転生TSサキュバスは独占欲が強い   作:葛城

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人外転生モノって良いよね


第五話: 無垢なる狂愛

 

「もし……人を探しております。この場に、吉郎(きちろう)という名の者はおりませんか? 私の……夫なのです」

「きちろう……すまない、私は知らん。心配なのは分かるが、家に帰りなさい。ここは明日にでも戦場になるのだぞ」

「ああ、申し訳ありません……ですが、寝ても覚めても心配で心配で……戦場で倒れていないか、それが心配で心配で……」

 

 

 少しばかり髭の濃い男が、代表して話し掛けて来る。釣られて、他の者たちも一斉に……故に、私は……装った。

 

 

「……あい分かった。お前は何処の村の者だ? それが分かれば、とりあえずは声を掛けておくが……」

「ああ、あああ、ありがとうございます。わたくしは、千泉(せんせん)村の、『ヒナ』と言います」

「千泉村……聞いたことが無い村だな。なあ、誰か知っているか?」

 

 

 静々と、力無く。疲れ切った様子で、頭を下げて。そんな私の言葉に、彼らは互いに顔を見合わせ……そして。

 

 

「──せ、千泉村だと? それは真か?」

「お、おい、どうしたんだ? 何をそんなに驚いているんだ?」

「これが驚かずにいられるか。千泉村は、ここから山三つは超えた先にある村だぞ」

「な、なんだと!?」

 

 

 彼らの内の一人が、偶然にも私の故郷の名を知っている者が居た事で。

 

 

「……ご存じの方はいらっしゃいませんか? 夫が……夫が、戦場(いくさば)から帰って来ないのです。もう、春が2回も廻ったというのに……」

「……っ、すまぬ、私たちは知らん。しかし、せっかく来たのだ。少し、火に当たって休んで行きなさい」

 

 

 ──戦で夫を失い、それを受け入れられずに心を病んでしまった憐れな女。

 

 

 そう、彼らに思いこませることに成功したのであった。

 

 こうなれば、後は簡単だ。私が多少なり不自然な事をしようが、『心を病んでしまっているのだから』と納得し、目を向けないでいて貰える。

 

 

 ──命を惜しんで後方に居る奴だからこそ、だろう。

 

 

 何せ、客観的に見れば怪しさしかない私を気遣い、火に当たらせてくれるのだ。私が女であるからこそ優しくしてくれる面もあるが、それを差し引いても彼らは善人だ。

 

 

 

 ……これが手柄欲しさの血気盛んな奴なら、その前に押し倒されて犯されても何ら不思議ではない。

 

 

 

 しかし、彼らが鬼畜なのではない。戦の狂気は、例外なく全ての者の心を壊してしまうのだ。

 

 まあ、私としてはそっちも捨てがたいのだが……まあいい。

 

 とにかく、促されるがまま火に当たる。警戒心は解いたが、気を許したわけではない彼らの視線を浴びながら……懐より、作って置いた燻し肉を取り出す。

 

 

「宜しければ、これでも……」

「え、い、良いのか?」

「構いません。私一人では、食べきるまでに腐らせるだけですから……」

 

 

 というか、この為に作ったのだけれども……という言葉は飲み込みつつ差し出せば、彼らは顔を見合わせた後……では、と手を伸ばし始めた。

 

 

 そうなれば……彼らが私に幾らか気を許し始めるのは速かった。

 

 

 次いで、少しばかり腹が満たされれば……先ほどの男が雑談代わりに話し掛けてきた。なので、私はこの時の事を思って考えていた『設定』を、つらつらと語る。

 

 しかし、設定と言ってもそう大したものではないし、そこまで珍しい話ではない。

 

 ただ、相思相愛の旦那を戦に駆り出され、そのまま帰らなくなって……というだけの話だ。その間に、ちらほらと旦那との思い出を語れば……後はもう、簡単だ。

 

 

 既に私は、彼らの頭の中では『未亡人』なのだから。

 

 

 難しい事は、何一ついらない。そこに、ソレを補強する話を付け加えただけで……こちらから誘導しなくとも彼らは、やはりそうなのか、と勝手に納得してくれる。

 

 

 そうすれば、自然と……彼らの目が私に対して優しくなった。

 

 

 おそらく、自分が死んでしまった後の、残して来た妻なり恋人なりの末路を想像したのだろう。

 

 彼らとて、必ずそうなるとは思っていないが、万が一……その願望が脳裏を過っているのは、想像するまでもなかった。

 

 

 ──死した後も想い続けていてくれる。

 

 

 その妄想が生み出す幸福と優越感は、不安が常に忍び寄るこんな時だからこそ、より強く映える。そのうえ、妄想の象徴である私がいることで……さらに、明確になる。

 

 ……癪に障るのは、その妻なり恋人が私ではなく、どこぞの『敵』であるところだが……まあいい。

 

 

(さーて……彼らを慰めてやらねばな)

 

 

 機は、熟した。

 

 

 そう判断した私は、隣に座っている彼の手を取る。「どう、なされた?」意図が読めず訝しむ彼を他所に、私はその手を着物の中に……そっと、己の乳房に宛がった。

 

 当然──彼は目を剥いて驚いた。それは彼だけでなく、様子を見ていた他の者たちも同様であった──が。

 

 

「──お願いします、夫を探す金子を幾らか……」

「え、あ、あの……」

「タダでとは言いません。戦が終わった後の報奨金の一部で、構いません。この燻し肉も、差し上げます」

「し、しかし……」

「お願いします、どうか……一晩……貴方達の腕の中で……」

 

 

 そこから私は──畳みかけた。いや、正確に言えば……情に訴えた。

 

 

 

『既に夫が死んでいる事を理解しているが、それを受け入れられないで居る事。新しい旦那をと見合いを促され、村を飛び出して来た事』

 

『こうして夜な夜な戦場を渡り歩いては居るわけがない夫を探し、路銀を得る為に、これまで何度も身体を売ってきた事』

 

『己が間違っている事は分かっている。だが、諦められない。忘れられない。喪失の痛みが、胸を痛め続けている』

 

『温もりの中にいる間だけ、それを忘れられる。だから、助けてほしい。一時の間だけでも、この絶望を忘れさせて欲しい』

 

 

 

 ……と、いった具合に。

 

 

 もちろん、実際の言葉はそんな直球なものではない。あくまで、匂わせる程度だ。けれども、だからこそ、それが良いのだ。

 

 

 

 ──こういうのは、言葉に出すと覚めてしまうのだ。

 

 

 

 故に、悟らせる。雰囲気で、思い込ませる。自分たちは、何も間違いを犯してはいないのだということを。

 

 女を買うのではない。妻や恋人を裏切るのでもない。これは、人助けである。憐れな女を一晩、慰めるだけなのだと。

 

 

 そう、悟らせた。そう、思い込ませた。

 

 

 そこに来て、私は事前に……自らを、彼らの理性を剥ぎ取るには十分過ぎる、見事な肉付きに合わせておいた。

 

 成れば……後はもう、坂道を転がり落ちるかの如く、あっという間だった。死への恐怖が、足止めを掛けている理性を……抑え込んだ。

 

 境を乗り越えた瞬間は……乳房に宛がわれているだけの彼の指先に……力が入った、その時なのだろう。

 

 血走り始めた彼の目が、些か強引に衣服を剥ぎ取られ、たぷんと弾んだ……大きな膨らみに止まった……直後。

 

 

「……ヒナと、呼んで」

 

 

 ポツリと、私が呟けば……後はもう、誰も止まらなかった。私は、半ば引きずられるようにして焚き火から、小屋の中へと……。

 

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………死への逃避がもたらす狂乱で大事なのは、(にえ)となった供物のアフターフォローがある意味では最も大事である。

 

 

 

 しかしそれは、贄に対してではない。贄を使った者たちに対してである。

 

 

 

 狂乱に興じた者が、潜在的に悪性であるならばその必要はない。具体的には、『あの時は仕方がなかった、お互いに忘れよう』と一方的に思える者ならば、何の問題もない。

 

 

 だが、潜在的に善性……すなわち、『罪悪感を抱いてしまう』者たちの場合は、違う。

 

 

 狂乱に興じている間は理性を飛ばして只々快楽に身を浸していられるが、醒めてしまった後は駄目だ。僅かに隙間のある蓋から滲み出るかのように、じわじわと罪悪感が生み出されてゆく。

 

 この罪悪感に関しては、もうどうしようもない。元男であり変異サキュバスである私ですら、どうにも出来ない部分だ。

 

 

 何せ、罪悪感の正体が人によっては違う。

 

 

 言うなればソレは、一人一人が培ってきた人生であり、指針となっている背骨から生み出されているものだからだ。

 

 妻や恋人を裏切った……等という、単純なモノではない。もちろん、それが一番なのだろうが、そこだけではない。

 

 

 実際は、もっと複雑だ。当人ですら、上手く説明が出来ないぐらいに。

 

 

 当人ですら分からない事を他者が正確に把握するには、多種多様かつ膨大な経験と、類稀な天性のセンス……そして、積み重ねた客観的なデータが必要となる。

 

 

 しかし、私にはそのどれもが無い。

 

 

 元男で半分がサキュバスの変異体であるとはいえ、私が積み重ねた経験は歪だ。

 

 サキュバスとしてのセンスはあるが、類稀かと問われれば……そうでもない。客観的なデータも、持ち合わせてはいない。

 

 

 ……ならば、どうする。答えは、簡単だ。

 

 

 罪悪感を失くすのではない。罪悪感を抱いたまま、その罪悪に理由を与えるのだ。そして、与えたうえで……自らの行いが間違ってはおらず、むしろ良い事であったと思わせれば良い。

 

 

「──ありがとうございました」

 

 

 すなわち、それは……お礼を述べて、感謝の言葉を伝えるということである。

 

 翌朝……空の明るさから見て、早朝。一刻(約2時間)もすれば、茶番でしかない戦が始まろうという、その時。

 

 小屋の中、囲炉裏の傍にて……むくりと、最初に身体を起こした男に告げた最初の言葉が、それであった。

 

 

 男は、昨夜の宴にて私に圧し掛かって来た3人目の男であった。

 

 

 体格は平均的で、顔立ちは何処となく温和さを感じさせる。家族以外の女体に触れるのは初めてだったようで、私の中に入れた途端に暴発してしまった……愛らしい男である。

 

 その彼は……私を視界に納めた瞬間。ひぇ、と声にならない悲鳴を上げて肩をビクつかせた。

 

 だが、驚いたのはそこまで。

 

 直後に昨夜の事を思い出したようで、パッと身体を起こした彼は、室内にて雑魚寝している半裸の男たちと、私の顔を交互に見やった後……ふわっと目を見開き、固まってしまった。

 

 ……そこには驚きが有って、直後に困惑へと形を変え……後には、むず痒さを伴う喜びが見え隠れしているのが、私には分かった。

 

 何となく、分かる。最初の驚きは、目覚めた所に私が居たから。昨夜を思い出して平静になったところで、私からのお礼の言葉に内心にて首を傾げた。

 

 そして、最後のは……アレだ。童貞を卒業したから。

 

 それも、一生に一度会えるか否かという美女(それも、素晴らしい女体の)を相手にしての卒業。

 

 サキュバスとしての感覚では当たりだったなと少し嬉しくなる程度だが、元男であるからこそ、その喜びは痛いぐらいに想像出来た。

 

 

「……ありがとう、ほんの一時だけど、忘れることが出来ました」

「え、あ、はい、おいらも、あんたのような別嬪さんに手解きしてもらって……」

「そう言って貰えると、嬉しい限りです。しかし、これは一時の夢、私は夫を忘れられない。一時の間、私を慰めてくれた……そう思ってください」

「……分かった」

 

 

 ──あんたが、そう言うのであれば。

 

 

 私の言葉に、彼は少しばかり寂しそうにしながら、そう呟いて静かに頷いた。

 

 

 ……彼の考えている事は分かる。いや、分かるというよりは……読める。

 

 

 求められるというのは、ある意味では麻薬だ。

 

 それも、美しい異性(あるいは、同性)に求められるというのは、綿にジワジワと浸みこむオイルのように……気付けば、中毒になってしまう。

 

 

「──これ以上は、駄目」

 

 

 それを誰よりも知っているからこそ、私は指で彼の唇を上から塞いだ。ほんのりと頬を紅潮させるその姿に、私は不器用な彼の『愛』に目を細めた。

 

 

「私を想ってくださるのは嬉しいのです。それだけで、十分。子を産めぬ私よりも、子を産める者を……ね」

「──っ!?」

 

 

 私のその言葉に、何かを都合よく察してくれたようで……彼は、気難しい顔をして俯いてしまった。

 

 

「……良い子、良い子」

 

 

 その頭を、撫でてやる。本当はもう少しあなた達を愛でてあげたい……その想いをひた隠す。見張り(逃げ出した者がいるかの確認)が来ると、後々が面倒だ。

 

 

 ──生命力は補充出来たし、4分の1ぐらいでも貰えたら上出来だ。

 

 

 そんな思いで、『この小屋の裏に、お気持ち程度に金子を置いといてくれたらいい』とだけ伝えると、私は……見張りが来ないうちにと外に出て、小屋を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………そうして、森の奥へと離れて、しばしの時が流れた後。枝葉の合間に潜むようにして隠れていた私を他所に、茶番でしかない戦が始まった。

 

 しつこいようだが、茶番とはいえ、戦は戦。サキュバスの目を持ってしても辛うじて分かるぐらいにまで遠く離れた私の耳にも届く、戦場の雄叫び。

 

 剣戟の音は、聞こえない。互いを合わせても1000にも届かないから、兵士(あるいは、戦士か?)たちの進軍する音だって聞こえない。

 

 

 聞こえるのは、ただ一つ。分かるのは、ただ一つ。

 

 

 ただ、おーおー、と風と緑の臭いに混じって聞こえて来る、その音だけ。分かるのは、確かに戦が行われているのだという、気配だけ。

 

 それは、前世にて何度も耳にしたものと全く同じであった。

 

 皮肉な事に、そこだけは変わらない。世界が変わろうとも何一つ変わらない、命の奪い合いであり、殺し合いの雄叫びでもあった。

 

 

 ──どうか、お互いに出来る限り死者は出てくれるな。

 

 

 森の中で、私はただそれだけを祈る。『敵』が殺し合いするのは一向に構わない。あくまで、私個人の気持ちの問題では。

 

 だが、愛しき彼らが殺し合うのは、気持ちの問題以前に駄目だ。考えるだけで、胸を掻き毟ってしまいたくなる。

 

 だから、私は森の中で祈り続ける。どうか、少しでも早く戦が終わって欲しいと……只々、私は祈り続けた。

 

 

 ……そうして、さらに三日間の月日が流れた後。

 

 

 それは、戦いの気配が途絶えてから三日の月日が流れた事を意味する。森の中でひっそりと息を潜めていた私は、夕陽が差しこむ最中にて小屋を訪れていた。

 

 

 ……そこは、三日前と何一つ変わっていなかった。

 

 

 雨風を凌げる程度にと建てられたのが一目で分かる粗末な外観。御世辞にも清潔とは言い難い室内を覗けば……やはり、誰一人そこには残っていなかった。

 

 しかし、名残は有った。目覚めた彼らが、ある程度は掃除したのだろうが、そこかしこに跡がある。サキュバスである私には、一目で分かる程度の痕跡であった。

 

 振り返れば、焚き火の跡。懐かしさを覚えつつも、囲炉裏の傍の、彼らがいた辺りにて這いつくばると、私は……床に鼻先を近づけ……大きく息を吸った。

 

 

 ……寂しさが、胸中に広がる。

 

 

 しばしの間……私はその場から動けなかった。あれほど激しく、力強く、刹那の想いを込めて求めてくれた彼らの姿が、私の脳裏に現れては通り過ぎてゆく。

 

 戦を取り仕切っていた者たちも、こんな小屋を何度も確認しに来たりはしない。せいぜい、戦の後に一度だけ様子を見に来るぐらいで……少なくとも、今はまだ。

 

 

(……ああ、確認しなければ)

 

 

 そのまま、日が暮れるまで彼らの名残に浸っていた後。

 

 そもそもの用件を思い出した私は、後ろ髪を引かれながらも外に出て……小屋の裏手に回った。

 

 彼らには──出来るならばと前置きをしたうえで、金子を置いておくようにはお願いしていた。

 

 裏手の何処に置いておくかまでは指定しておかなかったが、全員が勝手気ままに置くことはしないだろう。

 

 あるとしたら、誰かに盗まれないような目立たぬ場所に、まとめて。

 

 金額は……おそらく、いや、間違いなく、そう多くはないだろう。

 

 彼らとて、生活がある。心の底から腹が立ってしょうがないが、子孫を残す為には『敵』の機嫌を取る必要はある。彼らの無念を思えば、私の憤りなんぞ、慮る必要などない。

 

 故に、私はそこまで期待していなかった。今回、金子が得られなくとも次があるからだ。

 

 ボタン一つで都市一つが消し飛ぶ時代ならいざ知らず、今はまだ何もかもが人力だ。三日前の戦にて、銃声が全く聞こえなかった辺り……銃器すら、おそらくは開発されていない。

 

 

 

 ──だから、次がある。焦る必要はなく、私はまた次を探せば良い。

 

 

 

 そう結論を出していた私は、特に思うところもなく辺りを探す。

 

 小屋の裏には一見する限りでは何もなく、一本の木と雑草が無造作に繁茂しているばかりで……あっ。

 

 これは時間が掛かるかなと思ったら、見つかった。

 

 具体的には、ぽつんと伸びている木の根元に、小石のピラミッドがあった。それは偶然……なんて感じではなく、誰かが意図的に設置したのが一目で分かった。

 

 思いの外、早く見つかって良かった。

 

 逸る気持ちを抑えながら、駆け寄って小石の山を取り除く。もしかしたら、穴でも掘られているかなとも思ったが、特にそんなことはなく、金子が無造作に置かれて──って。

 

 

「こんなに!?」

 

 

 露わになったソレを見て、私は思わず目を見開いた。

 

 何故ならば、そこに置かれていた金子は、想定していたよりもはるかに枚数が多く……故郷でも、早々見られなかったぐらいの……ああ、ああ……! 

 

 

「……愛しき彼らは、何時もそうだ。私に、溢れんばかりの『愛』を与えてくれる」

 

 

 

 だからこそ、余計に愛おしい。

 

 だからこそ、彼らの『愛』を横取りする『敵』が憎い。

 

 だからこそ……今は、耐えなくてはならない。

 

 

 

 涙が、零れる。胸が、破裂しそうだ。愛される喜びに頬が緩み、ともすれば……身体が、反射的に発情してゆくのが分かった。

 

 

 

 もし、この場に彼らがいたならば……私は即座に我を忘れ、彼らの股へ顔を押し付けていただろう。

 

 でも、今はいない。だから、私は……気付けば、自分で自分を慰めていた。彼らはいないが、彼らの『愛』で、私は満たされていた。

 

 彼らへの『愛』に、彼らが与えてくれる『愛』に、私はくらくらする頭で……只々、喜びに震えるのであった。

 

 

 

 




この主人公の恐ろしさは、その人外的な思考や冷酷さ、人心を動かすことに欠片の呵責が無いのもそうだけど

一番怖いのは、どんな酷いことをされてもアクロバティックな思考で擁護し、『敵』にその罪があると本気で思っている点なんだよね
しかも、男達に対してはどこまで行っても『敵』に絆されてしまった哀れな被害者として見るという、真のヤンデレという・・・
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