クソザコ種族・呪われし鎧(リビングアーマー)で理不尽クソゲーを超絶攻略してみた【web版】   作:へか帝

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沼のキノコたち

 沼地を超え、平らなキノコを上を踏み進むことしばらく。

 群生するキノコの性質が、更に危険性を増してきた。

 

「こいつらは一体なにと戦っているんだ……?」

 

 怪訝に呟くリリアの視線の先には、極めて攻撃的な特徴のキノコ群がそれはもう生え散らかっていた。

 とにかく目を引くのが、網目状のベールを下ろしたような真紅のキノコ。

 柱のような大きさもさながら、このキノコ、なんと網のスキマから断続的に火炎を放射している。

 四方八方へ炎を吹き出す姿は凶悪そのもの。自発的に襲ってはこないが、非常に脅威度が高い。

 

 そしてそのふもとを取り囲むのは、鋼のように硬質なキノコ。ところ狭しと大群で密集する生え方は、シメジを彷彿とさせる。

 表面は鈍い灰色をしており、その色合いは金属特有の光沢そのもののようだ。

 どうせキノコだろうという先入観ゆえにキノコとわかったが、別の場所で目の前に差し出されたらネジやボルトに見間違えそうだ。

 というかこれ、ネジに加工できるのでは?

 キノコらしからぬ直線的なフォルムをしているので、軸の部分に切り込みを入れるだけでネジ部品にできる気がする。

 こうした金属部品は、村のシャルロッテが求めそうだ。

 

「あの銀のキノコ、採取してみよう」

「……大丈夫なのか?」

「おそらくな」

 

 燃え滾る炎を噴出するキノコに近づき、火炎に手を突っ込んでみる。

 やはり。ダメージは無かった。

 それほど高熱ではないのか、俺の鎧を溶かすだけのパワーはこのキノコにはないらしい。

 見境なく炎を撒き散らすキノコがなんの障害にならないとわかったので、吹きつける炎を浴びながら俺は根本にあった大量の銀のキノコを採取した。

 

「無茶をする」 

「便利な体だ、使わないと損だろう。それにいい土産になる」

「まあ、シャルロッテは喜ぶだろうが」

「本当は向こうのアレを持って行ってやりたいんだが」

 

 見やった先にあるのは、同じく金属光沢を放つキノコ。

 ただし今採取したものより数段巨大だ。俺が採取したネジっぽいキノコの成体だろう。

 傘が肉抜きされた歯車のような形状になったキノコが密集するように群生しており、傘のギアが複雑に噛み合って駆動回転している。

 中央には同じく火炎放射するキノコの姿もある。

 幼生時に守られた恩を返すように、今度は鋼のキノコが火炎放射のキノコを砦のように囲み守護している。

 ともすれば、あれが鋼のキノコが回転する動力なのか?

 

 あちらを採取したい気持ちも山々なのだが、成体は危険性が段違い。

 なにせ近づくものを拒むように、あるいは燃え盛る炎を守るように外周部が回転ノコギリのようになったキノコが火花を散らし高速回転しているのだ。

 回転する円の外周に鋭い刃が並んだあのキノコであれば、俺の鎧の体など容易く切り裂くだろう。

 

「まあ、無駄な危険を冒すつもりはない」

 

 あくまで本筋は霧の根絶。

 金属キノコの採取は、霧が晴れてリリアが同行してないときにまたすればいい。

 みすみす俺の鎧が破損するようなリスクを背負う気はなかった。

 

「それより、足元を見てみろ」

「ふむ、これは……」

 

 沼から俺たちを守る足場のキノコ。その上に木片のようなものがまばらに散らばっている。

 その一つをリリアが拾い上げガスマスク越しに眺めると、すぐにその正体に気づいた。

 

「神殿蜂の巣の欠片か!」

 

 欠片の模様は、無数の褐色が入り混じるマーブル模様を描いていた。

 これは確かに神殿蜂のピラミッドのような巣の壁面と同じものだ。

 それが砕け、あたりに散らばっている。 

 つまりあの女王蜂の姉妹の巣がこの近くにあったことを示しているのだ。

 

「目的地は近いぞ」

「向こうに行くほど欠片が大きい。行ってみよう」

「おう」

 

 霧で先の見えない攻略だが、着実に進んでいたようだ。

 俺たちは大きな欠片の多い方向へ意気揚々と進み、そして慎重になっていった。

 キノコでも巣の欠片でもないものがそこらに落ちているのを見つけたからだ。

 それは、息絶えて地に落ちた蜂の姿。

 

 リリアが近づき、死んだ蜂の様子を見る。

 

「キノコに寄生された様子はないな」

「そいつはおそらく無事だった巣の方の調査隊だろう。霧の毒にやられたか」

「今まで無事だった蜂がこの辺りでは死んでいる。ここは毒が濃いのか」

「毒が濃いということはつまり、進んでいる道があっているということだ」 

 

 俺たちに代わり、調査隊の蜂が霧の濃さを身を以て図ってくれている。

 とにかく視界が悪く、進む道のヒントはどれだけあっても足りない。

 蜂たちの命でできた羅針盤だ。ありがたく参考にさせてもらおう。

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