聖遺物の守護者っていうありふれない職業で無敵。   作:気まぐれな富士山

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第13話

〜ウルの町 北側 外壁付近 早朝〜

 

「さて、敵の状況は?」

『今、サイドスワイプが偵察に向かっている。』

「外壁の方はどうだ?」

「レッカーズとハジメさんの連携で先程完成したです。」

「村人の避難は?」

「ジャズとバンブルビーが警護に着いてる。愛子たちの協力もあって、村人たちはあまり警戒していない。」

「よし。で、当のハジメさんは?」

「今は、銃の手入れをしてる。」

「OK。こいつぁ、勝ち戦って奴だ。今は早朝、敵の軍勢は恐らく夕方頃到着する。サイドスワイプから連絡が入り次第伝令を入れる。それまで休んでくれ。何、勝てるさ。圧倒的な戦力差というやつを見せつけてやろう。」

『うむ。』

「はいですぅ!」

「了解。」

 

魔人族の軍勢が近づいていることを住人に伝えると、やはり混乱が巻き起こった。

重役に責任を問う者、泣き叫ぶ者、我先にと逃げ出し、喧嘩を始める者···············

しかし、それを治めたのが、我らが豊穣の女神こと畑山愛子先生だ。

この町も、先生には恩義がある。

元からあった知名度と先生の凛とした態度に心打たれ、住人たちは冷静に、逃げる者と残って出来ることをする者の2つに別れた。

 

「お疲れさん、ハジメ。調子どう?」

「アイアンハイドに意見を貰ってな。ドンナーとシュラークを改造出来た。オートボットの技術は流石だな。」

「ほほう··········まあ、今回は勝ち戦だな。」

「南雲くん!西田くん!どうですか?何か手伝えることはないですか?」

「おー先生。もう殆ど終わってるから、大丈夫っスよ。さっきの住人達への説明、流石でしたよ〜。」

「やめてくださいよ〜。」

 

これはお世辞じゃない。

この人は、俺には計り知れない物を持っている。

だからこそ、俺は今でもこの人を先生と呼ぶのだろう。

 

「西田くん。黒ローブのことですが···············」

 

黒ローブ。

竜人族のティオを闇魔術で洗脳し、操作した者。

そして、今回の魔物の大群(スタンピード)の最重要人物。

 

「言わずもがな、確保の方に考えてるよ。とりあえずは連れてきて、状況によって収容する。殺害はしない。」

「ありがとうございます··········。」

「·····そんな気ぃ落とさないで下さい先生。これは先生がどうこう出来た問題じゃないでしょう?」

「そうですが··········、いえ、そうなんでしょうね·····つくづく、無力感を感じます。」

「····················」

 

『先に生きる』と書いて先生。

『生きるに従う』と書いて生徒。

先に生きるから、従う者達を導く。

しかしそれは、今を生きる全ての者達への呪いなのだろうか。

受け取り方は人それぞれだが。

 

「取り敢えず、先生は高みの見物決め込んで下さい!俺たちはどうにか出来るんで。」

「うっ··········それはそれで担任としてダメですから!」

 

つくづく、この人は先生なのだろう。

どこまでもどこまでも先生で、教師であり続ける人。

 

「全く··········飽きないな。」

 

さて、ハジメの手伝いでもするか··········

 

「これよりお主を、『ご主人様』と呼び、妾の全てを捧げよう!身も心も全てじゃ!」

「帰れ。むしろ土に還れ。」

「は?どういう状況?」

 

ゾクゾクと身体を快感に震わせてるティオ。

汚物を見る目でさらにティオの快感を上げるハジメ。

落胆、というか色々抜け落ちた顔をしているユエ。

 

「あぅぅ··········その、汚物を見るような目··········さらにドン引きしてる周囲からの視線··········ゴクリッ··········」

「お前みたいな変態は募集していない。帰れ。とっとと逝け。」

 

ドMの竜人族vs厨二病リア充愛妻家。

vsダークライ。

 

「ほら、妾実は強いんじゃぞ?里では男衆に組み伏せられたり、痛みらしい痛みを受けたことは一度もないし。特に耐久力には自信があるのじゃ。それに、竜人族の調査も、世界を巡るご主人様に着いて行くのが一番効率いいからの。」

「··········俺にメリットがない。」

「旅の途中でそういうのを催した時は妾を使ってよいのじゃぞ?あんまり他には出来ないことも、妾は耐えられるから、むしろそっちを望んでおるからの?」

「今ので確信した。変態は、いるだけでデメリットしかない。」

「まあまあ。ハジメハーレムに入れてあげれば?背高いし、パイ乙も大きいし、何よりそういうプレイも出来るんだぜ?ここは楽しんでいこうよ。ね?」

「巫山戯んな。変態はお前の得意分野だろ。」

「いや、そこな男は、別にどうも思っておらん。」

「よし、山に埋めてこよう。最初にこいつを組み伏せて気絶させたの本当は俺だけど捨ててこよう。」

 

そんな話をしていると、サイドスワイプが帰ってきた。

 

『敵の軍団が近いぜ。もう後30分ってとこだろう。』

「··········っ!こっちでも感知した。数は五万強ってとこだろう。」

 

予定の数より多い。

だが、だからなんだという話である。

 

「先生。戦えるヤツらを壁際に待機させてくれ。オプティマス!コンテナを使え。」

「わ、分かりました!」

『了解した。オートボット、戦闘準備!』

「西田くん!君をここに立たせた先生が言えたことではないですが··········どうかご無事で··········!」

「任せてください。俺を誰だと思ってるんスか。」

 

仕事の大半はオートボット達がやってくれる。

俺もアイアンマンスーツで攻撃し続ければいい。

ハジメは特注の武器でゴリ押すだけ。

ユエ、ティオの2人は魔力の限り魔法を撃ち続ければいい。

シアも同じく。

 

「勝ち戦··········と思ってもいいが、気は抜くなよ。」

「当然だ。あ、それと··········」

 

突然俺の足元がハジメの錬成によって即席の演説台が造られる。

 

「パニックを起こしてフレンドリーファイヤでもされたら堪らないからな。士気をあげる言葉、頼むぜ。」

「えーいきなりだな··········」

 

士気をあげる··········印··········。

旗··········!

 

「こいつを錬成しといてよかったぜ··········!」

 

それは、救国の旗。

白く、黄金に輝くその旗の名は。

 

「例になぞって、我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)と名付けよう。」

 

その旗を振りかざし、高らかに叫ぶ。

 

「聞け!この戦場に集いし、勇猛なる者達よ!」

 

緊張感にざわめいていた町が静寂に包まれる。

 

「本来この地に存在しない戦乱を巻き起こした我々に背中を預けよ!神の眷属たる我々が、貴公らの剣となり盾となり!この町を守ってみせよう!」

 

旗を振りかざし、振り返る。

 

「見よ!これが、豊穣の女神、愛子様の教え子!現人神の眷属の力である!」クイッ

「了解·····。」

 

ハジメのシュラーゲンが空を切る。

空中を舞う魔物の群れに届いたかと思えば、空中の軍団が破裂していく。

 

「ナイスだ。後は俺が··········!」

 

悠然と振り返り、旗を突き刺し叫ぶ。

 

「愛子様、万歳!」

 

これも全て愛子先生の力だ、と言わんばかりに叫ぶ。

 

「「「「「「「愛子様、万歳!愛子様、万歳!愛子様、万歳!愛子様、万歳!愛子様、万歳!」」」」」」」

 

今、ウルの町は1つになった。

一人の人間を現人神に持ち上げて、今ここに一人の神が誕生したのだ。

愛子先生から抗議の目が向けられるが、知ったことではない。

 

「さーてと。行きますか。」

「おう。」

「うん。」

「ですぅ!」

「うむ。」

『構わん。』

 

気負いなく。しかし、圧倒的に。

 

「アッセンブル!」

「「「!?」」」

 

戦いの火蓋が切って落とされた。

 




・我が神はここにありて『fetaシリーズ』
救国の聖女、ジャンヌ・ダルクの旗。特殊な効果は付与されていない。

・サイドスワイプ『トランスフォーマー』
オートボットの特攻隊長。シボレーのコルベット・スティングレイに変形する。両腕のブレードで戦う。

次回、戦闘シーンです。
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