聖遺物の守護者っていうありふれない職業で無敵。   作:気まぐれな富士山

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ひっさびさの投稿!もう誰も読んでない?うるせぇ書くんだよ!


第15話

 

「運べ、肉雫ロ妾。」

 

護廷十三隊、四番隊隊長である卯ノ花烈の斬魄刀。

大きなエイみたいなやつが口の中に二人を入れて運んでいく。

 

「…………それがお前の決断か。シンジ。」

「おう。やっぱこれしか思いつかなかった。」

 

2人とも助ける。

西田シンジはそう決断した。

 

「殺すことが、最重要じゃない。重要なのは、最短で元の世界に帰ること、だろ?ならコイツが重要になる。」

「は?何が…………まさか、あるのか?」

「ああ。清水を回復させ、洗脳する。そんで魔人共の情報を聞き出して、全滅させるかどうにかするって訳だ。」

「ほう…………なかなか考えるようじゃの。」

「その案なら、乗ってもいい。」

「ということだ。とりあえず、今日は勝利の宴と洒落こもうじゃないか!俺たちは英雄だ。今日は飲むぞ〜!」

 

空元気、というか、虚勢を張っている。

それは自分でもわかっていた。

ああは言ったが、別に清水を生かしておく理由もない。

それでも、だ。

 

(俺たちは、まだそっち側に行く時じゃないと思うんだ。今は、まだ…………)

 

甘い幻想だとは知っている。

しかし、そこを捨てれば自分はどうなるのか。

野良畜生に堕ちる?人間として生きる?

そんなことはわからない。

しかし、今はその時ではないと、逃げたのだ。

 

「お前、酒飲めないだろ。」

「こーゆーのはノリでいいんだよ!俺らも18だし。」

「み、未成年の飲酒は許しませんよ〜!!」

 

そして覚悟した。

いつか訪れる未来を。

人を殺す、それがどれほどのものなのか。今の俺、西田シンジにはわからない。

記憶として刷り込まれた人殺しの記憶。そこまでやっても、それはただの映像に過ぎないのかもしれない。

 

 

 

 

 

時刻は夜。宴会はまだ続いているが、シンジは外に出て、体育座りで星を眺めていた。

 

ザッ「宴の主役が何やってんだよ。ったく…………」

「お、ハジメ。お前もか。」

「シーザーかよ。…………どうしたんだ、お前。あれからちょっと元気ねーけど。」

「んー…………まぁな。色々あったと言えばそれまでだけどさ。」

 

夜空に煌めく星を眺める。

涙を流す訳でもないのに上を向いて、ぽつぽつと語り始める。

 

「俺さ、あの時迷ったんだ。清水を殺そうか殺さまいか。」

「ッ……………」

「殺しても、別に問題はなかった。魔人族の情報が有ろうと無かろうと、死体から情報を収集することもできたんだよ。だけど、俺はしなかった。出来なかったんだ。」

「…………………」

「笑えるよな。俺はお前と同じように強いと思っていた、思いたかったんだ。でも、結局俺も腰抜けだった。お前は今まで、地獄のみたいな日々を潜り抜けてきたってのに、俺はまだまだ甘ちゃんだったよ。……………なぁ、ハジメ。」

 

立ち上がり、顔を合わせる。

 

「俺は、お前の隣に立っていいのかな。」

「シンジ……………」

「この先、お前たちは必ず試練に向かい、人を殺すこともあるかもしれない。その時、俺は果たして正しい選択を出来るのかな。」

 

全てを捨てて、元の世界に帰ることを目指すハジメ。

しかし、そこに果たして自分は必要なのか。

西田シンジの、純粋な悩みだった。

 

「…………シンジ。俺は別に、正しいとか正しくないとかを求めちゃいない。」

「ッ………!」

「お前がどうしたいとか、そういうのもお前が決めることだ。パーティを離れたいならそうすればいいし、お前のすることを俺は否定しない。だけど……………」

 

ハジメも立ち上がり、夜空を見上げる。

銀色のガントレットが夜の明かりに光る。

 

「俺にはお前が必要だよ。シンジ。」

「ハジメ……………」

 

何も言うことは無い。

ただ、ハジメにはシンジが必要だと。ただそれだけ。

 

「まぁ、深く考えずに進もうぜ。俺とお前が合わされば、世界最強だからな。」

「…………そっか。サンキュー、相棒。」

「気にすんな。お前も早く、こういう悩み事が話せる嫁を見つけろよ。」

「俺は巨乳のお姉さんがタイプなんですぅ〜!ロリコンのチミと違って!」

「だ、誰がロリコンだ!てか、ユエはロリじゃねぇぞ!」

「合法ロリがなんぼのもんじゃい!お前昔からロリ好きだっただろ?」

「だーから!ユエはロリじゃねぇって!」

 

何かが吹っ切れたように、そしていつものように笑い始めたシンジ。

 

「…………………」

「ユエさ〜ん。おや、ハジメさんとシンジさんを眺めているのです?」

「うん。ハジメには、やっぱりシンジが必要。2人の友情は、とても綺麗。」

「ご主人様があれほど笑顔になるのも、あの者の前のみじゃからの。なんとも不思議な存在じゃ。」

「それに、とんでもない魔力量。強さ的にも申し分ない。パーティに入るという話、案外幸運かもしれない。」

 

ハジメハーレムの3人は、各々別の意味で、シンジに興味を惹かれていた。

 

(本当にハジメと釣り合うのか…………)

(ハジメさんの邪魔者じゃないのか……………)

(果たして妾より強いのか……………)

 

「「「これからが楽しみ(じゃの)(です)。」」」

 

頑張れシンジ!理想的なパートナーが見つかるのは、まだまだ先のようだぞ!

 

「俺にも彼女が欲しぃィィィィ!!!」

 

 

 

 

 

〜翌朝〜

 

「もう行ってしまうんですね。西田くん、南雲くん。」

「えぇ。色々迷惑をかけてすみません。」

「迷惑だなんてとんでもないです!2人のお陰で、この村は救われました。それはかけがえの無い事実です。」

「救ったのは俺たちだけじゃない。俺とハジメ、ユエちゃんにシアちゃん、ティオさんにバンブルビーにオプティマス、もちろん先生も。英雄は1人じゃないんだぜ。」

「西田くん…………」

「ほら、お前もなんか言え。次いつ会えるかなんてわからないんだ。」

「……………また会ったら、その時はよろしく、お願いします。」

「はい!もちろんですとも!」

 

頼もしいそのセリフは、生徒たちの背中を押していく。

話しながら車に向かう。

 

「キザなセリフだったなシンジ。カッコイイぜ。」

「うっせ。お前こそ思春期拗らせかよ。」

 

背中を叩きながら乗車しようとすると、既に3人は集まっていた。

 

「あれ、シンジさんはバンブルビーに乗るんじゃないんです?」

「大型が何台も並んで走ってたら、旅先で邪魔だろ。俺が助手席、女性陣は後部座席ね。」

「む、それは狡い。ハジメの隣は私。」

「そう言うなよユエ。シンジなら、いつでも運転代われるからな。運転変わったら後ろに行くよ。」

「むぅ…………わかった。」

「となると、誰か1人また助手席に行かないとですね。」

 

「「「ええぇ………………」」」

 

「なぁんで皆さん不服そうなんですかねぇ…………俺だって別に顔が悪い訳じゃないのに。」

「そういう問題じゃない。」

「そういう問題じゃないです。」

「そういう問題じゃないのじゃ。」

「辛辣スギィ!」

「全く、お前といると飽きないな。それじゃ、行くぞ。」

 

車は発進し、次の街へ。

 

「俺たちの冒険は、ここからだ!」

「いや終わらねぇよ。」

 

 

 

〜番外編 無敵の証明〜

 

 

 

「シンジさんて、本当に強いんです?」

 

旅の途中、砂漠に入る手前で出た話題。

 

「うん。技術はわからないけど、魔力量はすさまじい。アイテムの効果だって本人は言ってたけど、多分天職によるもの。」

「そしてあれほどの機動力を持った機械兵を無尽蔵に生み出せる…………敵に回したくは無いの。」

「だけど、性格はあんなのですし…………」

「あんなのってなんだお前。」

「ハジメさん!聞いてたんです?」

「性格の辺りからな。まぁ確かに、クセは強い。でも、敵に回すと厄介だぞ。試しにホレ、アレ見てみろよ。」

 

シンジの近くには、モンゴリアンデスワームのようなキモイ生物が数匹襲いかかっていた。

 

「あれ、結構まずくないですか!?」

「まぁ見てろって。」

 

スっと懐から短刀を取り出したかと思えば、深く牙突のような構えをとった。

 

「来るぞ。」

「ッ!?これは…………っ!」

 

シンジから有り得ないほどの魔力紛いのナニカが溢れ出てくる。

 

「まさか…………あの小さい刃物で!?」

「短刀やない。あれがアイツの斬魄刀や。」

「ハジメ、何その喋り方。」

「ネタだよネタ。ほら見てみろ。」

 

「卍解…………殺せ、神殺鎗。」

 

瞬だった。

何かが空気を一閃し、近くの丘諸共吹き飛ばしたのだ。

 

「やっぱり威力はピカイチっと…………」

「どうだユエ。シンジは、どう見える?」

「一瞬だけど、魔力みたいな何かがとんでもなく濃くなった。あれは…………魔力衝撃?」

「ちょっと違う。あれは霊力。霊圧が濃くなったのは、刀の真の力を解放する技、卍解によるものだ。そしてあの刀の名は神槍。卍解、神殺鎗となった。」

「その、かみしに?の効果はどんなのなんです?」

「単純だ。刀身が伸びる。それだけだ。」

「それだけ?それだけでどうしてあそこまでの威力があるのじゃ?」

「それは、その伸びる距離と速度にある。神殺鎗が伸びる速度は劇中だと音速の3倍。その距離は、約13kmだ。」

「13………?どのくらいです?」

 

キロメートルや音速という言葉は前の世界のもの。

この世界では、例えが難しい。

 

「あー、音速の3倍はな。」パンッ

 

劇中の真似をして手を叩く。

 

「この音がお前の耳に届くより3倍早いって訳だ。」

「?よくわからないですけど、とんでもなく早いってことですか?」

「まあ、そういうことだ。そして13kmは、だいたいここから次の街くらいの距離だ。ヤツはそれだけのリーチのある斬撃を一瞬で出せる。射程範囲が次の街までってことだ。」

「ひ、広すぎです!?」

「だからこその、神殺鎗。神をも殺す一撃ってことだ。」

「それであの威力………とんでもないのじゃ。」

「それだけじゃない。あいつは中々見せないが、あいつには全て尊き理想郷(アヴァロン)がある。」

「また知らない単語………どういうもの?」

「致命傷でも死なない。かすり傷を負っても死なない。即死以外なら死なない。って言ってた。つまり、あいつがアヴァロンを保有している限り死なない。」

「…………倒せるんです?」

「無理だな。それだけじゃなく、約束された勝利の剣とかATフィールドも持ってる。攻守において完璧だが、発動条件というものがある。アヴァロンは体内に埋め込んでいない限り自発的に発動させなきゃならん。だけど、それ以外の防御アイテムで即死を防ぎ、瞬時にアヴァロンを使う。アイツの無限ループだよ。」

「無限…………確かにこれ、擬似的な不死と同じ。」

「そう。戦っても勝てない、戦おうとも思わない、それがアイツの理想だよ。」

「つまりそれが本当の」

 

 

 

 

「無敵…………ってやつだよ。」

 

 

 

 

「ただま〜。そんじゃ、出発しますか。って、なんでみんなちょっと引いてんの?」

「いや…………なんというか、ちょっと引くな。」

「どうしてシンジなんかが……………」

「なんかってなんだよ。ユエちゃん、俺にだけ辛辣だよね。」

「シンジさんごときが…………意外です。」

「お主名前なんじゃったかの?」

「え?俺いじめられてる?泣くよ?大の男が大泣きするよ?」

 

旅路は、まだ途中。

 

 

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