【まるで蜘蛛の】転生したら多脚戦車に乗ってるんだが【行進】   作:NTK

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待たせたな!

すまない、書くと言った矢先に胃腸炎でダウンしてたんです…

今回は通常形式です。また、13巻の一部ネタバレを含みます。


亡霊に抗う死神と煙霧

「少佐、少しいいか?」

 

プロセッサーが集結して数日が経ち、体勢を立て直し新たに形成した陣地への指示を出しているなか、エルマンは一人の青年に呼び止められた。

 

「君は?」

 

「グレン・アキノ。見ての通り整備士だ。アンタ個人に関わる大事な話がある。話が話だけに場所を変えたいのだが…」

 

「…わかった。ダスティン、あとは頼んだ。この指示書通りにやれば問題ないと思うが、何かあればすぐに連絡してくれ」

 

「はい少佐!」

 

ダスティンに残りの指示を任せ、二人は仮拠点の一室へと足を運んだ。

周りに誰もいないことを確認すると、エルマンはグレンに問いかけた。

 

「それで、話とは?」

 

「……本当は言うかどうか迷ったが、どちらかがくたばっちまったら無意味になると思ってな。アンタの事は他の奴から知ってるし、昔何があったかもな…だからこそ言う。俺は、《アリス・アライシュを知っている》」

 

「‼︎」

 

その言葉を聞き、エルマンは思わず目を見開き、ある可能性が思い浮かんだ。

それは、アリスが整備士となって生きているのではというものだったが、それならば先ほどの前置きに矛盾が生じてしまう。

だとすれば残る可能性は一つだけであり、エルマンは覚悟を決め、グレンに話しかけた。

 

「……大丈夫だ、話してくれ」

 

「わかった。彼女は……5年ほど前に戦死した」

 

「っ!そう、か…。彼女はレギオンには…」

 

「連れてかれてはない。一人だけ生き残ったガキんちょが頭の一部を持って来たからな。無論、墓は作れないから近くの教会みたいなとこに埋葬した。場所は教える。弟についても、収容所内で病死したと聞いた」

 

グレンの目には、平静を装っているエルマンに深い悲しみと後悔、そして怒りの感情が見えていた。しばらく押し黙っていたエルマンだったが、やがてゆっくりと口を開いた。

 

「彼女のいた戦隊と、その時の状況は?」

 

「……ハルバード戦隊で、あの時は人員不足の中での出撃だった。あれは明らかに無理のある出撃だと感じたよ」

 

「…そうか、ありがとう。……すまないが、席を外してはくれないか。一人に、なりたいんだ…」

 

「あぁ、了解した…」

 

正直言って彼の感情的に戦隊名を教えるべきではないと思っていたが、そうしなければ今後に関わると感じたグレンは正直に答え、その場を後にした。

退出して廊下を歩いていると、レーナの姿が見え、彼女はグレンに話しかけた。

 

「グレン曹長、エルマン兄…ヘイズ少佐を見かけませんでしたか?今後について話が…」

 

「この先にいるが…今は会わない方がいい」

 

どういうことかとレーナが問おうとした時、奥の部屋からエルマンの慟哭と共に何かを叩きつけるような大きな物音が聞こえてきた。

 

「っ⁉︎一体何が…」

 

「あの人に伝えたんだ、アリスのことをな…だから今は、そっとしておいてやってくれ…」

 

その言葉で事情を把握したレーナは悲痛な顔を浮かべ、踵を返していった。

一方でエルマンは蹴り飛ばした椅子のそばで壁に拳を叩きつけていた。

 

「あ"ぁぁ…!うぅ……!すまない、アリス……!」

 

わかりきっていた事だが、いざそのことを知らされると感情が抑えられず、あのままであればグレンに八つ当たりをしかねない状況であった。

ただ、おかげで分かったことがあった。ハーヴェスターは彼女ではないと言うことだけでも彼にとっては救いであり、これで討伐に一切躊躇せずにできると安堵していた。

 

「…【ハルバード戦隊】か…。確か、()()()()()()()()()()()()…」

 

どこか暗い目をしたエルマンがそう呟くと、彼は資料のある場所へと向かって行った。

翌日の早朝、一人のハンドラーが拳銃自殺をして死亡しているとエルマンから報告を受けてレーナは何かを察して表情を強張らせたが、何も言わずにいたのであった。

 

そして、エルマンは自身の傘下の者たちを集め、ある指令を下した。

 

「…と言うわけだ。危険な任務だが、今しかチャンスは無い。頼めるか?なるべく俺もやっていくつもりだが…」

 

「…いえ、わかりました。少佐の命令なら喜んでお受けします。我々も、この国の暗部をこのまま闇に葬るわけにはいかないと思っていますので」

 

「そうか…ありがとう」

 

彼の出したこの指令が、後に彼が内心募らせている共和国への憎悪をさらに増す事に繋がることと、ある救いが成される事になるのはまだ知らないのであった。

 


ギアーテ連邦

 

電磁加速砲型(モルフォ)撃破任務を控えたシン達は新たな搭乗機の状況をチェックし、待機場へと向かっていた。

《レギンレイブ》と名付けられたそれは彼らにとっては見た目が酷似しているジャガーノートと愛称を付けられてはいるが、その性能は元のジャガーノートとは比べ物にならない性能を持っていた。

 

元々グレーテの提案で機動性に長けたフェルドレスを開発しようとしていたが、防御性能がどうやっても犠牲になるため開発が難航していたが、レギオンの駆逐戦車型(キュッヒェンシャーベ)が現れた事で状況が一転。撃破したソレらの残骸を回収、解析する事で機動性と防御性能を両立する手段を得ることができ、さらにはシャーリーやシンらの機体も解析しそれらのデータを統合した結果、開発当初より高い防御性と機動性を持つことが出来たのであった。

 

待機場に着いたシン達はライデンやシャーリーらと他愛の無い会話をしているうちに、共和国の話題が挙がっていた。

 

「…少佐たち、大丈夫かな…」

 

「またその話?大丈夫よ、エルマン中佐や貴方達の言う少佐がそう簡単にやられたりはしないわよ。シン、まだレギオンは共和国にいるのでしょ?」

 

「あぁ「数は減ったりしてる?」それも確認している」

 

「ならまだ中佐達は生きてるわ。そうじゃなきゃレギオンが減るなんてことないもの。早いところ状況を打破して、あの人たちを助けに行きましょ」

 

淡々と語る彼女にシンは内心感謝していた。

少し前にシンがレギオンの位置を把握できると知るやいなや、シャーリーらは共和国の現状を聞き出し、首都まで潜り込まれていると聞いても先の言葉と似たような事を言い、エルマン中佐や少佐の生存を信じていた。もし、彼女が居なければ今頃は少佐は死んだものと考えて、半ば自暴自棄になっていた事だろう。

シャーリーを始めとした元エルマン配下の者たちは皆士気が高く、共和国の状況を聞いてもこうして前向きに状況を捉え、一刻も早くこの状況を変え、エルマン中佐に直接会って礼を述べたいという思いで今を戦い抜いていた。

 

既に戦い以外の目的を見出している彼女らに触発されるように、シン達も戦い以外の目的を見出すべく、まずは作戦を成功させ、少佐に会うことを目標として結束を強めていたのであった。 

 


共和国

 

ネクロマンサーは何度目かわからない配下の同じ報告に無い首を傾げていた。

比較的若い共和国軍人と思われる複数人が、幼いエイティシックスらを何処からか連れ出しているという報告であるが、彼にはそれが不可解であった。

 

(ふむ…何故共和国内部に彼らが……?あぁ、そういえばスレ民達が言っていたな。エイティシックスの中には幼い内に白ブタ共から生きた玩具代わりに買われている者もいるとか。アレらはその生き残りか?だが何故こんな状況で救出を…いや、こんな状況だからこそ《飼い主》を通さず助けているといったところか…)

 

ちなみに、彼らに関しては一切危害を加えるなと命令を下している。その方が面白そうだと彼が感じたからであり、食い扶持が増えればある程度締め上げる事も可能という建前もある。

尤も、それ以上の数の共和国人を捕獲、または殺戮しているし、偶に威嚇射撃のみ許可して遊んではいるが。

 

今行われている火事場泥棒的救出劇の事はともかく、相手の戦術だが、どうも途中からスレ民に話した通り、戦力に妙な偏りがあり、市民の数が多い癖に防衛するジャガーノートの数が少ないところが幾つかあった。しかも攻め込むと早い段階で半ば見捨てるように撤退している事もあった。

…まるで、彼らを殺すなり捕まえるなりしてくれと言わんばかりの有様であった。

 

(ここ何日かでエルマンとやらが白ブタ共に愛想が尽きたような出来事でもあったか?しかも居るのは大人ばかりときた。今の思想を変えられる可能性のある子供はなるべく守っているといった具合か?まぁ、真実はどうであれ、早いところノルマを達成して殲滅といくか……ん?)

 

何か重要そうなデータを見つけたらしい部下の報告を受け、ネクロマンサーは送られたデータに目を通す。初めのうちは何のことだかわからなかった彼だが、読み進めてく内にその内容に戦慄し、人間の底無しの悪意に辟易した。

 

(こんな…こんなことが、許されるはずが…⁉︎どこまでもこの国の連中は…!)

 

《ネクロマンサーよりこの地域近辺に滞在する各機に告ぐ。速やかに当該地域より離脱せよ。その際のあらゆる殺傷行為を禁ずる。また、先のデータの入手先には何か目立つものを設置せよ》

 

元々ネクロマンサーはこの身体の持ち主の境遇を知ってこの国を殲滅する事を決めた者である。故に『この情報』は同じくこの国に嫌悪を抱いているであろうエルマンの手に渡らせておこうと考えたのであった。

 

それに、とネクロマンサーは思案する。

彼らが今やっていることと、『この情報』は関連性が高い為、長年戦ってきた仲としての手助けとしての意味合いもあった。

 

(願わくば…このクソみたいな計画に巻き込まれた、哀れな《仔鹿(アクタイオン)》達に、救いがあらんことを…)

 


 

共和国 一時避難所

 

話さなければ、と白系種(アルバ)の中年男性は思っていた。

いつの間にか幼いエイティシックスが増えている事に気付いていたが、その一人の顔を見て顔を青ざめていた。何せそのエイティシックスの少女は《自身が関わった計画》の被験者だったからだ。

 

ソレに会わなければ、死ぬまで黙っておこうとしていたが、再び見た彼女らの顔と、彼女らを見る、現在軍の実質的リーダーであるエルマンの優しさを持った目を見てしまったら、当時軍に脅されていたとはいえ、孫娘と変わらぬ歳の彼女達にあんな事をするのは良心を咎めていた事もあり、孫娘を侵入してきたレギオンに殺された今、黙っているわけにはいかなかった。

 

「あ、あの…エルマン中佐…」

 

「…ん?どうかしましたか?」

 

「お話したいことが。私の…共和国の恥ずべき罪についてです…」




【悲報】エルマン、白ブタに完全に愛想が尽き、共和国に対して闇堕ちする【仕方ないね】

なぉ共和国内のエイティシックス救出は火事場泥棒したデータから飼い主を見つけて《お話》して詳しく聞いて実行した模様。

だけど救出対象を差別してる時点で彼らと本質は同じなんだよねブヘヘ(人の心)

いや〜自分は実は12巻のラストの流れからダスティンが白ブタ側のスパイじゃ無いかと勘繰ってたんです。
となるとエルマンくんがあぁなるのは確定事項だったので、仮に白ブタのスパイならダスティンを戦死(処刑)するハメになっていたので確定するまで待っていた次第です。

…まぁその結果、別方面でエルマンの鬱・曇らせ&共和国ヘイトが加速する事態になったんですけどね。

次回は掲示板方式に戻ります。
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