アサルトリリィ -RED THISTLE-   作:ブリガンディ

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第21話 抱負

翌日の放課後──。結梨が編入して授業も終え、一柳隊の部屋でまずは結梨にCHARMが届いたので、その登録を済ませることになる。

 

「へぇ、グングニルか……」

 

結梨が使うことになるCHARMはグングニル──。ブリューナクと同じく第二世代のCHARMである。

グングニルは比較的簡単に高速変形が可能な機構、中長距離戦闘を中心に優れた汎用性、そして初心者にも扱いやすい設計でありながら、ポテンシャルの高さも秘めている。

更には豊富なカスタムパーツと、マギを防御に回すことで見えない防護壁を張り、オートガードの役割も備えており、使い勝手の良さは群を抜いて高い。

 

「……?隼人さん、何か懐かしそうにしてますね?」

 

「ああ。こやつが予備CHARM持ってる話を前にしたじゃろ?その予備はあのグングニルじゃ」

 

「結構いるんだね。グングニル使用者」

 

一柳隊の中で言えば現在使っているのは二水と梨璃。今日からこれを使う結梨と、予備のCHARMとして控えさせている隼人の四人だ。

ちなみに、全員がそれぞれ色違いであるが、同じ色を使ってごっちゃになるよりは全然いいだろう。

 

「北欧の田舎メーカーでは無く、グランギニョルでしたら、社割でワンランク上のが手に入りますのにー」

 

──いきなり初心者に渡せるものじゃないだろそれ……。と、隼人はツッコミたくなったが、彼女の家柄上ここは宣伝時なのでここは何も言わないでおく。

ちなみにこのグングニル、ミリアムが言うには工廠科が中古のものをパーツ総入れ替えして組み直したものなので、新品以上に扱いやすいという副次効果すらあるので、尚更今回はこちらの方がいいだろう。実際、隼人は自分が結梨ならばこのグングニルを選択する。

 

「ねぇ梨璃、どうしてリリィは戦うの?」

 

「えっ?えっと、ヒュージからみんなを守るため……」

 

理由を問われ、梨璃が咄嗟に出せた回答はこれだった。恐らく、数いるリリィの内、最もらしい回答はこれだろう。

 

「誰だって怯えながら暮らしたくない……それだけよ」

 

より根本的なものとしては夢結のこの回答もそうで、理由も特に無く、ただただ襲ってくるヒュージの襲撃不安や恐怖を感じ、そのまま過ごしていたい人などいないはずだ。

この直後、結梨が夢結の匂いを嗅ぎ、『悲しそうな匂い』と評する。表情が分かりづらいと言われる夢結だが、これは始めてである。

 

「何だ?今度は匂いで分かるのか?」

 

梅のこの言葉をきっかけに、結梨が一柳隊全員の匂いを嗅いでみる。

その結果は、全員が夢結と同じく悲しい匂いであるらしく、これはみんなが悲しみやそれに近いものを抱えて戦っているからだと神琳が答える。

だがこの匂い、どうやら例外も存在しているらしい。

 

「梨璃はちょっと弱いかも。それと、隼人も」

 

「ん?ああ。俺はその原因解決したからな……」

 

「私はお気楽なのかも……」

 

それは隼人と梨璃で、双方それぞれの理由で、悲しみの匂いが弱い例外になる。

隼人の場合は悲しみの始まりを産んだヴァイパーを打ち、その後過去に折り合いを付けられた、梨璃はの場合はそもそも、リリィとして戦う理由が憧れから来るのが理由だろう。

 

「梨璃さんはそのままでいいんですのよっ!純粋無垢なままが一番ですわ~っ!」

 

楓のこの反応を見て、「また始まったな」と一柳隊のメンバーが思うのはいつものことだった。そして、この話を聞いた結梨は自分もヒュージと戦うことを決める。

梨璃からは記憶も戻っていないのだから、無理しなくていいとも言われたが、結梨は全然分かんないからこれから色々知りたいと返した。

そんなことを言われたら断れないので、彼女は晴れて歓迎され、この話に決着が付いた。

 

「(わたくしもいつか、彼のようになれるのかしら?)」

 

少し思考に入る神琳だが、それはなるようになった時しか分からないだろう。その為、この考えは一旦隅に追いやった。

話がひと段落したところで、近い話として戦技競技会の話がやって来る。

 

「なるほど……要するに、体育祭みたいな感じか」

 

「表向きは、日頃の切磋琢磨を披露する場──ですけどね」

 

神琳の説明を聞き、まあそんな感じになるかと隼人は納得した。ちなみにこの話、浴場で昨日出ていた話なので、当然隼人は知らない。

故に、この場で改めて話をすることにしたのである。

 

「クラス部門、レギオン部門、個人部門などの成績で競い合って……最後に選ばれる最優秀リリィには、素敵なご褒美があるそうですよっ」

 

「(生きてるだけ儲けものだから要らない──何て言ったら、絶対ぶちのめされるな……)」

 

「(流石に、要らないは言わないでしょう?形だけでも選ぶはず……)」

 

隼人が気づいたからいいものの、危うく楓の危惧通りになりかけていた。

己の感性がずれていることは嫌でも実感させられているので、隼人は仮に選ばれたら有難く頂戴しようと決めた。己の価値観を少しずつ戻していくいい機会である。

なお、今年は工廠科全面協力により、CHARMに高級オプション付け放題と教えて貰い、一瞬目を光らせるも、それはそれで困る要素だった。

 

「なに、工廠科に任せれば魔改造もお手の物じゃ。安心せい」

 

「いや、技術力は疑ってないんだけど……頼むから、実用性重視でな?」

 

魔改造の単語だけで隼人が不安になっていたのは、理由を知っている者ならすぐに察せる。要するに、この場で言えば楓である。

実用性重視でブリューナクを選ぶところから、信頼性の高い機能を好んでおり、試験的・実験的な機能は嫌うだろう。

 

「でしたら……いっそのこと、わたくしの方で注文しませんこと?要望通りのものをお届けしますわ」

 

「……それもアリだな」

 

こちらの形に合わせたオーダーメイドなら、魔改造されるよりよっぽどいい。その為、隼人はそっちの道に飛び込んだ。

 

「オプションの話はその時のお楽しみとして──。今度は雨嘉さんね」

 

「……えっ?」

 

──これとこれ。と、言いながらどこからともなく何らかの衣装を取り出した。

巫女服と何らかのフリルドレスだろうか?服装の需要等が分からない隼人は、何故これが用意されているかは理解できなかった。雨嘉も、神琳が自分に対して何故用意したかは分かっていない。

ただ、当の神琳はそれはもう楽しそうな声音で、この日の為に用意したと回答する。

 

「こんなのもあるぞい?イヒヒ」

 

「~!猫耳は外せない……!」

 

更には援護射撃と言わんばかりにミリアムの手にはメイド用のドレスらしきもの、鶴紗の手には猫耳カチューシャがあった。

お前らどこからそれを取り出したとか、何で鶴紗までノリノリなんだとか、この状況に隼人はツッコミたいところが山ほどあったが、それ以上に、妙に嫌な予感がしてしょうがない。

また、先程神琳が話を切り替えた瞬間から、この場にいてはいけないと自身に警鐘を鳴らし続けている。動かねばこちらも危ないだろう。

ちなみに、鶴紗に実は猫好きな面があり、あのカチューシャはそこから来るのだが、隼人は梨璃、楓、二水の三人と違い、当日それが分かる一面と出くわしていない為このことを知らない。

 

「さてと。コーヒー飲みに行くかな」

 

危険なのであれば理由をつけて緊急離脱──。隼人の行動に迷いは無かった。何なら、神琳たちが「申し訳ないが席を外してくれ」と目で訴えて来ていたので、もうこれは止められないだろう。

ドアを開けていざ退室──というタイミングで、誰かがジャケットの右袖をつまんで来た。

 

「隼人……!お願い……私も、連れていって……!」

 

「え?えっと……」

 

誰かと思えば雨嘉であり、いいようにされるくらいならと逃げ出すべくチャンスを掴もうとしたのだ。

懇願するように頼まれてしまったので、隼人もどうしようか──と、考えるよりも早く、雨嘉は三人に捕まって引っぺがされる。

 

「あらあら、いけませんね……」

 

「サイズが合っているかの確認もあるからの。逃がしはせぬぞ?」

 

「隼人。終わったら言うから、ちょっと頼んだ」

 

「(あっ、遅かった……)」

 

こうなったら誰かが再び三人から引っぺがさないと、雨嘉はあの服装たちの餌食になるのは間違いない。

しかしながら、雨嘉にとって不幸なのは、他の人たちは神琳たちの意図を理解していないので動けない、または理解しているので動かないの二パターンだった。

 

「は、隼人……助けて……」

 

故に、もうこうなると隼人にどうにか助けてもらって逃げ出すしかない。

これは流石に助けてあげようか──と、考えるも束の間、三人から目だけで邪魔したら許さないと言わんばかりに無言の圧が飛んできた。

──三人分は流石に怖いわ。一人と三人なら一人が楽と考え、これは諦めるしかないと判断することになる。

 

「ごめん。雨嘉……後で奢るから」

 

「……!?は、隼人……?」

 

その為、隼人は右手で十字架を切りながらドアを閉めてそそくさ退室していき、逃げ出す希望が断たれた雨嘉は、そのまま三人の餌食になってしまった。

 

「隼人さん、『命に関わらないから』でそそくさ退散しましたわね?」

 

楓の予想通り、隼人は命に関わらないからいいだろうと非常に事態を軽く見ていた。これもあっさりと引いたのを一助している。

たかが着替えなのだから、自分が退散してしまえばいいだろうと言う、非常に割り切った判断だ。

また、隼人は後で知ることになるが、どうやら雨嘉を戦技競技会のコスプレ部門と言うアフタータイムの楽しみに参加させるつもりだったらしく、いきなり出てきた衣装はそれが理由である。

 

「雨嘉さんが?地味ではありませんこと?」

 

「何でも、何にも染まっていない感じがいいとのことみたいです」

 

黒髪で大人しい性格の為に、どうしても地味目に映ってしまう可能性はあるが、それでも彼女の容姿は美少女のそれであり、十分な素養は備えている──どころか、寧ろ一柳隊のメンバーで随一まであるだろう。

二水に理由を聞いても、楓は「そういうものですか」と非常に淡々と返しながら、紅茶を一口飲む。何にも染まっていない感じと言われると、梨璃が思い浮かんでいるのかもしれない。

──やはり、わたくしはこちらですわね。楓は自分の好みを再確認した。

 

「お前、ホントに梨璃にしか興味ないんだな……」

 

梅のこの言葉にも堂々と肯定をしながら視線を戻す──。

 

「……んなっ!?」

 

──と、その先には着替え終わった雨嘉の姿があった。

 

「やりましたわ♪」

 

「やりきったのう♪」

 

「かわいい……♪」

 

推し進めた三人が満足している通り、それはもう衣装によって普段とは違う可愛らしさを手にした雨嘉の姿があった。それこそ、楓の下馬評である「地味」を完全に覆していた。

これを真っ先に受け入れた旨を明言したのは梅で、彼女も雨嘉のことを可愛いと称えた。

 

「あっ、そうだ!これ、隼人に送って聞いてみないか?」

 

「いいですね。それ」

 

「……えっ?えっ?ま、待って……!」

 

あれよあれよと話は進んでいき、雨嘉の形態端末を借りて写真を撮り、そのまま写真付きメールで隼人に送った。

 

「……?」

 

それは丁度、豆を挽き終え、これから淹れていくと言うタイミングで形態端末に届いた。

内容を見てみると、写真と共に「これをみて可愛いかどうか答えてくれ」と言った旨のメッセージが送られてきていた。

一応、題名に「神琳です」とあったので雨嘉本人が送っていないことは間違いない。間違いないのだが──。

 

「同調圧力を掛けないでくれ……」

 

立て続けに「多分可愛いって言うよね」みたいなメッセージがあるので、勘弁してくれよと思った隼人であった。

しかしそれはそうと、普段と違った感じがあっていいと思っていたのは事実である為、適当に同意したメッセージを送り込んでおく。

コーヒーを一杯飲んだ辺りで、戻ってきていい旨のメッセージが届いたので、了解の旨を返して一度戻った。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

{ 第 21 話 }

 

抱 負

ambition

 

 

抱えるものは人それぞれ

──×──

overcome, reconcile, and move on

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「無理矢理、連れていってくれてもよかったのに……」

 

「それは……本当にごめん」

 

コーヒーを一杯飲んで満足した後、隼人は約束通り、雨嘉に奢ることになった。

今回奢るのは高級のパフェであり、それはデザートとしては相当値を張るものである。

今回は多勢に無勢なのもあったので、一先ずこれで許しを貰うことはできた。後はこの一時を過ごして終わりである。

 

「それじゃ、頂きます……♪」

 

「(ここまで値を張ったのは、スイーツの種類と質か?)」

 

目を輝かせながらパフェを口に含む雨嘉を見ながら、隼人はそんな分析を行う。

値にあったものを提供するのだから、当然量や質は比例するものである。

 

「ここの飯、多分、紅茶に合わせられてるんだな……」

 

「……?紅茶に?」

 

「ああ。コーヒーと一緒だった場合、どこかで違和感が出ると思うんだ」

 

隼人は何も頼まないのは違うなと思い、軽食と共に紅茶を貰い、その紅茶を飲んでそう述べた。

系統の違う飲み物である為、そのどちらかに合わせればもう片方には合わなくなってしまう。故に、隼人はコーヒーとは合わないだろうと考えた。

 

「隼人は……」

 

「ん?」

 

「隼人は……その、私が……コスプレ部門に出ても、大丈夫だと思う?」

 

自分の預り知らぬところで計画され、もう出るのがほぼ確定なので、少し自身が無かったのだろう。

実際、隼人はメッセージだけでしか返していないので、生の声がどうだかは分からない。

 

「俺は大丈夫だと思うぞ?後、これは知っておいて欲しいんだけど……」

 

──雨嘉って自分が思う以上にレベル高いから、自信もって。リリィとしての技術もそうだが、少女としてみても容姿は良いものを持っている。

それを聞いた雨嘉は一瞬面食らうが、その後照れてしまった影響で頬を朱色に染める。

 

「ありがとう……ちょっと、自信持てた」

 

「それは何より」

 

ちょっと恥ずかし気にした雨嘉を見ながら、「こう言うのに男って惹かれるのかな……?」と隼人は考えながら、至って平静な状態で紅茶を一口飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後から、結梨にCHARMの扱い方と戦い方を教えるべく、今日から彼女に対する訓練を行うことになった。

これの主導は夢結と梨璃であり、必要な部分があればそこで当人らと交代と言う形である。

梨璃の時の反省もあり、まず最初はマギの入れ方をしっかりと教え、そこから射撃や近接の訓練をする形で進めて言っているので、この辺りに問題は無い。

 

「(最初からこうすれば、梨璃に苦労させないで済んだのでしょうね……)」

 

過ぎてしまったことはしょうがないが、二度と繰り返すまいと夢結は心に誓った。

故に、今回はしっかりとこのような形を選んだのだが、やはりこうした方が上手く行くようだ。

 

「梨璃。戦う時、何か気をつけた方がいい?」

 

「気を付ける?うーん……」

 

結梨に問われた梨璃は考えてみると、思い浮かんだのは自分にできることを精一杯やると言ったところが出てきた。

なるほど……と頷いた後、夢結からはヒュージの攻撃は変に受け止めるよりも、受け流してしまった方がいいことが多いのを教えられる。

基本的にヒュージのパワーは強く、まともに正面から打ちあってもいいことは無い。唯一の男性リリィである隼人ですら、ヒュージの攻撃は回避と受け流しが多く、力勝負をやりたがらないのが伺える。

 

「隼人は?」

 

「俺か?そうだな……」

 

他の人と比べて非常に極端な考え方だが、それを伝えて考えて貰うのもアリかも知れない。そう考えた隼人は次のことを伝えた。

 

「最低条件は『死ぬな』。基本的には『怪我無く帰ってこい』。んで、理想は『怪我無く帰ってくるついで、誰かを助けられるようになれ』……だな」

 

「お前、極端すぎだろ」

 

余りにも命に関する事柄だらけの回答に、鶴紗もそうだが一部のメンバーがもうちょいないのかと思ってしまった。

その微妙な反応を見て、隼人はこれも控えた方がいいかもと考え出す。

 

「(けど……理想に従って死ぬってのも、俺は違う気がするんだよな)」

 

だが、隼人は時折聞いたことがある、『命を賭すべき戦いは己で決める』と言う言葉は賛同しきれていない。

と言うのも、これは自分が戦うと決めたなら、()()()()()()()()()()と捉えることができ、命の執着が非常に重い隼人にはそりが合わない。

故に、今回のように隼人は教える。死んでしまっては元も子もないのだ。

 

「だから……戦いに行く時、もしかしたら帰って来れる保証のない戦いを経験するかも知れない……でも、そんな時でも、生き残るってことは忘れないで。生きてさえいれば、こうしてみんなと話すことも、訓練を積むことだってできるから」

 

「……?うん。分かった」

 

いきなり全部を理解するのは難しいかも知れない。ただそれでも、伝えられずにはいられなかった。

 

「(納得できるかどうかはさておきとして、言っていること自体は何も間違っていませんわね……)」

 

実際、隼人は生きていたからこそ一葉との再会もできており、この言葉は全く間違いじゃない。

これと同時に、隼人の命に対する執着の重さから、恐らく命を賭すにしても、死にに行く真似は論外と考えているのも、楓には察せられた。

だが、自分と共に戦う仲間や、自分の帰りを待つ人らはそう言う行動を望まないのはまた事実で、隼人はこの先ずっとその思想に反対派であり続けるだろう。

 

「(ですが……そうやって悲しみを止めるのもまた、リリィの務め。わたくしたちは、自分にできることをやっていきましょう)」

 

命を賭して人の命を守るのを悪いとは言わない。それは悲しみを止める行為だから──。

だが、その結果自分が死んでしまえば、別のところで違う悲しみが出てしまうのだから、死なずして人の命を守るのが一番いいのだ。

故に、楓は隼人のその考えに納得が行くし、できれば周りを頼ってやって欲しいとも思う。一人では限界があることくらい、この男にも分かっているはずだ。

 

「とまあ……それらも含めて、結梨にはしっかりと覚えて貰います。いいわね?」

 

「分からないところは教えてあげるから、いつでも聞いてね?」

 

こうして、結梨の訓練は賑やかに──しかしながら、丁寧に進められて行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

訓練やその他諸々をやっていき、あっという間に週末の夜──。もう翌日には戦技競技会が開催となる。

こういった集団での行事は実に三年ぶりなので、隼人は内心楽しみにしている節があることに気づいた。

それと同時に、形態端末にメールが届いた着信音が鳴る。

 

「(一葉から?なるほど……来月か)」

 

内容は両親が来月予定を開けるので、来れるなら来てほしいと言っていた旨のメッセージであり、隼人はこれに了解の旨を返した。

 

「(買い出しとかは大量に買い込んだ方がいいな……顔を合わせた後で同時にやってしまおう)」

 

控えるように頼まれてしまっている以上、一つの外出で多くのことをやらねばならない。

無駄に行き先を増やしてしまうのはしんどいが、上手いことやっていくしかないだろう。

また、来月と言うのは、早ければあの施設で結梨が過ごすための部屋の準備が終わるくらいの時期であり、同時にやるのが難しい事案で悩ましくなる。

 

「(その辺だけは融通利かせてもらうしかないか……)」

 

とは言え、後者の方は確定では無いので、なるようになれであった。

一先ず目先のことに対する整理が終わったので、自分の現状を振り返ってみる。

本来ならば少年相応の時間を過ごしていたはずだが、それはヴァイパーにより奪われ、討った今、これを失われた時間を取り戻すいい機会だと言える。

 

「(取り戻せるだけ取り戻していくか。二年半あるんだ……行けるところまで行けるさ)」

 

少年は今、己の思春期はを蘇らせるきっかけを見つけた──。




Q.何で結梨が退院した翌日から結梨がCHARMの契約してるの?

A.17話でしでかした俺の描写ミスで、指輪付いてる状態にしてたのが行けない。


以下、解説入ります。


・如月隼人
悲しみの匂いが薄い人その1。コイツの場合は問題が解決済み。
雨嘉の救助は命が関わらないから、圧掛かった時点で断念。財布への打撃は甘んじて受けた。
ちなみに、雨嘉の裸体等への興味は微塵も無い。この辺の欲が戻るのはまだ先。
相変わらず命への執着が重く、結梨に教えたことも、とにかく生存関係。


・一柳梨璃
悲しみの匂いが薄い人その2。
この子の場合は戦う理由の原点が悲しみじゃない。故に、原作でもそうなったのだろう。


・白井夢結
結梨の訓練に関してメイン指導者的ポジションに収まる。
梨璃と二水の対ヴァイパー訓練は、隼人と言う適任者がいたから譲っただけであり、彼がおらず訓練が必要ならこの人が主導になっていた。
結梨の戦い方は今後、彼女の方針が基準になるだろう。


・楓・J・ヌーベル
ここぞとばかりに隼人に契約を持ち掛けた。反応はかなり良好。
リリィが戦場に赴く思想に関して反対しているわけではないが、まあ隼人は拒否感あるだろうと察している。


・王雨嘉
救助キャンセルされてしまった不運の子。その分、隼人の財布に代価を払って貰った。
褒められたことに関しては素直に嬉しい。その時の反応はきっかけになるか……?


・郭神琳
実は隼人に掛けた圧が何だかんだ一番強い。恐らく、雨嘉をコスプレ部門に参加させようと画策した首謀者。


・安藤鶴紗
何気に猫好き描写は今回が初。
どうやら猫以外にも、似合う人が付ける猫耳カチューシャもアリな様子。神琳たちの計画に乗ったのはそれが理由か?


・ミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウス
雨嘉をコスプレ部門に参加させる計画の協力者。恐らく一部格好を探し出したと思われる。
隼人の実用性重視な方針を聞き、勿体無いと思うものの、無理強いする必要はないと思ってる。


・一柳結梨
描写ミスが影響で訓練とCHARM契約が前倒しに。
隼人の命に関する執着等は理解しきれておらず、知る時が来るのはまだ先。

今後アニメ版準拠の展開はどのようにしてほしい?

  • 今みたいな感じで大丈夫
  • もうちょい細かめが嬉しい
  • サクサク気味がいい
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