聖遺物の守護者っていうありふれない職業で無敵。   作:気まぐれな富士山

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第17話

 

突如、救助を求めギルドに飛び込んで来たのは、元クラスメイトの遠藤だった。

シンジは記憶を探り、彼の天職が暗殺者だったことを思い出す。

 

「なるほどねぇ。気配遮断のスキルで走って応援を呼びに来た、と。」

「ぼ…………僕が不甲斐ないせいで、皆がやられちゃうんだ!」

 

遠藤は語り始めた。

今現在、勇者チームがギリギリの戦闘状態にいると。

兵士が足りないから、今すぐ戦力な欲しいと。

そして、それを自分のせいだと自責の念を語った。

 

「そ、それより、お前ら南雲と西田だよな?なんだよ、その姿………ていうかなんでこんな所にいるんだ?」

「彼らは金ランクの冒険者だ。依頼を受けて私の所へ来たんだ。」

「金ランクって…………あっ!それなら、2人が助けてくれ!金ランクの冒険者なら、かなりの戦力になるはずだから…………」

 

遠藤が前を向いてみると、ミュウを膝に乗せてそっぽを向いているハジメと、ミュウと遊ぶシンジの姿があった。

 

「おーミュウどうだ?上手いか?お兄ちゃん特製歌舞伎揚げは。」

「おいしいの!ザクザクなの!」

「シンジのよりも、パパ特製のポップコーンの方が美味いよな〜ミュウ?」

「こっちもおいしいの!パクパクなの!」

「おっふ………最高だぜ。」

 

そんな様子の2人に憤りを覚えたのか、思い切り机を叩く遠藤。

 

「そんなことやってないで!こっちの話を聞けよ!」

「うわーん!パパー!」

「おい、こいつ今うちのミュウに八つ当たりしたか?」

「どうするハジメ?処す?処す?」

「わ、悪かったよ!とにかく話を………!」

「話なら聞いてた。ようするに、勇者チームがやべぇってことだろ。だが、俺たちが救援に向かう利益がねぇ。せめてなんかしらの報酬がないとな。」

「うぐっ、そ、それは……………」

「出せないんなら交渉決裂だ。アイツらがいなくても、俺たちは先に進むぜ。」

「シンジの言う通りだ。話は以上か?」

「ど、どうしろって…………」

 

さっきまで興奮していたのを尻目に意気消沈する遠藤。

なんとなく空気がしんみりとした時、部屋の静寂を破ったのは……………

 

「パパ、お兄ちゃん、助けてあげないの?」

「ミュウ……………」

「そ、そうだ!白崎は、どうするんだ!八重樫も!」

「あぁ………?」

「ひっ………だ、だって2人とも仲良かっただろ?か、借りを返さなくていいのかよ!」

 

いつも影が薄く、自己主張の少ないクラスメイトだった彼が、一丁前に啖呵を切って来たのだ。

 

「…………へぇ、やるじゃん。」

「え…………?」

「口は立派だったが、後は行動だけだな。その煽り文句買ってやるよ。」

「シンジ、どうする気だ?」

「俺はしずっ………八重樫と白崎に借りを返しに行く。アイツらが死ぬのは惜しい、ってのもあるが…………お前は行かなくてもいいぞ?俺一人でやれる。」

「…………だったら俺も行く。 俺も白崎には借りがあるからな。」

「それなら私達も。」

「もちろんです!」

「仕方ないのじゃな。」

「南雲……西田…………ありがとう!」

「事は一刻を争うんだろ?だったら、ハジメのパイルバンカーで下へ降りよう。ハジメたちが先に行って、俺はここの入口から下っていく。敵さんの逃げ場も無しってことだ。」

「うん。シンジの案に賛成。」

「そんじゃあ、白崎&八重樫への倍返し、+‪α勇者チーム救出作戦、スタートだ!」

 

 

 

 

「後から追いつくからよ。ミュウ!パパにしっかり着いてけよ!」

「わかったの!お兄ちゃんもまた後で!」

 

パイルバンカーで作った穴に落ちて行くハジメ一行。

それを尻目に、シンジはあるものを用意していた。

 

「えーと、これか。」

 

バイクのハンドル型のベルト。

そしてミニ信号機のようなガイアメモリ。

 

「さぁ、全てを…………振り切るぜ!」

『トライアル!』

「変……………身!!」

 

信号の音ともに鎧を纏い、色が変化していく。

最後の青信号とともに高い音が鳴り響き、シンジは突っ走った。

音速に近い速度を出す代わりに、防御の一切を捨て走る姿。

それこそが、仮面ライダーアクセル、トライアルフォーム!

 

「オラオラオラ!」

 

ものすごい速度で階層を爆走していく。

 

「ガァァ!!」

「邪魔だ!」

 

敵のモンスターは、振り切るか蹴り飛ばすかして超えていく。

通常、トライアルフォームは使用者のエネルギーに乗じてマキシマムドライブを発動した時、その速度は音速に達する。

しかし、シンジの膨大な魔力によってエネルギーを肩代わりしすることで、通常のマキシマムドライブ時に限りなく近い高速移動状態をキープすることが出来るのだ。

 

「ここからなら…………おっ。」キキッ!

 

何階層下りただろうか。

見覚えのある場所だ。ベヒーモスのいる第60階層まで通じているアーティファクトがあることを思い出した。

 

「これに触れば…………」

 

石に触れると突如ワープし、ベヒーモス一体とスケルトンの大群が現れる。

 

「こいつは、こうだ!」

 

トライアルを解除し、アクセルメモリにガイアメモリ強化ブースターを装着する。

 

『アクセル!アップグレード!』

「さらに向こうまで、振り切るぜ!」

『ブースター!』

 

体から蒸気を発しながら黄色い姿へ変化する。

 

「とっとと決めるぜ!」

『エンジン!マキシマムドライブ!』

「ハッ!」

 

高く飛び上がるのと同時に全身のエンジンブースターから炎を射出し、空中を飛行する。

専用武器、エンジンブレードにエンジンメモリを刺し、マキシマムドライブを放つ。

 

「ハァァァッ!」

 

道を塞ぐベヒーモスに突撃し、スケルトン達を無視して行く。

Aの形に切り込み、ベヒーモスを撃破する。

 

「よし!」

『トライアル!』

 

再びトライアルに変身し、走り出す。

 

「まだまだ、振り切るぜ!!」

 

目的の階層まで、もう少し。

 

 

 

 

 

 

「クソっ!どんだけ出てきやがるコイツら!」

「メルドさん!しっかりしてください!」

 

勇者チームは圧倒的な魔物の数に押されていた。

戦士長のメルドもやられ、香織は治癒に手一杯だ。

 

「攻撃来るぞ!」

「鈴!お願い!」

「ダメ………もう魔力が……!」

「まずい!」

 

防御約の谷口鈴の魔力が足りず、絶体絶命の危機に陥る。

 

「どいて!ここは聖域にて、神敵を通さず!聖絶!」

 

治癒師、白崎香織の咄嗟の判断でどうにか助かった。

 

「ッ………うっ………!」

「香織!大丈夫!?」

「雫ちゃん………うん。まだ、やれるよ!メルドさんの傷はとりあえず塞いだけど、動かさないで!」

 

強がってはいるが、かなりまずい状況だ。

ほとんどのメンバーの魔力が枯渇しており、次の攻撃を防ぐことは難しいかもしれない。

 

「ハッ!やるねぇ!でも、またまだ魔物はいるよ!」

 

キメラのような魔物を召喚し、ブレスを貯め始める。

 

「勇者といえど呆気なかったねぇ。さっさとその首を差し出しな!」

「クッ、ここまでか………!」

 

諦めかけた、その時。

天井から強烈な一撃が落ちてくる。

 

「な、なんだ!」

 

とんでもなく大きな棒。

何かに押し出されて飛び出てきたように、蒸気を発している。

 

「い、一体何が…………」

「全く、役に立たないな。勇者ってのは。」

 

さっきの一撃で出来た穴から、男が降りてくる。

続いて金髪の少女、兎人族の女性、和服の麗人、海人族の少女と続いて、ふわっと着地する。

 

「うわぁぁ!うげっ!」

 

最後に、救援を呼びに行った遠藤が情けなく落ちてくる。

 

「み、みんな…………助けを呼んできたぞぉ…………」

「遠藤!」

 

救援にざわめく勇者チームを無視しながら、状況を確認するハジメ一行。

 

「ユエ。勇者どもを守ってやってくれ。」

「任せて。」

「シアは俺と魔物の殲滅、ティオはミュウを守りながら援護を頼む。」

「任せるのじゃ。」

「はいなの〜!」

 

戦場が硬直し、ハジメたちが動き出す。

 

「チッ!誰だか知らないが、邪魔するならアンタらでも殺すよ!」

「ハッ、俺は邪魔者なら神だって殺す。お前は、俺の敵みたいだな。」

「そんなに強がるなら、この魔物の軍勢をどうにかしてみな!」

 

探り合いをしていると、道の奥からドドドという音が聞こえてくる。

 

「なんだ………!?この音!」

「これ、バイクじゃねぇか!?」

「やっと来たか。」

 

ものすごい速度で戦場を駆け巡り、青い何かが戦場の真ん中に現れた。

 

「あれ、ハジメたちの方が早かったか。」

「そりゃそうだろ。お前こそ、よく走ってこれたな。」

「トライアルを舐めんなよ?とんでもねぇスピードだからな?」

「アンタら、いい加減にしな!」

 

痺れを切らしたように魔物が襲ってくる。

 

「おっとっと、それならモードチェンジだ!」

『アクセル!』

 

トライアルを解除し、仮面ライダーアクセルの通常フォームに戻る。

 

「あ、アンタ一体なんなんだ!色がコロコロ変わりやがって!」

「俺に質問するな。」

「行くぞ、シンジ。」

「了解、振り切るぜ!」

 

走り出し、魔物の軍勢に切りかかる。

ハジメも愛銃のドンナーとシュラーゲンで応戦する。

 

「オラオラァッ!」

 

研ぎ澄まされたエンジンブレードの前に、脆い魔物たちは無力だった。

 

「まとめてやるぞ!」

『ヒート!』

 

ガイアメモリを切りかえ、ソウルメモリであるヒートメモリを差し込む。

 

「行くぜ!」

『マキシマムドライブ!』

 

バイクモードに自分の体を変形させ、体に炎を纏う。

 

「オラァァァッ!」

 

炎の塊となり、敵を蹴散らしていく。

 

「絶望がお前たちのゴールだ…………」

 

爆散していく魔物たち。

 

「す、すげぇ…………」

「ハジメ!そっちはどうだ!」

「もうすぐ終わる!」

 

敵を蹴散らしていると、親玉らしき褐色肌の魔人が怒りに震えている。

 

「ふざけるんじゃないよ…………!」

「おいおい、戦争しかけておきながらそりゃあねぇぜ?狩るか狩られるか、結局はそれだけだろ。」

「喧しい!こうなりゃヤケだよ!こいつを使うしかないか………!」

 

懐から何かを取り出そうとする。

 

「させない………!」

「待て、ユエ。」

「シンジ……?どうして止める?」

「魔人族がどの程度の魔術を有しているのか、図らせてもらおう。」

「ハッ、舐められたものだね………くらいな!」

 

取り出したのは謎の水晶。

中にはスノードームのように何か黒いものが渦巻いている。

 

「こいつは暗雲の水晶!お前たちの嫌な記憶を蘇らせ、魔物の肉を媒体に蘇らせる!」

「ッ!?まさか!」

 

黒い煙に巻かれて出てきたのは、仮面ライダーアクセルの宿敵にして、作中トップクラスの能力を有したドーパント…………

 

「ウェザー・ドーパント!?」

「ハハハハッ!トラウマみたいだねぇ!さあ、アンタは自分のトラウマに勝てるのかい!?」

「なんてこった…………」

 

思わず不満を零すシンジ。

 

「アイツ、なんなんですぅ!?」

「わからない…………でも、今まで見たことない性質の魔力…………!」

 

ウェザー・ドーパントは天候を掌で自在に操る。

能力だけなら、この場の誰よりも強い。

 

「さぁ、さぁさぁ!倒せるものなら倒してみなよ!」

「こいつぁ…………」

 

頭を抱えるように顔に手を当てるシンジ。

 

「シンジ…………」

「……………プッ!プハッ!アハハハッ、ハーッハッハッハ!!」

 

突如爆笑し始めるシンジ。

 

「な、何がおかしい!」

「いやぁ、まさか変身してるこのライダーのトラウマが出てくるとは、思いもしなかったぜ。」

「…………は?」

「おーっと、分からないそこの人に解説だ。聖遺物には精神が、魂が宿っているのさ。だからこの仮面ライダーアクセルのトラウマが蘇ったってわけ。まぁ、ソイツが相手なら手っ取り早いや。」

『トライアル!』

「アンタに見せてやるよ。トラウマは、超えるために存在しているとな!」

 

トライアルメモリを差し込み、再びトライアルフォームに変身する。

 

「変……………身!」

『トライアル!』

 

高い音ともに青いスリムな体に変身する。

 

「さぁ、振り切るぜ!」

「チッ!やっちまいな!」

 

手から雲を出し、落雷や台風といった現象を引き起こすウェザー・ドーパント。

しかし、トライアルフォームとなったシンジは余裕の表情だった。

 

「見せてやる!トライアルの真の力を!」

 

トライアルメモリをベルトから外し、変形させる。

 

『トライアル!マキシマムドライブ!』

「フッ!」

 

メモリのストップウォッチを起動し、高く弧を描くようにメモリを投げる。

 

「やれ!」

 

無数の雷がシンジを狙ってくる。

 

「無駄だぜ!」

 

全ての雷を躱しながらウェザー・ドーパントに辿り着き、一撃を当てる。

 

「ハッ!」

 

顎に一撃を当て、そして右へ、左へ蹴っていく。

その攻撃の速度はどんどん上がっていき、脚が分身するほどの速度が出る。

 

「ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!」

 

青い脚がTの字を描き、ウェザー・ドーパントにダメージが溜まっていく。

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

10秒ほど経過するのと同時に、メモリが落ちてくる。

 

「セリャァァァ!」

 

「な、なんてスピードだ…………」

「速すぎです!」

「目で追えない………どれほど防御を捨てたらあそこまでになるのか。」

「あれがアイツのフルスロットル、てことだな。」

 

メモリをキャッチし、ストップウォッチを止める。

 

『トライアル!マキシマムドライブ!』

「9.8秒!それがお前の絶望までのタイムだ!」

 

ウェザー・ドーパントは爆発し、魔物の肉片のみが残る。

変身が強制解除され、シンジの姿に戻る。

 

「やっぱり魔物は魔物だな。本物は、もっと強かったぜ?まぁ、戦ったことないけど。」

「ク、クッソォ!!」

 

確かに出てきたのは強力な魔物だったが、今回は相手が悪かったということだろう。

 

「取り敢えずお縄に着けよ。助かるかもよ?」

「はっ、どうせ殺すつもりだろう!」

「それはそっちの対応次第。決して裏切らないという誓いがあるなら見逃すさ。ただし、今のアンタにそんなものは欠片もないと思うけどね。」

 

ジリジリと距離を詰めていく。

 

「ッ…………!死にな!」

 

突如亜空から魔物が爪を振り下ろす。

しかし、数発の弾丸が3つの頭を穿いた。

 

「させるわけねぇだろ。」

「ナイスハジメ!流石俺の相棒だぜ!」

「ったく、食えねぇヤツだ。」

「クソッ、クソが!」

 

地団駄を踏み、悔しがる魔人族の女。

 

「なんだい………………なんなんだいアンタら!無尽蔵の魔力を持った半人に、吸血鬼族に竜人族!オマケに馬鹿の亜人に、あまつさえ人間ごときに!アンタら、本物の化け物だよ!」

「化け物、ねぇ。俺たちにとっちゃ褒め言葉さ。そんで最後の言葉にしては味気ねぇな。」

「覚えときな!いつかアタシの彼氏が、アンタらを殺す!」

「はいそれ減点。俺たちは神をも殺す。邪魔は許さない………………終わりか?それじゃあ、死にな。」

 

手に持ったエンジンソードを喉元に沿わす。

 

「止めろ西田!その人を殺すな!」

「シンジ、気にしなくていいぞ。」

「………………いや、お前がやってくれ。ハジメ。俺は…………そこの馬鹿を調教してくる。」

「分かった。」

「っ!?南雲!止めるんだ!」

 

引き金が引かれ、魔人族の女が殺される。

昂りを見せる天乃川の前にシンジが立ちはだかった。

 

「な……!なんてことを!」

「あのさぁ、お前今の自分の立場わかってんのかよ。天乃川。あの女はお前たちを皆殺しにしようとしたんだぞ?さらには、俺たちに刺客をしかけた。報復されるコイツが馬鹿だった…………ってことだろ。」

「あの人にも家族がいた!守る物のために戦っていたんだ!」

「それじゃあ、お前は何のために戦ってんだ?アイツが正義なら、お前は悪か?魔人族が正義なら、人間は悪か?」

「それは…………!!」

 

口ごもる天乃川。これが勇者とは思えないような情けない姿だった。

 

「ほら、答えられない。そんなんだからお前は大切な者を守れないのさ。」

「ぐっ……!!」

「おや、図星かな?全部言い当てられてしまったかなぁ?」

 

煽り口調で天乃川を挑発する。

まんまと乗せられるように、綺麗事を吐いた。

「でも…………それでも!人を殺すのは悪いことだ!決してしてはならないんだ!」

「………予想通り。全く、期待外れだぜ。」

「ちょっとシンジ!流石に言い過ぎじゃ…………!」

「情をかけて強くなれるのか。ソイツが…………魔人族を倒せるくらい強くなれるのか?雫。」

「それ、は………………」

「こっちは終わった。シンジ、行くぞ。」

「おう。…………とりあえず引き上げだ。戻るぞ。」

 

 

 

 

 

「……………………」

「またこんな所に…………何してるの、シンジ。」

「お、ユエか。いんや、なんでもないさ。こうして星を見上げたい時もあるのよ。」

「センチメンタル………………いや、シンジの場合は脆弱メンタル。」

「それ、うちの国では豆腐メンタルって言ってたわ。懐かしい。」

「トーフ……?なに、それ。」

「豆をどうこうするとな、こう、プルプルのものになるんだよ。日本古来の食事…………ソウルフードってやつだ。」

「とにかく、柔らかいメンタルって言う事ね。それなら、確かにシンジに合ってる。」

「おおう…………今日はやけに毒舌ですな。何かあったのかよ。やっぱ、白崎が入ったことか?」

 

大勢の知人の前で行われた白崎の公開プロポーズ。

振られた後にまさかの吹っ切れてチームに入るという展開。

今まさに、ハーレムが進行してるのである。

シンジ的には全くもって腹立たしい。

 

「何かあったのはそっちの方。あのダメ勇者のこと、気にかけてるんでしょう?」

「………………考え中。コメントは控えさせて頂く。」

「そう………………まあ、シンジの選択なら特段気にはしなくて良いと私は思ってる。」

「おや、俺はどこでそんな信頼を勝ち取ったんでしょうね?」

「一緒に旅をしてわかったけど、シンジには弱点がある。」

 

弱点と言われ、シンジも背筋が伸び、真面目な雰囲気が漂う。

 

「シンジは、優しすぎる。人を殺すことに躊躇が無いとは到底思えない。でも、ハジメはそんな優しいシンジを仲間として受け入れている。それはきっと、シンジが『妥協しない』ところだと思う。」

「妥協しない?どういうことだ?」

「優しさにも、厳しさにも、何事にもシンジは妥協しない。だから、全てにおいて強いし、全てにおいて弱い。長所であり短所。この世で最も突きづらい弱点。」

「………………そんなつもりは無かったんだがな。でもありがとう、お陰で覚悟が決まった。」

「どういたしまして。あなたのようなチームメイトを励ますことも、私の役目。」

「それ、愛の告白と受け取ってよろしい?」

「頭と踵をくっつけてみる?」

「菩薩峠くんじゃねーか!」

 

 

 

 

「……………それが、お前の決断か。シンジ。」

「おう。まぁ、時間はかからないと思うぜ。この世界のため、ひいては俺らが最短距離で帰るための必要事項だ。天乃川は俺が鍛え上げる。」

 

シンジの決断は、勇者である天乃川光輝を鍛え上げることだった。

勇者を鍛え上げ、民衆からの支持を得て、最終的に魔人族を倒す。

効率的といえば効率的だった。

 

「…………わかった。ただし、やるならキッチリやれよ。」

「おう。またな。」

 

ハジメ一行が車に乗ろうとした時、ミュウがこちらに寄ってくる。

 

「ミュウ。ちょっとの間寂しくなるけど、我慢しろよ。」

「パパたちがいるから、全然寂しくないの!」

「それはそれでお兄ちゃん傷ついちゃうな。SAN値がファンブルで発狂しちゃうぞ?」

「でも、お兄ちゃんと一緒にいたかったの……………また、会えるの?」

「……………あぁ、もちろん。ミュウが助けを呼べば、俺は世界のどこにいても君の元へ行くよ。」

「!お兄ちゃん、大好きなのー!」

 

小さい体で、シンジを強く抱きしめるミュウ。

 

「ッ!……………俺も大好きだよ、ミュウ。」

 

別れの挨拶をして、走り去る車から手を振られる。

 

「シンジさーん!また会いましょう!」

「シンジ!いつでも待っておるぞー!」

「アイツら………………うおぉぉぉ!!愛してるぞお前らー!!」

「チョロいですね。」

「チョロいのじゃ。」

 

チョロい男、シンジによるクラスメイト強化計画が始動した。

 

 

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