転生TSサキュバスは独占欲が強い   作:葛城

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第四話: 生と死は表裏一対なり

 

 山の夜というのは、平地に比べてとにかく静かだと思う。

 

 実際はただの気のせいでしかないのだろうが、少なくとも前世の記憶を持つ私にとっては、それが正解であった。

 

 

 真っ暗で、人の気配なんてまずしない。

 

 

 耳を澄まして聞こえて来るのは夜風に吹かれて揺れる枝葉のざわめきぐらい。獣の動きなんて、ほとんど分からない。

 

 

 まあ、それは当然だろう。

 

 

 何故なら、自然の中で生きるという点において、獣たちは人間よりもはるかに優れ、かつ長い時を掛けて行ってきた大先輩だ。

 

 人間の聴覚程度でバレてしまう生き物なんぞ、とっくの昔に淘汰されているだろう。

 

 だからこそ、罠というモノが開発され、それが世界中で活用されているのだが……まあ、それはそれとして、だ。

 

 

 

 そんな、暗闇の中で……独り、私は火を焚いて暖を取っていた。

 

 

 

 とはいえ、私個人としては、暑さ寒さなど何の障害にもならない。

 

 見た目が人間に限りなく近しいとはいえ、その本質は別モノ。たとえ雪に埋もれたとしても、春になるまで生き延びることも可能だ。

 

 実際、私が焚き火を用意した場所には雪が積もっていないが、少しばかり森の奥へと入れば幾らでも溶け残っている雪が見つかる。そんな中でも、私は全く寒さに震えていなかった。

 

 

 では、どうしてわざわざ火を焚いているのか。

 

 それは、単に捕まえた野兎を焼く為である。

 

 

 もっと正確に言い直すのであれば、捌いた兎の肉を燻して干し肉を作り、それを路銀などの様々なモノに変える為であった。

 

 

 

 ──ぱちぱち、と。

 

 

 

 立ち昇る煙と共に飛び散る火花が、こつん、と足元を転がっては消える。風下へと僅かばかり流れて行く夜空への煙を眺めながら、私は枝に吊るした肉の具合を確認する。

 

 天へと細長く伸ばしたひし形の合間に掛けた、分厚くまっすぐな枝。それには脂をサキュバス特有の爪でそぎ落とし、薄く切った肉切れが等間隔で垂れ下がっている。

 

 

 伊達に、前世は野宿なり何なりを繰り返してきたわけではない。

 

 

 この身体はサキュバスかつ女体というやつだが、基礎的な能力は人外だ。手順さえ分かれば、性別の違いは問題にならない。

 

 欲を言えば塩で揉み解してから、じっくりやった方が美味いのだが、塩も道具も無い以上はこれが精いっぱいであった。

 

 

 ……干し肉というよりは、燻し肉という言い方の方が正しいのかもしれない。味も……お察しだ。

 

 

 まあ、かつての世界ならともかく、この世界ではコレでも付加価値を与えれば売れる。

 

 それに、お察しな味とはいえ、味があるだけでも十分。今はまだ、ちょいと働けばその日の飯が食える時代ではないのだ

 

 

 ……それに、肉はあくまで次いでだ。本命は、別にあるのだから。

 

 

 滴り落ちていた脂やら水分が、火の中に落ちてじゅうじゅうと音を立てる。元の赤色から、黒と灰色が入り混じるまでしっかり火が通ったのを確認してから、それを洗った笹の葉に乗せてゆく。

 

 そうして空いた場所に、残っている肉を引っ掛けてゆく。燻すのには時間が掛かるから、出来上がり次第、こうして次々に取り変えていかないと、薪が幾つあっても足りない。

 

 

(……粗熱が取れたら、溶け残った雪の上に乗せて冷やすとしよう)

 

 

 芯まで火を通しただけあって、燻し肉は中々に固い。今はまだ熱で柔らかくなっているが、冷えてしまえば……石のように固くなるだろう。

 

 まあ、保存用に処理した肉なんて、本来はそのまま食うものではない。スープ等に入れて、柔らかくしてから食べるものである。

 

 

 ……さて、だ。そうして、黙々と処理を続ける事、一刻。

 

 

 雪で冷やした燻し肉を笹の葉で包んでゆく。とりあえずは、保存が出来る部位を全て処理し終えた私は……ふう、と息を吐いた。

 

 

 ……あれから、30日近くの時が流れた。

 

 

 アレとは、村を離れたあの日のこと。とりあえずは雪を避けながら山から山へと移動し、山を下りる前の段階……それが今だ。

 

 下手に他所の村に入り込む事も(女であろうと、余所者なんてそう易々と受け入れてはくれないから)出来ず、山の中をうろうろと歩き回りながら……私は、何時ものように今後の方針について考える。

 

 

 ……まあ、方針といってもそう大したことはない。

 

 

 戦いにて、いきなり王が取れないように、まずはそこに至るまでに立ち並ぶ問題を一つずつ突破していきたいので、それらについて考えよう……というだけの話だ。

 

 

(衣食住の内、食と住は問題ないとして……早急に解決しないといけない問題は、見た目だな)

 

 

 村を離れた私だが、早速と言わんばかりに直面した問題が、コレだ。

 

 コレは、突き詰めればとても単純明快な話で……金子(きんす:金銭のこと)の持ち合わせであった。

 

 有り体にいえば、見た目を取り繕う為に必要な金子が、今の私には無い。

 

 考えるまでもなく当たり前の話だが、着の身着のままで飛び出してきたのだ。持っているわけが、ないのだ。

 

 加えて、村では自給自足が普通であった。

 

 必要な物は物々交換が基本で、金子を使う機会がほとんどなくて……仮に村から盗むにしても、私は何処に金子が保管されているのかすら知らなかった。

 

 何せ、強いて金子を使う機会があるとすれば、他所から来た行商人などに支払う時ぐらいだ。

 

 けれども、村で行商人と接していたのは、代表して交渉を行う村長と、彼を始めとした一部の者たちだけ。

 

 私はせいぜい、その時に行き交いする通貨を横目で軽く見やったぐらいだ。

 

 

 これは、非常に由々しき問題であった。金子が無いのも問題だが、それ以前の問題だ

 

 

 通貨を目にしたことはあるが、その通貨の種類がどれだけあるかを私は知らない。

 

 種類を知らないということは、通貨を利用した取引において、必要となる諸々の事に不具合が生じるということだ。

 

 私が理解出来ているのはせいぜいが、『雑貨一つが何枚分』という、あやふやな部分だけ。

 

 ぶっちゃけ、通貨一枚が、どれだけの価値なのかを私はよく知らないのだ。

 

 それは、困る。何故なら、衣服などを手に入れる際、まず間違いなく通貨を利用した取引になるだろうからだ。

 

 今の私は相手の見た目を特に重要視してはいないが、それはあくまで私にとっては、だ。

 

 

 元人間であったからこそ分かるが、見た目は大事だ。

 

 

 特に、今の私のように特定の組織や縄張りに属さず、単独で動いているやつほど……最初の印象というのが重要になる。最初が、肝心なのだ。

 

 

 そこを考えれば……今の私の恰好は、御世辞にも宜しくはない。

 

 

 古ぼけて継ぎ接ぎだらけの着物ならまだしも、以前に、翼で開けてしまった背中の大きな穴。

 

 そこに、滅多刺しにされて出来た幾つかの跡は……他者からすれば、不安を覚えるなという方が無理な話だ。

 

 私が相応に怪我をしていれば、山賊や人さらいから逃げ出して来た娘だと思われるだろう。

 

 しかし、人に会う度にいちいち怪我をしているフリなんて、していられるわけがない。

 

 とりあえず、ボロボロでもいい。怪我は負わなかったが、命辛々逃げ出して来た娘……そう思える程度でいいのだ。

 

 不自然にはならないだけの見た目を取り繕う為に、衣服(あるいは、衣服を修繕したい)を手に入れたい……というのが、今の私の第一目標であった。

 

 

(とはいえ、信用も何もない出自すら不明な娘が作った燻し肉なんぞ、誰が買ってくれるのやら……)

 

 

 想像してみて、我ながら売れないだろうなあと苦笑を零す。けれども、私は特に……悲観には暮れなかった。

 

 何故なら……私は途方に暮れているわけでもなく、待っているだけなのだ。

 

 出自が怪しかろうと、そんな理性や警戒心何ぞ、容易く吹き飛んでしまう……アレが起きるのを。

 

 いや、正確には、私が感知出来る範囲にアレが起きるのを、だ。

 

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………そうして、待ち望んでいたアレが起きたのは、それから更に7日程の時間が流れた後であった。

 

 

 

 ──意外と速かったな、というのが私の正直な感想であった。

 

 

 

 その日の私は何時ものように衣服を手洗いし、ついでに身体も洗って。

 

 日が暮れてからは山を下りて麓を進み、特に何かをするわけでもなく、夜道を何時ものようにとぼとぼと歩いていた。

 

 暇だから……というわけではない。

 

 いや、現時点では暇な部分があるのだけれども、ただ目的もなくぶらぶらしているわけではない。

 

 

 匂いを手掛かりに……探しているのだ。

 

 

 サキュバスとして……というよりは、サキュバスという名の、『モンスターだけが分かる感覚』に従って、私は探していたのだ。

 

 何をって、それは──っと。

 

 

 ──くん、と。

 

 

 何時ものように鼻を鳴らした私は……その匂いを感じ取った瞬間、思わず足を止めた。

 

 とくん、と高鳴る鼓動を抑えながら、私は何度も鼻を鳴らした。

 

 

 勘違いか、事実か。

 

 

 それは、まだ確証を得ていない。けれども……期待はしてしまう。

 

 なので、確証を得る為に匂いを嗅ぐ。くんくん、と鼻を鳴らして。

 

 ハズレかもしれないと思いつつ、それでもなお期待を込めて、そちらへと駆けながら鼻を鳴らし続け……そして、確信した。

 

 

 ──待ち望んでいたアレが……そう、(いくさ)が起きるのだと。

 

 

 その瞬間、私は走り出していた。元々ここらに人の気配は感じ取っていなかった事もあって、今は人間のフリをする必要は無い。

 

 手足にびきびきと血管が浮き出て、獣を思わせる爪が伸びる。それが、がりっと大地を削って……私を、加速させる。

 

 

 戦は──その匂いを、何に例えたら近しいのか、私には上手く説明は出来ない。

 

 

 だが、分からなくとも、モンスターとしての本能……サキュバスにもしっかり刻まれている、その本能が教えてくれる。

 

 その匂いは、私に『愛』を与えてくれる愛しき者たちと共に運ばれて来るモノだ。

 

 何故なら、戦場と愛しい彼らは切っても切り離せないモノであり、その匂いの後には……必ず、戦が起きるから。

 

 けれども……私が探していたのは、戦ではない。

 

 探しているのは、戦が起きる前……戦場が形成されようとしている、その前の一時であった。

 

 

 ……そのまま、走り続ける事幾しばらく。

 

 

 匂いを追いかけ続けていた私が最初に見つけたのは、広場(という言い方も変な話だが)と呼ぶには殺風景な、ただただ無造作に雑草が広がっているだけの場所であった。

 

 

 天然……いや、違う。おそらく、合戦をする為に切り開いた専用の戦場なのだろう。

 

 

 全体の広さは、おおよそ縦横200メートルといったところだろうか。

 

 正確な人数までは分からないが、木陰に隠れている私からは、おそらく数百人ほどの人達が左右に半分ずつ、綺麗に別れて野営をしているのが見えた。

 

 

 ……周囲に村らしきモノなんぞ何も無い、こんな場所に野営……その理由は、考えるまでもない。

 

 

 彼らは、朝が来るのを待っているのだ。夜の闇では、お互いに不必要に負傷してしまう危険性がある。

 

 故に、視界が晴れる朝を待つために野営をしている……といった感じだろう。

 

 

(……ほほ、いるいる。匂う、匂う……死の不安に怯えるが故に滾らせてしまう、本能の逞しさが……)

 

 

 くんくん、と。堪らず、何度も鼻を鳴らしてしまう。

 

 夜風に紛れて嗅ぎ取れる芳しさに頬を緩めた私は、そこからそっと足音を潜めながら……左側の陣地の裏側へと回り込むことにした。

 

 

 こういう時……傭兵や流れ者をやったりしていた前世の記憶が役に立つ。

 

 

 細かい部分の違いはあっても、人の考え方に大まかな違いはないというのを身を持って知っているからだ。

 

 つまり、世界が異なるとはいえ、人の形をしている以上は戦も同じだということだ。

 

 二本の腕と二本の足に、頭脳が一つ。使う武器に違いはあっても根本が同じである以上は、そこから運用される兵法や戦術に、目立った違いはないのである。

 

 

 ……言い換えれば、おおよそ予想が立てられるというわけで。

 

 

 天幕の向こうより向けられている監視の目が緩い場所や、士気が低い者が集められる場所。または、万が一襲撃されて全滅しても全体の損害が薄い場所等々。

 

 攻城戦などのどデカい戦場ならばまだしも、こんな田舎の小競り合いなら……私にも、全体の流れはある程度は読み取れる。

 

 

 なので、気付かれずに回り込むのは非常に容易い。

 

 

 サキュバスの身体能力を駆使しながら、するすると森の中を進み続け……そして、私が見付けたのは、陣地の後方にてぽつんと設置された……小屋であった。

 

 10人も入れば手狭になるぐらいの広さしかないそこは、雨風を防げるぐらいには……という程度の作りなのが、遠目からでも伺える。

 

 その小屋の前、焚き火の光が見える。火の傍には……6人。小屋の中にも数人いるのが嗅ぎ取れるが、正確な人数はさすがに分からない。

 

 焚き火を囲んでいる者たちは……服装や体つきから考えて、集められた農民たちだろう。

 

 天幕の方より嗅ぎ取れた匂いや気配に比べたら、明らかに気力が無い。というか……顔色が明らかに優れず、不安を押し殺しているのが遠目にも見て取れた。

 

 

(……良し、良し。やはり、後ろにいるのは数合わせだ)

 

 

 それを見て、私は改めて確信した。

 

 此度の戦は、領地を奪い合う類の殺し合いではなく、定期的に行われる脅しの意味合いが強い合戦であるということに。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………脅しの為の戦とは如何に……と、不思議に思う者もいるだろうが、それ自体はそこまで不思議な話ではない。

 

 

 戦は、何もいきなり始まるわけじゃない。そのほとんどが、出来うる限りの準備の果てに行われる。

 

 言い換えれば、ソレが行われずにやる戦は、だいたいが『脅し』なのだ。

 

 私も……前世では傭兵として雇われ、こういう戦いに参加した時もあったから、そこらへんは良く分かる。

 

 

 ──領地というのは、ただ内側に目を向けていれば良いわけではない。

 

 

 時には外側に『力』を見せ付け、攻め込んだらお前ら後悔するぞと脅しを周囲に掛ける必要もある。

 

 

 もちろん、脅しではない戦もある。

 

 

 領内の作物を盗んでいったとか、領民を攫っていたとか、明確な不利益が生じたのを理由にして、その落とし前をつける意味での戦はある。

 

 だが、此度の合戦は完全に前者だ。天幕の内側の士気が高く、外側が低いのが、その証拠。

 

 だいたい、城なり町なりを落として陥落する際の兵士たちの気迫は、こんなものじゃない。上手くいけば目溢しという形で臨時収入が得られる分、数合わせの農民たちとて目の色が違う。

 

 それが無いということは、もうその時点で本気の殺し合いではないのが確定している……というわけだ。

 

 

 しかし、『脅し』であるとはいえ生半可な事は出来ない。

 

 

 それは互いに分かっているから、引き際を見極めつつも、武将を仕留めればちゃんと報酬は出されるようになってはいるだろう。

 

 少しでも手柄を取って成りあがろうとする者は、先陣を希望して前に出るはず。

 

 しかし、私が目を向けるのは、その前に出る者たちではなく、そうではない後方の者たちだ。

 

 何故なら、後方を希望するということは、成り上がる気持ちよりも無事に戦を終えたいという想いが強いからで……すなわち、死の恐怖に怯えている者ばかりということだからだ。

 

 

 理由は色々とあるだろう。

 

 

 

 例えば、残してきた家族の事。

 

 例えば、怪我を負ってしまった後での、村での立場。

 

 例えば、万が一にも自分が死んだ後の事。

 

 あるいは、伝えそびれて来てしまった……想い人の事。

 

 

 

 私の経験上、こういう極限状況にて自分の出世よりも他者を気に掛ける者は総じて善人だ。

 

 人によっては意気地なしと捉えるだろうが、言い換えれば……と。

 

 ──閑話休題。

 

 

(とりあえずは、天幕の方から人が来る様子は無い……か)

 

 

 チラリと、今もなお不安に身体を丸めている彼らを見て……さて、だ。

 

 此度の戦……ただの『脅し』でしかないとはいえ、やるからにはお互いを殺しに来るだろう。

 

 けれども、此度のような茶番が如き小競り合いで、いちいち農民たちに装備など渡したりはしない。せいぜいが鉄剣と、兜(薄くて無いよりはマシな程度)が支給される程度。

 

 

 その理由としては、この茶番を仕組んだ者たちにとっては、集められた農民たちなんてのは財産の一つでしかないから。

 

 

 財産ならば守ろうとしないのかと思うところだろうが、発想が違う。財産に傷つけるつもりなんて欠片も無いからこそ、装備など出さないのだ。

 

 装備を運ぶ手間ヒマとて、人員がいる。傷付けるつもりもないのに、こんな茶番で財産を目減りさせるなんて……と思っているからこそ、装備を出さないのだ。

 

 

 ……とはいえ、絶対はこの世には早々無いわけで。

 

 

 見方を変えれば、後方の者たちは他と比べて安全であるのは確かなのだが、偶発的に飛んできた流れ矢が当たれば、場合によってはあっさり死んでしまうのだ。

 

 当然、死んだ所で報酬など出ない。出たとしても、雀の涙。

 

 ぶっちゃけてしまえば、最後に物を言うのは運だ。

 

 運が悪ければ、文字通りの無駄死にという結果で終わってしまう可能性が有るわけで。

 

 だからこそ、後方の彼らは不安に怯えて最悪を想像してしまうのであって……そんなの、士気が上がるわけがない。

 

 少なくとも、死の危険に何度も怯えた前世の経験を持つ、私にはよく分かった……しかし、なればこそ……! 

 

 

(──さあ、行くか)

 

 

 私は……そろりと茂みを抜けて、小屋へと向かう。

 

 自然と、足取りが軽くなってしまうのを抑えながら……力無い様子を装って、駆け寄った。

 

 

 ……すると、だ。

 

 

 焚き火ぐらいしか明かりが無いとはいえ、彼らも私に気付き始める。さすがにいきなり武器を構えるようなことはしないが、場所が場所だ。

 

 敵意を向けたりはしてこないが、警戒心を隠しきれない……そんな面持ちで、彼らは近づいてくる私を見つめていた。

 

 

 

 

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