アサルトリリィ -RED THISTLE- 作:ブリガンディ
「なるほど……そんなことがあったのか。お主、そこらはしっかり控えておるんじゃな?」
「いや、だって……いきなり馴れ馴れしくやってもさぁ……」
雨嘉と神琳がレギオンに入ることを決めた翌日の放課後──。メンバーの七人と隼人で昨日の出来事を共有する。入学してから僅か三日で名呼びをできる関係を一気に増やしたのだから、驚かれるのも無理は無い。
それと同時に、隼人がそれを控えていた理由も理解でき、それは仕方ないと言えた。
「どうせならわしらもそうするか。まあ、正直言うと一人だけ名呼びじゃないのは疎外感あるから嫌での……」
『た、確かに……』
明らかに省かれものの空気を作ってしまうと後々イメージダウンにも繋がり、せっかくメンバーを集めたのも台無しになってしまう。
それならばと隼人もこれを承諾し、これで一人だけ──と言う事は無くなった。
「昨日聞いた限りですと、後二人でしたね?」
「ええ。これだけの速度でメンバーが揃っているだけでも順調だわ」
梨璃に一度、失敗を経験して学んで欲しいと考えていた夢結からすると、順調に進み過ぎてもいるがそれはそれである。
ただ、残り二人となれば難しく、例えばの話し、「私たち三人だけど、溢れちゃうなら諦める」と言った返し等が増えてくるのだ。
隼人とヴァイパーの件もある為、残り二人をどう集めるかがカギとなってくる。
「メンバー集めもいいいけれど、私たちのレギオンが結成された場合、否が応でもヴァイパーとの戦いは避けられない……」
──よって、今日は一度訓練に回りましょう。実際かなり順調な方ではある為、今日はこうしてもいい。
そんな夢結の提案は誰も反対することなく、なら訓練内容をどうするかの話に移行する。
「隼人君。ヴァイパーに関する情報……一度整理させて頂けませんか?」
神琳の頼みを隼人は承諾する。噂話程度にしか知らない人もいるはずなので、そこは解消しておきたい。
既に周知の通りだが、『異常なまでの耐久力』、『弱者狙いを優先』、『勝てないと分かればすぐに逃げる足の速さ』は非常に厄介で、特に耐久力に限っては単独撃破が実質的に不可能ととんでもないものになっている。
この結果と今までの隼人が取ったリリィたちに対する協力的な行動があり、百合ヶ丘が彼をスカウトし、今に至る形となる。
「この中で危険なのは梨璃と二水か……。この二人がヴァイパー相手にやられないようにするのは優先したいな……。夢結様、この方向で大丈夫ですか?」
「それで行きましょう。ヴァイパーに関する知識はあなたの方が上……ここは合わせるわ」
「「よ、よろしくお願いしますっ!」」
夢結から承諾が降りたので、この方針で行くことにする。
ちょっと緊張交じりに頭を下げる二人を見て、自分がヴァイパーへの復讐心からCHARMを取らなかった場合どうなっていたかを思わず考える。
「訓練って、何から始めるの……?」
問いかけた雨嘉もそうだが、確かに皆気になっていたところである。
これに対し隼人は「一応、何からやるかは決まってるよ」と、答える。
「まずは防御……要は、ヴァイパーを捌き切る為の訓練から」
隼人が真っ先に目指すは、生存能力の確保だった──。
* * *
* * *
攻撃は最大の防御──と言う言葉があるが、少なくともヴァイパーと戦う時に限り、隼人はそれが正しいとは思っていない。
「ヴァイパーと不意に単独で遭遇してしまった場合、撃破が不可能な以上は撃退に持っていく……要は、最低でもヴァイパーにやられない状態に持っていく必要があるんだ」
仮にそれを覚えたとしても、倒せない相手なら意味がないし、そもそもその機会を活かす前にやられてしまっては元も子もない。故に隼人は守りを優先的にした。
更に深く言うならば、『死ななければ、それでいい』ではなく、『
「(五体満足……あなた、その身に何かあったとでも言いまして?)」
疑問に思った楓だが、この詮索は後回しだ。
それよりも今は、隼人が提示する訓練内容のが重要である。
「んで、やることなんだけど……相手側のお二人は相手の守りを崩すつもりで攻撃してください。梨璃と二水は相手の攻撃を防ぐ。とにかく防ぎきる。これを一対一でやる。んで、余りにも攻撃側が早くも相手を崩すようなら少し加減する」
──そうじゃないと、ただ打ちのめされるだけで終わって、訓練にならないから……。隼人は己の中にある見解を、訓練内容の後に述べる。
この隼人の方針に全員が納得して終わり──かと思えば、一人これでショックを受ける人がいた。
「梨璃……その、この前の訓練はごめんなさい」
「お姉様っ!?だ、大丈夫ですよ!私、あの訓練のおかげでCHARMにマギを込められるようになりましたし……」
「……えっ?何で?」
手で顔を覆って梨璃に詫びる夢結と、それをフォローする梨璃を見て、隼人は暫定のレギオンメンバーと顔を見合わせる。
──俺、もしかして不味いこと言った……?慌てる隼人に対し、ミリアムは「まあ、アレは夢結様にも落ち度があるんじゃが、お主も気を付けろ」とだけ告げた。要はダメじゃん──と思わないこともないが、仕方ないので割り切った。
どうやら梨璃がCHARMにマギを込める方法もまだだったらしく、それの訓練相手を夢結が務めたのだが、その方法が余りにも待ったなし法で、ひたすら梨璃のCHARMにマギを込めたCHARMをぶつけてそれを計ると言うものであった。
確かにやるタイミングや内容こそ悪いが、その方法は内容等を選べば効果的と言えるので、今度この形式をどこかで入れてみようと隼人は考え、述べた。
「柔軟性に長けていていいですわね……。ところで、攻撃側はわたくしと夢結様でいいんですの?」
「防御側二人の要望を聞いて決めたから、最初は二人に頼みたい。加減の得意不得意、ついていけるかどうかで攻撃側を変えてみよう」
訓練受ける側にはそれくらいの選択肢があっていい──。隼人はこう思っていた。
夢結も落ち着き、楓も役割分けに理解を示したところで、今度こそ訓練を始めることにした──。
隼人が始めの合図を出し、その直後から、二つの場所で鉄と鉄のぶつかり合う音が聞こえだす。
「防御側の二人!まずは受け止めるだけでもいいから、とにかく防げる回数を増やして行くんだ!受け流すとかは後回しでいい!」
開始早々、隼人は二人にちょっとした路線誘導を行う。いきなりアレコレ全部やろうとしても無理だから、一個ずつ順番にやるのがいい。
攻撃側は個人の裁量でできる段階の人であることを知っている為、とやかく言う事は無い。何かあったら聞くくらいだろう。
「梨璃。攻撃を防ぐ時、姿勢と、力を込めることを意識してみなさい」
「……姿勢と力?」
「反応は出来ていても崩れるのは、その二つが上手く行っていないからよ」
防御する為の姿勢と、力がしっかり入っているが両立していなければ防げたところで弾き飛ばされてしまう。そこに気づいて夢結が指示を出す。
梨璃が納得したところでもう一度始めると、今度は防いでも姿勢が崩れることなく、二回目以降に備えることができた。
「二水さんは……まず、目を慣れさせましょう。わたくしが見た感じほぼギリギリの反応ですから、一回一回落ち着いてよく見る……防御姿勢を作ろうとするのは見えていますから、追いつけばしっかり防げますわ」
「は、はいっ!よろしくお願いします!」
二水の場合は梨璃とは逆に、反応が遅く防御姿勢を作ることが出来ていない。
ただ、それでも姿勢を作ろうとするのは見えているので、やはり反応である。
確認したところで再開するが、楓は攻撃の際に意図的に溜めの時間を長く作り、二水が反応しやすいように攻撃を遅れさせた。
「これなら反応できると……なら、慣れるまでは今の速度を防いで行きましょう」
「ありがとうございますっ!」
そうすれば二水も防げるので、彼女の反応が早まればこの溜めを消す方向にした。
本人たちの希望も当然あるのだが、今のところ割り振りを失敗した──と言う事はなさそうだ。
「ところで、あの二人が慣れた後はどうするんじゃ?ずっと防御と言うわけでもないんじゃろ?」
「慣れて来たら、隙見つけて反撃する練習を入れるよ。慣れたら更に反撃を増やしていって、最後は普通に近接戦闘限定訓練と同じになる」
「……思ったよりもガッチリ組んであるの」
予想以上にしっかりした訓練段階に、ミリアムが驚きつつも感心する。
隼人自身、こう言ったメニュー作り等は作ろうと思えば作れる。ただ、自分に必要な事や興味のあることでない場合、非常に面倒くさがるのだ。
「一度休憩にしませんか?あの四人、ずっと動きっぱなしですから……」
「差し入れ、持ってきたよ」
神琳と雨嘉が人数の飲み物を持って来てくれたのと同時、もう訓練を始めてからもう一時間も立っていることに気づき、一度休憩を挟むことにした。
「梨璃の方は安定してきたわ」
「二水さんも、反応が早くなって来ました。とは言え、こっちは今日一杯はやれても連続で防御まででしょう」
「急ぎじゃないから、そこは焦んないでいいさ。ゆっくりやっていこう」
時間としては次の一時間をやったら終わりとし、その後は総括と次にやることを話して終わる。
そこまで纏めて、10分間の休憩を取った後、そのまま再開する流れになる。
なお、メンバーは本人たちが完全にやる気であった為、変更せず続投である。
「そういやお主、ノインヴェルト戦術の方はどうじゃ?」
「一応資料自体は読み込んだんだ。ヴァイパーの反応は気になるけど、それはやってみないと分からないし……」
隼人の悩みはやはりこれである。ヴァイパーがノインヴェルト戦術をぶつけられた時の反応が気掛かりなのだ。
どちらにせよ、自分はさっさとパスをして残り時間でヴァイパーを請け負うべきと考えており、それは今度話した方がいいかもしれない。
「なら、それまでの間にどこか、戦術を学ぶ時間を用意しましょうか?」
神琳の提案はありがたいもので、今度どこかで学ばせてもらうことにした。隼人自身、連携ができないなんてことはないが、兵法等を詳しく学んでいる訳ではない。
あまり得意な案件ではないが、覚えて損する内容では無いので、ぜひ覚えておきたいところだ。
「私からは、遠距離攻撃を出せるけど……いる、かな?」
雨嘉が少々遠慮気味なのは、単純に隼人の戦闘スタイルが問題だった。
百合ヶ丘で知られる隼人は接近戦が得意で、ヴァイパーに目移りさせない為習得したのが大きい。この為、遠距離攻撃技術が不要な可能性が出ていた。
と、思われたがそんなことは無く、寧ろ隼人は教えて貰う気満々で、それを伝えれば雨嘉も引き受けた。
「(次が右上。次は……左!)」
「(今日一日でどうにか溜めなしの攻撃に反応できるようになった……反復が必要かどうかですわね)」
今日一日でどうにか二水の反応速度を確保することに成功し、反復練習の要不要は次の訓練で決まるだろう。
確かに、二水は実力関連で言えばガーデン内最下位だが、裏を返せば、それはいくらでも他人から吸収し、成長できる証拠でもある。
「……!今っ!」
「いいわ……!今のようにすれば、私も攻めを止める必要がある……今のようにできるタイミングを多く見つけなさい」
一方で梨璃はイレギュラー要素多しとは言え、二度の実戦経験と、この訓練をやる前にもあった夢結との訓練も手伝い、最後の十数分で反撃を解禁していた。
梨璃も初心者故に伸びしろも相応に残されており、ここからいくらでも強くなれるのである。
こうして二人が前進できたところで訓練は終了し、反省と次の訓練予定日を決めて終わりとなった。
* * *
「「はぁ~……」」
その日の夜──一年生組の女子……要するに、夢結と隼人を省いた六人は浴場で体を休ませていた。
特に通しで訓練をしていた梨璃と二水は顕著で、湯に浸かって早々脱力感ある声を出す。
「梨璃さんお疲れでしたから、ゆっくり休んでくださいまし♪もちろん、二水さんも……あっ、梨璃さん。今日はわたくしがお背中流しましょうか?」
「お主の場合、やりたいだけじゃろ……。まあ、それだけ動いてたのは事実じゃが」
楓が梨璃とスキンシップを取りたがっているのは周知の事実で、今回もそうだろうというのは見える。
彼女は彼女が梨璃の身を本気で案じたり、気持ちを汲み取ったりできるのはいいのだが、時折犯罪スレスレのセリフが出てくることがあるので、一部の人はその内捕まりそうと危惧している人もいる。
ただ、今回の場合は散々訓練で動き続けた梨璃への気遣いによるもので、そう言った不味い部分は出ていないようだ。それでも彼女の柔肌に触れるチャンスとは思っているが。
「隼人の訓練内容は地に足のついたやつで、梨璃と二水には合ってたみたいじゃな」
「最後は二人共、一歩進めてた……」
いきなり全部やるのが厳しいなら、最初はやること絞り込んでしまえ──。これが隼人の方針であったが、実はこれが受け売りなのはまだ誰も知らない。
何気なく隼人の訓練内容を話題に出したが、彼の発言には気になる要素があった。
「五体満足……の言葉を使ったところですか?」
神琳の問いに楓は頷いて肯定を示す。どうもこの部分が非常に気になるのだ。
「で、でも……普通に体を大事にして欲しいって意味言ったかも知れないし……」
「それはそうですが……かと言って、わざわざあの言い方をする必要もありませんもの」
梨璃のこっちを気遣ったと言う解釈をしたい気持ちも分からない訳じゃない。その可能性は十分にあり得る。
だが、人の身体を気にするなら「無事に帰って来る」とか、「怪我無く」とかくらいでもいいが、彼はやたらと具体的に「五体満足」と言ったのである。
男のマギではCHARMを振るので精一杯、リリィとしては戦えないと言われている現在、それを承知の上でCHARMを手に取った隼人は相応に理由があるはずで、そんな彼が五体満足の言葉を使った。
「考えたくはありませんが……」
──もう既に、体のどこかが自分のものじゃなくなっているのではなくて?楓の予想は、誰もがそうであって欲しくないと思うものだった。
* * *
「(よし。これで終わり、と……)」
梨璃たちが入浴してる最中、一人自室で筋トレを済ませた隼人はバスルームで体を洗い、温めた。
その後訓練内容等を確認してみる。一応、段階ごとに踏んでいけるのはいいこととして好評であったが、それでも改善点がどこかにあるかもしれない。
確認している時、自分が無意識ではあるが、人によっては疑われる単語を使ってしまったことを思い出し、思わず右腕を見る。
「(あれで何人か勘繰り始めたかな……)」
特に、自分がヴァイパーを追う理由に興味を示していた楓が一番あり得る人で、もし気づかれていたらそれはこちらの落ち度だ。
もし気づかれているなら自分がヴァイパーを追う理由を話すことになるが、その後人間関係への影響をどれだけ上手く修正できるかがカギだろう。
「あの資料、来週にはできるって言ってたよな……」
──何人分必要なんだ?百由とレギオンメンバーのことを考えると、最低でも十は下らないだろう。それどころか十五を超える可能性がある。
「(まあでも、いつか隠せなくなる日は来るんだ。右腕のことも……)」
どこからどう見ても
誰にだって隠したいことはある──。そう言うのは簡単だが、自分のそれは隠したいで済む案件ではない。
例えヴァイパーを追う理由ですら、右腕のことを考えればほぼ確実と言ってもいいくらい不可能だ。
「ともかく、どちらかになったらちゃんと話そう」
──そうじゃないと、多分……話がちゃんと進まない。自分の口で全部説明自体はできるが、確固たるものがないと絶対にややこしくなるのは目に見えていた。
その為、隼人はこの決断をするのだった。
* * *
「「状況判断練習?」」
「ああ。俺は結構口酸っぱく言われたんだけど、ヴァイパーを討とうとするあまり、他を疎かにしようとした時があってね……そう言った間違った判断でデカいミスしないようにってところだよ」
翌日。隼人の経験談から、梨璃と二水に比較的簡単な心理テスト的なものをやってもらうことにした。
CHARMを手に取ったのがヴァイパーへの復讐であったことから、最初の頃隼人の考え方はかなり歪んでおり、二人に述べた通りヴァイパー打倒が全てにおいて最優先と化していた。
無論、そんな状態で戦闘に出ようものなら守るべき人たちすら守れないという最悪の事態が待っているので、そうならないようにここで考え方を整理してもらうことにしたのである。
「まあ最初は簡単なのから。自分の目の前にはヒュージが二体。片方はヴァイパーで、もう片方は小型の一般ヒュージだ。ちなみに、距離はヴァイパーの方が遠いけどそっちは周囲が全部見え、周りには何もない。逆に一般のヒュージの周囲の内一部は瓦礫の影響で見えないところがある。幸いにもこの二体の間の距離は結構あり、どちらかと戦闘しても気づかれはしないくらいにある」
──さあ、二人はどっちから対処する?これは自分が順番に対処するしかないという状況を前提の二者択一問題で、対ヴァイパー時の考え方を養ってもらうのが狙いである。
ヒュージの危険度だけを考えると明らかにヴァイパーなのでそちらに行きたいが、この問いかけは明らかに狙いがあり、隼人が昨日言っていたことを思い出せば自ずと答えは出てくる。
「「一般のヒュージから!」」
「いい答えだ。ヴァイパーの方が危険なのはそうだけど、一般のヒュージの周囲に逃げ遅れた人がいたら助けなきゃならないから、こっちを先に対処しなきゃいけない」
──よって正解だ。隼人の返しに二人は安堵する。実は隼人はこれを専用のVR空間で実戦形式の訓練でやったのだが、当時は復讐心の影響でヴァイパーの方へ走り、ヒュージの近くに来た瞬間一般人の悲鳴を聞くと言う不味いケースが待っていた。
当然ヴァイパーを討つことはできなかったし、一般人も死亡判定が来ると言う最悪の結果となってしまい、ここから短時間で全力で思考矯正し、実戦に出るころには完全に治し切った。そして、今はこうして教える立場に回っている。
ちなみに、この不正解時を今回のテストに合わせた形で伝えると、二人は尚の事しっかり意識しようと決める。
「(その正常な判断が出来なくなるほどの復讐心。正確にはそれを作る憎悪、ですか……)」
──一体、どのような出来事がその憎悪を?話を聞きながら、神琳はそのきっかけに目を向ける。
昨日の段階での推測に基づくなら、体の一部欠損の可能性になるが、真相は定かではない。
「(ヴァイパー絡み以外も教えるのは、他の状況でも役に立つからで間違いありませんわね……)」
隼人の用意したテストには、ヴァイパーが一切絡まない内容も用意されており、これはリリィになってから日が浅い二人に考え方を教える時に偏らない為いいと言える。
この後も様々な状況における判断を求める出題を出し、それに答えてもらい、隼人が正解・不正解を返した後に解説を入れるをくり返していく。
「何か掴めそうかしら?」
「今のところは何も。今回のでは尻尾を出さなそうですわ」
昨日の推測に関しては夢結とも共有しており、隼人がボロを出したら話してくれるか問いかけてみることに決めている。
無論、無理強いはしないで、あくまでもお願いの範囲に留める算段だ。
「手間をかけるけれど、この後もお願いするわ」
「はい。分かりました」
この後も引き続き話を聞きながら張り込んでみるが、今日は何も引っかかるワードは出てこなかった。
* * *
また時は進み、授業を受け、メンバー勧誘をし、訓練をこなし──と、早くも一週間が過ぎた。
「……んんー?何かしらこれ?」
そんな日の夜。自分のラボに籠っていた百由は目の前の結果に目を疑った。
何をしていたかと言えば、隼人から採血したサンプルの解析をし、何故彼にノインヴェルトの適性があったかを確かめていたのだ。
「(これ、本当に本人から採血したのよね……?)」
何故百由がここまで疑っているのかというと、その解析結果に問題があった。
「うーん……一度本人に聞いてみたいところだけど、知っているかどうかね」
本人が知らずの内にそうなっているのか、否か──。これが問題だった。
仮に本人が知っているならそのまま聞ける可能性はあるかもだが、そうでない場合は何が起きるか分かったものじゃない。
百由としてはCHARMを手に取る決断をした以上知っていると思いたいが、実際に話してみないと分からないだろう。
「(一回やり直してみましょうか……次もこの結果にならないといいんだけど……)」
本人の願いは叶わず同じ結果となってしまったが、今回の解析は以下のような結果が出ていた。
・血液型:O型
・スキラー数値:65
・レアスキル:縮地
・ノインヴェルト適性:有
と、ここまでなら問題ない──。否、正確には男性にしては妙に高いスキラー数値は気になるが、それ以上に最後の一文が致命的なまでに問題点だった。
・マギデータ:UnKnown
「あぁー、もう!何よコレ!?何でマギデータが
──まるで意味が分からないわ!余りにも異常すぎる結果に、百由が頭を抱えることになる。
こんな結果になったことなど、百合ヶ丘で誰一人としていない。聞いたところで絶対に隼人しかわかる可能性のある人はいない。
「参ったわね……詳しく話を聞きたいけれど、隼人君がどう動くか分からない程の厄ネタじゃない……」
──彼、何がどうなっているの?隼人に対する疑問が解決するどころか、更に謎が深まる結果になった──。
今回は訓練回になりました。描写上手く行ってるといいんですが……。
ここから少し解説入ります。
・如月隼人
今回の訓練メニュー立案者。方針は一個ずつ確実にやっていく訓練スタイル。
スキラー数値が65と男性リリィにしては妙に高い。
・一柳梨璃、二川二水
訓練を受けた二人。実戦経験のお陰で、若干梨璃の方が進んでいる。
隼人が失敗談も伝えてくれるので、後進の自分たちは覚えようと意気込んでいる。
・白井夢結
梨璃の訓練相手を務めた人。今回は具体的な説明を入れられた。
なお、隼人の方針を聞いてちょっとショックを受けた。
・楓・J・ヌーベル
二水の訓練相手を務めた人。隼人の訓練内容はいいものと考えている。
隼人の体が訳ありだと推測。
・郭神琳
楓と同じく、隼人の体が訳ありだと推測。
・王雨嘉
隼人に遠距離攻撃の強化を不要と言われないか不安だった。
が、隼人が欲したので問題なし。
・ミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウス
隼人の訓練内容は二人に合っていると感じている。
何気に唯一名呼びしあう関係になっていなかった。
・真島百由
隼人のマギデータが詳細不明のせいで頭を抱える。
どうにかして話を聞けないか考え中。
今後アニメ版準拠の展開はどのようにしてほしい?
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今みたいな感じで大丈夫
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もうちょい細かめが嬉しい
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サクサク気味がいい