「担当ウマ娘が障害娘…?」   作:刻の風

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キングヘイローとの出会い

「担当ウマ娘が障害娘…?」

 

「はい…トレーナーさんには、学園の新たな取り組みである“パラブレジアシリーズ”へ出走するウマ娘を育成していただきたいんです」

 

「はぁ…?それは良いですが一体どうやってレースを行うんですか?」

 

「主に、事故等で足を失ってしまったウマ娘達のレースになります、義足の着用等でレースは行えます」

 

「義足は耐えられるんですか?」

 

「問題ありません、有馬記念を想定した練習コースでの試験も連続して183周目までは支障ありませんでした」

 

「そう…ですか」

 

「その娘達は来年度の入学生から受け入れ始めています、全国の学校でも一斉に取り入れられる予定です、尚この事は学園内では一部のトレーナーと運営委員会しか知りません、他言は無用でお願いします」

 

「はい、わかりました」

 

たづなさんに呼ばれてこの話をされたのは去年8月、そして今は4月、入学式も終え、今はパラブレジアシリーズで育成するウマ娘達をスカウトしている

 

義足は優れた性能でウマ娘の全力にも耐えうる性能がある、しかしチューニング等も含めて普通のウマ娘達よりもかなりデリケートだ、それを踏まえた上で優れた子をスカウトしたいが…

 

「勝手が分からないね」

 

「っくぅ…!」

 

「ん?」

 

「このキングの足が……軽やかに動かないなんて…」

 

「君、大丈夫?」

 

「!?し、心配は無用よ!」

 

「あー、それは縛りすぎだね」

 

「え?」

 

「固定具を強く縛りすぎてて動きが固くなってるんだよ、貸してみて」

 

そう言ってキングという少女の傍に座る

 

「ふぅん…良い筋肉のつき方してるね」

 

「当たり前よ!このキングはどんな時でも、どんな体でも完璧でなくちゃならないのよ」

 

「その筋肉も活かせなきゃ台無しだけどな…よし、これで良いでしょ、ちょっと立ってみて」

 

「…!動きが良くなってる…!」

 

「君はこの後の選抜レースに出るのかな?」

 

「えぇ、そうよ」

 

「応援してるよ」

 

「ふ、ふん!見てなさい!このキングが完璧な走りというものを見せて差し上げるわ!」

 

ーーーー

 

「さぁ最終コーナーを回って先頭は四番!フリルドバナナ!おぉっと大外から回り込んできたのは二番ブリッジコンプ!!さらに六番キングヘイローも上がってきた!!選抜レースを制するのは誰か!!このまま四番フリルドバナナが行ってしまうのか!?」

 

ーーーー

 

キングヘイローの結果は5位

 

最終直線の残り200mで突如失速し順位を上げることができずに5位に収まった

 

「よ、ここに居たか」

 

「貴方は先程の…みっともないところをお見せしましたわね」」

 

「いや良いさ、それよりもだ」

 

「…?なんでしょう、キングを嘲笑いに来て?」

 

貴方はもうレースには出られない、もう何もしなくて良い

 

自らの言葉で母の言葉が浮かび上がって来る

 

病気で片足を失ったキングヘイローに言った言葉

 

本来キングヘイローは走ることが大好きな娘だった…だが幼いある日、ある病気がキングヘイローを襲った

 

骨肉腫だ

 

幸い足を切除することで命は助けられるが、それは逆に走りというウマ娘の本能にも似たそれを失ってしまう事にもなった

 

「…貴方にはわからないでしょう…この足を失った苦しみが…自らの足で大地を走れない悲しみが…実の親から可能性を諦められる屈辱が…!!」

 

キングヘイローは震えた声でそう叫ぶ

 

「…落ち着け、俺はそんな事をしに来たんじゃない」

 

「…?」

 

「お前をスカウトしに来た」

 

は?

 

一瞬言っていることが理解できなかった

 

1着の子をスカウトするなら当然だし何も思わない、だが何故自分なのだろう

 

後半失速し無様にも5着になってしまった私を、何故スカウトするのだろうか

 

私に哀れみをかけた?

 

家柄を見た?

 

「…なぜ…何故キングを…?」

 

「可能性を感じた」

 

は?

 

親には見放されたこのキングに可能性を…?

 

何を言っているのだろう

 

「君の今回の敗因は恐らく仕掛けとパワーが足りなかった、それさえなきゃ大差で勝ってた」

 

嘘だ

 

「証拠に君は速度の上昇値の割に上がれていない、矛盾しているかもしれないけど、パワー不足の特徴だ」

 

まやかしだ

 

「仕掛けるタイミングも一つの敗因だったね、君は少し仕掛け…というか、仕掛けが仕掛けになっていない」

 

なんで

 

「これは君のスタイルを作るうちに自然と形成されていくだろう、逆に馴染みやすくて良いんじゃない?なんてな」

 

なんでそんな目でこっちをみるの

 

「さぁ、キングヘイロー…俺の手をとって一流の豪華客船に乗るか、このまま訳の分からない泥舟に乗るか、どっちにする?」

 

なんでそんな輝きに満ちた目でこっちを見て来るの

 

「…ウマ娘が足を失うことの辛さは俺には察せこそすれわからない、だがその辛さを吹き飛ばす覇道の楽しさを教えることはできる、キングヘイロー…俺と覇道も覇道、王道を往かないか?」

 

…!

 

違う、この人は、違う

 

このキングから可能性を見出してくれている

 

他の誰からも家柄を抜きにしては見向きもされなかった、この私を

 

「…一流に乗るのも又一流ってことね…よろしくお願いするわ!良いこと?一流のウマ娘たるこのキングにふさわしいトレーナーでしょうね」

 

「任せろ…全て問題ない」

 

「何から始めるの?時間は有限よ!」

 

「そうだな…まずは…」

 

そう言ってトレーナーは薄笑いを浮かべた

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