幻想郷陰謀録   作:霧島㈱

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どうもです
今回も珍しく早めに更新できました。
暇潰し程度で読んでくれたら有難いです。


4聖獣の化身 九龍編

香霖堂で用を終えた俺は紅魔館に帰るため再び空を飛んでいた。背中に大剣を背負っているため飛べるか不安であったが特に問題無いようだ。

 

人里から離れ深い森に差し掛かった時…何かが見えた。

 

「妖怪…なのか?」

 

木々に阻まれ詳しくは見えないが人間には見えない何かがそこに居た。数は4匹。そしてそれらから逃げるように走っている…恐らく人間であろう。妖怪達の方が走るのが速い。このままではあの人間は捕まるであろう。

助けるか…それとも見なかった事にするか。しかし俺が行った所で4匹もの妖怪を殺す事ができるのか?

あれこれ考えている内に逃げていた人間は妖怪に追い付かれたようだ。妖怪は鋭い爪を振り上げジリジリと近づく。

 

「目の前で死なれるなんて後味が悪いからな!」

 

背中のツヴァイヘンダーを抜刀し人間に最も近い妖怪の元へ急降下する。

こちらの存在に気づく前に降下のスピードを利用してツヴァイヘンダーを妖怪の頭に叩きつけた。

悲鳴を上げる間もなく妖怪は縦に真っ二つに切り裂かれた。どす黒い血を撒き散らしながら左右に分かれた妖怪の死体は倒れた。

襲われていた人間は何が起こったのか理解できていないようで目を見開いて座り込んでいた。

 

「そこの人間!さっさと逃げろ!」

 

そう言われ我に帰った人間は立ち上がり走り出した。

残る妖怪は3匹さっきの奴は不意討ちでたまたま倒せたに過ぎない。しかし俺には逃げようという気は微塵も無かった。何故なら俺には分かったからだ。俺には能力が備わっていると。

残る3匹の妖怪達は仲間を殺された事に逆上し怒りの咆哮をあげている。緑色の鱗に覆われた体。骨まで噛み砕けそうな大きな口。そして長く鋭い爪。

 

「かかってこいよ、カエル野郎が!」

 

その言葉を皮切りに襲いかかってくる3匹の妖怪。

妖怪は驚異的な跳躍力で跳びかかってくる。だが俺にはその動きはスローモーションのように見えた。妖怪が突き出した爪を横に避けると同時に右手に持ったツヴァイヘンダーで妖怪の腹を突き上げる、と同時に俺は能力を発動した。

燃え盛るツヴァイヘンダー、腹部を突き刺された妖怪は内側から炎で焼かれる。傷から流れ出した血は地面に落ちる前に蒸発していく。

残る2匹はさっきまでの威勢は無くなりこちらを見ている。炎で焼かれ炭化した妖怪だった物を投げ捨て再びツヴァイヘンダーを構える。2匹の妖怪が同時に跳びかかってくる。が、その2匹が俺の元に到達する事は無かった。

ツヴァイヘンダーを横なぎに振るう、その軌道を追うように炎の壁が形成される。

飛んで火に入る夏の虫とはまさにこの事か、と思わせる程2匹は炎の中へ跳び込み体を焼かれ絶命していった。

 

「なんだこの程度か…」

 

妖怪というのだからもっと居きるかか死ぬかの際どい戦いを繰り広げられると思ったんだがな…。ま、それだけ俺が強いって事か。

 

「あ、あの…」

 

後ろから声をかけられ振り返る。さっき俺が殺した妖怪に襲われていた人間だ。見た感じ物凄く貧弱に見える。

 

「まだこんな所に居たか。さっさと逃げろと言ったのに」

 

「あ…すいません…」

 

「別に良いさ、このとうり妖怪は全て討伐したからな」

 

「助けていただきありがとうございます」

 

「この天才の手にかかれば妖怪退治なんて楽勝よ!悪いが俺は用事があるからそろそろ行かなければならない。アディオス少年、また会おう」

 

少年に別れを告げる。ツヴァイヘンダーを背中の鞘に戻し空を飛ぶ。さっさと紅魔館に戻らなくては。

 

 

~~~~~~~~~~

 

間もなくして紅魔館に到着した。

門の前に着地するが門番である美鈴の姿が無かった。疑問に思いながらも門をくぐり大きな扉を開け紅魔館の中へ入る。

 

「ようやく帰ってきたのね、って何でそんなに血塗れなのよ…。それにその妙に大きい剣」

 

中へ入ってまずパチュリーに声をかけられた。今になって気づいたが妖怪の帰り血を浴びて血塗れになっていた。

 

「まぁ色々あってな、それよりなんで皆ここに集まっているんだ?」

 

「スキマ妖怪が私達に頼みごとがあるみたい」

 

「はぁ~い、八雲紫のご登場よ」

 

八雲紫…俺を幻想郷に招待した張本人である。

 

「で、今日は何の用があって来たの?」

 

レミリアが紫に尋ねる。

 

「単刀直入に言うわ、この紅魔館で何かの異変を起こしてほしいの」

 

「異変?どうしてそんな真似を?」

 

「今はその事について知る必要は無いわ。貴女はただ異変を起こす。そしてそれを解決に来た者と戦えばいい」

 

「はぁ~相変わらず重要な事だけは言わないわね。でも貴女の頼みなら仕方ないわね、それでどんな異変を起こせば良いのかしら?」

 

「そうね、なるべく主犯があなた達だと分かる異変だと助かるわ」

 

「そうね…紅い霧で日光を遮るというのはどう?」

 

「良いんじゃないかしら、タイミングは任せるわ。それと九龍、貴方には大役を引き受けてもらうわ」

 

「大役?俺に何をしろと?」

 

「この異変の解決には博霊の巫女と共に霧島唯斗が来るわ。貴方には霧島と戦ってほしいの」

 

「霧島が来るのか!?」

 

「えぇ、私がそう仕向けるわ」

 

霧島と戦える…。しかもここでは能力を使える。奴も恐らく何かしらの能力を手にしているだろう。これは面白い、実に愉快だ。

 

「あぁ、俺に任せろ!」

 

もはや断る理由が無い。今度こそ奴に勝つ。

 

「ちょっと待って、九龍にはまだ能力を使った戦闘なんて早いんじゃないかしら?そもそも能力を使えるかも分からないんじゃ…」

 

紫との話にレミリアが口を挟んできた。以外にも俺のことを心配している…のかな?

 

「その点は心配ない、俺は能力を使えるし現にさっき能力を使用して妖怪を殺した」

 

「あまり見境なく妖怪を殺すのは関心できないわね」

 

確かに殺したのは間違いだったかもしれないが…人間、しかも少年が襲われていたんだ仕方が無い事だと割り切ろう。

 

「人間が襲われていたんだ、仕方ないだろ」

 

「で、その妖怪を殺した九龍の能力って何なの?」

 

レミリアが尋ねてくる。

 

「俺の能力は4聖獣の力を操る程度の能力だ」

 

「4聖…獣……?」

 

何の事か分からないのかレミリアは首を傾げている。

 

「4聖獣っていうのは中国に伝わる聖獣ですよ。それぞれ守護する方角があって東の青竜、南の朱雀、西の白虎、北の玄武で、更に中央を守護する麒麟を加える場合もあります」

 

説明をしたのは美鈴だ。そういえば美鈴はチャイナ服を着ているし中国の事については詳しいのかもな。

 

「そ、そんなの知ってたわよ!」

 

なんか今のやり取りで俺のレミリアに対する見方が変わったかもしれない。何て言うか弄ると楽しそうだ。

 

「ちゃんとした能力が使えるなら大丈夫そうね、貴方と霧島の戦い楽しみにしてるわよ」

 

「是非とも期待してもらいたいな」

 

紫はスキマを展開しその中へと入っていった。

 

「全く、あの妖怪が来るとロクな事が無いわね」

 

レミリアが呆れた様子で言う。

 

 

 

「紫様、どうしてこのような事を?」

 

紫の作り出したスキマの中で式神である八雲藍は主人である紫に尋ねた。

 

「試す必要があるのよ、あの二人…特に霧島をね」

 

「だからと言って不必要な異変を起こすというのは……」

 

「いいえ、この異変は必要な物よ。もう時間がないの…。それに想定外の事もあり得るわ」

 

「………………」

 

式神である藍にも紫の思惑は理解しかねるようであった。




今回で九龍編はとりあえず一段落です
次回からは通常編を更新します
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