転生したらメカ少女だった件   作:ふJふHしあいHだHぢさ

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注意:ドワルゴンの“魔装兵計画”が若干原作とは違い“人間に兵器を埋め込む”というものとなっています。かなり悪くかかれていますが、嫌な方はプラウザバックをお願いします。



機甲少女の生きる道

 

 

 

 

「俺は恐らく、世にも奇妙な生まれ方をしたと思う」

 ガラスの破片が散らばった水溜まりの世界にて。

 腰をついて倒れる彼に、俺はそう語りかけた。

 

 これは、俺がこの世界に来る際の話だ。

 来るといってもそれは俺が望む形ではなかった。

 俺が神に望んだのは、メカ(ロボット)だった。

 しかしふたを開けてみれば、メカ(少女)だった。

 明らかに制作者の性癖が出た、ロリ体形なのにはもう何も言うまい。

 俺への絶対命令権とやらを確保されていて、俺の意志に関係ない、屈辱的な行為をされることもしばしばあった。

 心底嫌だった。

 心の底からの、嫌悪感だった。

 前世での嫌な思い出など、それこそなんとも思わなくなるほどに。

 今考えれば、何故俺はあのときに死のうとしなかったのだろうか。

 

「そんなの、決まってる」

 

 そう。

 そうだ。

 

「俺の身体に、僅かとはいえ“ロボ”の面影があったから」

 

 何が起こっているのか分からない、といった顔の彼にこれだけは伝えておく。

 これまでの人生は最悪だった。

 しかし、今世には前世では有り得ない“ロボ”の可能性があった。

 俺の背に備え付けられた、“白金の兵器”が彼へとその銃口を向ける。

 貴方のおかげで、俺はまだ生きようと思えたんだ。

 

「感謝している。最後には、処分なんて馬鹿なことをしようとしたけれど、それでも貴方は俺の生みの親だ」

 

 今までは、縛られ続けた人生だったけれど、ここからは俺の物語。

 誰にも、邪魔されることは許さない。

 俺が何をするのか理解したのか、彼は顔を歪ませて叫ぶ。

 

「ま、待て!お前は余りにも危――――――――」

 

 ズドンッ

 

 俺は迷わず引き金を引き、彼の脳天に穴をブチ開けた。

 

 

 

 ・

 

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 ・

 

 ・

 

 

 

 

 

 俺は彼の生死を確認した後、すみやかに現在の自分についての確認に移行する。

 研究所の上にいる奴らが、俺の暴れっぷりに気づかないことはないだろう。

 そのために戦闘の準備を始めなければならない。

 腰に搭載された“兵器”のエネルギー、残弾数を確かめていく。

 

 

 ――――――――俺は転生者だ。

 神を自称する存在と出会い、気づけば科学に囲まれた世界にいた。

 しかもロボじゃなくて少女だったし、なんか実験体みたいなポジションだった。

 

 身体中を鎖や楔で縛られて、いかにも超危険物体な感じで研究所の奥底に隔離されていた。

 碌に身動きも取れず、ただ過ぎていく時間に辟易としていたのは事実だったが、それはそれで楽しかった。

 なぜなら、俺の身体には“兵器”が搭載されていたからだ。

 

 俺の背と腰、脇を覆うように展開する“兵器”は俺の好奇心を満たしてくれた。

 何時間、それこそ何年経っても眺めつづけられたぐらいには、俺の満足のいく“ロボ”だったのだ。

 

「サイボーグ人間。つまり、機械と人間の融合化ってことさ」

 

 そんなことを制作者の彼は悲痛な面立ちで教えてくれたけど、俺はそれを聞いたときは正直興奮した。

 サイボーグ。

 つまり完全なロボというわけではないが、ほとんどロボに近いと言ってもいいだろう。

 例えるならワンパンマンのジェノスか。

 心は人間、しかし身体は機械で出来ている、というわけだ。

 萌えないわけがなかった。

 

「そ、そんなに嬉しがるものか……?かなり非人道的なことをやっているつもりなんだが」

 

 不思議がる彼の言葉は耳に入らず、俺はただ嬉しさで舞い上がっていた。

 そんな俺を見つめる彼の目も、たぶんだが優し気だったと思う。

 その会話は数分にも満たない時間だったが、俺には至福の時間に感じられた。

 

 しかし、その安寧の日々も長くは続かなかった。

 なんと、いつのまにか俺の処分が決定していたのである。

 理由は分からない。

 たぶんだが、臭い物に蓋をしようとでも考えたんだろう。

 久しぶりに研究者達の前に晒された俺は、絶対命令権によって自殺やら自己破壊を命じられた。

 その身を壊せーとか、コアを潰せーとか。

 もうね、そんときに俺はブチギレたんだよ。

 このロマンの塊ともいえる身体を壊させてなるものかっ!ってね。

 

 そっからはもう勢いよ。

 腰の“兵器”からミサイルやらレーザービームやらを無茶苦茶に放出し、気づけば生存者は彼以外全員死んでいた。

 そんで、その彼にも一応感謝だけは伝えといてズバァン!

 心がないとか言ってはいけない、だってロボなんだもの。

 

 

 っと。

 

 銃弾の補充を終え、準備が完了したのを確認したその時。

 俺の耳に搭載された“音響感知器”がこちらに向かってくる足音を捉えた。

 

「……来たか。予想よりも遅かったな」

 

 “兵器”を変形させ、巨大な二双の砲を用意する。

 恐らく、俺の大暴れに気づいた軍が兵士を派遣してきたのだろう。

 この研究所に入るためには表門を通らなければならない。

 裏門もあるが、あれは狭くて大人数が入るには適さないはずだ。

 

 じっと物陰に隠れ、表門を注視する。

 そして、その門が開いた瞬間―――――――――

 

 ズドォォォンッ

 

 大砲による轟音が、兵士達を貫いた。

 それと同時に、俺は大砲を加速装置に変えて門を突き破る。

 ここからは時間との勝負。

 

 目指すのは、ここからの脱出。

 

 Real Time Attackの始まりだ。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 武装国家ドワルゴン。

 千年無敗を誇るドワーフの国にて、とある国家プロジェクトがおしゃかになったのは記憶に新しいだろう。

 “魔装兵計画”と呼ばれる、生身の人間に機械を埋め込む非人道的な研究。

 もちろんその計画を耳にしたドワーフ王によって計画は即座に中止になったのだが、それでも最初の実験体である少女は犠牲になってしまった。

 

 この計画が実行されるまでの経緯だが、端的に言うと戦力増強である。

 侵略を止めない東の帝国への対抗案であり、切り札の一つに添えようとしていたのだ。

 我が国を思っての研究所の独走なのは理解しているがために、関わった研究者にドワーフ王は処罰を処すことは出来なかった。

 

 そんな矢先、報告されたのは“あの少女が生きている”という情報だった。

 これにはドワルゴンの上層部も頭を抱えた。

 謝って済むのならいい話だが、相手は計画の被害者である少女だ。

 今更我らが頭を下げようと彼女が許すわけがないのは目に見えている。

 

 なら、殺すか?

 その問いに、今度は唸り声を上げるしかない。

 彼女は元々、戦力増強のために作られたサイボーグだ。

 てっきり失敗したと思い込んでいたが、成功したというのならそのチカラは測り知れない。

 ドワーフは知恵はあるが、決して上位種族というわけではない。

 場合によっては軍を動かすのも視野に入れておいたほうが良いだろう。

 

 ドワルゴンの大臣達の意見が出尽くしたその時。

 会議室の扉が慌ただしく開かれ、兵士が飛び込んできた。

 

「な、何者だ!?」

「ガゼル王の御前であるぞ!」

 

 突如入ってきた兵士に大臣達が口を揃えて注意するが、それはドワーフの王―――ガゼルの目線で制された。

 そしてそのまま、兵士に話すように促す。

 

「何ごとだ?」

「はっ!研究所にて巨大な爆発音と銃声が発生しました!恐らく、あの少女によるものだと……」

 

 誰ともなく、息をのむ。

 

「……なるほど。彼女は復讐を選択したか」

 

 しかし、そこはドワーフ王。

 ガゼルは一人動じることなく、事実をただ受け止めるだけだ。

 そして、ガゼルほどではなくとも事態を把握した者から口を開く。

 

「王よ!俺は既に突撃準備は出来てるぜ!」

「バーンか。……お前は兵士を連れて少女のところへ急行せよ。ただし、極力戦闘を避けるようにしろ。いくら屈強なドワーフ兵とはいえ、圧倒的なチカラの前には無意味だからな。我が行くまでの時間を稼げ」

「了解した!」

 

 ガゼルに出撃許可を得た軍部最高司令官(アドミラルバラディン)――――バーンは、その命令に従いその場を後にする。

 しかし、その発言に待ったをかける者がいた。

 

「なっ!?王自ら行かれるのですか!?確かに、王はドワルゴンの最高戦力ですが……私率いる天馬騎士団(ペガサスナイツ)があれば十分に対処できるのでは」

「空中戦闘を得意とする天馬騎士団(ペガサスナイツ)では、地中国家であるドワルゴン内で十分に能力を発揮できんだろうが」

「しかし、」

「お前達は市民の誘導に専念せよ。俺が勝てるとは限らんからな」

 

 そこまで言われては、ドルフは何も言うことは出来ない。

 苦悩するように額を抑えた後、「ご武運を」とだけ残して走って行った。

 その後ろ姿を見つめて、ガゼルは呟く。

 

「“魔装兵計画”、か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして場面は変わり、とある街道にて。

 

「ほう、貴様があの少女か」

「………ガゼル王」

 

 腰の“空気圧縮装置”で低空飛行をしていた少女の前に、鎧を着込んだガゼルが立ち塞がる。

 空気の逆噴射でその場に降り立った彼女は厳しい視線をガゼルへと向けた。

 彼が只者ではないというのを本能的に理解したのだ。

 

「どけ。俺の邪魔をするな」

「どかんさ。ここを離れたらお前は門の外にいる市民を殺すつもりなのだろう?」

「チッ……また面倒くさい奴が来たな」

 

 小さく舌打ちをした少女は聞くに堪えないとばかりに背の“兵器”に差し込まれた二振りの剣を取り出す。

 黒光りするその剣は中々の業物なのだろう。

 それを見たガゼルは「カイジンの剣か……」と呟いて、腰から剣を抜いた。

 こちらもまた、少女の剣に負けず劣らずの業物であった。

 

「王として聞くが、武器を手放して降参するつもりはあるか?」

「したら、どうせまた処分するんだろ。俺はお前達を信じない」

「……で、あるか。ならばその命、すまぬが頂戴させてもらう」

「はっ!やれるもんならやってみやがれ!」

 

 平和的解決は不可能。

 その事実を確認した両者は己が獲物を握り、対角線上に走り出した。

 

「朧流―――――――“地天轟雷”」

 

 下から蹴り上げるような剣が少女の頬を掠り、振り向きざまに再度剣を叩き落す。

 

「ッ!………オラァァァァァァァ!」

「ふん!」

 

 その一撃は、防げるような優しいものではなかった。

 避ける際に体勢を崩した少女は、辛うじて剣で受け止めたものの衝撃を殺しきれず壁へと小さな身体を埋め込む。

 あまりの神業に一瞬呆然とした少女だったが、すぐに意識を取り戻して“空気圧縮装置”でガゼルへと特攻する。

 そしてまた、ガゼルが振り下ろした剣によって地面に身体を沈められた。

 

「グアッ!?」

「……なるほど。性能は確かに驚異的だが、技量まではそこまでではないな」

「なん、だとおお!?」

 

 ガゼルの言葉が琴線に触れたのか、少女は白い顔を怒りに染めて腰の“兵器”を起動させる。

 そこから飛び出して来るのは指向性を持つミサイルであった。

 見たことがない武器にガゼルの目が見開かれるが、それも一瞬のこと。

 

「ふん!」

 

 ババババッババッ

 

 すぐに剣を振り払い、強風だけでミサイルを爆破してみせた。

 しかし、こんなものは牽制にしか過ぎないとガゼルは理解している。

 来るのなら、自分が剣を振り終えた隙だということも。

 

「消えろ!」

「惜しい」

 

 ミサイルの煙で覆われた視界の中、上から放たれた少女の蹴りをギリギリで躱す。

 

「っし貰ったァ!」

 

 避けられるのは想定済み。

 彼女はその勢いを殺さぬまま遠心力を利用して剣をガゼルの首元へ走らせる。

 そのまま剣がガゼルの首を捉えるかと思えた、その瞬間。

 

「甘い」

 

 少女の真横にいつのまにか移動していたガゼルが渾身の蹴りを腹にブチ込む。

 ぐえっ、と嫌な声を出して少女は飛ぶように跳ねていった。

 

「む。寸前で横に跳んだか」

 

 思いのほか飛ばなかった少女に、ガゼルは誉め言葉ともとれる言葉を漏らす。

 事実、少女は蹴りが腹にブチ込まれる寸前に“空気圧縮装置”で勢いを削いでいた。

 

 それに、先ほどの一連の動きはガゼルを模した動きだった。

 身長のせいか向きは逆だったが、一撃目は体勢を崩すために、二撃目は確実に相手を殺めるために。

 学習能力も折り紙付きだったかとガゼルは少女の評価を上方修正した。

 

 対して、飛ばされた少女はというと。

 脇の“生命維持装置”で損なわれた腹を直しながら、その場からの撤退を図っていた。

 

(アカン、このおっさん強すぎる)

 

 予想外だったのは、ガゼルの戦闘力だろうか。

 直前に戦っていたバーンとやらが軍部のトップだというのを知り、勝手に勝負にもならない相手だと思っていたのだ。

 それも王ならば当然。

 ギルガメッシュやアーサーはともかく、王様は事務作業が仕事なのではないか。

 その間違った常識が今回の敗因だろう。

 

 前世の常識は捨てるべきだと判断し、潔く逃げに移行する。

 今ここにおいては逃亡は負けではない。

 勝負に負けて試合に勝った。

 それはつまり引き分けである。

 そう自分を言いくるめて、少女は飛行するスピードを上げた。

 

「予想通りだ」

 

 ―――――――そして、まるで少女の軌道を知っていたかのようにガゼルが空から降ってきた。

 

「朧流・紫電突」

「クソったれ!」

 

 高速の突きを、少女は右腕を犠牲にして躱す。

 ガゼルを追い越した彼女は“空気圧縮装置”を全稼働させて出口へと向かって行く。

 

 

「させるものかよ」

 

 そこで現れるのは、機会を虎視眈々と狙っていたドルフだった。

 持っていた槍を振り回し、少女を出口から遠ざけようとする。

 

 その牽制は少女にとって致命的だった。

 勢いを殺すことができず、少女はそのまま槍に―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かふっ……」

 

 

 少女は倒れていた。

 ドワルゴンとは遠く離れた森の中で、一人壊れかけていた。

 

 ああ、死ぬのか。

 

 危険を知らすアラームがやけに響いていた。

 腕も、足も、感覚がない。

 

 あっけない人生だったなと、心の中で愚痴る。

 思えば、もっと平和的に解決できたのではないかとふと思う。

 あの男の目は、研究者が向けるまなざしではなかった。

 しかし、それはタラレバの話。

 

 あれから死に物狂いで逃げたものの、もう自分の身体はボロボロだ。

 回復も間に合わないだろう。

 

 自らの死を悟った少女は瞼を閉じ、

 

 

「――――ん?アレ……女の子、っすか?」

 

 

 偶然通りかかった少年の声に気づかず、意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





一体誰ゴブタなんだ。
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