アサルトリリィ -RED THISTLE-   作:ブリガンディ

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またまたサブタイ伏せさせてもらいました。どうなるかはお楽しみに

どこで勘違いしたか、レギオンの数が7しかないのに8にしていたようなので、修正しました。


第19話 ■■

「はやと、そこはどんなところ?」

 

「そうだな……ここよりは狭いけど、安全な場所だよ。後、優しいお姉さんたちがいる」

 

「まつりやりりみたいなっ!?」

 

「うーん……その二人とはまたちょっと違う感じかな」

 

隼人が施設に足を運ぶ一週間前のこと──。休日だったので隼人は機を見て少女がいる部屋に立ち寄り、そこで少し話をしていた。

今聞かれた内容は少女の住処として採用された、アリスらが待っている施設であり、立て続けに聞かれた人のことを簡単に答える。

話して見た感じ、余談は許さないが、体調も良くなってきており、このまま行けばガーデン内を歩き回ることも夢じゃないだろう。

 

「会ってみたい?」

 

「うんっ!」

 

少女の返事に、隼人が向こうの人たちも楽しみに待っていると返すと、彼女はまだ見ぬ場所に胸を躍らせた。

 

「隼人くん、最初の一回でいいから、私も一緒に行けないかな?」

 

「それくらいなら大丈夫そうかも……後で聞いてみるよ。結果が分かったら伝える」

 

「うん。ありがとう」

 

梨璃はどうなるか分からないが、彼女には暗証番号も伝えることになるだろう。

 

「(陰謀とかそう言うの、何事も無いといいんだけど……)」

 

少女らと語らいを続ける中、隼人は何事もない事を願うばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

隼人らが少女と語らいをしている頃──。ガーデン、エレンスゲ女学院のラウンジにてため息をこぼす少女が一人いた。

農緑のショートヘアーをした少女の名は相澤(あいざわ)一葉(かずは)。エレンスゲが誇るトップレギオン──『ヘルヴォル』の現レギオンリーダーである。

百合ヶ丘はリリィたちの自主性を重視したレギオン結成をしているが、このエレンスゲでは序列七位以内──要するに個人能力の成績で上位七名がそれぞれのレギオンリーダーに選ばれ、リーダーがメンバーを選定する方針を取っている。

ヘルヴォルのリーダーは序列で一位を獲得した者に与えられるもので、一葉はそれを成し遂げていた。

そんな彼女がため息をこぼした理由は眺めていた写真であり、その写真にとある人物の姿が写っていた。

 

「(隼人……一体、どこにいるの……?)」

 

写真自体はもう五年近く前に取ったものではあるが、そこには日の出町の惨劇以降行方不明者扱いになっている隼人と、死亡してしまった香織。そして、自分自身が写っていた。

実は彼女、隼人らと一緒に避難している最中、運悪く倒壊して来た建物のせいで一人だけ別行動で逃げなければならなくなってしまった身である。

皮肉にもそれがヴァイパーとの遭遇を呼ばず、逃げた先で再び倒壊して来た建物に巻き込まれる不幸はあったが、現地で『マディック』──CHARMを起動することができず、リリィに満たない者たちで構成された、対ヒュージ戦闘員の少女の一人に救助され、一人生き延びた。

また、彼女の家族は幸いにも全員生存しており、自身共々家族が全員死亡してしまった香織、そもそも本人自身が行方不明になってしまった隼人と比べ、最も幸運だったのが一葉であるが、それは慰めにはならない。

 

一葉自身、元々リリィになるつもりで小学生時代から二人とは別で、リリィになるべくそちらの学校で学んでいたのだが、日の出町の惨劇に直面して以来、自分たちのような人を少しでも多く減らせるようにしたいと考えるようになっていた。

それは一般人だけでは無く、リリィやマディックも同様で、日の出町の惨劇がヘルヴォルの──引いてはエレンスゲの采配ミスによって起きたのを知った時、彼女はここを変えるべきだと考え、入学を決めたのである。

そんなこともあってか、今までのヘルヴォルが実力ばっかりを重視してみていたのに対して、一葉はそれ以外の要素も大事とし、前例を覆す採用方法を選んだりもしている。

 

「(蛇を追う者がそれらしいって聞いてるけど……偶然なのか、私は一度も彼と対面したことが無い)」

 

その裏で、隼人の捜索は一向に進んでおらず、一つ希望があるとすれば、今はもう討伐されてしまったヴァイパーを追いまわしていた少年である。

見た目自体は隼人に似ていると聞いており、どうにかして会えないものかと考えていたが、かの蛇が討たれた今、それができるかも怪しい。

ただ、自分が動かねば会うことは叶わない為、結局は動くしかないのだ。

 

「一葉、ここにいたんだ」

 

憂鬱そうに悩んでいると、聞きなれた声が聞こえたので、そちらに顔を向ける。

そこには茶髪の髪をポニーテールにした少女がいた。

 

恋花(れんか)様……」

 

「また、幼馴染みのこと?」

 

その少女の名は飯島(いいじま)恋花。一葉が所属するヘルヴォルのメンバーの一人であり、ムードメーカー的立ち位置の上級生である。

彼女含め、ヘルヴォルのメンバーは一葉の事情を伝えてもらっており、その様な人も、リリィとマディックも。多くの犠牲を増やさぬよう、動いて行くことに協力している。

この活動の中、ずっと気掛かりにしているのが隼人の行方であり、最後に顔を合わせてから三年以上もの間見つかっていないのだ。

──まあ、早いとこ何とかしたいよね。と、共感の旨を返しながら恋花はその写真を見せてもらう。

 

「うーん……やっぱり、あの蛇を追う者……彼が一番見た目近いよね?」

 

「恋花様もそう思いますか……」

 

やはり思い浮かぶのは蛇を追う者──。あの少年は最も見た目が似ていた。

写真に映る隼人も黒髪の癖っ毛、赤い瞳で条件は一致している。更には不定期とは言え、日の出町に──特に、慰霊碑の前に姿を現すことが多い。

とまあ、これだけ情報はあるのだが、肝心な隼人本人かの確証は無いのが問題である。

なお、一葉にとってはあくまでもヴァイパーは討つべきヒュージの一体だったので、それが解決した今は特に問題としていない。

 

「ここで悩んでてもしょうがないし、来週あたり行ってみたら?運よく見つかっちゃうかもよ?」

 

「そんなあっさりと……いえ。行かないと始まらないのは同じですし、そうしてみます」

 

結局は現地に行かねば分からない以上、行く以上の選択肢は無いのだ。今まで発見できずに諦めていたが、何が最もいいかも変わっていない。

故に、吹っ切れた一葉は恋花に礼を告げ、早速来週に備えて外出許可を取りに行くことにした。

 

「(ごめんね、一葉。アタシのせいで、こんな面倒なことさせちゃって……)」

 

自分の過去にやったことを振り返りながら、去っていく一葉に対して恋花は心の中で詫びた。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「こんな所かな……」

 

「お疲れ様。やっぱり、隼人君がいると力仕事が早く終わるわね」

 

そこからおよそ二時間後──。隼人は空いている一室を、いつでも少女が来てもいいように、由美と共に部屋の整理を完了させていた。

 

「後は机と椅子……それから、ベッドくらいは用意してあげてもよさそうね。それに関してはこっちでやっておくわ」

 

「了解です。それと、暗証番号を教えるのはその子だけにしておきますか?一応今、面倒を見てやってる子がいるんですけど……」

 

「そうね……なら、基本はこっちに来るかもしれない子だけにして、万が一のことがあればもう一人の子に教えて上げて。もう一人の子が来なければならない時なんてこと、起こらないといいけれど……」

 

──まあ、一緒に来る分には構わないわ。一応の承諾は得られたので良しとした。梨璃は普段来ないので、むやみやたらに教えるわけにもいかない。その為、この判断はやむなしと言えた。

その後、隼人はもう一人の幼馴染みの少女のことを少し話してみることにする。

 

「確かに、両親の方は合流するのが絶望的だと判断したけれど……そっちも残っていたのね?」

 

「今更過ぎるかも知れませんが、諦めるのも違うと思って……」

 

家にも携帯にも繋がらないんじゃ、両親と連絡を取れず、住んでいた家は倒壊しているでほぼ詰んでいるも同然だが、幼馴染みの方はまだわからない。

三年以上もの間こうだったので、両親と同じく希望はかなり薄いが、彼の言っている通り諦めないのは大事である。

それに、こちらも都心近くの救助活動等を依頼していたのもあり、その時間が無くなった今、合間を縫って探すべきだろう。

 

「結論としてはヴァイパーを討つ時と同じ、諦めない意思よ。そうすればいつかはまた会えるわ」

 

「ありがとうございます。じゃあ、そろそろ行きます」

 

──再会できることを祈るわ。由美に見送られた隼人は施設を後にし、日の出町に向けてバイクを走らせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

そしてこの日の昼下がり──。隼人は花束を持って慰霊碑の前に現れた。

 

「だいたい二週間ぶりか……ちょっと待たせちゃったな」

 

もしかしたら早いこと気にしないようにしてくれ何て言うかも知れないが、それはもう少し時間がかかりそうになる。

ヴァイパーを討ってもなお、自分の中にある心残りがあり、これを解決せねばならない。故に、近況を語った後、問いかけてみることにした。

 

「なあ香織。一葉と俺の両親のこと……何か知らないか?」

 

ダメもとで聞いてみるが、やはり慰霊碑からは何も聞こえない。もしかしたら、向こうで香織が困った顔をしているかもしれない。

──これは、悪いことしたかもな……。知らないならしょうがないと詫びを入れ、この話は一旦無しにする。

 

「それじゃあ、また来るよ。今度はこんな話しないで済むようにするから」

 

そうして隼人は一度慰霊碑を後にし、近くを探してみることにする。

今日見つからなくてもいいが、少しでも可能性を上げるべく、粘らない理由は無い。

 

「(着いたのはいいけど、もう慰霊碑には寄ってしまった……?寄ってしまったとしたらどこに?)」

 

少しして、日の出町に到着した一葉も隼人と会うべく捜索を始める。

目指す場所は慰霊碑で、まずは一番望みのある場所を目指すことにした。

 

「見当たらない……一度慰霊碑に戻るか」

 

一葉が動き出したと同時、隼人は一度慰霊碑に戻ることにした。

いないならまた別の場所を探せばいい。そう考えて一度戻るのだ。

 

「お願い。今度こそ見つかって……」

 

「(どこだ……どこにいる?)」

 

まるで運命に導かれたかの如く、二人は慰霊碑に足を進めていく。

 

「(嘘でもいい……一回だけでもその顔を見たい)」

 

「(香織、頼む。俺たちをもう一度……!)」

 

そうしてそのまま慰霊碑前に辿り着いた時、二人は遂に顔を合わせた。

だが、本当に目の前にいるのが自分の探していたか分からず、しばしの間二人の間に沈黙と言う名の静寂が走る。

しかもここで妙に困るのは、一葉が私服であり、隼人が自分のことをガーデン所属のリリィと判別できないせいで、切り出しが乏しくなってしまっている。

 

「あの、以前と格好が違いますが……あなたが蛇を追う者ですか?」

 

「そうだけど、君は?」

 

幸いにも向こうから切り出してくれたので、隼人はそれに乗っかって情報を引っ張り出すことにする。

ここで隠されたなら少し迷うことになるが、向こうから開示してくれるなら一気に楽になる。

 

「失礼しました。私は相澤一葉。ガーデン、エレンスゲ女学院に所属するリリィです」

 

「一葉だって……?そうか。やっと見つけられたんだな……」

 

その名前を聞いた事で隼人は安堵する。ようやく過去の全てに決着をつけられるその日が来たのだ。

 

「俺は隼人……如月隼人。ようやく会えたな、一葉……」

 

「隼人……?じゃあ、本当に……」

 

「ああ。三年ぶり……だったな」

 

隼人が無事に生きていた──それが分かって寄り添った頃にはもう、一葉の目尻から涙が溢れていた。

ずっと探しても見つけられなくて、目の前の少年の生存が絶望的になって、何度も諦めそうになったが、ようやく報われたのである。

 

「良かった……!本当に、隼人が生きてて……!」

 

「俺も嬉しいよ。お前が生きててくれて……」

 

ようやく一葉を見つけることができ、隼人は穏やかな笑みを浮かべていた。

日の出町の惨劇から離れ離れになってしまった二人は、この日ようやく顔を見合わせることができた──。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

{ 第 19 話 }

 

再 会

reunion

 

 

長い日々を超えて

──×──

From now on, I will look forward.

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「ここか……父さんと母さんには、悪いことしちゃったな……」

 

その後、日の出町のところにある両親の墓前にて、隼人は一葉から両親のことを教えてもらった。父親は惨劇から間もなく病に掛かって病死、母親は父親の死と隼人の行方不明によって生まれたストレスとショックによる衰弱死だったそうだ。

なお、これが起きたのは惨劇から僅か一週間──。当時隼人が右腕の治療を受け、それによる拒絶反応と戦っている真っ最中だったので、どうやっても間に合わない事案である。当時日の出町にはまだ入れない状況だったので、隼人が再会できる手段はもう無かった。

ただそれでも、今この場で泣かないで済んだのは、一葉の前で意地を張りたいのも当然あるが、三年の時を経て、それを受け入れる心の準備と覚悟が出来ていたことが大きい。

とは言え、流石に両親の死別である為、悲しげにする顔は出てしまっているが。

 

「ごめんね……私があの時、戦えていれば」

 

「お前が悪いわけじゃないよ。そっちの両親は……大丈夫だよな?」

 

当時の一葉はまだCHARMが渡されておらず、現場に居合わせても避難誘導や、隼人らを引き連れて非難するかのどちらかしかできなかった。

この内彼女が選んだのは後者であり、途中までは良かったが運悪く建物の倒壊で自分だけ一人別の道で避難せざるを得ない状況に陥ってしまったのだ。

故に、隼人は一葉が悪いとは微塵も思っておらず、問題があるとすれば、采配に問題があったエレンスゲ──狭義的に言えば旧ヘルヴォルに文句がある。

幸いにも一葉の両親は無事であり、それが分かっただけでも一安心だ。

 

「隼人は今、百合ヶ丘にいるんだっけ?」

 

「ああ。ヴァイパーを殺す手段を求めて入ったんだ……」

 

目的は果たしたので、後はそのまま百合ヶ丘に所属して時間まで戦う決意も固まっている。

一葉としてはまたどこかに行ってしまわないか不安ではあったが、隼人が一人ガーデンにいるリリィを置いて去るのを良しとしていないのを感じた。

だからこそ、死なないのと、行方不明にならないことを約束してもらうことで、彼女は納得した。

 

「ありがとう。ちゃんと帰ってくるよ」

 

「うん。もし、今度時間が取れそうだったら教えて?お父さんとお母さんに会わせたいから……」

 

それに承諾しつつ、ちゃんと挨拶の一つや二つはできるよな──と、隼人は自分で不安になる。

何しろ三年以上も顔を合わせていないのだから、どんな風に声をかければいいのか、悩ましいところである。

普通に挨拶しても向こうは安心するかも知れないが、こっちの心構えの問題だった。

 

「隼人。私がエレンスゲにいるって言ったよね?」

 

「ん?そう言ってたけど、それがどうした?」

 

「私は今……ヘルヴォルのリーダーなんだ……」

 

その事実に隼人は驚いた。エレンスゲにいると言った以上、その可能性はあったが、まさかリーダーになっているとは思っても見なかった。

序列一位になったことでこうなったのだが、今までのヘルヴォルとは違う方針で動くことも決めている事に変わりはなく、一葉は隼人に宣言する。

 

「私はヘルヴォルを……引いては、エレンスゲの在り方を変える。変えて見せる……。それが、あの日を超えて、私が決めたこと」

 

──もしかしたら、隼人はヘルヴォルを……引いてはエレンスゲを恨んでるかも知れない。そんな危惧がありながらも、一葉は己の言葉を曲げる事無く言い切って見せた。

 

「そうか……分かった、信じるよ。お前が少しでも変えてくれるって」

 

「ありがとう。私、頑張るから……」

 

だが、隼人からすれば、今を戦うリリィを恨む理由なんぞ無いので、一葉の宣言をあっさりと受け入れた。

その決意を聞いた後、時間も時間なので連絡先だけ交換して解散となった。

 

「(父さん、母さん……また来るよ)」

 

──今までの文句は爺になってから聞くから、それまで待ってて。この日、隼人の過去から繋がる心残りは全て解決した。

ただやはり、寂しいものは寂しいもので、バイクに乗る前、隼人が無意識に涙を流していたのは、誰も知ることは無かった。ガーデンに着くころに、それはもう見えていないから──。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「(過去の事が終わったなら、これからは未来だな……)」

 

その日の夜──外出から戻ってきた隼人はバイクを戻した後、ガーデンを歩きながら思考に入っていた。

何をやりたいか?と問われれば、何個か考えは出てくる。だから、その内どれを選ぶかになるだろう。

 

「あら、戻って来ましたわね?」

 

「ああ。丁度今な」

 

腰を下ろして休憩すべくラウンジに赴いたらそこには楓がいた。

立ち話も難なので、一言断りを入れて向かい側に座り、ポットに入っている紅茶をカップ一杯分注がせてもらう。

 

「それで?首尾はどうでしたの?」

 

「それか。実は……」

 

隼人は楓に対し、一葉にまた会えて連絡先を交換したことと、両親が死んでしまっていたことを話した。

 

「そうでしたか……何事も都合よく行くとは限りませんが、それは災難でしたわね」

 

「三年経って連絡もできないから望みは薄かったけど……やっぱり生きてまた会いたかったとは思うよ」

 

こればかりはもう仕方ないことなので、これ以上引きずることはしない。これは、自分が一人ぼっちでは無いことを分かっているのもあるだろう。

隼人が自分の中で解決しているなら、ここから先は干渉する必要は無いと判断した楓もそれ以上の追及はしなかった。

 

「ところで、前にも聞いたのですが……何かやりたいことは決まりまして?」

 

「何個かはあるんだけど、どれにしようかってところだよ」

 

その候補の内、絞り込んで進むだけなので何もないよりは楽なのだが、実際にどれにするのを決めるのは楽とは言い切れない。

──何がいいんだろうな……?隼人は腕を組み、思考の海に入ろうとする──。

 

「まあ、それは今後に期待としましてっ」

 

「おお……何だ急に?」

 

──が、何を思ったか楓がデコピンして来たことでそれは阻止される。

 

「急にも何も、まだ時間に余裕はあるんですから、今すぐに決める必要はありませんのよ?」

 

「ん……?ああ、そうか。普通の高校生だとしたら、俺らはまだ一年……ここで進路考えてるのは、余程その道に行きたくてしょうがない人くらいか」

 

楓に止められたことで、隼人は自分が如何に先走っていたかに気付く。

今後の道筋──それも、将来自分が手に付ける事業の事など、早目に見積もっても来年度からでも遅くはないのだ。寧ろ、今の隼人に必要なのは整理の時間である。

 

「このガーデンがどう作られているか──。それは理解しているのでしょう?」

 

「ああ、それは大丈夫」

 

ヒュージと戦うリリィたちの前線基地であり、憩いの場でもある場所──。それは編入当初に確認している為、理解はしている。

ただ、それと同時に隼人はこのガーデンを殆ど前者の用途でしか活用できておらず、後者の用途は色々制限があるのはそうだが、ヴァイパー討つことへ意識が集中しすぎておざなりになっていた。

 

「でしたら、改めてこのガーデンを利用しませんこと?出撃の時が来ればその限りではありませんが……。今のあなたには、この上なく最適な場所のはずですわ」

 

「確かに、それは違いないな」

 

ならば、今こそ使える範囲で後者の用途を隼人も使っておくべきであり、それで自分のあれこれを整理してからまた考えればいいのだ。

今すぐできることはこうして紅茶を飲みながらの語らいである為、時間がある今のうちにそれをやっておくことに決める。

 

「(改めて……本当にお疲れ様ですわ。隼人さん)」

 

日の出町の惨劇から始まった隼人の激動の日々は、今度こそ本当の終わりを迎えたのだった──。




Q.隼人を両親と死別させた理由は?

A.三年行方不明で再会したら、恐らく隼人が両親気遣い過ぎて、または両親が強く引き留めて今後多大な制限が掛かると予想したから。


と言う訳で、隼人のもう一人の幼馴染みは一葉でした。
多分、露骨過ぎて分かりやすかったかもと思います。

以下、解説入ります。


・如月隼人
遂に幼馴染みの一葉と再会。ただし、両親は残念な結果に。
ここから改めて未来への地図を描いて行くことになるが、暫くはお休みする予定。
施設への許可に関しては最低限獲得。後は何事も無ければいいが……。


・一柳梨璃
結梨の事がご心配な様子。これは楓と違い、アリスや由美のことを名前しか知らないから。


・一柳結梨
隼人が今まで過ごしていた施設の事が楽しみ。祀や梨璃とは違う人たちと聞いたので、そっちも気になっている。


・相澤一葉
隼人の幼馴染みの一人。唯一、家族共々五体満足で全員生存した。
日の出町の惨劇当日、ヴァイパーと居合わせていない為、特に憎悪等は無かった。
自分の宣言を隼人が受け取ってくれて一安心。後は走るだけ。


・飯島恋花
誰を一緒に出すか迷ったが、今回は日の出町の惨劇と縁がある彼女を抜擢。
一葉から隼人の事に関しては存在だけ教えて貰っているが、出会った時どうなる?


・明石由美
香織の事は聞いていたが、一葉の事は実は今回が初耳。
今回梨璃に教えないよう伝えたのは、必要以上に情報公開をしない為。


・楓・J・ヌーベル
両親の事に関しては残念だったが、隼人の過去に全ての決着が付いて一安心。
ついでに、隼人の行動しすぎになりかけたところにストップ一発。これで隼人に暫く休憩時間を渡せた。

今後アニメ版準拠の展開はどのようにしてほしい?

  • 今みたいな感じで大丈夫
  • もうちょい細かめが嬉しい
  • サクサク気味がいい
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