今回は霧島のライバルでありパートナー的なキャラの登場回になってます。
夢をみていた。いつものようにアイツとしょうもない事をして笑っている日常…。しかしその日常はだんだんと薄れていった。
間もなくして目を覚ました。
先ず目に入ったのは紅い天井。どうやらベッドの上で寝ているようだ。体を起こし周囲を見回してみる。
紅い壁、紅い絨毯、紅い家具…。全てが血のような紅で統一された奇妙な部屋であった。
少なくともこれは俺が知ってい日常じゃない…。寝起きの頭をフルに回転させ何があったかを思い出す。曖昧だった記憶が徐々に鮮明なものに変わっていく………。
「全く…今日も唯斗は欠席なのか?」
「そうね…ズル休みするような奴でも無いしな~。九龍も霧島の真面目さを見習えば良いのに」
「何いってんの京香ちゃん、俺超真面目じゃん?」
「下の名前で呼ぶな気持ち悪い!」
「そんなに怒るとシワが増えるよ~」
ヘラヘラとした態度で茶化すように喋る九龍。
「そろそろ怒りますよ?」
爽やかな笑みを浮かべながらも目が全く笑っていない京香。その目は猛禽類のような鋭いめだった。
「はい…すんません」
「次は無いぞ?」
京香がそう言い終えた後授業の始まりを示すチャイムが鳴る。
「授業なんだっけ?」
「数学ね」
「よし来た、睡眠学習の時間だな」
「お前よく進級できたな…」
「天才に努力なんぞ不要なのさっ!」
「何言ってんだか……」
間もなく教室に教師が入ってきて授業が始まった。
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時刻は午後4時を少し過ぎたくらい。全ての授業が終了し部活に励者や帰路に就く者、いずれもごく普通な光景だ。
「…………」
帰路に就く者で溢れる校門に九龍は居た。その横を自転車に乗った男女のカップルが通りすぎて行く。
「チッ、リア充が…爆ぜろ!」
リア充を妬みながら早々と校門の前から立ち去り家の有る方向へと歩いていく。
10分程歩いた。家まではもう5分もかからないはずだ。
しかし校門を離れた辺りからずっと妙な気配がする。誰かに見られている…そんな感じがする。
思いきって後ろを振り向く、がそこには誰も居ない。気のせいだと思い再び前を向いて歩こうとした時。
「誰だアンタ…」
そこには一人の女が居た。
「私は八雲紫よ。貴方は九龍一輝ね?」
「そうだが、何の用だ?」
「貴方、異世界に興味はない?」
「異世界?ガキじゃないんだからそんなもん信じてねぇよ」
「もし本当に異世界が有るとしたら?貴方がこれまでに見たことの無い存在が有る世界、この世界から完全に隔離された世界、それに貴方が心から望んでいる願いが叶うわ」
紫の言っている事は全て信じがたい事であった。しかし俺は紫の話に引き込まれていた。
何より、俺が望んでいる願いが叶う……。
そんな事を言われたら答えは決まっているだろう。
「ふっ、お前が言う異世界とやらに興味が湧いた」
「あら、それは良かったわ。今からでも貴方を招待してあげるわ」
そう言って紫が俺に手をかざす──。
そこで俺の記憶は途切れていた……。
そして今この部屋中深紅のいかにも趣味の悪い部屋に寝かされていた。
ここが紫の言っていた異世界なのだろうか?
とりあえず立ち上がり扉を開けて廊下へと出る。
やはり目に写るのは血のような紅。そしてかなり広いようだ。装飾の豪華さからして金持ちの屋敷か何かだろうか?
特にあても無く適当に歩き回る。それにしても照明が薄暗い。絨毯や壁の紅と相まってかなり暗く思える。
「もうお目覚めでしたか、九龍一輝さん」
不意に後ろから声をかけられて振り向く。
そこに立っていたのは銀髪のメイドだった。
「ふむ、メイドが居るという事はなかなか本格的な屋敷のようだな」
「私はここ紅魔館のメイド長を務めている十六夜咲夜です。以後お見知りおきを」
「メイド長の咲夜ちゃんね」
「そのような呼び方は止めて頂ければ幸いです」
表情を全く変えず、無表情のまま咲夜が抑揚の無い声で答える。その様子は与えられた仕事に忠実なコンピュータのような印象を与える。
「分かったよ、咲夜で良いかい?」
「それなら構いません。それより今からここの主であるお嬢様の所へ向かいます」
「そうか、了解了解」
歩き出す咲夜の後を着いていく。
しばらく歩き続けて大きな扉の前に到着した。
「ここがお嬢様のいらっしゃる部屋です。決してご無礼の無いように」
そう言うと咲夜は扉を開けて中に入る。その後を追うように俺も中に入る。
そして俺は驚愕した。何故なら玉座に座っている女の背中から黒いコウモリのような翼が生えていたからである。
「お嬢様、九龍一輝をお連れしました」
「ご苦労様、戻っていいわよ」
「失礼します」
一礼し部屋から出ていく咲夜。ガチャリという扉を閉める音が響く。
「貴方の事は八雲紫から聞いたわ。私はここ紅魔館の当主であるレミリア・スカーレットよ」
「どうも、よろしくお願いします…」
「かなり緊張してるようね。」
「そりゃ、その翼とか色々ね…」
「幻想郷については何も知らないようね。特別に私が説明してあげるわ」
レミリアは幻想郷について説明を始めた。
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「と、なるとお嬢様はヴァンパイアであると?」
「そうよ、理解が早くて助かるわ。」
まぁ細かい所はたいして分かっていないんだけどな。
「それはどうも」
「そしてここからが本題なんだけど、貴方を雇いたいの」
「雇う?俺をか?」
「えぇ、ここ最近人手が不足していて大変なのよ。貴方が働けばこちらは衣食住を提供するわ。互いに利がある良い取引だと思わない?」
確かにこの幻想郷には人を襲う妖怪等も居るといっていたしここは素直に従った方が良いかもな。
「分かった、ここで働く事にしよう」
「賢明な判断をしてくれてこちらも助かるわ。仕事の内容については明日の朝伝えるから今日は部屋に戻って休みなさい」
「分かった」
一言だけ言い早々と部屋から出る。
何だか妙な威圧感があり疲れた。あまり長話はしたくないな。
そう思い来た道を戻り、自分が寝かされていた部屋へと戻る。
「どう?紫、これで良いのかしら?」
一輝の出ていった部屋でレミリアはそう言った。
「そうね完璧よ」
それに反応して紫がスキマから出てきた。
「一つ聞かせて欲しいんだけど、どうして一輝をここで働かせるのかしら?」
「そうね…後々の展開に便利だから、としか言い様が無いわね」
「……その後々の展開ってなんなのよ…」
紫の曖昧な答えにレミリアはため息混じりに問う。
「幻想郷を守るために重要な事なのよ」
そう言って紫はスキマの中へと消えていった。
「相変わらず肝心な事は喋らないわね…」