アサルトリリィ -RED THISTLE-   作:ブリガンディ

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一旦メインシナリオ1章の13まで。

そろそろ終わりが見えて来ました。


第10話 覚醒

二水が考案したのは、特定のメンバーの組み合わせによる迎撃行動を交代して行うと言うものだった。

連携できる少人数で素早く行動し、素早く撃破。更に待機しているメンバーは消耗を抑えて回復できるという、包囲網突破と申し訳程度の休息を両立できる算段だった。

この提案ができたのは、他のリリィを誰よりもしっかりと見ていた二水だからこそで、他の人では絶対に選ぶことのできなかった方法である。

故に、殆どのメンバー──特に、一柳隊で戦術指揮を執る楓と神琳はほぼ真っ先に賛成し、詳細を聞こうとしていたくらいだった。

 

「あら、雨嘉さん。いつの間にか遙様と……」

 

「お互い何か声を掛けているわけでもないのに、あそこまで連携できるだなんて……」

 

ここで皆からも以外に見えたのが雨嘉と遙の編成で、この二人は双方大人しめの性格をしており、自分から話すことも比較的少ない。

ただ、そんなところ等で波長が良かったのか、二人で連携も全く問題なくできている。

更に凄いところとして、この二人は基本的に戦いの中で殆どコミュニケーションを取っていない。それなのにも関わらず、お互いのフォローやサポートを上手く行っていた。

他のメンバーでこう言う連携ができるのは、神琳と雨嘉のように相互理解に優れたペアや、梨璃と夢結のようにシュッツエンゲル故に共に過ごす時間が長くて自然とできるようになるペア。そして、隼人、結梨、梅のように事前準備として綿密な打ち合わせができているチーム等に限られるのだが、今回の二人は特に前途三つに当てはまるような要素は少ない。

強いて言えば相互理解が秀でていると言えるが、この短期間でコミュニケーション無しでできるのは凄まじいとしか言いようがない。

 

「お二人とも、ありがとうございますっ!では、最後にお願いします!皆さんも追随して走り抜けましょうっ!」

 

「おう。じゃ、二人とも行くゾ」

 

「うんっ!」

 

「はい!」

 

後は正面に残るヒュージを突破するだけなので、縮地三人が前に出ると同時、皆で走り抜けていく。

流石に自分たちの近くの場所にいたヒュージしか撃破できていないので、まだ残っている場所も多いが、一先ずヒュージたちに追撃される等は起こらず待機場所に退避することはできたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

待機場所に戻るや否、早速高嶺は容態確認が行われ、命に別条無し。少しの間休めば問題なく動けると診断が下された。

 

「取り敢えずは何とかなりましたわね」

 

「ああ。間に合って良かった……」

 

レギオン同盟で欠けたメンバーがいないのは正直安堵した。

そう考えれば、隼人らの頑張りは何も無駄にはならなかったのだ。

新宿内でのヒュージの騒動にまだ終わりは見えないようで、もうしばらく活動を続けていくことになる。

その為、長時間活動していたリリィたちは、今のうちに少しの間休息を取るようになっており、レギオン同盟でも交代で休憩を取る体制を取った。

 

「肩、使うならいいよ」

 

「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて……」

 

隼人と楓は肩を寄せ合って少しの間だけ休息を取ることにした。

 

「早く聞きたいですわ……あなたの答えを」

 

「そうだな。俺も伝えたいよ……」

 

その光景を一部のリリィたちが驚いたり、興味ありげに見ていたのは後々知ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

『アリス、聞こえるわね?』

 

「聞こえるわ。どうしたの?」

 

時を同じくして、都心に入ったのでアリスはひたすらに新宿を目指して疾走を続けていた。

通信の内容はまだ聞いていないが、この時点で例のヒュージだろうとアリスは予想できている。

 

『あのヒュージたちの反応が更に集結巨大なものになり始めたわ。恐らく、()()()()と見ていいでしょう』

 

「残された時間は少ないわね……」

 

完成してしまえば、時間を掛けながらも何発も破壊活動をし、最終的には新宿はおろか、その近辺の市街まで壊滅させかねない。

そうなってしまう前に、何としてもそれを止める必要がある。

 

『ただ、恐らく一人で対処するのは不可能よ。隼人君や一柳隊を見つけ次第情報を連携、サポートをお願い』

 

「了解。一先ず現場に急ぐわ」

 

交信を終えたアリスはバイクを加速させ、新宿へ急ぐ。

 

「(妙な胸騒ぎが大きくなってる……)」

 

──いよいよ事が起こりそうね。走らせる中、警戒心も増やすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

そこからしばらくして、休息もある程度取ることができ、未知のヒュージらしき反応が出たと言うことなので、休息を終えたメンバーで確かめに行くことになった。

東京都庁の上の方にいるらしいので、そちらに出て確かめることになった。

 

「えっと、ミリアムさん……大丈夫ですか?」

 

「まあ、平気は平気じゃが……本当はもうちょいだけ休みたかったのう……」

 

この時間帯は交代で休んでいるはずのミリアムは、百由からせがまれてこちらに引っ張り出されてしまった。

本人にとっては気の毒なので、何事もなく終わればもう少し休ませてやろうと共にいる皆はそう考えた。

幸いにも、ヒュージが出てくる気配はなく、このまま歩き続けていれば安全に調査を進めていくことができる。

 

「ん?あれか……」

 

そして東京都庁の上階、その近くを漂っているヒュージの繭のようなものが見えた。

恐らくこれが新種ヒュージと思われていた存在だろう。

 

「繭……?と言うことは、いつか成体になる……?」

 

一つ問題があるとすればコレで、同時にチャンスにもなる。

何しろ繭と言うことは不完全な存在であることの証であり、今のであれば撃破できる可能性も高いのだ。

しかしながら、位置が遠すぎて通常手段での撃破は難しい為、ここはノインヴェルト戦術での撃破と周囲の警戒を両立させたいと言うことになる。

そうなると早く、レギオン同盟で休んでいたメンバーも呼びかけて集結してもらうことになった。

 

「高嶺様、大丈夫ですか?」

 

「ええ、もう大丈夫よ。心配かけたわね」

 

高嶺も状態が回復したので、現地に赴いている。

また、ノインヴェルト戦術に関しては一柳隊が引き受けることになり、残りのレギオンで周囲の警戒を行うことになった。

 

「一柳隊の皆さん、マギの残量は大丈夫ですか?」

 

「問題ないわ。このまま始めます」

 

時間が経過したおかげで消費していたマギも回復している。このままノインヴェルト戦術を使う分には残っている。

その為、ノインヴェルト戦術を実施することを決定し、早速パス回しを始め、フィニッシュショット担当の梨璃まで回ってくる。

 

「行きます……っ!」

 

梨璃がフィニッシュショットを放ってもヒュージが動く様子は無く、何も抵抗することなくその弾丸が吸い込まれる──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──かのように思えたが、届く直前で弾丸が弾けて散ってしまった。

 

「え……?何、あれ……」

 

「あれ、マギスフィア……だよね?」

 

「みたいですね。しかも何という大きさ……」

 

繭状のヒュージが展開する超巨大なマギスフィアに防がれてしまったのだ。

これだけでなく、更に自体は動いて行き、その繭の姿が変化を始めていく。

 

「あれが……ヒュージの正体?」

 

「な、なにこれ……?息苦しさが……」

 

実際に呼吸困難になっているわけではないが、梨璃以外にも妙な圧を感じている人は多い。

特殊弾も使ってしまった故に有効手段がなく、決めてに欠けてしまったのは非常に困った事態で、対処しようにも何もできない状況になってしまった。

こうなると、特殊弾を補充しに一旦戻るか、少しでも情報を得るべく戦闘や様子見をするかを選ぶことになるが、この時隼人は始めて一葉と叶星と共同した翌日に話したことを思い出していた。

 

──ねぇ隼人。昨日のわたしたちみたいにやれば、大丈夫?

 

──なるほど……そうだな。確かに、こうなったらそれが一番か

 

──そうでしたら、わたくしとも……改めてよろしくて?

 

──ああ。それはもちろん

 

──隼人、それわたしもっ!

 

──ふふっ。どうせなら、ここにいる五人全員でそうしましょう?

 

それは、その時いた五人で、この先共闘するなら、お互いがお互いを助けるように戦うことを誓いあったそれであり、今まで特に心配することがあまりなかったそれを、突然に思い出したのだ。

 

「(なんで、このタイミングなんだ?)」

 

理由自体は分からないが、何かのきっかけが起きていることだけは間違いないと思えて、隼人は身構える。

それと同時、成体となった巨大なヒュージの近くに光が集まり始まる。恐らくはマギの収束が始まっているのだろう。

 

「……総員退避!少しでも距離を取るのよ!」

 

不味い予感を感じた叶星が素早く指示を飛ばし、全員が迷うことなくそれに従う。

しかし、ヒュージのマギの溜め込んだ量が凄まじく、回避は無理だろうと見込まれ、千香瑠はヘリオスフィアを発動して少しでも被害を防ぐ方向を選んだ。

それから間もなくして、溜め込んだマギが発射されることになる。

 

「(……あの位置、叶星様が危ない!)」

 

「隼人さん……!?」

 

ふと後ろを見れば、叶星が非常に危ない位置にいることに気づいた。直撃を避けれないと言うわけではなく、吹き飛ばされた時が問題だった。

それを見てすぐに、隼人は咄嗟に彼女の近くまですっ飛んでいく。もう反射的な行動に近かった。

即決即断の行動で、一言伝えることすらなく飛び出した隼人を見て楓は驚くが、制止はもう間に合わない。

 

「なっ……隼人君、何を……きゃあっ!」

 

どうして戻ってきたかを聞くよりも早く衝撃がやってきてしまい、二人揃ってほぼ真横に飛ばされることになる。

 

「……!がぁっ……!?」

 

咄嗟にマギで身体能力補強をして衝撃を弱めることには成功したものの、背中から思いっきり建物にぶつかってしまい、そこで隼人体から力が抜け始める。

 

「(多分、さっきのアレはこう言うことだったんだ……だけどまあ)」

 

──間に合って良かったな……。叶星に最悪の事態が訪れそうになっていたのを防いだことに安心しながら、隼人は意識を投げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

{ 第 10 話 }

 

覚 醒

Awakening

 

 

災厄の目覚め

──×──

It is calamity trigger




ここからは気絶から目覚め→ヒュージ倒しながら合流→会議してエヴォルヴ戦とこなしたらエンディングで一旦完結となります。
複数話使ってやりますが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。

以下、解説入ります。

・如月隼人
緊急事態故に、久しぶりの独断行動。
体を張って叶星を助けるが、代わりに背中に打撃を受ける。
本来はいないはずの存在なので、目覚める場所はどこに?


・一柳結梨
隼人と同じく本来はいないはずの人。
彼女が目覚める場所は大体予想通りかも。


・楓・J・ヌーベル
久しぶりに独断行動をやられてビックリした人。
一応、理由さえ聞けば許しはするが、多分怒るか泣くかはする。


・今叶星
原作では頭を強打して暫く目を覚まさないが、今回は頭強打を回避。
目覚めるタイミングは原作よりも早くなるのは確実。

特型ヒュージを討った後、隼人の行き先は?(選ばれなかった行き先の場所は原作とほぼ変わらないので、スキップします)

  • 新宿
  • エレンスゲ
  • 神庭女子
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