動することになった際、彼女にヘルメットを譲ってやむ得ずの二回だけだ。

風を楽しむ上では少々邪魔になってしまうが、それでも十分である為、隼人はこれを飲み込んでいる。

 

「(さて……今日外出したのが吉と出るか凶と出るか……)」

 

──吉であってくれれば嬉しいが……。結果が見えない事柄に祈りながら、隼人は目的地へバイクを走らせた。




アニメ7話分は恐らく次で終わると思います。

ここからちょっと解説入ります。


・如月隼人
梨璃が面倒を見ると言う行動には賛成。描写外で何度かコンタクトは取っている。
楓の後押しもあり、自分のやり残しを終わらせるべく、もう一人の幼馴染みの捜索を決断。ただ、いつもよりゆっくり進める予定ではある。
やると決めてから二週間近く経ってようやく行動可能になったが、果たして首尾は……?


・一柳梨璃
原作と同じく、面倒を見に行くことに。
隼人がいざという時の滞在先を確保した為、もしかしたら梨璃にも伝える必要があるかも?


・楓・J・ヌーベル
隼人が悩んでいると的確に見抜いた。
幼馴染みの少女を探しに行くことには肯定……どころか、何故やらなかったと呆れ半分。
実は隼人の手を取った時は無意識。気づいた後が大変かも……

今後アニメ版準拠の展開はどのようにしてほしい?

  • 今みたいな感じで大丈夫
  • もうちょい細かめが嬉しい
  • サクサク気味がいい
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